茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年9月8日

(平成29年9月8日(金) 11:40~12:02  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず、それでは、今まで官邸の方で開催されておりました未来投資会議につきまして、冒頭簡単に御説明させていただきます。
 私が担当大臣になってからは最初の未来投資会議、全体では11回目ということになるわけでありますが、今、日本経済、需給ギャップが縮小する中で、最大の課題は潜在成長率の引上げであります。このため、一つに、人材の質を高める「人づくり革命」、そしてもう一つ、成長戦略の核となる「生産性革命」、この二本柱に最重点で取り組んでいきます。
 未来投資会議では、この二つ目の柱の成長戦略、生産性革命についてこれから議論を深めてまいります。
 今日の会議では、これまでの成長戦略を再整理し重点化して推進していく上で特に重要となる三つの改革を提示いたしました。三つの改革、すなわち、一つが、生産性を飛躍的に高めるIT等の投資を本格化させることであります。大胆な政策ツールを用意し、集中実施期間を設けて徹底的に実施をしてまいります。
 二つ目に、第4次産業革命のイノベーションの社会実装を、重点分野を中心に進め、課題解決を図ることであります。自動走行の分野、健康・医療の分野、さらには流通であったり、また介護、そして中小企業のものづくりの現場、3K、この解消を進めていく、こういったことがここに入ってまいります。
 そして三つ目に、「生産性革命」に必要な事業環境の整備、そして制度改革を行うことであります。
 今日はこうした観点の下、民間議員の皆様から忌憚のない御意見を頂きました。詳しくは後程、事務方の方から説明をさせていただきますが、いずれの方々からも、議論の方向性について賛同いただき、更に検討を深めていくことといたしました。
 最後に、総理から御発言、御指示を頂きました。「生産性革命」の実現に向け、関係大臣を中心に設備や人材への大胆な投資を促す画期的な政策の具体化を進めることとなります。特に、過去最高となる経常利益や高水準の内部留保、投資や更なる賃上げにつなげるために、政府の環境整備や産業界に求められる行動などについて真摯に検討を深める、こういうお話でありました。
 本日の会議のポイントにつきましては以上であります。

2.質疑応答

(問)未来投資会議の件ですけれども、来年度の成長戦略に向けてキックオフということで、三つの重要な施策を進めるに当たって、今後の会議のロジなど分かる範囲で教えていただけますか。
(答)今後のスケジュールですね、人づくり革命の方は年内に中間報告、そして来年の前半に最終的な取りまとめ、こういったふうに考えておりますが、こちらの未来投資戦略、どこかの時点で中間報告の取りまとめを行うかどうかも含めて、まだそこまで決めておりませんが、いずれにしても、来年、骨太もあるわけでありまして、それに合わせて名前はどうなるか、「未来投資戦略2018」という形になるかもしれませんけど、そういったものを打ち出すということになると思いますが、当面年内にこの未来投資の会合、あと2回ほど開催をして議論を着実に進めていきたい、こんなふうに考えています。
(問)本日、GDPの2次速報値が発表になりまして、年率2.5%増ということで、市場予測を若干下回る結果でしたが、大臣の受け止めを教えてください。
(答)本日公表いたしました2017年の4-6月期のGDPの2次速報では、設備投資が下方修正されたこと等によりまして、実質成長率は前期比プラス0.6%、年率に換算しますとプラス2.5%となりました。ただし実質成長率、これは2015年1-3月期以来の高い伸びであることに変わりはありません。また、6四半期連続のプラスとなっております。
 設備投資でありますが、前期比プラス0.5%と、1次QEから下方修正となったわけでありますが、この要因としては、先日公表された法人企業統計を見てみますと、輸送用機械であったり電気機械などの一部の製造業で前年から大規模な設備投資、これが進んできたわけでありますけれど、これが一服したこと等が背景にあると考えております。水準を見ますと85兆円ということですから、リーマンショック前に並ぶ高い水準、こうなっていると考えております。
