鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月26日

(平成29年5月26日(金) 9:29~9:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは冒頭四つほど御報告を申し上げたいと思います。
 まず一つは、良いニュースでございまして、ICIAM(応用数理国際評議会:イシアム)国際会議という数学界の国際会議でございますが、先週末、20日にスペインで開催された総会におきまして、2023年に予定されている国際会議の開催地が初めて日本に決定いたしました。ライバル韓国にも競り勝ったということを聞いております。本会議は4年に1度開催される応用数学において権威ある国際会議とされており、次回の開催地をめぐっては、かなり熾烈な水面下の争いがあったと聞いております。応用数学は、政府が進めている「Society5.0」の実現にも不可欠な要素であるという認識から、安倍内閣総理大臣や私からもサポートレターを発出するなどして、政府としても応援させていただいたところでございます。6年後に開催される国際会議が有意義なものとなるように、数学そのものの啓蒙に加え、その産業応用に向けた取組の更なる発展につながることを期待すると同時に、早稲田大学で借り切って会議をやられるそうなので、一般の方々、特に子どもたちに興味を持ってもらえるような仕組みが作れないか等のことを考えております。
 それから、二つ目は沖縄出張でございます。明日27日から28日にかけて沖縄を訪問いたします。今回は沖縄本島を訪問する予定でございます。翌日(28日)は、本島北部を初めて訪問させていただきます。本島最北端の辺戸岬まで行きまして、それから大型クルーズ船の寄港地として、現在、受入環境整備を進めております本部港も見せていただきます。その後、北部圏域市町村長の皆様との意見交換をさせていただく予定でございます。詳しくは、部局の方へお問合せいただければと思います。
 それから、三つ目は防犯灯・防犯カメラの整備についてでございます。御案内のとおり、これまでも防犯灯・防犯カメラの設置について交付決定を進めてまいりましたが、いよいよ第2次交付決定を本日行います。那覇を除く沖縄県下の全ての市町村でこの交付を行うことが決定いたしました。交付先、交付決定額については配布のペーパーのとおりでございます。申請準備中の那覇市が出てき次第、また交付を行いたいと思いますが、詳細は担当部局にお問合せいただければと思います。
 最後、昨日、沖縄振興調査会の先生方が来た時にも申し上げたので重複になるかもしれませんが、本年度版の沖縄振興パンフレットができ上がりました。お手元に配布させていただいております。この席でも何度か申し上げておりますが、振興策を県民の方々に広く周知し、理解し、また協力も頂かなければならないものも沢山ございますので、昨年度に引き続き、本年度もパンフレットを作成いたしました。パンフレットにおきましては、社会資本の整備状況や一括交付金の活用事例、北部地域の振興など、各般にわたる振興策について具体的に記載するとともに、今回は新たに税制改正の項目や渋滞対策・自動運転のトピック等を設けるなど、内容の拡充を図っております。詳細については事務局にお問合せいただければと思います。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 前回の会見のときに宿題になっていたかと思うんですけれども、定点調査について、受け止めと今後の活用について教えてください。
(答)しっかりヒアリングをさせていただきました。科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の定点調査でございます。
 確かに、若手研究者のポストや研究時間、支援人材の確保といった研究環境など、以前から指摘されてきたとおりの不十分との認識が強いということでございまして、私もこの話を聞いて、以前から巷間で取り沙汰されている意識的なものというか、そういう感覚的なものがアンケートの調査結果として、量的に見えるようになったということなのかなと思います。
 感覚的なものであっても、良くない結果が出ているものであっても、こういうことも織り込んだ上、私たちはしっかりと取り組んでいるということを強調しておきたいと思います。
 今回、第5期科学技術基本計画の最初の調査として、調査項目が見直されたそうでありまして、具体的には産学官の知識移転などベンチャー支援に関する取組状況、あるいは戦略的な大学改革に向けた取組状況といった項目などが追加されたと聞いておりますが、これらについても目覚ましく良い結果だったとは聞いておりません。特に東大ベンチャー等、ベンチャーの発信力に多少問題があるのではないかという危機感を私自身も持っております。
 現場が満足のいく状況になっていることというのは、大変重要なことだと思いますから、これらを踏まえ、より一層、現場の声を聞いて、今後努力をして、より科学技術発展に資する施策を作っていきたいと考えております。
(問)朝日新聞の永田です。
