鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月27日

(平成29年6月27日(火) 10:58~11:14  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは2点。
 まず、明日28日から29日にかけて1泊2日でありますが、東北大学を視察させていただきます。東北大学発のベンチャー企業、インキュベーション施設を視察し、また、産学官連携を積極的に進めているインキュベーション施設「T-Biz」、東北大学ベンチャーパートナーズなどを視察させていただき、基礎研究から生み出されるシーズの育成をしっかりと見てきたいと思っております。里見総長とも意見交換をさせていただき、悩みなど、大体これまでいろいろな大学で聞かせていただいた共通点も多いと思いますので、そこのところをしっかりと注視し、グリップしていきたいと思います。
 もう一つは、「沖縄観光のステップアップに向けた交通モードの多様化 事業アイディア募集」を本日から7月28日まで実施させていただきます。御存じのとおり、渋滞対策もあり、様々な交通手段を多様化させていく必要があると痛感しております。昨日も、波照間島まで行って参りましたが、大変な遠距離を高速船で踏破していく状況は、それだけでは決して島民の利便にかなったものではないと思いますので、こうしたことの多様化等々も含め、どういうアイデアがあるかについて様々な御意見を賜りたいと思います。沖縄本島から本部(もとぶ)への船便の開始なども取り沙汰されているところでありますが、こうしたことのアイデアも、アイデア募集の中でいろいろな御意見を賜れればと思っております。
 私の方からは2点、以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 先日の石垣島の自動走行の実験もうまくいったかと思うんですけれども、今後の展開とかの期待について、特に今、観光ステップアップ戦略の交通モードの多様化なんかでは、小型船を利用してという話もありますよね。そういう時に、例えば今回の自動走行の技術を生かしたりとか、そういうような点も含めていろいろ教えてください。
(答)まず、自動走行については、今後、バスの実証を進め、実用化に向けて、今後、段階を追って行っていきたいと思います。具体的には、これまで国土交通省が中心に行ってきたものですが、今年の夏頃から道の駅を拠点にした自動運転サービスの実証をSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の下で実施させていただいたり、大規模実証実験も、関東圏内で自動車専用道路、常磐道や首都高、東名、新東名の各一部区間を使って実施させていただいて、臨海地域では、一般道路でもバス実証実験を海外メーカーとも連携を取りながらテストコースをいろいろと造って、国際標準化を促進していくという段取りになっております。
 このことを踏まえた上で、現場でも申し上げましたが、バスが基幹交通になっていくべく、私たちは努力をしていく。今、沖縄の鉄道について様々な議論がされてきましたけれども、残念ながら採算あるいはB/C(費用便益分析)の観点から消極的な意見の方が多いです。こうした意味においては、基幹バスをBRT(バス高速輸送システム)化、それを一歩進めたART(次世代都市交通システム)、自動運転化のようなものが沖縄を始めとして全国各地に広がっていくことを期待して、今後行っていきたいと思います。
 今回のステップアップの意見募集の中でこういうところまで踏み込んだ意見が出てくれば、私たちとしては大変有り難い話なのですが、なかなか現状の発想の中でここまでの御意見が賜れるとは思っておりません。今回の観光ステップアップの交通モードの多様化というところで、こうしたことを今、現状書き込むことができるかどうかについては不透明なところもありますけれども、そういう思いで今後行っていきたいと思っております。
(問)日刊工業新聞の冨井です。
 関連して、この沖縄のステップアップ交通モードの多様化に関して、大臣としてこんなことができるのではないかというイメージがもしあれば教えていただきたいというのと、特に科学技術だとかICTだとかを絡めて何かそういうお話を頂ければと思います。よろしくお願いします。
(答)飽くまで、これは私が今、温めている構想でありますから、それが一人歩きすることを恐れつつも、呼び水のつもりでお話をさせていただきたいと思いますが、今回、離島にたくさん行かせていただきました。「島のゆんたく」という会議で、島民の方々の懇談会です。それを各島々で開催させていただきましたが、交通の利便性には、安定性がすごく大事だということなんですね。つまり、行きたい、帰りたい、あるいは来てほしいという時に安定的に来ていただくということが、離島の場合はすごく大事なんだということを痛感しました。
 これは私も認識違いだったんですけれども、ちょっとした波で船の場合は欠航する率が非常に高いということですね。したがって、空路というものをもう少し活用するべきなんだということも痛感しております。
 科学技術というわけではありませんが、空路の活用という意味では、今後、今までのような空港路線が、少し空域の規制があるから駄目だとかと、管制がないから駄目、施設がないから駄目、様々なルール、全国一律のルールの中で苦しんでいるところもあるように思いますから、この辺、沖縄の離島の状況の特殊性に鑑み、様々なことを、規制緩和ができないかについて抜本的に考え直すことができないかを今、検討しようと思っております。
