鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月20日

(平成29年6月20日(火) 10:58~11:25  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、4点御報告を申し上げたいと思います。
 まず一つ目は、沖縄出張でございます。この23日から26日にかけて沖縄を訪問いたします。23日は、御案内のとおり、「沖縄全戦没者追悼式」でございまして、24日以降は、慶良間諸島、そして石垣島及び波照間島を訪問する予定でございます。かねて御案内のとおり、石垣島では、25日からバスの自動運転の実証実験を行いますので、当日の出発式に私も参加させていただく予定であります。また、事前に多くの方々から応募を頂き、実際に、住民はもとより、観光客の方にも御乗車いただくということでありますので、もし、よければ、御応募いただければと思います。今回の実験の映像は、26日からインターネット及び内閣府庁舎(中央合同庁舎第8号館)2階のモニターで放映いたしますが、私が初日に参加する実験の様子は、ライブ配信を検討しておりますので、ネットで、是非、御覧いただければと思います。詳細は、改めてフェイスブック等でお知らせさせていただきます。さらに、座間味島、波照間島では、5回目、6回目となる「島のゆんたく」を開催させていただき、離島の抱える課題や現状について率直な意見交換をさせていただく予定であります。まず、それが一つ目でございます。
 それから二つ目は、「沖縄型産業中核人材育成事業」の採択が本日決定いたします。本事業は、企業の成長を牽引するための人材育成を期するものでありまして、本年度から新たに内閣府の委託事業1.8億円として実施させていただくものであります。今回、委託事業者を広く公募いたしまして、様々な分野、観光ホテルのマネジャー層の充実でありますとか、IoT機器のセキュリティ評価を行う高度なエンジニアの育成など、計8事業の採択を決定させていただきました。これらの中身につきましても、丸投げをするのではなくて、内閣府としても、プログラムの開発や研修の実施、またその研修の内容等についても、積極的に参画させていただき、現場の声にしっかり寄り添いながら、実効あるものにしていきたいと考えておりますので、御指摘等々があれば、是非、お寄せいただければと思います。それが二つ目でございます。
 それから三つ目が、沖縄の子供の貧困に対して、これまで緊急対策事業を行ってまいりましたが、そのアンケートをとらせていただきました。その結果を、本日、公表させていただくことになりました。そのアンケート調査の結果を見ていただいて、中身につきまして、御指摘を頂ければと思いますが、アンケート結果からは、居場所を利用した多くの子供が「来て良かった」と思っていただいているということでありますが、それらについて事後に勉強時間が増えたかとか、こうした結果が、それほど変化がなかったとかいう反省すべき点もあります。また、アンケートのとり方自体も、本当にそれで良かったのかどうか。私が事前にこのレクを受けた限りでは、小学校の低学年に対して、子供の勉強時間が増えたかと言われても、勉強をずっとしていましたという習慣があったと思えるような子供たちが果たしてどれぐらいいるのかという問題もありますから、こういったアンケート調査のとり方等々についても改善すべき点はあったのではないかということも、こちらとしては考えているところであります。いずれにいたしましても、こうしたアンケート調査の結果を踏まえて、子供の貧困対策について、より実効あるものにしていきたいと考えております。
 そして、四つ目でございます。かねてから申し上げておりましたサイエンス&イノベーション・インテグレーション協議会の立ち上げをいよいよさせていただくことになりました。本年2月、この場におきまして、革新的な技術の社会実装を強力に後押しすることを目的に、産学官金の様々な関連事業間を繋ぎ、横断的な連携・交流を促進する環境づくりを提唱する協議会組織の立ち上げを発表いたしましたが、これらについて、7月27日に、六本木の政策研究大学院大学の想海樓ホールにて、午後2時から開催させていただきます。午後5時には交流会もさせていただく予定でありますので、できる限り皆さんには、是非御参加いただき、御批判、御指摘、様々な御意見を賜りたいと思います。何度も強調しておりますとおり、この協議会は、我々ができることが何かあるかということで、まずは立ち上げ、そして、それを民間のベースで今後もこういった協議会を運営していただくという呼び水のつもりで場を提供するというキックオフでありますから、是非、御協力も賜りたいと思います。御案内のとおり、今、様々な科学技術シーズがあるにもかかわらず、これを実装化することに対して、やはり力不足という指摘を受けていることは御存じだと思います。これらについて我々としても、金銭面あるいは仕組みでサポートする、税制やそういったものでサポートするということは当然のことでありますけれども、情報共有をしていただくような、そんな場をつくることも、我々としてはできるのではないか。また、それをキックオフさせていただくことで、よりスピードアップしていくのではないかとの思いでこういった会を立ち上げさせていただいております。