鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月16日

(平成29年6月16日(金) 10:28~10:48  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、二つ御報告申し上げたいと思います。
 まず一つ目は、第15回になります宇宙開発戦略本部会合が閣議前に開催されました。会合では、私から宇宙基本計画の工程表改訂に向けた検討状況を報告いたしました。また、総理からは、年内に、宇宙基本計画の工程表を改訂するように御指示がございました。具体的には、来年度から準天頂衛星4機体制による精密測位サービスの提供、二つ目として「Society 5.0」に向けた衛星情報を活用した成功事例の創出、三つ目として宇宙ゴミなど宇宙空間のリスクへの対応強化の3点を指示されました。今後、年内の工程表改訂に向けて取り組んでまいりたいと思います。その一環として、明日から1箇月間、中間取りまとめについてのパブリックコメント手続を通じて、意見募集を行いたいと思っております。これに関連いたしまして、「S-Booster 2017」と称しまして、本日から7月18日までの約1箇月間、アイデア募集を行いたいと思います。これは新たな宇宙ビジネスのアイデアコンテストでございまして、応募いただいた中から、キラリと光るアイデアを選定いたしまして、JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)や民間企業とともに、その実現に向けたサポートを行っていきたいと考えておりますので、奮って御応募いただきたいと思います。そしてもう一つ関連いたしまして、「みちびき3号機」が打ち上げられることを御報告申し上げたいと思います。既にJAXAの方から報告しているようでありますが、6月1日に打ち上げました「みちびき2号機」に続きまして、3号機については、8月11日に打ち上げを予定することと相成りました。今後、4機体制を構築いたしまして、来年度から準天頂衛星システムによる各種測位サービスを開始してまいります。また、平成35年度を目途に、7機体制の確立を目指すということを御報告申し上げておきたいと思います。以上が、宇宙関連でございます。
 もう一つが、北方領土隣接地域への出張でございます。明日17日から18日にかけて、北方領土の隣接地域である根室市など1市4町に出張させていただきます。今回は、同地域への訪問客の拡大に向けた検討の一環として、5月に実施したファムトリップでの訪問地である北方領土啓発施設を始め、自然観察施設などを視察させていただく予定でございます。また、18日には、根室市で「北方領土隣接地域の魅力を発信するシンポジウム」を開催させていただきます。ファムトリップの結果を踏まえて、講演やパネルディスカッションを行うということでございます。私もシンポジウムに出席し、議論に参加させていただきます。18日の朝には、航空機を利用した北方領土への特別墓参の出発式にも参加させていただく予定でございますので、御興味のある方は、是非、御注目いただきたいと思います。詳細は、北方対策本部までお問合せいただければと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 クールジャパンのことでお聞きしたいのですけれども、昨日、クールジャパン機構がアメリカのベンチャーキャピタルに1,000万ドル出資すると発表したと思うのですけれども、ベンチャーキャピタルとしてはベンチャー創出のためにシード資金をまいて育てる、それは分かる。クールジャパン機構としては、クールジャパンが世界に発信できるように、つなげるように企業を支援する。それは分かるのですけれども、この両者がつながる蓋然性というものがないように思えるのですが、そこら辺、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)実は、その問題、昨日、ちょうどクールジャパン機構が私のところに報告に来たときに、正に同じ思いで質問しました。クールジャパン機構という分野においての機能は、クールジャパン、日本の文化発信、そして日本の善きものをビジネスに結び付けていくということが主眼であって、その中においては、科学技術に関わる分野も例外ではないのだということではありますけれども、本線としては、私は科学技術政策担当大臣もしておりますから、日本の科学技術発展のために様々な仕掛けをしているところでありまして、これをアメリカのベンチャーキャピタルと一緒にやるということならば、我々の科学技術の本筋論からアクセスしていくことをもっと拡充していくべきなのではないかという意味のことは、お伝えさせていただきました。
 趣旨は、機構の方も十分理解してくれたと思いますし、最後には、とりあえず今回やってみて、様子を見てみたいというような趣旨の話がありましたので、私どもとしては是としたところであります。
 ゲームの分野でありますとか、これから様々な領域がクロスすることがたくさんあると思います。科学技術とクールジャパン、また、科学技術とクールジャパンと何かみたいなところで、機構としてもその辺は悩ましいところだと思いますが、一概に科学技術に関わるものだから駄目だと言うわけにもまいりませんので、どういう発展の仕方をするか、また、成功するかしないか、ここの部分が非常にキーになってくると思いますから、そういう判断基準をもって注視していきたいと思っています。