 ちょっと話題が変わりまして、加計学園の獣医学部新設をめぐる問題について、ちょっとお伺いしたいと思います。
 前文科次官の前川氏が、昨日記者会見を開きまして、総理の意向とした文書が存在するというような発言をされました。この一連の報道であったり記者会見について、大臣としては再調査、その文書があったかどうかということについての再調査の必要性については、どのように受け止められていられるかお伺いしてもよろしいでしょうか。
(答)他省庁のことに関わる話なので、私からは何とも申しようがありません。我が省のことであれば、お答えしたいと考えています。
(問)確かに、違う省庁の話だとしても、同じ官庁を預かる大臣として、前川氏は加計学園を前提に選定が進んで、その政策決定がゆがめられたというような発言をされていましたけれども、この点についてはどのようにお考えになられますか。
(答)事実関係も含めて、これがどういう状況で、どうなっているのかについて、報道で知る限りの情報しか入ってきておりませんので、私の方から、今、コメントができる立場にはないということを強調しておきたいと思います。
(問)その中で、野党側の前川氏の証人喚問というものを求める構えですけれども、これについては、事実解明のために行うべきであるかどうかというのは、どうお考えでいらっしゃいますか。
(答)それは国会で議論をして、決めていただければ、それに粛々と従うというのが方針ではなかろうかと思います。
(問)共同通信の中田です。
 沖縄の出張なんですけれども、今回、初めて北部に行かれるということで、持ち帰りたい成果といいますか、どういったところを見ていきたいなというふうに思われていますでしょうか。
(答)まずは、交通の便ですね。今、高速道路の延伸計画も本部地域までが青写真として描かれているやに聞いておりますが、その先の北部をどう振興していくかも含め、やはり、これは交通政策が、まず一番、肝になってくるだろうと思いますから、先鞭調査をしていきたいと思います。
 それはまた、道路だけではなくて、ありとあらゆる公共交通のアクセスを手法として考え得ることはできないかについても、色々と関係の市町村長とも会いますから、御意見を賜ってまいりたいと思います。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 防犯カメラと防犯灯についてお伺いします。1次交付決定をした時に、市町村の方から要望があった台数と実際に整備する台数が異なったりとか、あと、防犯カメラを付ける場所の周辺住民に同意を得ていないなどの手続上の不手際などがあったんですけれども、今回、交付に当たって、そういうところの気を付けた点だったり、大臣として、この条例の、周辺住民からの同意を得ることについてどのようにお考えなのかというのをお願いします。
(答)交付決定後に市町村の事情により設置台数が変更される場合は、その状況を随時把握することとしております。また、予定された事業が実施されない場合においては、その未執行額の返還を求めるというのは、当然のことでございます。
 その前提で、今回の交付決定におきましては、事業者2社から防犯カメラ設置費用の見積もりを取った結果を踏まえ、防犯カメラ1台当たりの単価を60万円とさせていただき、その原価で計算させていただきました。
 結果として、台数が変わってくるということならば、返還請求も含め、然るべき措置を採られることになろうと思いますし、また、この市町村議会における承認手続等々の中で、入札を行った上、事業を実施することになるわけでございますが、その過程で、より高性能の仕様の防犯カメラ等を使うというような事態が起きた場合は、補助金交付決定の申請台数から変動することは当然あり得るものだと考えておりますので、事情を見ながら、各市町村と協議をし、常識的に進めたいと思います。
 今回、交付決定を行った37市町村中、5月15日時点では32市町村の台数を把握しているということでありますので、詳細は、事務局に問合せいただければと思います。
(問)朝日新聞の杉本と申します。
 冒頭の応用数理学会の国際会議、日本で開催されるという件なんですけれども、これが日本で開催されることによって、どういったことが期待されるというふうに思われますか。
(答)数学、私も詳しい方ではなかったんですが、この国際会議において、早い段階からCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の議員であります小谷元子先生でありますとか、その関係の方々から状況説明がありました。
 日本は、御存じのとおり、ものづくり大国であり、その基礎的インフラを支える数学、応用数理というものが、どれだけの役割を果たしているかについて、説明がありました。ここでそれを全て、つまびらかにできるほど、私も知見があるわけではありませんが、少なくとも、様々な分野で、数学という、その分野だけのものではないということはよく分かります。
 したがって、今回の会議の中で、まずは応用が利くような部分について、関係の方々にも広く興味を持ってもらい、そして、その成果について注目していただきたいと思っております。
