鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月2日

(平成29年6月2日(金) 9:18~9:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私からは四つ、冒頭に御報告申し上げたいと思います。
 まず、もう皆さん御存じのとおり、昨日、「みちびき2号機」の打ち上げが成功いたしました。大臣談話でも発表し、本日、閣議でも報告いたしました。我が国のH―IIAロケット34号機による内閣府所管の人工衛星「みちびき2号機」の打ち上げが成功いたしました。現在、衛星は所定の軌道に向けて順調に飛行しているという報告を受けております。最終高度に移動するまで2週間程かかるということでありますので、注視をしながら結果をまた報告させていただきたいと思います。2018年度からの正式サービス開始に向けて、「みちびき3号機」及び「みちびき4号機」を今年度中に着実に打ち上げるとともに、準天頂衛星システムによる各種測位サービスを多くの方が円滑に利用できるよう、引き続き関係機関と連携してまいる所存であります。
 それから、二つ目が、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)でございます。今朝の閣議前に、第30回総合科学技術・イノベーション会議が開催されました。「科学技術イノベーション総合戦略2017」の答申が決定され、その後の閣議で閣議決定させていただきました。本戦略の中で有識者議員より、「科学技術イノベーションの活性化を促進する制度的基盤の構築」に向けて提言を頂きましたこと、また、総理からは「研究開発力強化法」の改正に向けて、与党と協力して準備を進めるようにとの御指示を頂きましたこと等を報告しておきたいと思います。
 それから、三つ目は「かりゆしウエア」でございます。余り私も似合っていると自分では思っておりませんが、全閣僚に「かりゆしウエア」を着用して閣議に臨んでいただきました。評判も上々であります。毎年のこと、恒例のような行事になっておりますが、より一層こうした「かりゆし」を中心として、沖縄文化に触れ合う機会を持っていただけるよう、私も担当大臣として努力していきたいと考えております。
 四つ目は、沖縄関連でございます。沖縄離島活性化推進事業費補助金の第2回交付決定であります。要は離島交付金でありますが、第2回目の交付決定がなされました。今般は与那国町の夏休み期間を利用して琉球大学と町をICT(情報通信技術)でつなぎ、高校生を対象とした双方向授業の実証実験や、島内の二つの中学校同士をICTでつなぎ、合同授業を行う事業や、石垣市においては島内での観光客の移動手段の充実を図るため、太陽光による発電設備を整備し、民間事業者がこれを活用しまして、観光客が利用できるIoT対応の電池交換式電動スクーターを導入することにより、自然環境にも配慮しつつ観光振興を図りたいと考えております。22事業、6億8,900万円について決定しました。今後とも、引き続き、持続可能な地域社会の形成に向けた沖縄の離島市町村の取組を支援してまいりたいと考えております。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今朝のCSTIの有識者議員の提言についてお聞きしたいんですけれども、今後、総理から指示があったように、研究開発力強化法の改正に向けて取り組むと思うんですけど、今回のこの提言と強化法の改正によって、現場が恩恵を受けるというか、現場の制度が変わったり、現場で動けるようになるというのはいつ頃を予定されているんでしょうか。
(答)事務方から法改正のスケジュールを答えさせてもらっていいですか。
(事務局)これは議員立法で成立されております研究開発力強化法の改正になりますので、まず与党の先生方としっかり相談をしていかなければならないところでございます。ただ、もう既に今国会は終盤になっておりますので、今国会では間に合わないことから、どんなに急いでも次の国会ということになろうかとは思います。
(問)(フジテレビ・和田記者)
 次というのは臨時国会、通常国会。
(答)(事務局)それは与党とよく相談をしながら検討していくことになろうかと思います。
(問)(科学新聞・中村記者)
 それで、今回の提言、法改正によって、現場がどのように変わることを大臣としては期待されているんでしょうか。
(答)もう言わずと知れた、今までやってきたことのマイルストーンを一個ずつ置いていっている感じでございますから、繰り返しのようで申し訳ありませんが、官民の投資を拡大し、研究開発をどんどん増やしていくということに尽きるんです。今回も官民研究開発投資、新型SIP(科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブ)の拡大促進なども、この中でも分かるようにしっかり明記しておりますから、こうしたことをしっかり取り組んでいくということであります。
 法律の話でしたから、少し事務方からも答えましたが、我々としては毎年毎年同じことをずっと言われ続けてきているわけですから、まずは予算の策定と同時に、来年度予算に向けて、でき得ることを全てやっていくんだということであります。官民投資拡大イニシアティブでも申し上げましたが、民間からの寄附がより進むように、そしてまた事実的に大学が資金を調達できるような仕組みをきちんとつくっていくんだというのは、これは何年先なんていうことではなくて、今年やる、今年中にやるんだというつもりで努力をしておりますので、これをよりブラッシュアップする形でもっと制度的にフィックスしていく形で議員立法も視野に入れているということでありますから、是非、その辺のところは応援も頂きたいと思います。
(問)北海道新聞の片岡と申します。
