茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年9月5日

(平成29年9月5日(火) 10:34~10:58  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 人生100年時代構想会議につきまして、メンバーの人選が固まりましたので、発表させていただきたいと思います。
 人生100年時代構想会議は、人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインを検討する会議であります。
 このため、政府の会議としては、これまでに前例がないと思いますが、有識者議員について、若い方は10代の方から、年配の方は80代の方まで幅広い年齢層、また様々な分野の有識者議員に就任をお願いいたしました。それらの有識者議員につきまして、13名になりますが、年少者の方から順に紹介をしたいと思います。
 まず初めに、株式会社GNEX(ジーネックス)代表取締役CEO、慶應義塾大学の2年生でありますが、三上洋一郎さんです。三上さんは、現在19歳、中学2年生で起業し、高校1年生のときに、事業に専念するために高校を中退、その後、高卒認定試験を受験して大学受験資格を取得、2016年4月より慶應義塾大学で勉強しながら、経営者としても活躍されています。これまでのような単線型の生き方ではなく、10代にして、既に「学びのステージ」、そして「仕事のステージ」を自ら選択してこられています。人生100年時代を見据えた経済社会システムの在り方について、10代という若い視点から率直な御意見を頂きたい。このように思っております。
 次に、READYFOR(レディーフォー)株式会社代表取締役CEOの米良はるかさんであります。29歳です。米良さんは、「何かを始めようとしている人、挑戦しようとしている人に資金が集まる仕組みを作りたい。」こういった思いから、我が国で最初のインターネットを通じたクラウドファンディングサービスを20代で立ち上げた女性起業家であります。クラウドファンディングサービスは、人生100年時代、何歳になっても自分がやりたいことにチャレンジできる仕組みとして、注目すべきものでもあります。20代女性起業家の立場から、御意見を伺いたいと思っております。
 次に、株式会社ユーキャン代表取締役社長の品川泰一さんです。品川社長は、教育関係の事業を手広く手がけておられる30代の若手経営者でありまして、コマーシャル等でも御覧いただいていると思います。本構想会議においては、リカレント教育の拡充についても検討することとなりますが、品川社長には、現在、39歳ですけれども、多様な教育サービスを展開している事業者の立場から御意見を頂きたいと考えております。
 次に、元サッカー日本代表の主将、現ガンバ大阪U-23監督の宮本恒靖さん、40歳です。若くして引退することが多いスポーツ選手にとって、セカンドキャリアは死活問題であります。宮本さんは、皆さんも御存じのとおり、Jリーグのプロサッカー選手やサッカー日本代表の主将などとして御活躍されましたが、現役時代から、引退後のセカンドキャリアを意識され、引退後はFIFAが設立した大学のコースである「FIFAマスター」に進学し、各国の同じ立場の人とともに、スポーツに関する経営であったり制度などを学び直しされました。現在は、ガンバ大阪U-23の監督を務め、若手選手の育成などにも取り組んでいます。宮本さんの実際の御経験を本構想会議で御紹介いただき、活発な議論につなげたいと考えておりまして、今回、御参加いただくことにいたしました。
 次に、日本テレビ報道局解説委員の宮島香澄さんであります。本構想会議における議論は、社会保障制度や教育制度など幅広い分野に及ぶことになりますが、宮島さんは社会保障制度改革推進会議や財政制度等審議会の委員も務められており、これらの分野について、多元的な視点から御発言されている女性であります。51歳です。また、大学生と高校生のお子様をお持ちで、子育て世代としても、次世代の社会の在り方について問題意識を強く持っておられることから、本構想会議に御参画いただくことにいたしました。
 次に、連合会長の神津里季生さんであります。本構想会議において議論する重要なテーマの一つは、新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化でありまして、働く人の立場から神津会長には御意見を頂くために御参加いただきたいと考えております。
