梶山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年12月12日

(平成29年12月12日(火) 11:46~12:00  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私の方から1件、報告がございます。
 お手元に資料を配付しておりますが、来年1月18日木曜日に東京にて「地方創生市町村長トップセミナー」を開催いたします。地方創生の推進に当たっては、人口減少や少子化に対する危機意識を国と地方が共有すること、市区町村長に強いリーダーシップを発揮していただくことが必要不可欠です。そのため、今後決定される平成30年度政府予算案やまち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂を受け、全国の市区町村長に対して地方創生の更なる推進について私から直接働き掛けたいと思っております。
 セミナーでは、私から地方創生の鍵となる理念や今後の進め方、ヒントとなる成功事例をお話しするとともに、地方創生推進交付金や企業版ふるさと納税の活用のポイントなどを説明したいと考えております。行政のトップである市区町村長にとって有用な内容となっておりますので、是非御参加を頂きたいと存じます。
 詳細については内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局にお問合せをお願いいたします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方大学の振興について、先週末、最終報告が取りまとめられましたけれども幾つかお願いいたします。地方大学の産官学の連携のところの交付金のところなんですけれども、報告書の中でも有識者委員会の審査などを経てチェックしていくということが書かれていると思うんですが、その方法次第ではまたばらまきになりかねないと言いますか、やっぱりいかに厳密に審査していくかということが大事かと思うんですけれども、審査の方法とか組織の在り方について何か大臣のお考えがあればお願いします。
(答)最終報告を受けて、これから最終報告に皆さんが述べられたようなことをしっかり留意しながら決めていくということになるかと思います。ばらまきとの御指摘は当たらないと思うのは、私も視察を続けておりますけれども、やっぱりしっかりとやっている大学というのはありまして、そういったところを重点的に応援していく。そして、しっかりと検証しながら成果も出していくということであります。
(問)関係してなんですけれども、定員抑制のところで、まだ両論併記のところがあると言いますか、抑制の期間とか対象を第三者機関でチェックするかどうかというところについての意見が分かれたまま最終報告に至ったと思うんですが、今後の法案化に向けて大臣が何かお考えがあればお願いします。
(答)基本的には定員抑制と言うか定員の現状維持という形になるかと思います。そして、国際競争力であるとか、知の拠点としての質の確保であるとか、そういうことも議論になりましたけれども、留学生や大学院生、社会人に関してはその例外とする、時代の流れに応じて新しい学部や学科を作るときはスクラップ&ビルドを原則とするというようなことも含めて考えておりますので、最終報告を受けて立法化に向けた具体的な作業を始めているところでもありますので、また出来上がりで御指摘を頂ければと思います。
(問)まち・ひと・しごと創生総合戦略改訂版の策定作業の今、大詰めを迎えている頃だと思います。これまでの総合戦略で問題提起されている東京圏の高齢者の増加、2015年から10年間で東京圏の75歳以上の人口が175万人増えると、これまでの戦略にも明記されていますけれども、それに対する施策が今月発表される改定版には入らない見通しです。これはそもそも問題が大き過ぎて手の打ちようがないのかどうなのか、大臣のお考えを伺いたいです。
(答)全体が最適かどうかということは国でしっかりと考えていかなくてはならないし、そういう社会課題があるということも認識はしております。それぞれの自治体で対応する事柄があるということですけれども、その手前でCCRC、生涯活躍のまちの展開であるとか、そういうことも含めて、今、きつくなっているところの問題の解消も含めて考えてまいりたいと思っておりますし、政府全体としては全世代の社会保障ということも含めて、そこも今、急増する高齢者、団塊の世代が75歳を超えるのも間もなくだということで、そういったことも政府全体で考えてまいりたいと思います。基本的にはまち・ひと・しごとバランスの取れた世代構成になるように四十数年後を目指してどうしていくか、子供さんが生まれるような、結婚・出産・子育てができるような環境にしていく。あと元気であれば健康長寿社会の中で高齢者の方にも活躍をしていただく。その後のこともそれぞれの地域でどう考えていくか。また、移動が必要であれば移動も含めて、それは施設のキャパの問題もあろうかと思いますので、そういうこともいずれ具体的に考えていく事柄であるかなと思いますけれども、それに関しても財源の問題であるとか、費用の問題であるとか出てきますので、それらも含めてこれからしっかりと関係省庁、関係大臣と連携をして取り組んでいきたいと思っています。
(問)次は税に関してです。
 先日の自民党税制調査会で東京から地方に本社機能を移転した企業の税負担を軽減する制度の拡充、18年度税制改正大綱の、これが自民党税制調査会内では大筋合意したということで、政府側の要望が通るような見通しになったわけですけども、一方で、企業の本社機能の地方移転というのは、現状、余り進んでいないのは認識されていると思います。今回の税制の変更というか拡充で、こうした地方への移転の動きが進むとお考えですか。