また、御案内のとおり、これらについて、技術シーズとニーズのマッチングをするということではなくて、そのマッチングをしている方々の協議会でありますから、こうした方々に何が必要なのか、どういうことをやるべきなのかといった問題意識も、是非、その場で提案を頂き、またそれを受けて、今後の施策に寄与したいと考えております。これらについて、各界に御案内を出しておりますところ、海外からも大変御興味を頂いておりまして、今のところイスラエルやドイツやスイスといったところは、それぞれ大使館等々にも御案内をさせていただき、それなりの方々に御出席いただく予定ではあります。まだ先のことですから、はっきりしたことは分かりませんが、こうした状況で、しっかり皆さんの御協力を賜りながら、成功に導いていきたい。これは継続的・持続的に運営されるように、我々としても大いに期待しているところであります。サイエンス&イノベーション・インテグレーション、「S&II」と言います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 S&II協議会についてお聞きしたいんですけれども、確かに研究開発投資が今までGDPになかなか結び付いていないというのがこれまでの課題だったと思うんですけれども、この協議会を立ち上げることによって、そこら辺のところをどういうふうに改善していけるのか、大臣としての思いと狙いについて、改めてお聞かせください。
(答)優等生的な答えをして大変申し訳ないんですが、だからこそこの協議会を立ち上げると。何が必要かについて現場の声をしっかり受け止める場すら今までなかったわけです。私も精力的にそれこそ暇があったらと言ってもいいぐらい、毎週のように様々なベンチャーキャピタルであるとか、そういったベンチャーの方々の話を聞いて勉強してまいりました。それなりに10回も20回も聞くと、共通した問題というのが段々浮き上がってくるんです。そこから政策提言なり政策を変えていかなければいけないことの問題意識が出てくるのですが、これをずっと毎回毎回、大臣が変わるたびにというか、様々な部局が変わるたびにやっていたのではとてもじゃないけれど追い付かない。だから、国としてどういう問題点があるかの拾い上げを効率良く行うためにも、こうした協議会は必要なのではないかと、まずは思いました。
 加えて、彼らの目利き、人材はそれぞれの分野にはいるのですが、そういうことならば、うちのこういう人を紹介するよというような協議会が各国にはあるんです。それが日本にない。ないと言っては失礼ですけれども、まだ育っていない。これをスピードアップさせたいという思いがあります。これは各ベンチャーやその関係者の方々にその話をしますと、全くそのとおりだと同意を頂いております。したがって、我々としてもこれは行う意義が大変あるのではないかと考えております。
 ただ、官製で行ってしまうと、どのみち国が行っていることだからということで参加しづらいというか、そういう部分もあるのではないかという思いがありますので、まずは私どもの方で場を提供いたしますから、あとは民間ベースで、是非、自由にこういった協議会をつくって、使って、つくり上げてほしいという思いで今回の立上げを企図しているものでありますので、是非、御理解の上、皆さんにも御協力を頂きたいと思います。
(問)北海道新聞の片岡です。
 一昨日、昨日と北方領土、国後・択捉両島への墓参が中止になって、元島民の方たちが非常に落胆されています。元々霧が多いこの時期に日程、無理だったんではないかというような声もありましたが、大臣の受け止めと、今後、ロシア側に望むこと、ロシア側との再調整に望むことを教えていただけますか。
(答)大変残念な結果であったと思います。現地でも申し上げましたが、元島民の方々の身体的負担を減らすためにこうした企画が出来上がったものと理解しております。逆に負担、負荷を与えてしまったような結果になってしまったことも、また皮肉なことでありますが、諦めず、是非、次回につなげていただきたいと思います。今後、何ができるか分かりませんが、私どもとしてサポートができることがあればということを虚心坦懐に考えております。
(問)化学工業日報の伊地知です。
 昨19日に国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)を中心として、化学業界の4社がオープンイノベーションに向けてのプラットフォームの立上げ、覚書を調印しました。オープンイノベーション、なかなか市場ではライバル同士の企業が手を組むというのはなかなか難しい部分があるかなというふうに、そこに物材機構というところが橋渡しをできるということで、期待できる部分があるかなと思うんですけれども、大臣の御所感、期待感というのがあれば頂ければというふうに思います。
(答)もう一回、物材機構の。
(問)昨日、化学メーカーとオープンイノベーションの体制をつくったんです。マテリアルオープンプラットフォームというのを立ち上げたんです。将来に向けての共通基盤を一緒に取り組んでいこうという取組です。いわゆるオープンイノベーションを本格的に同業他社のライバル同士がやっていくということで、なかなか言うは易しの部分があるんですが、将来を見据えて同業他社が手を結ぶという新しいスキームかなというふうに。それをこういうふうにできるのは物材機構という国研かなというふうには思うのですが、その件なのですが。
