鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月19日

(平成29年5月19日(金) 9:28~9:49  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 本日、私からは三つの御報告をしたいと思います。
 まず一つ目は、「eガバメント閣僚会議」についてであります。本日、閣議前に、行政のIT化及び業務改革の関係閣僚により構成される「eガバメント閣僚会議」の第3回会合が開催されました。会議では、これまでの電子行政分野の取組の成果を共有するとともに、今後、「行政内部の情報連携による、住民票の写しや戸籍謄抄本の添付の原則不要化」、「行政手続のオンライン原則化」、「マイナポータルを活用したワンストップサービス」など、更に踏み込んだ改革を進めるため、政府一丸となって取り組むよう、菅官房長官から関係閣僚に対し、指示がありました。本日、議論した内容は、今後、開催するIT総合戦略本部において取りまとめを行う予定であります。詳細については、IT総合戦略室にお問合せをいただきたいと思います。
 二つ目は、沖縄出張についてでございます。国会の状況が許せば、本日午後から22日にかけて沖縄を訪問いたします。今回は、沖縄本島及び与那国島を訪問する予定であります。21日には与那国島で今回で4回目となる「島のゆんたく」を開催いたしまして、離島の住民の方々と率直に意見交換をさせていただく予定であります。離島の現状を把握し、今後の離島振興策へ反映させていきたいと考えております。
 三つ目は、北方領土隣接地域発見ツアーについてでございます。北方領土隣接地域の振興をこれまでも期してきたところでありますが、隣接地域の魅力を紹介するために、どのような取組が効果的かについて分析を行うための北方領土隣接地域発見ツアーについて、3月にも一度お知らせしておりましたけれども、お手元の資料のとおり、来週23日から25日に開催いたします。このツアーは、日本旅行業協会の協力の下、団体旅行及び教育旅行の関係業者の参加を得て訪問団を組織し、北海道庁及び隣接地域1市4町の協力を得て、現地のセールスポイントを聞くという、いわゆるファムトリップでございます。また、その結果を踏まえ、6月に根室市でシンポジウムを開催する予定にしております。1人でも多くの方に隣接地域に来ていただき、北方領土を目で見て、この問題について知っていただくことが何よりの近道であると考えておりますので、今後とも訪問客拡大へ向けた取組を進めていくつもりであります。詳細は、北方対策本部までお問合せをいただきたいと思います。
 私からは、以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 eガバメント閣僚会議について教えていただきたいんですが、電子政府でいうと自治体クラウドとか、自治体のオープンデータとか、そういうものによって行政コストの削減や、あるいはオープンデータによって新産業の創出とか期待されているんですけれども、なかなか自治体の方での取組が進んでいない部分もあると。
 そういうことに対して、政府として、もっと抜本的に進めるためにどのような取組をこれから考えていかれるのか教えてください。
(答)これは皆さんが共通認識として持っている一番の課題、障害になっている部分の一つだと認識をしております。ただ、それを抜本的に解決するとなると、制度上、あるいは恐らくは法律上等々のことの御示唆をいただいているのではないかと思いますが、現場で頑張っていらっしゃる方々が理解をしていただくことが一番近道なんだと思います。
 よく言われるのは、行政効率を上げるためにシステムを入れてしまうと、私どもの仕事がなくなるのではないかとか、今までやってきたとおりの方が楽で良いという方がいらっしゃるようでありますが、時代はAIなども進んでおりまして、その仕事自体の見直しが進んできている中で、一見サボタージュともとれるような発言がまかり通るような世の中ではもうないということの共通認識が進んでくることを、私たちは期待をしておりますし、好むと好まざるとに関わらず、そういう状況であることを丁寧に繰り返し繰り返し説明をしていくことが何よりの近道ではないかと考えているところであります。
 お答えになっているかどうか分かりませんが、抜本的な改革というのは、なかなか一刀両断にとはいきませんが、そういう努力を続けていくことで御理解をいただきたいとまずは思っております。
(問)北海道新聞の片岡と申します。
 ファムトリップについてお伺いします。先ほど、6月に根室でシンポジウムとありましたが、これは今回のファムトリップの分析といいますか、結果を根室で報告ということでしょうか。
(答)はい、そのとおりです。具体的なことについては、まだ詰め切れていませんが、私としては今回のファムトリップの結果を見て、どういうやり方があるのかについて、根室で会議をして進めますということではあまりに遅過ぎますから、むしろ、分析はしていただいた上、そこから次、何をするかの報告等々の会にできればと思っています。