(答)税だけではなかなか誘導政策、誘導の手法にならない部分もありますので、経済界への働き掛けもしておりますし、個別に対応をしている都道府県に対してのバックアップもしていくということで、全ての政策が合わさって初めてそういう流れになるということと、一部の企業には地方に本社機能の一部を移転したところもありますけれども、そういった中で利点をどう他社にも説明をしていくか、御理解を頂くかということも含めて、このIT化の時代に、東京でなくてはならないというのは、それほどないと思いますので、そういうITインフラの整備も含めてどうしていくかということが課題だと思いますし、これを進めていくという方針には変わりはございません。
(問)梶山大臣も経営者の御経験がありますし、私も民間企業を長く取材してきて、いろんな経営者に話を伺うと、そうやってその税制が整えられても、本社機能というのはそれぞれの会社の経営判断ですし、なかなか移転というのは踏み切れないねという方が多いんですが、その点、経営者の感覚からすると、どうなんでしょうか。
(答)これは本社で、東京でやらなくてはならないことがある場合には、やっぱり東京に重点を置くということになると思いますけれども、製造メーカーであるとか、そういったところで設備投資をしなくてはならない、そういったときに、地方の税金でありますけれども、固定資産税に対する恩典があるとか、また、土地を提供してもらえるとか、そういうことも含めて、いろいろな政策がパッケージになってそういう方向になっていくのではないかなと思います。
 これは役所もそうですけども、この科学技術が発展している中で、東京でなくては仕事ができないというのは、なかなか言い訳にならなくなってきたなと思います。
 ただ、交通の便は良くなくてはならないということで、例えば、コマツさんが本社機能の研修機能と購買機能を石川の方に移していますけども、あそこには空港があったり、新幹線があったり、空港も他国の空港でありますけども、インチョンがハブになっている、世界に行くのにも非常に便利だという利点もあるという話を聞いたことがございます。
 ですから、情報伝達手段だけではなくて、やはり商売、営業ということになると、相対でやらなくてはならない。また、不具合が生じたときに飛んでいけるような状態であるとか、そういうことも含めてこれからのビジネスモデル、どういうことが成り立つのかということも含めて、いろいろな会社の意見を聞きながら、それをまとめてまいりたいと思っております。
(問)全国郵便局長会が先月、地方創生取組発表会というのを開催しまして、斬新な各地の成果を発表されたんですけれども、それに対する御見解を是非お願いいたします。
(答)民間団体の個別の取組については、私からはコメントは控えさせていただきますけれども、その上で、一般論で申し上げれば、その地方創生の取組というのはいろいろな団体が参加してこそできるものであると思います。
 特に、郵便局の場合は、地域のインフラとしても皆さんに認められている、そういった中でいろいろな取組をしているのも存じ上げておりますし、こういった取組が進むことは、また政府としては歓迎すべきものと考えております。
(問)先日の高知出張の際に、CLTの普及を進める森林組合を御覧になったと思うんですけれども、そのCLTの推進というのが、どう地方創生と関わってくるのかというところと、あとは、その御覧になった感想を伺えますでしょうか。
(答)高知県で言えば、森林面積が8割前後ということですから、その森林資源をいかに生かすかということが、地域での産業興しにつながるということでもあります。
 CLTは、その板材を5枚程度、縦横で交互に組み合わせていくことによって、強度が得られる。ヨーロッパでは通常の建設方法ということで、中層階の建物も建てているということですから、日本でもこれが取り入れられるのではないか。そして、これが使えるようになれば、その森林資源が使えることになるし、また、新たな産業、雇用も生まれるのではないか。また、環境の面でも好循環ができるということで、切り取って植樹をして、また長い年月を掛けて伐期になるというような循環ができるのではないかということも含めて、今やっているということであります。
 ただ、コストの面、やはり市場がかなり大きくならないと、コストが安くならないということもありますし、高知県では公の建物であるとか、森林組合そのものがCLTを使ったものということで、モデルハウスみたいな形になっておりますけども、行ってみて、見てみて強度の話も聞いてみて、試験の話も聞いてみて、今これから乗り越えなくてはならないハードルも聞いてみて、実現可能なものだなと、しっかりとこういう普及をさせていくことが、それぞれの地域の森林資源の活用につながるし、新たな住宅産業の手法にもつながるのではないかなと感じております。
(問)その一方で、地域の森林の維持というのは、この人口減の中で大きな課題になっていますけれども、それとは何か結び付くようなところはありますでしょうか。
(答)これは地域によって温度差があると思いますが、森林であるとか、林業に関する規制改革の中での提言もあり、路網が整備されている、そこの伐採に行くところ、途中までの道路がしっかりとあれば、その機械化もできます。
 路網が整備されていないところは、そこで間伐をしても切り置いたままということになってしまったりして、これは少し公のお金が掛かっても、しっかりやらなくてはならないねという分類になっていくと思いますが、ビジネスとして成り立つ森林資源かどうかということの見極めも含めて、公と民間の役割分担ということもしっかりと線引きをしていかなくてはならない課題だと思っています。

(以上)