(答)ちょっとフォローができていなかったことを申し訳ないと思っていますが、お話を聞いて、大変良いことではないでしょうか。これは多分やっていらっしゃる4社も相当思い切った決断をされているのだと思います。
 オープンイノベーションが叫ばれていながら、この日本では少しも地に足が着いたものになっていないと、そういう思いの中からSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業なんていうことも、内閣府では主導して行ってきたつもりではありますが、分野によってはまだまだそのSIP事業に対して、SIPという「この指とまれ」の中で、お互い警戒しているというような話も、ちらっと耳にしたりすることもあります。必ずしも分野によってはそういった部分をどう乗り越えていくかについて、見通しが立っていない部分があるのだろうと。こうした中で民間というか純民間ではないにしても、研究開発法人のようなところが音頭を取って、こうしたオープンイノベーションを進める舵取りをしていただくのは、私どもとしても大変有り難いことで、歓迎したいと思います。
 ただ、SIPのときにも申しましたが、一旦そういうコンソーシアムのようなものをつくっても、そこから先、実際クリティカルなところではお互いが協力関係にできるか、本当に協力的にやっていけるかどうか、これは運営であるとかその場その場の知恵というものが必要なのではないかと思いますので、今後の推移を、是非、見守っていきたいと思いますし、サポートできることがあれば、我々としてもしっかり考えていきたいと思います。
(問)正しくそこの部分だと思うんですけれども、共通基盤のところでは手を結ぶ、その後、マーケットインのときにはそれぞれオリジナリティーをやっていくと、いわゆるオープンデータで材料の物性とかのデータベースをつくっていって、それをこういうふうに共有化していって、あと自分たちの事業戦略に基づいてやっていくという形の切り分けをするということを、(NIMSの)橋本理事長がちゃんとこういうふうに整理整頓をしていて、実際うまくいくかどうかはあれだけれども、一応シミュレーションはできているのかなというような感じはとれました。
(答)多分、橋本理事長の音頭取りも、かなり効いているのではないかと想像はしますけどね。であればこそ、理事長以下のNIMSのリーダーシップを大いに期待したいなとも思います。
 それから余談ですけれども、イスラエルへ行って感じましたが、さっきのSIPの話にも繋がるんですけれども、お互いの研究者がざっくばらんに、それならこうだよね、それならこうだよねという場面があるんですよね、どこの国も。ですので、会社は違えども同じ日本でやっていく上で、我が国の発展のためにというような同じ大学の同期であるとか、同じ研究室にいたよねとか、こうした繋がりというのは、非常に私は大事なのではないかと思います。それを大事にしてほしいなと、そんな気持ちであります。
(問)朝日新聞の永田です。
 話題変わりまして、昨日、首相が行われた記者会見についてお伺いしたいと思います。昨日、総理が国会閉会を受けて記者会見を開きまして、今国会、加計学園や森友学園の問題で注目された国会でしたけれども、会見の中で総理が、自らの国会対応について政策論争以外の話を盛り上げてしまったと、深く反省するというような言葉がありましたけれども、大臣から見られて今国会、どのような国会だったというふうに総括されていますでしょうか。
(答)総理は謙虚にそうおっしゃいましたが、その部分は総理がおっしゃったとおりなんだろうと思います。これは総理1人の責任では私はないとも考えます。あくまで国会の政策論争は論争の中で何をつくり上げていくか、どういう国会にしていくかということについては、質問する側、もちろん野党の先生方との協力というか、対峙があってつくり上げていくものでありますから、確かに総理の言われるとおり、政策論争以外のところで議論を盛り上げてしまったということについては、結果としてはそのとおりかもしれませんが、盛り上げている方も盛り上げている方だとも思います。
 それから結果として総理が言いたかったことは、国民のためになっているかどうか、ということなのではないかと思います。政策をきちんと議論するべきところであったからこそ、我々としてもそこに焦点を置いてしっかりと国会の運営をするべきであった、そのことにしっかり目を向けていくべきであったのではないかと、総理が言いたかったのではないかと考えています。ただ、これは実を言うと諸刃の剣のところもあって、国会での議論をこちらが主導して、ああしてくれ、こうしてくれと言うわけにもいきませんし、ここのところは我々としても、しっかり理解していただきたい部分ではあると考えています。
 いずれにいたしましても、結果としてこういう国会になったことは残念でありますし、そのことについて総理自らがああいった反省を述べられたことは、多としたいと考えていますので、我々としても気を引き締めて、これから襟を正して頑張っていきたいと考えています。
