茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年10月25日

(平成29年10月25日(水) 17:37~17:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について御報告いたします。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いております。
先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待をされます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があると考えております。
 政策の基本的態度については、総理の御指示を受け、「人づくり革命と生産性革命の2本の柱の施策を具体化するため、年内に新しい経済政策パッケージを策定する。」ことを新たに明記をいたしました。
 また、今月のポイントとして、私から2点を申し上げました。
 1点目は景況感と人員設備の過不足感についてであります。日銀短観の9月調査によりますと、景況感は全ての企業規模で改善をいたしました。大企業では2007年以来約10年ぶり、中堅・中小企業では1991年以来、実に約26年ぶりの高水準となりました。こうした中、人員や設備を不足と判断する企業の割合が増えております。
 2点目は力強さを増す世界経済の動向についてであります。IMF及びOECDの最新の世界経済の見通しでは、世界の実質GDP成長率は2016年の3.2%から、2017年にはIMFの予測で3.6%、OECDの予測では3.5%に加速をし、さらに2018年には両機関とも3.7%に達すると予測をいたしております。その中でアメリカに目を向けてみますと、現在のアメリカの景気回復は、個人消費に支えられ、史上3番目の長さに達していると見られ、今月で100か月目となります。
 以上が概要であります。

2.質疑応答

(問)今、大臣が今月のポイントとしてお話しされました、世界経済が力強さを増すというのもあって、日本の景気回復が長期に及んでおりますけれども、その一方、なかなか経済の実力を示す潜在成長力というものが力強く上がってくるまでには時間がかかるのかなという状況だと思うんですけれども、大臣として、今のこの潜在成長率の低さという現状への御認識と、どう克服していくべきかというお考えがありましたらお願いいたします。
(答)正にこの潜在成長率をいかに上げていくかと、これからの一番大きな日本経済の課題であり、サプライサイドの改革によって、この潜在成長率の引上げを図っていきたいと考えております。
 総理からも、この内閣の経済政策の最大の柱は、人口減少社会の中で、一人ひとりの人材の質を高める教育無償化など人づくり革命、そしてもう一つの柱は生産性革命であり、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づけると指示がありました。
 この2本の柱の施策を具体化するため、年内に新しい政策パッケージを策定する旨、指示を受けておりますので、その御指示に従って、しっかりと政策パッケージをつくってまいりたいと思っております。
 生産性革命の中では、恐らく予算、そして税、これを集中投入することによって、この3年間で確実に日本経済の潜在成長率を引き上げるということを行っています。生産性が上がれば、当然企業の収益が改善をいたします。企業の収益が改善をしますと、社員の皆さんに給与をもっと払えるようになります。賃上げが起こる、所得が向上すると。これによって消費が拡大します。その拡大した消費を受けて、企業の側が更に生産を拡大する、投資を拡大する。
 こういった経済の好循環をつくることによって、正に日本の成長を高め、同時に景気回復の実感、これを全国津々浦々、地域の隅々までお届けをしていきたいと、こんなふうに考えています。
(問)海外についてですけれども、今日の報告ですと、米中欧全部回復というか、持ち直しが続いているのですけれども、今後のリスクですけれども、いろいろ北朝鮮の情勢とかもあると思うのですが、大臣はどこに注目されていますでしょうか。
(答)まず全体の基調として、今月の月例経済報告でも、世界経済全体、アメリカ、中国、ヨーロッパ、堅調であると。同時に、先ほどIMF、OECDの予測についても申し上げたとおりでありますが、そういった中で、月例経済報告でも、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響には留意する必要があると、このように記述をいたしております。
 具体的に申し上げますと、一つはやはりアメリカにおいて、今税制改正も進んでおりますが、そういったことも含めて、今後の政策の動向、そしてその影響ということが考えられると思います。
 中国については、不動産価格、それから過剰債務問題等の動向がどうなっていくかと。
 さらにヨーロッパにおきましては、英国のEU離脱、そして最近ではスペインのカタルーニャ州の独立問題等々に伴います不透明感の高まり等々の問題があるのではないか。
 また、北朝鮮問題につきましても、我が国としては日米同盟、そして国際連携のもと、毅然とした対応をとっていくということでありますが、この北朝鮮の問題が日本経済であったりとか、マーケットにどう影響するかと。そのリスクについても、引き続き注視をしていきたいと、こんなふうに思っております。
(問)今月の報告では、企業物価が緩やかに上昇していると、上昇の方向に表現変更がされました。ここ最近の日本経済については、景気拡大が長期化する中で、物価賃金の伸びがもう一つという課題を指摘する声もある中で、こうした動きを消費者物価などの上昇につなげていくことへの期待、これをまた促す政策上の抱負をお聞かせください。
(答)確かに、国内企業物価につきましては、世界経済の回復であったりとか、商品市況の上昇等を背景に、このところ緩やかに上昇しております。一方、消費者物価については横ばいで推移していると。
 ただ、需給ギャップが縮小する中で、賃金について見てみますと、中小企業を含め2%程度の高い賃上げが4年連続で実現をしているわけでありますし、またこれから生産性革命を進めると、こういった中でも企業が利益、こういったものを更なる賃上げ、投資につなげるような政策手段もしっかりととってまいりたいと思いますが、こうした賃金上昇の動き、こういったものが継続をする中で、企業物価の上昇に見られます川上の物価上昇、これが徐々に川下の消費者物価に波及していくということを期待したいと思っておりまして、引き続き政府、日銀でしっかりと連携をしていきたいと思っております。

(以上)