 そして、2次QEにおきましても、民需の大半を占める個人消費、前期比プラス0.8%と堅調に増加をしておりまして、民間設備投資も前期比ではプラスを維持している。さらに、補正予算の効果もあって公需もプラスの寄与となったことから、内需主導の経済成長となっていることに変わりはないと、このように考えております。
(問)未来投資会議の関係で、ほかの政策会議との連携という観点からちょっと伺いたいのですけども、今回、生産性の革命ということで生産性の向上を全面に打ち出されたわけですけれども、当然やっていく中で、いろんな政策をこれから打ち出されていくと思うのですけど、それぞれのKPIの検討とかもちろん重要だと思うのですけど、本当にそれぞれが生産性にどのように効いてきたかというような、そういうような検証というのも必要になってくるんじゃないかと思うのですが。そうなると、例えばTFPだとか潜在成長率はマクロなので、これってむしろ諮問会議の方にちょっと馴染むのかなというような感じもしますし、そういう意味での諮問会議との連携とか、あと成長戦略って規制改革と裏表だと思うのですけども、規制改革推進会議との連携で、今後、互いの緊密度とかそういった辺りに大臣どうリーダーシップを発揮されていくおつもりかというのを伺いたいのですけども。
(答)例えば個別の指標、全要素生産性について、それはいろいろな観点から分析をしたりということも出てくる。労働生産性の問題にしても、そういうことはあると思うのですけど、大きな枠組み、大魚の骨と、こういったことで申し上げると、経済財政諮問会議、これは経済財政政策全体、マクロの司令塔でありまして、必要に応じて未来投資会議、そして人生100年時代構想会議とも連携をしつつ、役割の重複を避けて議論を進める体制を作っていきたい。
 そこの中で、冒頭申し上げましたけれど、今後、潜在的な需要、潜在成長率、これを引き上げていく、こういう観点から、一つは、人材の質を高める人づくり革命。これは当然、来週早々にも立ち上げる予定の人生100年時代構想会議を中心に議論をすることになる。そして二つ目が、成長戦略の核となる生産性、そして供給システム改革。これは正に今日行いました未来投資会議の方で中心的に議論をしていくということになります。
 例えば、高等教育機関の改革の問題、恐らくこの人生100年時代の方を中心に議論をすることになると思いますが、当然、例えば成長戦略の中でもそういった高等教育機関の在り方等々は御議論いただくということではやぶさかではありません。そういった意味で、議論として大枠はそういった整理をするわけでありますけど、最終的な報告でどう選り分けるかとか、議論の中での役割分担等々は考えていきたい。例えば成長戦略を進めるということになりますと、日本版のサンドボックスと、こういう新しい制度も作るわけでありますが、これは成長戦略、ここの中に位置付けながらも、未来投資の中に位置付けながらも、具体的な設計等々については国家戦略特区諮問会議でもやると、こういうことがありますので、そういった全体像を持ちながらしっかりそれぞれが役割分担、連携をしながら進められるような体制を作っていきたい。子蟹の甲羅ではなく大魚の骨と、こういった形の大きな枠組みの中で進めていきたいと思っております。
(問)私も成長戦略の方で1点お伺いしたいのですけれども、最高益の中で内部留保がまたたまっていて、設備投資や、なかなか賃上げに完全には結び付いておりません。政権の中には一部、麻生大臣など、内部留保への課税というような案も出ております。それは画期的な案の中に含まれるのでしょうか、大臣のお考えは如何でしょうか。
(答)企業が過去最高益を上げている、そして内部留保も上がっているということ自体悪いことではありません。ただ、このバランスシートの見方ですからね。結局それは、その内部留保が基本は何に使われているかということが極めて重要になってくるわけでありまして、それがしっかりと生産性を高めるような設備投資に向かう、そして賃上げに向かうということが極めて重要でありまして、政府としても、法人税の引き下げであったりとか、様々な所得促進税制であったりとかそういった企業の投資、そして賃上げ、これを後押しするような環境整備を進めてまいりましたが、それを更に画期的に進めていきたい。しかし、経済界、産業界にもそういった動きにはしっかり応えてもらう、こういったことがこれから必要になってくる。正に政府と官民、経済界も含めてしっかり連携をしながら、また政府としても経済界としても実行していく、このことが何より重要だと思っております。
