松山内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年6月5日

(平成30年6月5日(火) 9:16~9:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 私から1点報告させていただきます。
 科学技術政策担当として報告いたします。
 本日、第3回目の「イノベーション戦略調整会議」を開催し、「統合イノベーション戦略」について議論を行いました。
 本戦略につきましては、国内外の急速な情勢変化を踏まえ、「知の源泉」、「知の創造」、「知の社会実装」、さらには「知の国際展開」を柱として掲げました。同時に、「AI技術」等の個別主要分野を設定しまして、それぞれの関係省庁や本部との連携・協力を得て、野心的な目標設定と具体的施策を盛り込んだものとなっております。
 今後、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)におきまして議論を経て、6月中旬の閣議決定に向けて取りまとめを進めてまいります。
 また、本戦略では、イノベーションに関連が深い会議や本部の横断的かつ実質的な調整・推進機能を構築するために、「イノベーション戦略調整会議」を格上げしまして、「統合イノベーション戦略推進会議」を設置するということが盛り込まれております。政府一丸となって統合イノベーション戦略を確実に実行していくため、今年の夏頃の設置に向けて、今後、政府内で調整を進めていく予定でございます。
 さらに、本日の戦略調整会議では、「統合イノベーション戦略」の推進に関する専門事項の調査を行うことを目的として、戦略調整会議の下に、新しく「科学技術・イノベーション政策強化推進のための有識者会議」の設置を決定いたしました。
 開催時期やテーマ、メンバーについては、今後、早急に検討をしてまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今日の会議で「統合イノベーション戦略」の素案が示されたかと思うんですけども、大臣から見て、今回の統合イノベーション戦略のポイントとして出すんだったらどういうところがあるんでしょうか。教えてください。
(答)「統合イノベーション戦略」ですが、急速に世界ではイノベーションが進展する中、過去の延長線上では世界に勝てないという現状認識の下で、我が国の強みを生かした、「全体最適な経済社会構造」の創造を目的として進めてきたものでございます。
 先程申し上げましたが、この戦略は「知の源泉」、「知の創造」、「知の社会実装」、「知の国際展開」の四つの柱と、AI等の個別主要分野で構成をされておりまして、野心的な目標と具体的施策を盛り込んだ戦略案として、取りまとめをしております。
 具体的な内容につきましては、それぞれ柱ごとに申し上げますと、
 「知の源泉」というところでは、これからの必須の社会インフラであるデータ連携基盤につきまして、分野間の連携基盤を3年以内に整備して、5年以内に本格稼働させるということ。
 「知の創造」につきましては、大学改革ですね。民間資金の獲得に連動した予算等のインセンティブの付与、また、年俸制の完全導入、若手への研究費の重点配分等を行いまして、経営環境の改善、人材流動性の向上、若手の活躍促進を進めてまいります。
 「知の社会実装」に関しましては、世界水準の創業環境を実現しまして、2023年までに企業価値・時価総額10億ドル以上のベンチャー企業を20社創出する。公共調達における先進技術導入を進め、世界経済フォーラム国際競争ランキングにおける当該分野の順位を2030年までに世界最高水準に引き上げる。
 「知の国際展開」につきましては、2019年の年央までに、SDGs達成のための科学技術イノベーションロードマップを策定し世界に提示する、といった取組を掲げておるところでございます。
 個別分野ですが、例えば、「AI技術」につきましては、2025年までに先端IT人材を年数万人、IT人材を年数十万人規模で育成する体制を確立します。そして、戦略的技術開発を推進する。
 「バイオテクノロジー」に関しましては、2019年夏を目指して新たなバイオ戦略を策定します。
 「環境エネルギー」に関しましては、パリ協定の「2℃目標」の達成に向けて、再生可能エネルギーや水素について、世界水準の目標の達成に向けた道筋を構築する。
 「農業」に関しましては、スマート農業技術を導入して、2025年までにほぼ全ての担い手がデータ活用農業を実践し、国内外の1000億円以上の市場を獲得する等の内容も盛り込んでいるところでございます。
 今後、この戦略を今月中旬に閣議決定いたしまして、本戦略に基づく取組の具体化を進めることで、我が国を「世界で最もイノベーションに適した国」にすべく努めてまいりたいと思います。
(問)NHKの小泉です。
 昨日、少子化克服会議の中で、今回提言がまとまったと思います。今回の目玉になったのが、育休の制度の分割取得ということですけども、この制度を今後どのようにして実施に向けて進めていかれるのか、改めてお伺いしたいと思います。
(答)様々な観点から今回提言を頂きまして、大変有り難く思っております。
 今回、育児休業の分割取得、また、1時間単位の有給休暇取得の促進、ということで御提言を頂いておりまして、加えて、子育て費用の負担軽減や子供・子育て世帯をやさしいまなざしで包み込む様々な観点から御提言を頂いているわけでございます。
 男性の育児休業の取得促進のための、育児休業の分割については、法的な見直しが必要になってきます。今回の提言を踏まえまして、制度を所管する厚生労働省におきましては、まずは今年度中に法の施行状況の調査を開始していただいて、その分析をした上で、具体策を検討することになると認識をしておりまして、内閣府としましても、厚生労働省と連携をしながら、その実現に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 また、1時間単位の有給休暇の取得の促進でございますが、現在、労使協定で時間単位の年次有給休暇は制度として設けることは可能でございますけれども、一方、こうした制度を導入している企業は約17%程度でございまして、子供の急病などの子育て、あるいは介護や不妊治療といった様々な事情に対応して柔軟に休暇を取ることができる、そのような環境を作るために厚生労働省と連携をしまして、企業への働きかけ、あるいは周知を行ってまいりたいと思います。この時間単位年次有給休暇制度の導入を促進していくということをより一層進めてまいりたいと思います。
(問)共同通信の須江と申します。
 イノベーション戦略の関係で伺いたいんですけれども、統合イノベーション戦略推進会議の設置をするということで、先日、自民党の行政改革推進本部から出たイノベーション統合会議を創設するという提言がございましたが、今回の格上げは、この自民党の行革本部の話を受けたものなのかということと、あと、行革本部のときにも話に出たと思いますが、いわゆる科学技術関連の会議体が多く、中身も重なっている部分があるんじゃないかという指摘について、改めてどうお考えになっているかお聞かせください。
(答)与党の行革会議の答申ももちろん受けまして、連携をした上で、このような提案をさせていただいているということでありまして、それぞれ今、CSTIがあり、IT本部、知財本部、健康・医療本部、宇宙本部、海洋本部と、それぞれ大きく六つぐらいの柱がありますけど、これを横串で刺して、今、CSTIの下にイノベーション戦略調整会議というのがありますけれども、この全ての本部を横串で刺したような統合イノベーション戦略推進会議というのを作るということであります。与党ともしっかり連携して詰めた作業を進めていきたいと思っています。

(以上)