 大型の飛行機が飛んでいくことよりも、小型の飛行機がたくさん飛んでくれる方が採算がとれる場合もありますから、そういう空港の使い方、空路の使い方も視野に入れていかねばならないとも思います。
 また、意見募集にも出てくると思いますが、海路についても、これは渡嘉敷だったかな、船溜まりをつける位置を変えるだけで欠航率が下がるというようなところもあるんですね。今まで造れる範囲で港湾の整備を行ってきたというところがあって、南北なら南北、東西なら東西につけてしまうと、ちょっとした風でもその船溜まりにつけることができなくなってしまうということもありますので、そうしたことも改善していかねばならないと思います。
 様々、少し取り留めもないですけれど、思いつくままに申し上げました。
(問)北海道新聞の片岡です。
 北方四島での日露共同経済活動について伺います。共同経済活動の具体化に向けた官民による初めての調査団が、今日9時過ぎに根室港を出発しました。現地調査に期待されることを改めてお聞かせいただきたいと思います。これが1点目です。
 ただ、この出発直前の昨日になって、地元の根室の長谷川市長が参加できなくなる事態になりました。ロシア側に何らかの理由で参加を拒まれたと見られますが、出鼻をくじかれたといいますか、一筋縄ではいかないといいますか、こうした事態を大臣どう受け止めていらっしゃるか伺えますでしょうか。
 以上、期待と御見解をお願いします。
(答)官民調査団の今回のメンバーについては、充実した調査を行うためにも、日露双方の提案に向けて適切な構成とする観点から調整を行ってきたやに聞いております。結果的に根室市長には、御参加いただけない形とはなりましたけれども、今回の調査の主たる目的が、プロジェクトの経済性の確認にあるということでありますから、根室からも漁業、観光、小売などの各分野を代表する専門家に加わっていただいており、地元の視点は適切に反映していただけると考えております。
 ロシア側との調整の結果という懸念もあるようでありますが、関係各方面と種々調整してきた結果であると聞いておりますので、それ以上のことは私どもとしては承知しておりません。
(問)NHKの奥住です。
 将棋についてなんですけれども、藤井四段が29連勝を果たしました。AI(人工知能)を活用した将棋ソフトを使って成長したとも言われていますけれども、IT政策担当大臣として、その辺絡めて御感想をいただければと思います。
(答)虚をつかれたような感じでございますが、どこかの新聞にも書いていましたが、人間的なところが良いのだという話がありましたけれども、ただ強いというだけではなくて、直感であり、それから攻めであり守りであり、こうしたことの連続した結果として勝利があるのだということを人間的だと表現すれば、そういうことなのだろうと思います。
 確かにAIが発展していくことは、喜ばしいことですが、我々人間も温かみのある人間らしい行動ができる部分について、しっかりアピールしてもらいたいなと思います。
 今回、藤井さんが勝ったことについては、すごいねという以上に、私は正直申し上げて、そっちの方面に余り詳しくないものですから、どこまでこの人が伸びていかれるのかなという一国民としての思いに今のところはついております。
 IT担当大臣として今後、何がどうだったかについては、必要とあらば部局と少し相談させていただきたいと思います。これを分析するのに何がここから酌み取れるか、少し意見も後で聞いてみたいと思います。
(問)朝日新聞の永田です。
 今朝、一部報道でありました臨時的教員についてお伺いしたいと思います。文科省のまとめによると、この臨時的教員と呼ばれる方々、公立小・中学校に非正規で雇われて、処遇に差がありながら、正規の教員とほぼ同じ仕事をする方々の割合が、沖縄県が全国で一番高くて15.5%だったという結果が出ています。処遇が低いままでは人材確保の困難性であったり、教育の質に影響しかねないというような識者の指摘もあるんですけれども、大臣として、教育に力を、そういった教育環境の整備に力を入れられてきたと思うんですけれども、この現状に対する大臣の御認識と、これからその状況を改善していく、何か取組みたいなお考えがあればお伺いできたらと思います。
(答)教員不足は、恐らく沖縄県に限らず離島というか、へき地、辺境の地には大いにあるのだろうと思います。ただ、それをカバーするために、もちろん質についてもしっかり確保していかなければならないことも論を待たない話でありまして、臨時的教員という名前で処遇が悪いということはあるかもしれませんけれども、そこにまだ質の部分が伴っていない場合がもしあるとするならば、そこは現場でしっかりそうした方々の質の向上に努力をし、そしてしかるべきタイミングでその教員の待遇についても向上していっていただきたいと思います。
 今後、私どもとして考えておりますのは、質の向上が追い付かない場合もありますから、こういったことの補完的な役割として、何度も申し上げていますようなICTを使った遠隔授業とか、その補助教員のような、ICTで画面が出て、その画面の前に生徒さんたちは座っていろいろな授業を受けますが、それでもやはり目の前に、教室をきちんと見てくれる先生もいることの方が、はるかに授業の効率が上がるんだという話がありましたから、こういった方々の立場等々も私たちとしては見ながら、ICT授業等々で補完的な役割を果たしていただければな、と思います。
 いろいろな御意見はあろうと思いますが、今、現状、沖縄県については、私は過渡期なのではないかと思いますので、今後も動きをしっかり注視しながら、改善の努力を続けていきたいと思います。

(以上)