松山内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年10月2日

(平成30年10月2日(火) 11:51~12:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私の方から2点御報告申し上げます。
 科学技術政策担当の大臣として、まず1点、報告します。
 今年のノーベル生理学・医学賞を、かつて総合科学技術会議議員を務められた京都大学の本庶佑特別教授が、「免疫抑制阻害によるがん治療の発見」という優れた業績によって受賞されることとなりました。本庶特別教授には、心より敬意と祝意を表したいと存じます。
 人類への貢献を称えるノーベル賞を日本の研究者が受賞されたということは、科学技術イノベーションを成長戦略の重要な柱と位置付けて関係施策の推進に取り組む我が国にとりましては、大変、今後の大きな励みとなるものだと思っておるところでございます。
 今回の受賞が、科学技術に対する社会の期待や関心を一層高めて、次代を担う若い世代に夢を与えるとともに、新たな課題に積極的に挑戦する契機となって、今後も世界トップレベルの研究成果が生み出されるということを期待したいというふうに思います。
 これまで自然科学分野のノーベル賞を受賞した研究者というのは、30代から40代の若い時期に取り組んだ成果が多く占めております。今回の受賞の知らせを受けて、優れた若手の研究者が活躍できる研究環境の整備、また学術研究、基礎研究の推進等の重要性を改めて感じたところでございます。
 政府としましても、統合イノベーション戦略に基づきまして、基礎研究の支援と、並びにそのための環境整備の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
 それから、先程の閣議におきまして辞表の取りまとめが行われまして、私の方から、閣僚としての辞表を出させていただきました。
 平成29年8月3日から本日10月2日まで、1年2か月、426日間でございましたけれども、一億総活躍、情報通信技術政策の担当大臣、並びに少子化対策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、そして宇宙政策と、これらを担当する内閣府特命担当大臣を務めさせていただきました。また、平成29年11月1日までは男女共同参画担当の大臣ということで、多岐にわたる業務を担当させていただきました。
 この間、皆さんには大変お世話になりまして、いろいろと御指導も賜りました。この場をお借りして、心から感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。1年2か月、お疲れさまでした。
 この1年2か月の大臣の期間を振り返って、印象に残ったことや、あるいは積み残したこと、大臣、特に現場が大事だと、最初からおっしゃってられたんですけれども、現場に行ってこういうふうに感じた、ここら辺を次の大臣に伝えたいなと、そこら辺について教えてください。
(答)1年2か月、本当に多岐にわたる業務を担当させていただいて、また私自身も勉強もさせていただきまして、国の根幹に関わる様々な重要な政策、また法案の策定から基本方針の取りまとめ等々、一定の方向性を打ち出せたのではないかと思っておりまして、特に科学技術政策としては、「世界で最もイノベーションに適した国」を実現するために、今年の6月には「統合イノベーション戦略」を策定し、大学改革、人工知能戦略など、重要政策の方針を取りまとめたところであります。
 また、予算についても、科学技術基本計画で掲げた関係予算、5年間で総額26兆円ということです。この達成に向けて、今年度は2,500億円という増額の確保に努めたわけでありますが、3,000億円を目指してやったわけですけど、過去を振り返れば、2,500億円増加したというのは大変大きなことだったかなと思っております。
 また、PRISMやSIP等の創設・推進にも取り組んでまいりました。さらには、米国、ロシアにも出向きまして、科学技術政策分野での意見交換をしながら、国際協力も推進をさせていただいたところです。シリコンバレーで得た知見も、ベンチャーエコシステムの構築に向けた取組ということで進めてきたところであります。
 また、原子力政策ですが、これにつきましては、昨年の9月に「原子力白書」というものを、7年半ぶりに再開させました。今年の7月には、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」、これは15年ぶりにこの考え方を発表し、決定、公表を行いました。加えて、IAEAの総会の場で、政府代表としてこれを世界に向けて発信できたというのは、非常に大きなことだったと思っております。