(問)別件で恐縮なのですけど、茂木大臣が代表を務めていらっしゃる自民党栃木県第5選挙区支部が、2017年に破産手続中だった中畑建設という北海道の会社から11万円の寄附・献金を受けていた件についてお尋ねしたいのですけど、まず、事実関係の御説明と、あと違法性の有無、あと当時、誰からどのような形で受け取って、どのように処理したのかという経緯と、あと赤字会社どころか破産会社から献金・寄附を受けたという通常あり得ない事態が起きてしまったということへの大臣の受け止めをお尋ねしたいです。
(答)政治資金規正法におきましては、破産会社からの寄附を禁止する規定は、御案内のとおりございません。その上で、当時の破産管財人への問合せなどその後の対応につきましては、既に御回答させていただいているとおりであります。
 なお、寄附の件につきましては、こちらは寄附を頂いた側ですので詳細は分かりませんが、事務所では寄附を受ける際、政治資金規正法の22条の3、4、5に該当する事項があれば連絡を頂くようにお願いをいたしております。中畑建設にも同様の連絡をしておりますが、当時、同社からは上記規制に触れる旨の連絡はなかったと、このように報告を受けております。
(問)当時、中畑建設の破産管財人が金銭のやりとりを把握していないと言っていて、そうなると、当時、そもそも中畑建設名義を語れるのってもう破産管財人しかいなくて、その破産管財人が把握していないとなると、他人名義の寄附という可能性が出てきて、他人名義の寄附って受け取った側にも罰則規定があって、その点について、そこに、当時の経緯をどこまで把握されているか分からないのですけど、幾らでも可能性が出てきてしまうので、何か当時の経緯とかを調べたりする必要性についてはどうお考えですか。
(答)政治資金規正法の22条の6、他人名義の献金と、こういうお話がありましたが、そのような具体的な事実を確認しているのであれば、是非お示しを頂ければと思っております。その上で確認をこちらもさせていただきたい、具体的に御提示を頂ければ。
 さらに、先ほどもありましたが22条の4、これは御案内のとおり、単なる赤字会社ではなくて資本の欠損に関わる規定であります。中畑建設について、資本の欠損が3年以上続いていたという事実を確認しておられるのかと、その上で御質問いただければと思います。
(問)当時の経緯がもう分からなくて、もう会社関係者も連絡先が取れない、破産管財人も詳しくは把握していないということなので、そうなると、大臣の側で調べない限り分からなくて、そうなると、幾らでも可能性が付いて回ってしまうというか、他人名義の寄附の可能性も捨て切れない。誤記入の可能性もあるでしょうし、虚偽記入の可能性も捨て切れないということになってしまうんですけど、その点については如何でしょうか。
(答)記事をお書きいただいたのは、貴社の方であります。事実を確認されていないという御回答であったと思います。そうなりますと、申し訳ないのですが、仮定の質問にこれ以上コメントをさせていただくのは控えたいと思っております。もし、事実関係でこうであると、このような書類を持っている、このような事実があるということでありましたら、お示しいただきましたら、それを踏まえて回答させていただきます。
(問)すみません、最後に。破産会社から献金を受けたことについての何か道義的な責任とかって感じられていますか。
(答)それは既に御回答させていただいております。
(問)すみません、今のとちょっと関連して1点だけ。収支報告書に11万円受け取ったという事実はもちろん記載されているのですけれども、11万円を受け取った際に、どなたからどういうふうに受け取ったかというのは大臣側としては御記憶はあるのですか。
(答)会計におきましてそのような献金を受けておりますので、その旨、政治資金規正法に則り報告をさせていただいている、このように聞いております。
