梶山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年7月20日

(平成30年7月20日(金) 10:15~10:32  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日の閣議前に開催されました「行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議」において、「公文書管理の適正の確保のための取組について」が決定されました。本取りまとめは6月5日の同会議で総理から示された方針に基づいて、行政全体への信頼回復のために、真に実効性のある取組となるよう検討を進め、取りまとめたものであります。
 まず、基本的な考え方として、「公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」という基本理念を、職員一人一人が肝に銘じなければならないことを示しました。
 具体的な取組のうち、「公文書に関するコンプライアンス意識改革を促す取組の推進」につきましては、研修の充実・強化、人事評価や懲戒処分といった人事制度面の取組を進めてまいります。
 体制面につきましては、内閣府における「独立公文書管理監」、通称「政府CRO」を、チーフ・レコード・オフィサーというものでありますが、各府省における公文書監理官、通称同じように、「各府省CRO」を中心に実効性のあるチェックを行ってまいります。
 「電子的な行政文書の管理の充実」につきましては、文書の所在情報を的確に把握し得る電子的な文書管理の仕組みの構築等について検討してまいります。
 「決裁文書の管理の在り方の見直し」につきましては、決裁文書の重要性に鑑み、事後的な修正は認めないこと、修正が必要な場合には、新たに決裁を取り直すこと等を再確認し、ルール化いたします。
 今後は政府を挙げて本取組の内容を確実に実行していくことが重要です。公文書管理担当大臣として、前面に立って取り組んでまいります。
 もう一点、私の出張についてであります。来週23日月曜日から27日金曜日までフランス、イギリスに出張いたします。
 現在我が国では新たな国立公文書館の建設に向けて、本年3月に策定した基本計画に基づいて詳細を検討中でありまして、今般の出張で先進事例として評価の高いフランスとイギリスを、加藤国立公文書館長と共に訪問する予定です。
 フランスでは公文書を担当するニッセン文化大臣と会談をする予定であり、併せてフランス、イギリスの国立公文書館を訪問し、それぞれの館長等とも会談することとしております。
 また、先ほど申し上げましたが、本日閣僚会議が開催されたように、公文書管理の在り方については、我が国でも正に検討を進めているところであります。フランス、イギリスの大臣や国立公文書館長等と、公文書管理の在り方についても意見交換を行い、今後の公文書管理の適正の確保に向けた取組の推進に生かしてまいりたいと考えております。
 いずれも詳細については、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)公文書の関連で大臣の発言とかぶってしまうかもしれないのですが、改めて今回の取りまとまった対策、再発防止策への評価とですね、これからどのように担当大臣として、どのような姿勢で臨んでいくか、もう一度お願いします。
(答)本取りまとめは、6月5日の閣僚会議で総理から示されました方針に基づいて、公文書管理の適正化に向けて必要となる施策を取りまとめたものであります。
 具体的なポイントは3点ございます。
 まず、コンプライアンス意識改革を促す取組の推進として、研修の充実・強化、人事評価や懲戒処分といった人事制度面の取組、内閣府や各府省における体制整備に取り組むこととしております。
 2つ目、行政文書を体系的・効率的に管理するために、所在情報管理の仕組み構築など、電子的な行政文書管理の充実に向けた検討を進めることとしております。
 3つ目、決裁文書の事後修正を認めないことの再確認とルール化、電子決裁システムへの移行の加速等、決裁文書の管理の在り方を見直すこととしております。
 改正ガイドラインに基づく新ルールの徹底、財務省、防衛省の再発防止策の実行に加えて、今回の取りまとめの内容を確実に実施することで、公文書管理の適正化を図ってまいりたいと考えております。
(問)今回のこの再発防止策巡ってはですね、公文書管理法の改正という話も、大臣も総理も言及、検討を言及されたこともあったと思うのですが、今回、法改正に至らずこういった再発防止策になったことについての経緯と評価をお願いします。
(答)白紙の段階から検討し始めました。そして課題になっていることを一つ一つ挙げながら、どういう対応をしたらいいかということも考えてまいりました。その結果として、法改正を伴うものは含まれていないと、この実施に当たり、そういうことになっておりますけれども、総理の示した方針を、先ほど申しましたように具体化したものでありまして、法改正ありきという形式にこだわることなく、どうしたら実効性が保たれるのか、そしてよりコンプライアンスを意識していただけるのかということを、中心に考えてきたということでありまして、公文書管理委員会の外部の有識者の皆様の御意見も、この件に関して3回開いて、皆さんにも公開をしましたけれども、お聞きのとおりにいろいろな御意見を頂きました。また、現場の声も頂き、また、いろいろな分野の皆さんの声を頂いた上で取りまとめをしたということであります。
 ここで終わりということではなくて、これから実効性を如何に持たせるか、どうコンプライアンス意識を持っていただくか、これまでの公文書管理とは違うものをどう構築していくかということ、ベースは同じでありますけれども、今指摘されてることを解消するためにどうしたら良いのかということに、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
(問)監視体制が強化される人事評価になるということは、公文書を残す公務員がですね、文書を残さない、不適切なことは書かないなどといった萎縮につながるのではないかという懸念の声も、一部ではあると思うのですが、大臣、その点に関してはどのようにお考えでしょうか。
(答)人事評価面、そして懲戒等を強化することによって、これは今までにあったようなことの防止策・抑止策につながるのではないかと思って、こういう形にしたわけでありますけれども、評価もですね、プラス面の評価だけではなくてマイナス面の評価もあるわけです。そういったものを評価もしていくという中で、この制度をしっかりとしたものにしてまいりたいと思っております。