 また、宇宙政策担当として、着任早々、種子島にも行き、「みちびき」3号の打ち上げにも立ち会うことができまして、準天頂衛星サービスの開始に向けたタスクフォースの開催も進めてまいりました。
 GDP600兆円に貢献すべく、宇宙ベンチャー、宇宙産業振興もしっかり取り組んできたつもりですし、今後もこれについては政府を挙げて取り組んでいただきたいと思っておるところでございます。
 「みちびき」も11月ということになりました。非常に思いを持って、これも取り組んできましたので、是非11月からは、いろんな宇宙産業に結びつくような成果を期待したいと思っております。
 知財戦略ですが、これは「価値デザイン社会の実現」を掲げた「知的財産戦略ビジョン」、そして「知的財産推進計画2018」、これも6月に策定しました。また、知財戦略を推進しながら、インターネット上の海賊版サイト、この問題は、知財戦略本部、また犯罪対策閣僚会議の中で、緊急対策の決定を4月に行いました。
 また、クールジャパンですけども、これもタイや韓国、中東など、日本文化を発信させていただいて、異業種の連携、あるいはマッチングフォーラムなども開催しながら、クールジャパンの推進強化に努めてきたところであります。
 IT政策ですが、これは「デジタルファースト法案」を次の国会に出すべく、準備を進めておりますが、何とかこれも、私も別の立場からしっかり御支援したいと思っておるところでございますし、加えて、自動運転に関する国内法の整備、これもやって進めてまいりました。この制度整備大綱の策定もしっかり進めていただきたいと思っているところであります。
 少子化対策ですけど、これは本当に国難と、政府与党位置づけて取り組んできたことでもありますので、「少子化克服戦略会議」を1月に立ち上げて、提言を約半年間かけてつくっていただきました。これを受けて、「子育て応援コンソーシアム」を立ち上げて、様々な取組を官民一体となって行っていく、その足がかりができたかなと思っています。
 また、事業主拠出金率の上限を引き上げるといった中小企業関係団体に御理解を賜りながら、「子育て安心プランの実現」ということで成立をさせた法案ですね。これも0歳から2歳児相当分の保育の運営費を充当することができましたし、4月にはこの支援法を改正することができたことは、大きな成果だったと思っております。
 また、共生社会政策担当として、高齢社会対策の基本的かつ総合的な指針であります「高齢社会対策大綱」を改定しました。障害者の自立と社会参加のための施策を総合的かつ計画的に推進する「第4次障害者基本計画」、また青少年が安全に安心してインターネットが活用できるといった「第4次青少年インターネット環境整備基本計画」を策定いたしました。
 成年後見制度の利用促進担当としましては、欠格条項の見直しについて、法案の策定及び提出までさせていただきましたけれども、残念ながら成立を見ることができませんでした。今後の国会において、是非、早期に成立が図られることを望んでおるところでございます。
 また、休眠預金ですけれども、担当として、休眠預金等活用審議会を中心に、関係方面の意見を聞きながら、本年3月に本制度の運用の根幹をなす「基本方針」を策定させていただきました。来年秋ごろに資金を配分する団体への助成等の関係業務の開始、これに向けて、現在、指定活用団体の指定に向けた準備、鋭意進めておるところでありますが、これも引き続き、予定どおりしっかりと後任の方にまた進めていただきたいと思っております。
 担務が大変多うございましたので、駆け足でちょっと振り返りましたけれども、まだまだ道半ばのものばかりでございますし、様々な計画をつくった、その計画にのっとってそれぞれ進めておりますので、引き続き後任の方にもしっかりと、今まで進めてきた案件を積極的に進めていただきたいと思っているところでございます。
 改めて、1年2か月、大変お世話さまになりましたことを、重ねて心から御礼を申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
(問)朝日新聞の菅原です。お疲れさまです。
 担務が非常に多くて、いろいろ今、これまでされてきたこと等、紹介いただきましたけれども、是非、最も大臣として、これは力を入れた、達成感のあるなというものを一つ選ぶとしたら何か、教えてほしいです。
 あとは、やぼな質問で恐縮ですけれども、大臣をされてよかった、楽しかった、これはしんどかったというものがあれば、是非教えていただければと思います。