(問)共同通信の中田と申します。
 また、加計学園の件で恐縮なのですけれども、昨日、文部科学省が調査の結果を発表しまして、怪文書と言われたものの14文書が確認されましたと。今日も内閣府が明らかにしていますけれども、8文書について確認されていますという話になっています。
 「ない」で、真偽不明と言われていたものが「ありました」というふうにこの流れでなっているわけなのですけれども、これまで5月の調査とかが適正だったかどうかということに関しては、大臣はどう思われますでしょうか。
(答)文科省の調査ですね。それは文科大臣も陳謝されておられるとおり、それが適正であったかどうかについて国民の批判があることは当然のことだろうと思います。
 ただ、批判を恐れるが余り、出すものを出さないということの方が、もっと傷は深くなっていくのだろうと思いますから、今後、しっかりと国民の理解が得られるように、誠実に説明責任を果たしていかれるものだと信じています。
(問)もう1点だけ。山本幸三大臣が記者会見で明らかにしているのですけれども、「総理の御意向」とか「官邸の最高レベル」が言っていると言った内閣府職員はいませんというふうに、そういう調査になりましたということなのですが、一方で、文科省の見つかった文書の中には「総理の御意向」とか、そういった文言が入っていますということになっていて、その違いというか、そのギャップについて、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
(答)これは私もどっちがどっちという話を、私の立場で申し上げかねますので、議論の推移、事態の推移を見守っていきたいということに尽きます。
 常識的に考えて、そういう議論を内閣府の方からしたというならば、やはりそれなりのしっかりとした証拠らしきものを出していかなければいけないのだろうと思いますから、(国会の)委員会もやっておりますから、予算委員会等、そういったところで明らかになってくるのではないかと考えています。
(問)朝日新聞の永田です。
 関連してお伺いします。先ほど、松野大臣も陳謝されていて、当然のことだろうということをおっしゃっていましたけれども、この文書をめぐる問題が一部報道で、報道されてから、再調査まで1か月かかりました。これについて大臣はどう受け止めていらっしゃいますか。
(答)色々な報道があります。国会での議論、また、国民の疑念が盛り上がりを見せた中で、仕方なく調査したというような報道ぶりもあったようでありますが、実態は常に文科省としてもしっかりと、問題意識を持って当たったように、私は感じています。
 たまたまタイミング的に、発表がひと月かかったということになったと思いますけれども、そこのところは、常に問題意識としては国民の理解が得られるように、説明責任を果たすべく努力をしてきたということが、ひと月という期間になったのだろうと信じておりますので、多少、時間がかかっているなという印象は否めないにしても、しっかりやってくれるのだと信じています。
(問)当初、政府側は、怪文書というような表現で、この文書について認識を示していた中で、一部の文書が見つかったということ、これに関しては、どういうふうに感じていらっしゃいますか。
(答)最初、出てきた時の印象が怪文書だというのは、それはどういうものなのか、何なのかが分からない段階だったと思いますから、当然、そういう言い方になるのではないでしょうか。
(問)1点。昨日、その発表された文書からは萩生田官房副長官が、国家戦略特区での獣医学部新設の要件づくりに直接的に関わっていたのではないかというような関与を示すような可能性も浮上しましたけれども、大臣は以前、国民の疑惑に応えらえるよう最大限の努力をしていただきたいと発言されておりました。
 こういった中で首相官邸が、自ら説明責任を果たす必要性もあるのではないかというような指摘もありますけれども、これについて大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
(答)それも含めて今後、官邸の方から説明はあるだろうと思いますし、繰り返しになりますけれども、本日開かれております委員会等々を通じて、その辺はつまびらかになっていくのではないかと考えています。
(問)日経新聞の猪俣です。
 宇宙開発戦略本部の中で、総理が三つ御指示されたということで、そのうちの一つが、データを活用した成功事例を生み出せということだったと思うのですけれども、衛星由来のデータをビッグデータの一種と見なして、ちゃんとビジネスに転用していくために、特にどういった具体的な施策が重要だとお考えでしょうか。
(答)ビッグデータの収集、それから収集のための法整備、個人情報等々との線引きをどうするかということ。それから、そのデータを活用する人材の育成、これが非常に急務だと思います。