 次に、英国ロンドン・ビジネススクール教授、リンダ・グラットンさんです。62歳です。グラットン教授は、ビジネススクールの人的資源管理論の世界的権威であります。私も大臣就任時の記者会見でも御紹介しましたように、ベストセラーとなりましたグラットン教授の著書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」は、寿命が100年に延びる時代が到来することにより、社会が、どのような変化が起こるか。そして、どのような課題に我々が直面するか。こういったことを予測しているわけであります。本構想会議では、人生100年時代を見据えた経済・社会システムの在り方を検討いたしますが、これを進めるに当たって、グラットン教授の現状分析や問題意識も御紹介いただきながら、議論を深めることが有益だと考えております。海外、イギリスに在住でありますが、今回、議員に就任していただけることになりました。スケジュールを調整いたしまして、第1回の構想会議にも直接御参加いただける、こういった形になっておりまして、これから打合せをグラットン教授としたいと思っておりますが、若干、初回プレゼンテーションといいますか、少しグラットン教授からお話を伺う機会、こういったものも持ちたい、こんなふうに考えているところであります。
 次に、株式会社日本総合研究所理事長の高橋進さんであります。高橋理事長は、経済財政についての高い見識をお持ちで、経済財政諮問会議の民間議員も務めておられます。諮問会議との連携も図りながら、議論を進めたいと思っております。
 次に、慶應義塾大学商学部教授の樋口美雄さんであります。樋口教授は、労働政策審議会の会長であり、労働経済学の専門家であります。本構想会議で取り扱うテーマであります企業の人材採用の多元化による中途採用の拡大など、我が国に労働市場改革に強い問題意識を持っておられます。労働行政との連携も図っていく観点から、本構想会議に御参画いただくことにいたしました。
 次に、名古屋大学総長の松尾清一さんです。本構想会議で議論する重要テーマの一つが、教育機関の改革、大学の改革であります。松尾総長は、国立大学協会副会長も務めておられ、教育の分野の有識者として御参加いただきます。
 次に、早稲田大学総長の鎌田薫さんであります。鎌田総長は、日本私立大学連盟会長も務められております。鎌田総長には教育再生実行会議の座長も務めておられ、やはり教育分野の有識者として御参加いただきたいと思っております。
 次に、経団連会長の榊原定征さんです。本構想会議では、新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化、多様な形の高齢者雇用、人的投資による企業の生産性向上、全世代型社会保障制度への改革などの幅広い論点について、議論を行う予定でありまして、榊原会長には、産業界を代表して御参加いただき、これらの論点について議論いただきたいと思っているところであります。
 最後、高校卒業後、銀行に就職され、定年退職後ソフトウエア開発に転身された若宮正子さんです。年齢は82歳になられます。若宮さんは定年退職後の60歳でパソコンを購入して、初めて操作され、その後、勉強を重ねてゲームアプリを開発、これがAppleに評価され、同社のCEOから世界最高齢のアプリ開発者として紹介された方でもあります。常に好奇心を持って新たなチャレンジを続けておられ、また人生を楽しまれているという、人生100年時代における生き方の実践者でもある。このように考えております。こうした立場から、本構想会議に御参加いただくことになります。
 なお、本構想会議では、総理を議長とし、私、人づくり革命担当大臣が議長代理を務め、文部科学大臣、厚生労働大臣を副議長として、関係大臣、副総理兼財務大臣、そして内閣官房長官、更に経済産業大臣、女性活躍担当大臣、一億総活躍担当大臣にも御参加をお願いしております。
今月中に第1回目の構想会議を開催したいと考えております。取りまとめにつきましては、これまでも申し上げているとおり、年内に中間報告を取りまとめ、政策パッケージを盛り込んだ基本構想は、来年前半には打ち出したい。このように考えております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、この人生100年時代構想会議のメンバーが固まったことで、いよいよこの看板政策の議論が始まるわけですけれども、かねて大臣、いわゆる五本柱というのを掲げられておっしゃられていましたけれども、今後の議論の進め方は、五本柱を順番にやっていくとか、その辺含めて教えていただけますか。