 ロシアのプーチン大統領が、昨日、北方領土を日本に引き渡した場合は、米軍が展開する可能性があるとの懸念を示しました。安倍政権、正に今、北方領土での共同経済活動の実現に向けて領土問題を動かそうとしている中で、プーチン大統領が、日米安保条約が問題の根幹と見ていると思われる、領土交渉を阻むかのような対米不信があるのではないかとも考えられますが、大臣の受止め、見解をお願いいたします。
(答)領土問題については、私が直接関わりがない立場でございますが、外務省から聞いている範囲、あるいは外務省から私たちが了解している範囲で言いますと、相当突っ込んだ議論がされているやに聞いております。その上で出てきた今回の発言でありますから、様々な外交上の思惑も色々なことがあるんだろうと理解しております。冷静に、一喜一憂することなく、これを注視して、私たちとしてはすべきことを淡々とやっていくということに尽きるんだと考えておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
(問)日刊工業新聞の冨井と申します。
 先ほど冒頭でみちびき2号の打ち上げの話がありました。昨日の会見でも多分、繰り返しお話されているとは思うんですけれども、みちびきは宇宙産業ビジョンの中でも重要項目に挙げられていると思います。それで、改めて今回の打ち上げにおいて、日本の産業というのがどのように導かれていくかというのを含めて、大臣のコメントをお願いします。
(答)打ち上げ後の記者会見でも申し上げましたが、今回のみちびきの打ち上げは、まだ完全成功ではありませんが、成功することによって、4機体制の準天頂衛星が実現に向けて大きな一歩を踏み出すわけであります。これらについて、センチメートル単位と言われる世界最高確度のGPSが実現する可能性が出てきてまいりました。そして、センチメートル単位の測位度を持つ環境というのは、様々な民生的利用、自動運転はもちろんのこと、農業や、案外知られていないんですけれども、スポーツで、サッカーの選手がGPSのレシーバーを持って動いて、その動きをいろいろシミュレーションするとか、そういうものにも使える。子供たちが塾へ行った後、塾の帰りを心配する御家族のために、しっかり位置が分かるようになる。徘徊するお年寄りに持たせて、家族が安心することができる。言い出したらきりのないぐらい、様々なものが考え得るわけです。こうしたことを民間の皆さんの知恵を借りながら様々な産業を切り開いていきたいと考えておりますので、そうしたことに大いに期待し、また、我々としても、でき得る限り早くこうしたサービスが開始できるよう、努力していきたいと考えています。
(問)朝日新聞の永田です。
 話題変わりまして、辺野古に関連してお伺いいたします。昨日、沖縄の防衛局が、岩礁破砕許可についての政府としての回答を示されましたけれども、一方で県が工事差止めを求めて提訴する意向というのも明らかになっています。現状の国と県の対立という、再び法定の場に持ち込まれることになると思うんですけれども、これについて大臣の御所見をお伺いできますか。
(答)報道で知る範囲でございますので、事実について何ら報告を受けておりませんし、私としては予断を持ってお答えをするということは、差し控えさせていただきたいと思います。
 対立があるかどうかということについても、私は振興策をさせていただく上で、県の皆さんとお話をさせていただく中で、終始建設的な、そしてまた円満にお話をさせていただいているという事実も、これは多としたいと思っております。
 基地問題は、ゆるがせにはできない問題でありますが、粛々と沖縄県民の皆さんが豊かさを実感できるような努力を引き続き邁進してまいりたいと考えています。
(問)大臣、以前の会見で、リンク論に言及されたことがあると思いまして、その中で、基地問題と振興額は関係はしてこないと。ただ、振興策はもちろん影響があるというようなお話だと思うんですけれども、今回そういった法廷闘争になることによって、振興策への影響というのは、どのように見られていますか。
(答)先ほど申しましたとおり、今、辺野古の問題について県から正式な回答なり報告を受けておりませんので、辺野古問題云々を私が予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
 ただ、あえて踏み込んで申し上げますと、どんな形になるにせよ、対立した状態というのは、決して望ましいものではないということは言うまでもないことですから、しっかりと我々としてもお互いの立場を議論し、理解を図るように努力していくことも必要なのではないかと考えております。
(問)毎日(新聞)の酒造です。
 かりゆしウエアって地球温暖化対策という側面もあると思いますけれども、パリ協定のトランプさんの離脱について、御所感があればお願いします。
(答)私も今朝のニュースを見て驚いておりました。どういう目的で、どういうところに対して問題があるという大統領の御発言だったのか、詳細をまだ見ておりませんので、ここでなかなかお答えをしづらいところなのでありますが、一般論として、私どもが国際協力をもって進めてきたことについて、後退をするようなことがあってはならないんだと思います。報道でもありますとおり、締約国はアメリカに対して説得を試みているということも聞いておりますから、日本もそのプレイヤーの一つとなって、でき得る限り世界の取り組みとして努力していく、そのことに私たちは注力するべきなのではないかと考えています。
(問)(フジテレビ・和田記者)
 細かいことなんで、大臣でも事務方でも結構なんですが、先ほどの科学技術、経緯を不勉強で恐縮です。閣法で行きそうなところが、そもそも議員立法で出てきたという経緯は何なんですか。
(答)(事務局)元々、研究開発のシステムを改革しようという声が、平成20年に当時は与野党を超えた議論がありまして、その際に研究開発力強化法がつくられました。その後、平成25年に一度改正されてございます。このときは与党の議員の有志によって立案されました。つまり政治主導で研究開発のシステムを変えていこうという動きがあったということでございます。

(以上)