 衛星のデータも、今や、かなり高度化して、写真データなんて特にそうですけれども、それ単体では、もうほとんど価値がないのだそうでありまして、それを時系列的に、あるいは時間を変えて写したものをどう分析していくか。そしてその分析の中で何を得ていくか等々の、コンテンツ、コンテクストについてが大事だということを聞いております。
 残念ながら、その点において、まだ日本ではそういった分野が出遅れていると聞いておりますから、こういったものをしっかりと育成していくことが必要なのではないかと考えております。
(問)リスク強化に向けた政府内の体制をつくっていくという趣旨の御発言もあったと思うのですけれども、5月に、宇宙の安全保障に向けて、省庁で横断していきますというチームができたと思うのですけれども、それの進捗状況を教えてください。
(答)(事務局)また、詳しくは個別に御説明させていただきますが、現在、宇宙関係のリスクについて、関係省庁でこれから検討していこうということで、関係省庁会議を立ち上げているところでございます。
 まだキックオフしたばかりで、これからしっかり宇宙の脆弱性を把握した上でこれから何をしていくべきなのか。例えば宇宙システムといっても、衛星もあれば、地上の受信システムもあれば、その中でサイバーに例えば強いかどうかとか、いろいろな論点がございますので、これをこれから政府内でしっかり検討していく予定でございます。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 明日、沖縄で開催される予定だったAKBの総選挙(の屋外イベント)が悪天候で中止になったのですけれども、沖縄がイベントだったり会議などを誘致する際に、海などの自然の魅力をアピールしつつ、自然環境で中止や延期になるということがたびたび懸念されるのですけれども、その相反するような自然というものを、二つの要因によって、開催が魅力だったり、また決定にもなるわけですけれども、その両立を図るためにはどうするべきだというふうに大臣、何かアイデアはございますでしょうか。
(答)私の友人も、沖縄には行きたい、でも(交通費が)高いので早割というのでしょうか、事前予約のものを使って行きたいけれども、その時にたまたま悪天候になっている可能性があったらやっぱり嫌だからと言う。これは真剣に考えていかないと。悪天候であっても楽しめる沖縄、悪天候であるからこそ行くべき沖縄のようなものは、つくり得ないかということも考えるべきなのだろうと。観光産業として考えていくとしたら、それはあると思います。
 具体的にどうということを、持ち合わせているわけではないのですけれども、沖縄に行くための要件を調査させていただいた上、今後、進めていかなければいけないのだろうと思いますが、特にそういう観点から要望がありますのは、沖縄のMICEであります。悪天候であってもしっかりとしたドームに囲まれた大規模な建造物というのは必要なのではないかという話は、県から言われるまでもなく我々も問題意識としては持っているということでありますから、こうしたものも含めて、我々としては考えているという段階でありますので、少しこれからいろいろな人たちの御意見等々も束ねながら進めていきたいと思います。
(問)毎日新聞、竹内と申します。
 加計学園の問題が盛り上がっている中で、今日で事実上、国会が終わることについてはどう思われますか。
(答)立法府が会期をこの日までということで、様々な努力をしてこられましたので、我々としては、粛々と従っていくしかないということであります。
(問)時事通信の平原です。
 航空機墓参の関係で、大臣、18日、出発式に出席されると思うのですが、墓参に向けた期待と、あと、共同経済活動に向けた交渉が遅れているということについて、担当大臣としてお考えをお聞かせください。
(答)(交渉の)中身について私がつまびらかに知っているわけではありませんが、交渉は相当、しっかりとやっていただいているように聞いております。
 そういうデリケートな時期でありますから、様々なことを総合的に勘案しながら進めていられるのだろう、そのために御懸念のような遅れと思われるような状態ができているのではないかと思います。
 しっかりやってくれているものだと思いますので、我々としては、それほど懸念しておりません。
(問)朝日新聞の永田です。
 18日に行われるシンポジウムについてお伺いします。
 以前、ファムトリップを行われて好評だったという話もありますけれども、今回のこのパネルディスカッションであったり、講演を含めて、大臣として期待すること、そしてこのシンポジウムを経てどういったふうにして、この隣接地域の観光拡大などを図っていきたいという御所見をお伺いできますか。
(答)我々としては、観光庁ではありませんので、そこに行っていただいて、北方領土についてしっかり問題意識を持ってもらうということが主たる目的であります。
 ファムトリップはその手段でありますから、まずは行っていただいて、その地域へもっともっとたくさんの人が足を運んでもらえるようなインフラの整備等々も含めて、仕組みづくりをしていくということに注力していきたいと思います。
 したがいまして、ファムトリップの結果として、恐らくはいろいろな提案が出てくるだろうと思いますけれども、その提案の中でもそういう視点から、我々としては取捨選択しながら、優先順位を付けてやっていくべきものを考えていきたいと思います。

(以上)