 先日、関係者の方にも、非公式に来ていただいて、その意向は伝えましたので、是非、根室の会は注目をしておいていただきたいと思います。
(問)日露の関係で、先日、本年度最初のビザなし訪問が終わりました。国後島を訪れていた自由訪問団なんですけれども、予定していた場所、3箇所を入ることができませんでした。これについての大臣の受け止めと今後ロシア側に期待することをお願いします。
(答)今回は国後島の訪問を予定しており、5月16日は瀬石(せせき)、ニキシロ、古釜布(ふるかまっぷ)の市街地、そして5月17日は東沸(とうふつ)、古釜布の市街地を訪問する予定であったと聞いております。
 ロシア側で調整がつかず、訪問地に入れなかったと報告を受けておりますので、その裏に何があったのか、そしてまたどう対応するべきなのかについては、これから詳細を詰めていきたいと考えております。
 まずは元島民の方々の思いに寄り添えなかったことを残念であるという原点から、皆さんの御理解をいただけるような努力をさせていただくということであります。
(問)NHKの奥住です。
 北方領土に関連してお伺いします。北方領土への航空機を使った墓参について、6月18日で調整するという報道がありました。この事実関係を伺いたいのと、あと大臣御自身はこの墓参には参加したいというお考えはありますでしょうか。
(答)6月18日であるかどうかについては、何度も確認をいたしましたが、まだ決まっていないようです。これから調整するということであります。
 ただ、6月中という話が二、三の報道で出ておりましたので、私としても可能であればという意向は伝えました。ただ、冷静に考えてみれば、元島民の方々の利便に供することがまず第一でありますし、飛行機ですから、席数には限りがもちろんあります。私が行くことによって元島民の方々の墓参の数が減ってしまうようなことであってはいけないとも思っておりますので、席に余裕があればという前提で私も行かせていただくつもりでおります。
(問)話題変わるんですけれども、eガバメント閣僚会議についてお伺いします。
 大臣は、現在の電子行政の進み具合というのをどのように評価されているかということと、あと今後取組を進める上で何が必要になるとお考えでしょうか。
(答)先ほども御説明させていただきましたとおり、まずはその問題点としては、特に行政の皆さん、自治体の皆さんの方々の御理解をいただくということ、それから、それ以外にもeガバメントといっても、自治体とのやりとりだけではなくて、行政として、アクセスをいただく民間も含めた数多くの利害関係者の方々がいると思います。個人情報が漏れるのではないかとか、その管理をどうしているのか等々の不安にしっかり応えていくことは、IT部局の問題だけではなくて、政府全体として取り組んでいくべき問題であろうと思いますから、これらについては頻繁に、IT総合戦略本部等々の機会も捉まえて論じていきたいと思います。
(問)フジテレビの和田でございます。
 eガバメント閣僚会議なんですが、今日短かったようですが、そもそも何を話したのかということと、それからそれをIT戦略本部で取りまとめというお話がありましたが、取りまとめまでの手順と、いつごろ取りまとめるお考えかという2点をお聞かせください。
(答)本日、会議が短かったのは確かでございます。私も早口で司会をさせていただいて、相当急いで開催させていただきました。
 それでもそこに至るまでの努力は、後に何人かの関係閣僚から、よくここまでできたねとお褒めをいただくぐらいの内容でありました。先ほど、冒頭に少し申しましたが、幾つかのポイントがございます。また、それについては事務方からもしっかり説明をさせますが、ここに至るまでの間の努力と、そしてまずはよく周知を徹底していただいて、国民の皆さんの理解を得るという、ある意味マイルストーンが置かれたという理解をいただきたいと思います。
 それから、取りまとめですが、私としては、5月の末にIT戦略本部の開催を予定しておりますから、そこである程度めどは立ってくるんだろうと思っていますので、よろしくお願いいたします。
(問)琉球新報の當山と言います。
 沖縄の与那国町でICTを活用した通信高校の設置に向けて実証実験を実施するとの報道がありました。取組の現状と今回の沖縄訪問で与那国を訪れる日程が入っていますけれども、この件についてどの程度お話をされる予定なのか、お願いします。
(答)まずは、今回の訪問でその話題が出ないことはないと思いますし、何よりも主要な話題の一つだと私も認識しております。
 与那国の方々も大変これには期待をいただいていると聞いておりますから、私としてもしっかりやっていきたいと思います。
 それから、取組の状況ですけれども、お金があればすぐ進むというものでもないでしょうが、私たちとしては、しっかり予算確保をしていくということ、それから関係の方々の御協力を得るために、相当詰めた議論はもうできていると聞いていますから、すぐにでも、できるところからやらせていただきたいと思います。