(答)やはり全てにおいて一生懸命取り組んできたつもりではあるんですけれども、昨年、衆議院の総選挙もあり、そのときの大きな一丁目一番地の公約でもありました、国難と位置付けた「少子化対策」、これは本当に我が国の構造的な大きな課題でありますので、担当大臣として重点を、振り返ればこれに最も重点を置いてきたかなというふうに思うんですけれども、1月から特別な、私のもとでの少子化克服戦略会議を設けて、その提言に沿ってコンソーシアムを立ち上げまして、官の方から一方的に民間企業に言うのは本当に失礼なことで、そうそうないことだと思いますけど、これが本当に官民一緒になって、この日本の将来のために取り組んでいかなければ本当に大変なことになるということを申し上げて、失礼な言い方もあったかも分からないんですけど、「子育て応援コンソーシアム」の中で、2回開催しましたけど、非常に理解をしていただいたと思いますし、特に公共交通機関の方々ですね。電車の中でベビーカーがそのまま乗せられたり、そんな配慮も社会実験的にも行うべく検討会を立ち上げていただきましたし、高速道路は全ての全国のサービスエリア、道の駅で3年以内にやってくれるということに、国交省も協力しておりましたし、そういった意味では、やはり担当大臣として、先頭になって旗を振って、政府の本気度というものを出して、本気に動いていくことが極めて大事だということも改めて思いましたので、後任の方にもこのことは是非御説明申し上げて、頑張っていただきたいなと思っておるところであります。
 それ以外、科学技術も初めての担当でしたけれども、「みちびき」という大変世界トップレベルの技術を我が国が持っているということも、改めて感銘を受けましたし、ならばこれを世界に広げて、産業にも結びつけていただいて、GDP600兆円を目指すならば大いに活用すべきみちびきだなと思いましたし、各省ばらばらでやっている感があったので、横串でやはりしっかり連携とってもらってやるべきだと思って、タスクフォースも立ち上げました。
 ですので、いろんな各省、官民一緒になって、この「みちびき」を大いに利用していただいて、自動運転なんかも、人工衛星を使うのか使わないのか、分からない状況もあるので、しっかりこれいろんなツールを使って、正確な自動運転というものに結びつけていただきたいと思っておるところです。
 さっと振り返って、本当に力を入れてほしいのは、少子化対策、そして「みちびき」に関する人工衛星の問題ですね。今後も頑張っていただきたいなというふうに思っておりますし、私もまた違う立場から、この七つの担務、いろいろ取り組ませていただきましたので、議員という立場から、また与党という立場から、しっかり形を変えてでも取り組んでいきたいと、決意を新たにしているところでございます。
(問)NHKの鈴木です。お疲れさまでした。
 先程おっしゃったように、科学技術政策に携わるの初めてだということだったんですけれども、今回やってみて、やはりどんなところにまだ課題があるのかということと、今後、それをどうしていかなきゃいけないか、どう率直思われてきたかというのをお願いします。
(答)やはりぱっと見、金額が大きいので、これ担当してみないと、この金額じゃまだ無理なんだというぐらいのことはやってみないと分からないなというのが第一印象で、GDPの1%ですか、5年間で26兆円達成ということを掲げておりますので、正に諸外国を見ても、予算がまだまだ少ないというのも分かりますし、そんな中で、大学ランキングの順位が低迷したり、我が国の技術力が非常に低下しているということをいろんなところから言われますので、本当に日本が本気になればものすごい技術力があるというのは、みんなも認めて、世界も認めているところだと思いますので、少々お金がかかっても、しっかりとこれ、科学技術政策というのは力を入れていかなければならない。
 また、加えて、やはり若い研究者の人たちに、有期雇用ではなく無期雇用という形で、しっかり予算もつけて、いろんな課題に積極的に取り組んでもらうということが、本当に大事なんだろうと。予算を見ると、随分減ってきていますので、30代、40代の人たちが研究をして、先々、ノーベル賞をとっているということを見れば、正に若い人たちにしっかり投資をして、我が国の科学技術力を高めることが求められているんだなと思っています。
(問)科学新聞の中村です。
 大臣、いろんなところに出張されて、現場を見てこられたかと思うんですけれども、その中で分野関係なく、ここが一番印象に残った、ここでこういうことを学んだ、その辺の思い出について、あったら教えてください。
(答)そうですね、随分行きましたからね。
 つい最近行った、つくば。やはり「みちびき」、沖縄もそうですね。「みちびき」を使って、6センチメートルですか、数センチメートルの誤差の範囲で自動運転ができるという、この期待感は、私の中にも相当あって、沖縄はやってくれたんですけど。
 それから、つくばの農機具ですね。あれも正にGPS、まだこれからなんですけれども、科学技術関係で言えば、特に人工衛星を使った車や農機具、また中山間地域での自動走行とかですね。この辺は本当に現場に行かないと分からない状況が多々ありましたし、アメリカの空軍基地、ヴァンデンバーグ。宇宙についても、人工衛星やデブリの問題等々も、現場に行かなければ分からないことがたくさんありましたので、特にそういったところでしょうかね。

(以上)