(問)今、大臣からも、国民のためになったのかというお言葉がありましたけれども、各社の報道、世論調査の中で、今国会を受けての調査の結果が公表されていまして、内閣支持率が軒並み大きく下がっていると思うんですけれども、これについては今おっしゃったような御所感ということですか。
(答)下がっているからということよりも、私もこの場で何度も申し上げていますが、中身について国民への説明が納得のいく形であったかどうかということが、やはり至らなかったのではないかと思います。その部分については今後も、総理がおっしゃっておられるとおり、しっかり説明を果たしていくとのことでありますので、その推移を、是非、見守っていただきたいと思います。その結果として、今、現状がこういった数字になっているんだということを謙虚に受け止めるべきであると考えています。
(問)琉球新報の當山です。
 沖縄の関連でお伺いします。先週、渡名喜村の村長が村の工事の情報を事前に漏らした容疑で逮捕される事件がありました。この工事の事業というのが一括交付金を使った事業になるということで、交付要綱の中に、不正をしたりした場合には返還を命令できるというような規定もあります。担当大臣として、今後何らかの対応をとっていくお考えというのはありますでしょうか。
(答)現状では、結論から申し上げると、まだ考えておりません。逮捕されたとはいえ、その刑が確定したわけでもありませんし、中身について、まだ詳細を我々が把握しているわけではありません。
 ただ、こうした事態に至った疑いをかけられるような状況に、仕組みとして何か私たちとして落ち度がなかったのかについては、我々としてもしっかりもう一度精査するべきなのではないかと考えていますので、関係部局にそのことを指示させていただこうと思っております。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 関連してなんですけれども、内閣府として独自に精査、調査などをするお考えというのもあるということなんでしょうか。
(答)さっきも言いましたとおり、今の現状で逮捕に至るような疑念、疑惑と言っていいんでしょうか、を与えてしまっているわけですよね。まずは、そこに何があったのかということについて、今後、捜査の中身が入っていくわけですから、これについて私たちが何か捜査、調査するということではなくて、そうした疑念、疑惑が出てこないような、もっとオープンな仕組みに、よりバージョンアップすることができないのかということについて、私たちとしては考え得るべき点がないか、そこをしっかり調査するべきじゃないかということです。
(問)事業の個別の中身を見るというよりは、全体的な精査の仕方とかチェックの仕方とか、交付をするに当たっての仕組みを検討すると。
(答)そうですね、仕組みの問題です。
(問)貧困のアンケートについてお伺いしたいんですけれども、これ、保護者が回答している中で、お子さんへの、子育てへの関心の高い親御さんが大分答えていると思うんですけれども、なかなか子供に関心が薄かったり、仕事が忙しくて、そういう支援員に接触できない親御さんへのアンケートのとり方ですとか、今後、政策にはどのように生かすかというのをお願いします。
(答)これは全くおっしゃるとおりなんです。あのアンケートが大体どういった方々に、どういう範囲でとられているかについて、つまびらかに私も報告を受けておりません。ただ問いと答え、そして、問いと答えのパーセンテージなるものが今回は発表になっているということでありますので。
 少し部局の方から補足ありますか。
(事務局)今回、支援員が、支援員の対応についての保護者のアンケートをしています。そのアンケートを答えてもらうというのは、結構、支援員さんとの信頼関係がある中でないと難しい部分があります。そういう支援員さんとの信頼関係というか、コネクションがこれから構築されるような方々についてのアンケートのとり方については、今後の課題として検討していきたいと思っております。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 大臣が力を入れていらっしゃるんで、ちょっと細かいことで恐縮なんですが、サイエンス&イノベーション・インテグレーション、相変わらずタイトルがよく分からないなと思っちゃうんですが、ここに主催で政策研究大学院大学が入っているんですが、これは、この日だけの主催者ということで、例えば、これからも政策研究大学院大学が中心になってこの協議会を、例えば運営などにも関わってくるのか、あるいは会員募集の際などにも加わってくるのか。その辺の立場というのはどうなっているのでしょうか。
(答)よくぞ聞いていただきました。私もこれは違和感があって、実際、内閣府と政策研究大学院大学が今後も行っていくかのような印象を与えるおそれがあるのではないかという思いはあります。
 ただ、この現場でずっと、何度も強調しておりますとおり、ここの会を運営していただく主催者を我々として決め得るに立ち至っておりませんので、今回集まっていただいた皆さんに是非それを、どうバトンタッチしていくかも含めて、御議論をいただければと考えています。
(問)じゃあ、ある意味でキックオフの会合みたいなもんですかね。
(答)そうです、キックオフです。

(以上)