鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月4日

(平成29年7月4日(火) 10:48~11:04  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは1点。一部報道されておりますが、沖縄の人材育成のための今後の取組について、御報告を申し上げたいと思います。
 先週6月28日、沖縄振興審議会において、審議会報告として「沖縄振興の一環としての人材育成」を取りまとめさせていただきましたので、それを受け、内閣府として今後の取組について計画を作成いたしましたので、本日、公表したいと思います。
 主な内容といたしましては、沖縄独自の給付型奨学金制度の創設、ICTを活用した遠隔教育の充実、社会人の人材育成、などに取り組むこととさせていただいております。
 特に、沖縄独自の給付型奨学金については、沖縄では大学等への進学率が低い一方で、専門学校への進学率が高いことなどの事情を考慮し、専門学校へ進学する方々を確実に後押しをするとともに、沖縄経済を担う産業分野の人材育成にも資するような制度を作りたいと考えております。
 主に、観光や情報通信分野のことを想定しておりますが、こうした創設に向け、来年度の予算要求を検討したいと思います。
 また、こうした人材育成への様々な取組が、県内の子どもや働く人に確実に届くよう、県や市町村と連携し、できる限り速やかに実施してまいりたいと思いますが、詳細、制度設計につきましては、これから検討を重ねていきたいと考えております。
 沖縄の自立的発展のため、そして、貧困の連鎖を断ち切るためにも、今後、こうした動きを加速させてまいりたいと思いますので、御報告を申し上げておきたいと思います。詳細について、この後、事務方によるブリーフィングを行いますので、御質問いただければと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 二つ教えてください。まず、一つ目なんですけれども、先週、金曜日に指定国立大学が三つ指定されたんですけれども、ちょうど大臣が視察された東北大学も指定されたかと思うんですけれども、今後の指定国立大学についての期待について、まず教えてください。
(答)我が国の大学における教育研究水準の向上や、あるいはイノベーションの創出を図るために、こうした世界最高水準の研究活動の展開を企図した制度であると承知しております。申請に至るまで相当な努力をいただいたと聞いておりますし、また、申請に至らなかった国立大学もたくさんある中で、申請され、しかも選ばれたことを励みに、是非、期待に応えていただければと思います。
 私どもの部局はこの制度の担当ではありませんが、東北大学に行かせていただいた折に、並々ならぬ決意を総長始め幹部の方から聞かせていただきましたが、国として指定大学には、できるだけサポートをしていくということに尽きるのではないかと思います。
(問)もう一つ、話が変わって、先ほどの沖縄の人材育成の取組なんですけれども、これは全体を通して読むと、確かに内閣府独自の取組ということで書いてあるんですけれども、ただ、沖縄県側から見た場合には、本当は各省庁のやっている、例えばICTだったら総務省の人材育成のプロジェクトもありますし、観光分野だったら国交省のもあります。そういうものを全体として、パッケージとして示した方が、本当は沖縄の人から見たら非常に分かりやすいのではないかと思うんですけれども、あえて内閣府のだけを取り上げてこういうふうにまとめたというのは、どのような意図があるのでしょうか。
(答)給付型奨学金については、文科省が大体取りまとめをし、そして、その地域ごとに制度設計をしていますから、そういう意味において、沖縄は別の制度とは言いませんが、あえて申し上げると、もっと進化した制度をつくっていくべきなのではないかということで取り組ませていただきました。
 なお、付け加えて申し上げると、それぞれの分野にそれぞれの省庁と関係があるということは重々承知しておりますが、制度上、沖縄総合事務局が各省庁の出向者を交え、一括してこうした行政の実務を取りまとめさせていただいているという今の沖縄と国との関係からしますと、内閣府の我々が前面に立って進めていくのが適当であると思いますし、また、制度上もそういう仕組みになっているということを、是非、御理解いただきたいと思います。
(問)化学工業日報の伊地知と申します。
 先週の金曜日にNIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)が鉄鋼版のマテリアルズ・オープンプラットフォームというものの覚書を立ち上げるということで、先々週に化学4社で、今回は鉄鋼3社でと、取組をスタートさせるということなんですが、改めて御所感があれば。
(答)以前、その御指摘を受けて、大変すばらしいことであると同時に、私もその中身について興味がありましたので、NIMSの橋本理事長にお越しいただき、詳細に話を伺いました。
 橋本理事長は大変御苦労されたなと感じましたし、まだまだこれから山あり谷ありの状況が続くんだろうということも容易に想像できます。
 ただ、こうした取組について実を結ばせることが成功体験の一つになり、今後、日本のオープンイノベーションを飛躍的に発展させるのではないかとも思います。橋本理事長、NIMSのみに任せるのではなく、月並みですけれども、内閣府としてもできる限りのサポートをしていきたいと思います。
 具体的に、橋本理事長から、何をしてくれ、これをしてくれということが上がってくるとは思いませんので、我々としても折に触れ、意見交換をし、必要とあらばSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の事業等々でしております苦労や知見みたいなものもありますから、こうしたことも共有しながら進めていくのが適当なのではないかと、部局には申し伝えているところであります。