 ただ、どういう方策を採ってもですね、その今の御懸念はあるわけでありまして、こういう方策の中で、また、コンプライアンス意識を持っていく中で、どれだけ国家公務員としての公文書、行政文書に対する文化を築けるかということだと思っておりますので、関係者全員で全力で当たってまいりたいと思っております。
(問)その文化として残していくということを重要視していくということですけれども、それが研修だったりとか、あるいは適切な、時の政治に動かされない人事評価といったものにつながっていくというふうに考えてよろしいでしょうか。
(答)ということで結構だと思います。研修も、対面も含めてしっかりとやっていくということで、まずは、8月の上旬に、内閣府を中心に第1回目の研修を行う。この秋までに、またその次の段階の研修も行うということで、できるだけ多くというか、ほぼ全員の方に各段階で研修をしていただくということ、そしてその研修の中身で、技術的なことだけではなくて人事評価、懲戒などの制度もお話をしながら意識を植え付けていただくということだと思っております。
(問)先ほど、萎縮につながってしまうのは、何をしてもそういった懸念があるということで、完璧なものはないと思うのですけれど、今後これを施行していった中で、そういった点がより少なくなるように調査していくというようなことはお考えでしょうか。
(答)ということです。行政文書の定義は変わりません。そういった中で今までと違うのは、体制面で、内閣府から、今度は各府省と連携しながら調査をしていくという形になっていきます。今までは基本方針を決めた。そして、各府省に任せている部分もありましたけれども、先ほど言いました独立公文書管理監というものを設置する。そして、あと各省庁にも公文書監理官を設置する。そして、独立公文書管理監は、各府省をしっかり視野に入れて対応していくということになりますので、制度面も含めてしっかり構築をしてまいりたいと思っております。
(問)この再発防止策が今日、事実上の国会の閉会日に取りまとまったということになりまして、国会審議の中では、この再発防止策について審議が行われないというような懸念の声もあると思うのですけれども、どのようにお考えになりますか。
(答)6月5日に総理から指示を頂きました。そして、目途として約1か月ということも申し上げたわけでありますけれども、より多くの御意見を頂くということで、丁寧に公文書管理委員会の皆様からも御意見を頂いてきた。また、公開の下に財務省、防衛省の再発防止策に対するヒアリングも行ってきた。そういった中で一つ一つ積み上げてきたつもりでおります。私どもとしましては、最速でやってきたつもりでありますけれども、ここで発表させていただいたということです。
 いずれにしても、これで終わりということではなくて、これが実効性を持つようにどうできるか、人事も含めてそういうことになろうかと思いますけれども、しっかりとした体制を各方面の協力を得ながら進めていきたいと思っております。
(問)体制面で、専門家の中には、例えば外部機関といいますか第三者機関を作って、そこで公文書の管理について監視をすべきだという意見をおっしゃる方も中にはいらっしゃいますけれども、今回はこういった政府の内部での監視機関という形になったことで、これが実際にどこまで監視機能が担保されるのかというところをどのようにお考えでしょうか。
(答)これは、取組次第だと思います。しっかりとこれが根付くように努力をしていくと。これまでの様々なことがあって昨年から議論をしてきているということで、それがガイドラインに生かされ、また、各省の行政文書管理規則に生かされてきた。ガイドラインの時に議論されていない財務省や防衛省の事案もいろいろと、また各省庁からの防止策を聞いてきた。そういった中で、この体制でしっかり取り組めれば、私どもは公文書の管理というものはできていくものだと思っておりますけれども、外部にしたからできるというものでもないと思いますので、まずはこういう形で独立性を持つような形で、各省庁との連携をしながら管理していく、必要に応じて各省庁に報告を求めたりしていく、こういった中でこれからの公文書の在り方というものを構築してまいりたいと思っております。
(問)今後そういった外部機関の設置を検討する余地というのはございますでしょうか。
(答)今の時点では、これをまず、所期の機能を発揮できるように、人事面も含めてしっかりとしていきたい。外部という形では、公文書管理委員会の委員の皆様がおいでになる。そして、さらにまた電子化という点で、その中でさらにまた専門委員等の選定をして外部の有識者、また専門家の御意見も伺っていくということにしたいと思っております。
(問)今回の財務省の決裁文書改ざんに関して言うと、そもそもが何でこういうふうに決裁文書を改ざんしたか、誰も指示されていないにもかかわらず、改ざんしてしまったということが発端のような気もしています。
 そうしたことがまだしっかりと分かっていない中で、いろいろこういう形を作りましたけれども、財務省のような、事案がまた起こりかねないというような懸念も当然残っています。そこが一番やはり私的には問題だと思っていて、誰も指示していない、そうした中で改ざんが行われた。その点を踏まえて、この新たに今日決定された内容というのは十分なものだというふうなお考えなのでしょうか。
(答)現時点で財務省の報告も聞かせていただきました。そして、財務省としての再発防止案も頂きました。それが全てだとは思っておりません。ただ、全省庁に共通するルールとして今回のものを定めたということで、今課題として挙がってきたようなことを防止するためにどうしたら良いのかということを、知恵を絞って出してきたつもりであります。ですから、人事面での話、また体制面での話、そして個々の意識を高めるということの話、研修面ですね、そしてまた電子化を加速するという話、これらをしっかりと原点に戻って、虚心坦懐進めていくことが大事なことだと思っておりますし、公務員の方々もそういう意識でいると思いますので、それらをしっかりと構築し、また意識をしてもらうためのサポートをしていくということと、あとは主体的にまた公文書の管理でもしていくということが我々の役割だと思っております。
(問)加計学園の車両利用問題の調査の状況というのはその後如何でしょうか。
(答)前回の時の発言と今の時点では変わりはございません。

(以上)