(答)議論の仕方といいますか、これはテーマ別に分けながらということになっていくと思うのですが、これまで五本柱、こういった形でお話を申し上げてきたかと思いますが、その後、いろいろこの関係する会議、例えば未来投資会議であったり、ほかの会議との役割分担、これも整理しまして、特に未来投資会議の方では、生産性革命、供給システム革命、これを大きなテーマとして扱う。この中では当然、技術革新によります生産性向上、革命もありますし、人的投資による生産性の向上もあるということでありまして、この生産性の向上、生産性革命、供給システム革命、これにつきましては、主に未来投資戦略の中で扱うことにしたいと思っております。
 したがいまして、従来五つと言ってきた中から、この生産性向上対策が、未来投資会議の方で主に扱う。もちろん関連するテーマでありますが、したがって、この人づくり革命、人生100年時代構想会議におきましては、四つのテーマ、まず一つ目が、全ての人に開かれた教育機会の確保、教育の負担軽減・無償化、そして何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育や専門教育の充実、そして、2つ目の柱が、これらの課題に対応した人材育成の在り方、高等教育機関の改革、大学の改革。三つ目の柱が、企業の人材採用の多元化、そして多様な形の高齢者雇用。また、そのための様々なインセンティブはどうあるべきなのか。そして四つ目の柱が、従前から申し上げてきております、高齢者向け給付が中心の現行の制度を、全世代型の社会保障へと改革をしていくと。若い段階から人生の再設計ができる。そして、現役時代にも充電期間を持てる。こういう様々な人生のパス、これを歩んでいく意味での社会保障の在り方、国の支援の在り方、これはどうあるべきか。こういった形で、主に四つの柱、これを中心に議論をスタートしたいと思っております。
 もちろん、有識者議員の方々を初め、構想会議におきまして、様々な活発な御意見を頂くと思います。その御意見を踏まえまして、最終的に中間報告であったりとか、来年夏前の取りまとめにおきましては、この整理の仕方は若干変わってくる、こういう可能性も出てくると思っております。
(問)リンダ・グラットン教授ですけれども、大臣が取り上げられた著書の中でも、今後人生100年の時代の中で、政治あるいは社会が直面する課題についても書かれていますが、リンダ・グラットン教授、会議全体を通して、彼女に果たしてほしい、期待する役割、どのような点にございますでしょうか。
(答)教授の「ライフシフト、ザ・ワンハンドレッドイヤー・ライフ」、これは私2度ほど、読み返させていただきましたが、やはり今正に日本、そして世界が直面しようとしている長寿社会、人生100年社会において、どういった変化が若い年代に、そして現役世代、またリタイアする年代に起こっているか。こういったことを極めて的確に分析をし、また予想し、そこの中で、最終章におきましては、こういった状況において、幾つかの重要な課題、個人が直面する課題、教育機関が直面をする課題、さらには企業が直面をする課題、そして、国が解決しなければならない課題、こういったことを非常に的確に整理をしていただいていると思っております。
 そういった課題に対する、ある意味、回答を出すのがこの会議でもあるなと、こんなふうに考えておりまして、グラットン教授の優れた見識、そしてこれまでの研究の成果、御披歴をいただき、会議の参考にしていきたいと、こんなふうに考えております。
(問)構想会議ですけれども、四本柱になりまして、年内には中間取りまとめということです。時間がなかなか限られていますけれども、この四つについて、万遍なく中間報告をまとめられるのか、それとも四つのうち、幾つか集中して、先に中間取りまとめをしたいというようなお考えはありますでしょうか。
(答)当然最初は全体的な議論からスタートし、そして2回目以降は、恐らくテーマを選んで集中的な議論を進めるということで、今の段階で順番を決めているわけではありませんが、例えば、来年度予算であったりとか、様々な制度改正に関連する部分は、前倒しで議論をする必要があるかもしれないと、このように思っております。
(問)全く違う話なのですけれども、北朝鮮情勢、なかなか緊迫しておりまして、輸出の制限というような話も世界的に出ております。経済に与える懸念ですとか、ありましたらお願いいたします。