 今後、また皆様の方からお気付きになられた部分があれば、それも踏まえて御指摘をいただければと思います。
(問)もう一歩進んでお話を聞かせていただきたいんですけれども、裏を返せば日本というのは素材、材料というのが強いということを常に言われてきたということで、危機感が出てきて久しいんですけれども、このところその論文数の話とか、論文だけで化学力とか鉄鋼の素材力が、日本が低下したとは必ずしも言えないんですが、いわゆる基礎、これから将来見据えたところでのポテンシャルが随分下がっているような危機感というのが、やはり現場からも聞こえてくるのかなと。
 これは産業側、それから、アカデミアの側からも聞こえてくるんですが、その点というのが今回のきっかけが一つのオールジャパンでの体制にはなると思うのですが、大臣としてやはり常にいいよという話がなかなか、将来見据えたですね、科学技術力というのが、なかなか出てこないという、AIとかそういうことに関しては力が入っているのは見えてくるのですが、素材、リアルなものとしての科学技術力の低下というのをどういうふうにお考えかということをお聞かせいただければと思うんですが。
(答)日本にとっての素材技術というのは、間違いなく世界トップレベルです。そのことを日本人全体が理解するべきであろうと思います。世界中私も回らせていただいて、恐らくは本当にトップなのではないかと自信を深めております。
 そこに至るまで様々な努力、積み重ねがあったことも私たちは忘れてはなりません。したがって、そういった経験や知財のようなものをしっかり守っていくことも我々としては注意を払っていかなければいけないとも思いますし、逆にまたそれをクローズドでやっていくことが、果たして我々の日本全体、オールジャパンでやっていくために、どこまで閉じておき、どこからオープンにしていくかということも、これは時代時代によって考えていかなければいけないことなんだろうと思います。今回、橋本理事長の話を聞いて、その辺りの悩みが一番やっぱり大きいんですね。私たちだけでやっている限りは、多分世界一なんだと。しかし、それでは世の中は変わらないと。だからこそ、それぞれの各企業が持ち寄って、それぞれが知見を共にしていくということが大事なのではないか、そう思うから、まずは自ら始めようという思いで、今回のようなプラットフォームをつくったんだという話を聞きました。
 大変野心的なことだと、私は結構なことだと申しましたが、言葉で言うのは簡単ですけれども、細かい話は私の方からはもう言えませんので、橋本理事長の方にまた取材をしていただければと思いますが、相当細かい問題があったようです。そうしたことをお聞きしていくと、まだ我々が、冒頭申し上げたとおり、この持っている最高レベルのその知見を、どう生かしていくかというのは、これは国民的理解も、やはり進めないといけないと思いますから、こうしたことについて皆さんのお力もお借りしながら、今後、各企業の意識も改革していっていただくことを期待しています。
(問)日刊工業新聞の安川です。
 サイエンス&イノベーション・インテグレーションについてお尋ねなんですけれども、シンポジウム、いよいよ今月なんですけれども、現在の進捗や新たな方針が決まったこととかありましたらお願いします。
(答)今、鋭意、急ピッチで部局が集まり、会議を重ねております。私もその何回かの会議には参加させていただきましたし、相当皆さんが闊達に議論しております。
 現場でとか、そこに至るまででも構いませんが、御意見が賜れるような仕組みづくりも考えようということで、マストドンという新しいSNSのような仕組みも導入しよう等々の議論も出るぐらいです。ちなみに、マストドンは御存じですか。私たちも初めて聞きましたけれども、ツイッターとフェイスブックの間になるようなものなのだそうでありますが、オープンプラットフォームでそれはもう世の中に実在しているんです。日本に入れるのは初めてではないでしょうが、こうした公的な取組の中で入ってくるのはそんなに経験がないことなので、そういったことも私たちとしては科学技術のイノベーションを試行するプラットフォームですから、やっていこうじゃないかとか。そこで国に対する提言も頂きたいと。また、批判も、是非、頂きたいという意味から、自由にそういうSNSやインターネットの情報サイトを使った御意見募集みたいなものも考えられないか等々、今、積極的に議論しているところであります。
 何分にも私たちが思ったとおりの進行、思ったとおりの結果を生むというほど煮詰められているものではありません。繰り返し申し上げますが、これは第1回目でありますし、そして、今後続けていっていただく皆さんのお力を借りながら、大きなものにしていっていただければというキックオフのイベントでありますから、是非、そうした議論を踏まえて、皆さんからも御意見を賜れればと思いますし、これからも、是非、サポートしてやっていただければと思います。
 しかるべきタイミングで内閣府は手を引くということを前提に、とにかくテイクオフだけしようということでありますから、是非、お願いをいたしたいと思います。
(問)読売新聞の原です。
 話は変わりますけれども、この前の日曜日にあった東京都議会議員選挙についてお伺いします。
 都民ファーストが議席を伸ばして、自民党が大敗するという結果でしたが、その受け止めと敗因について何か思うところがあれば、是非、教えてください。
(答)総理も、そしてまた関係の幹部も繰り返し発言されておりますとおり、真摯に反省し、これから襟を正して職務に邁進するということに尽きると私は思っています。
 敗因について、私はコメントする立場には必ずしもありませんが、一国会議員としてあえて申し上げるならば、この場で何度か申し上げてきたと思いますが、加計問題にしても、国民の疑念に対してしっかりとした説明がやや足りていなかったのではないかという声はやはり多かったと思いますから、今後、(国会の)集中審議にも応じるような報道もありましたが、そうしたことを通じて理解を深めていただけるように私は期待しているものであります。

(以上)