 せっかく日本でやるわけですから、産業応用に向けた取組の部分で、日本の企業の皆さんや、数学を基礎にしたような産業の分野で働いておられる関係者の方々に是非参加していただきたいと思いますし、また、興味を持ってこれを注視していただくということが大切なのではなかろうかと考えています。
(問)科学新聞の中村です。
 今、ICIAMの話なんですけれども、応用数学で言うと、例えばAIの基礎的な理論とか、IoTだとか、あるいはサイバーセキュリティなんか、様々な部分に関係するかと思うんですけれども、日本開催をきっかけに例えば政府として何らかのキャンペーンとか、そういうことは考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)良い御指摘をいただきました。建設的提案として、それも是非考えたいと思います。イスラエルへ行かせていただいた時に、サイバーセキュリティの現場を見させていただきました。若い、まだ30代前半になろうかというぐらいのお年の方々がモニターの前でずっとにらめっこをして、何をしているのかなと思ったら、全部数式です、数理記号が並んでいる数式。セキュリティ大国と言われているものの第一線はこういうことなんだなということが分かりましたし、それだけでも我々の国で何をしなければいけないか、どういう努力をしなければいけないかということが分かりますから、その意識をまずは国民の皆さんに持っていただくということが大切なのではないか。現場の方は多分知っていらっしゃると思いますけれども、なかなか数学というと、何か数学の先生のイメージが余りに強いものですから、それだけのことではないんだということを、是非、私たちとしても啓蒙していきたいと思います。
(問)フジテレビの和田です。
 先程質問が出たので、ちょっとディテールの話ではないのですが、例の文科行政の話なのですが、例えば官邸の意向が、役所の副社長さんなのかどうなのか、意向が伝わっていくということは、そもそも中身にもよるとは思いますが、政策決定が歪められたということになるのかどうかという、ちょっと大味な質問で恐縮なんですが、お考えかどうかということが1点と、それから、辞めた事務方のトップが、あれだけお話しになるということって、これは逆に、そちらの分野、お詳しいと思うのですが、これは機密保持しなければいけないというようなことを、そういう観点から問題になるようなことはないのかどうか、ちょっと観点が違いますが、一般論的にお伺いしたいのですが、いかがでしょう。
(答)後半の部分は、そういう御指摘が無いのが不思議なぐらいで、それは機密と言っていいのかどうか分かりませんが、内容についてのこと、機微に触れることを、微に入り細に入り、それはどの分野でもあれ、ある程度、一定の抑制がかかっているのだということだと思います。したがいまして、今回の発言がどういう趣旨でなされたものかについては、これは個別具体的な話なので、コメントはいたしませんが、一般論としてはそういう制約は当然かかってくるのではないかと思います。
 あと前半は、もう正に大味な質問だとおっしゃいましたが、私もそれについてお答えができるほど、まだ状況が分かっていないんです。はっきり申し上げますが、調べる術もありませんし、調べる立場にもありません。したがいまして、推移を見守っているという状況でありますので、大変申し訳ありませんが、コメントはさせていただかないということです。
(問)おっしゃるとおりだと思うのですが、そもそも政治主導と言われる中で、政府のトップの意向が、これからの課題でもあると思うんですが、役所に伝わっていくということ自体が政策決定、それは具体的にどうだったかということももちろん、その中身にもよると思うんですが、それが例えば民間企業で例えるのもおかしいですが、ホールディングスのトップがグループ会社、トップの意向がグループ会社のナンバーツーなのか、ナンバースリーなのか分かりませんが、意向が伝わっていくというのは、民間だったら別に当たり前にあるようなことで、政府のトップの意向が行政に伝わっていくということイコール政策決定が歪められるということになるのかどうか、おっしゃるように中身の問題であるとも思いますが、必ずしも直結する問題ではないというような気もいたしましたので、お伺いをしたのですが、どうですか、別に詰めるつもりはないのですが。
(答)政策決定は多分、その過程の中でいろいろな要素が入ってくるのだろうと思うのですね。誰それさんに言われた、あるいは世論がこうであった、マスコミの報じ方がこうであろう、また、政治家であれば、選挙区の状況等々、そういう色々な要素が絡んで、そのご本人の政策決定意思につながっていくんだと思います。そういう一般論で言うならば、トップの意向がどうかということは一つの要素にはなることもあろうかと思いますが、ただ、これは繰り返し申し上げますが、一般論としてという前提で申し上げるのですけれども、その一つの要素であるということに過ぎないのではないかとも思います。最終的に決定をされ、意思決定をしたのであれば、その意思決定をした本人がやはりその全ての状況を勘案して、責任を持って、していくわけでありますから、その部分においては、色々なものの意思決定責任はその決定者にあると言わざるを得ないのだろうと思います。

(以上)