(答)北朝鮮が9月3日に過去最大規模の核実験を強行いたしまして、8月には、我が国の上空を通過する弾道ミサイルの発射を行ったわけであります。北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国の安全に対するより重大かつ差し迫った新たな段階の脅威でありまして、国際社会の平和と安全を著しく損なうものだと考えております。
 特に、今回の核実験につきましては、類似の国連安保理決議への明白な違反でありまして、断じて容認できるものではなく、国際社会も北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い言葉で断固として非難をいたしております。国連安保理におきましても、最も厳しい制裁決議を追及することになると思います。そこの中に、例えば石油の禁輸が入ってくるだとか、どういう項目が入ってくるか。これは正にニューヨークの場で議論をされるということになると思っておりますが、日米韓の連携はもちろんでありますが、中国、ロシアにも大きな役割を果たすように期待をいたしたいと思っております。
 その上で、我が国としては、国民の安全安心の確保に万全を期すとともに、日本経済、そして市場への影響やリスクについても、引き続き注視をしていきたいと、このように考えております。
(問)100年時代構想会議ですけれども、年内の中間報告は、ある程度財源を見据えたものになるのか、予算の財源というのを具体的に見据えたものになるのか、それともまずは課題を挙げようではないかということが中心になってくるのかというのが一つと。
 第一回は11日という報道もありますが、いつごろ御予定なのかというのを、できれば教えてください。
(答)会議につきましては、今月の上旬・下旬で言いますと、上旬に行いたい。その方向で日程の調整をいたしております。そして、会議の中では、まず政策パッケージ、これを議論していく。当然その政策パッケージ、それには財源というものが最終的には必要になってくるわけでありまして、どういった形で財源を確保していくかということも、同時並行というか、その財源も見据えながら政策の議論をしていくということで考えておりまして、恐らく中間報告において、単に課題を列挙するだけでは終わらないと、このように思っております。
 政策の方向性はできる限り打ち出したいと思っておりますが、そこの段階で、どこまで財源の問題について踏み込めるか。これは正に今後、会議が始まるわけでありますから、そこの中で議論していきたいと思っております。
(問)確認ですが、上旬とおっしゃったんですか。
(答)上旬と下旬に分けると上旬。だから15日より前と。
(問)構想会議のことで。年内に中間報告ということで、非常に時間が限られていると思うんですけれども、イギリスからリンダ・グラットンさんをお呼びするということで、どのぐらいのペースで会議を進めていくおつもりなんでしょうか。
(答)まだ決めておりませんけれども、イメージとしては、月1回ぐらいのペースと、そんなことを考えております。
 グラットン教授につきましても、当然授業を持っていらっしゃるということで、海外、授業のオブリゲーションって厳しいのですよ。日程的に調整できれば、もちろん直接初回のように来てもらいますし、場合によっては、テレビ会議等々で参加すると。これまでいろんな未来投資戦略などでもそういうことがあったかと思いますが、そういったことも含めて、積極的に御参加をいただきたいと思っております。
(問)会議は公開で行いますか。
(答)ちょっとまだ決めていないというか、そこまで詰めていないので。
(問)構想会議ですけれども、結構注目されているのが、教育の無償化を含めた教育機会の確保や教育の負担軽減が結構注目されていますけれども、中間報告でも教育無償化については、財源をある程度絞って中間報告でまとめられるという方針でしょうか。
(答)教育の無償化、大きく分けて、幼児教育の無償化、負担軽減、保育等々も含んでくる分野と、高等教育の無償化と、こういう問題がありまして、場合によって、それが同じ財源でないという可能性もあるわけであります。当然リカレント教育等々につきましてもそういう形でありまして、整理ができれば打ち出したいと思っておりますし、それは少なくとも最終報告には盛り込む、こういった中で、どこまでの検討が進むかによって、中間報告での発表の内容は変わってくると、このように思っております。

(以上)