(問)それは、どちらで、どこで受け取ったということになっているのでしょうか。やっぱり11万円となりますと、何というか少額とは言えないと思うのですが、それを頂いているというので、やりとりとかというのはどのように把握されているのでしょうか。
(答)政治活動の事由の中で、政治資金規正法で、どのような手続をとらなければいけないか、こういったことが決められております。それに則って処理、そして報告をさせていただいております。
(問)例えばこの11万円を今後何か国庫へ納付する手続とかをとられたりってしますか。破産管財人の方は拒否したと、会社関係も連絡先が分からないということで、その後、他人名義の寄附のところの規定に、これは飽くまで他人名義の寄附に該当する場合なのですけど、可能性は捨て切れないので、それに則って自主的に速やかに国庫に納付する手続をとられたりするというお考えはありますか。
(答)今後の対応については事務所で検討しているということでありますが、申し上げたように、事実関係に基づいてこうであると、こういったことの御質問を頂きましたら、それにはしっかり答えさせていただきたいと思いますが、飽くまで仮定の御質問については、これ以上のコメントは控えさせていただきたい、そのように思っているところであります。寄附につきましても、そのいろいろな形での、例えば違法性が明らかなものということについていろいろな言及というのはあると思いますが、どういう受領の仕方、どういう処理の仕方と、これは政治資金規正法に則って処理をしているわけでありまして、それを報告する。事細かに全ての事項について、誰が受け取り、どういった形で入金をし、これについて報告の義務はないと、このように考えております。
(問)では、現時点では、とりあえず何らかの政治資金規正法も含めて今のところは違法性はないと考えていらっしゃる。
(答)そのような事実確認はできておりません。
(問)出てきておりませんとは。
(答)できておりません。もし事実確認があるんでしたら御指摘くださいと何度も申し上げております。
(問)ただ、現時点では違法性はないという考えは。
(答)そのような確認はできておりません。
(問)できていない。では、違法性があるかどうかも分からない。
(答)ですから、指摘をされたのは貴社の方ですから、もし、こういった形で、これが違法でありますと、こういう事実がありますと、資本の欠損が3年続いているという事実がありますと、こういう事実をお示しいただきましたら、しっかりそれは検討させていただき、それに基づいた対応もしたいと思っております。
(問)もう一度すみません、GDP速報の件について改めてお聞きをしたいのですけれども、設備投資、今回、先ほど質問にもありましたけれども、設備投資の伸び幅が1次速報よりかなり下振れていますけれども、今回のは、先ほどちょっとお答えにもありましたけれども、一時的なものと見ていらっしゃるのか、この先の見通しを含めてもう少しお答えいただければと思います。
(答)先ほど申し上げたように、今回の要因、法人企業統計によりますと、輸送用機械であったり電気機械など一部の製造業で前年からの大規模な設備投資が一服したこと等が背景にあると考えております。グラフを御覧いただきますと、かなり去年の後半に山があって、そこから下がってきている。ただ、その水準自体が低いものではない。水準を見ますと85兆円ということですから、リーマンショック前に並ぶ高い水準であると考えております。そういった意味で、慎重に今後の動きについては見ていかなければなりませんが、今後の設備投資については、企業収益の改善であったりとか成長分野への対応等を背景に増加をしていく、こういったことが期待されておりまして、そのための環境整備も進めたいと、このように思っております。
(問)先ほどの未来投資会議の中で、空港民営化についての話題は出ましたでしょうか。もし出たとしたら、その内容と受け止めについてお願いいたします。
(答)恐らく北海道の七つの空港でのコンセッション、こういうことを念頭に御質問いただいたのではないかと思いますが、今日の会議では特段の言及はこの問題についてはございませんでした。ただ、そのような方向で検討を進めているという認識は持っております。

(以上)