 中身について何かお問合せがあるようであれば、いつでもお答えしますので、関係部局に問合せをいただければと思います。
(問)時事通信の中嶋です。
 eガバメントについてお聞きします。
 政府として行政手続のオンライン化を進めていくということでしたが、具体的にどのようなものがあるのか、戸籍や住民票のそういったオンライン化以外にです。例えば、確定申告のオンライン化、自動化ですとか、インターネット投票とか、そういったことって考えていらっしゃいますか。
(答)今のところ、これが話題にはなっていませんが、将来的にはあるんでしょうね。それこそさっきも言いましたとおり、国民の理解が進めば、幾らでもその裾野は広がっていくと思います。特に前者、今、御指摘いただいた納税辺りは、一部では実行に移っているようなところもありますから、安全性さえ確保できればですけれども、それがより進む形で、ということがあると思います。
 もう一つの投票については、これこそどうなんでしょう。皆さんがそれをやりたい、やるべきだ、そして、やれば効果があると、しっかりしたものが当然議論になっていくのでありましょうし、国として、政府として、これをやりますからついてきてくださいというわけにはいかない問題だろうと思いますので、是非、また皆さんのお力で国民的議論を巻き上げていただきたいと思います。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 先ほどの与那国の件についてお伺いします。大臣、人材育成というものに力を入れていらっしゃると思うんですけれども、この離島の島々では、高校に進学するために島を出るという「十五の春」というものが問題化していますが、今回改めてこの与那国に学校を設置するということの意義と、また、他の島々への波及効果についてはどのようにお考えかをお願いします。
(答)大変ありがたい質問です。全くそのとおりでありまして、「十五の春」を見た時に、私も、これは心痛む話だなと思いました。なおかつ、他の島への波及効果も正にそれを願っています。効果がなくてもという言い方をしては少し語弊がありますけれども、そういうチャンスを置いておく、いざとなれば、そういうものもありますよというチャンスがあることが、私は機会の平等に資するものではないかと思っておりますので、是非、これに積極的な御協力をいただき、関係の方々にも御努力いただいて裾野を広げていきたいと思っております。
 是非、効果等の検証、それから県民の声等々につぶさに耳を傾けていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
(問)日経新聞の猪俣です。
 昨日、開かれましたImPACT(革新的研究開発推進プログラム)の有識者会議の件なんですけれども、昨日、山川PMの案件に関する報道発表についてという内容で非公開で開かれたと思うんですけれども、そもそもどういう経緯、どういう判断があって昨日開くことにされたのかというのを教えてください。
(答)経緯等々についての報告があったと聞いていますが、御本人としては意図的にというか、故意に何かしたということはもちろんなかったと理解しております。
 以前、私もこの場で申し上げましたが、エビデンスのない研究結果なり、間違ったミスリードをするべきではないんだということは申し上げました。それを前提の上で聞いていただきたいんですが、このImPACTという制度は、御理解いただいていると思いますけれども、世の中を変え得る破壊的なイノベーションを企図して自由に研究し、そしてそれを発表し、それを社会に実装化していくということを目的にしております。
 そういう文脈の中で、目を剥(む)くようなとは言いませんが、相当インパクトのある研究も出てくるものであると理解をしておりますので、あまり出てきた結果の中身を、もちろん精査していくわけですけれども、御本人の研究が萎縮しない範囲で私たちとしてはしっかりと温かい目で見守っていきたいというのが基本的な態度であります。
 今後、山川PMからどういう御説明をしていただくのか、必要とあらば、我々もしっかり注視していきたいとは思いますけれども、今後の研究にそういった悪い効果の及ばない範囲でという限定を、是非、忘れてはいけないと考えております。
(問)これから検証するということではあるんですけれども、大臣として、どうあるべきだったとお考えか、御所見をお伺いできますでしょうか。
(答)今回、どこがいけなかったのかということの検証をすることよりも、検証結果のエビデンスがあって、しっかりとした研究であったかどうかということに注視するべきなんだと思います。
 ImPACTの研究は、全く質の違うものがそれぞれありますから、一つの型にはまったものを国が押しつけてしまうと自由な研究にならない。さっきも言ったImPACTの趣旨にもとるようなものになってしまう可能性があると私は考えておりますので、是非、御理解をいただき、また温かい目で見ていただければと思っています。
(問)一部の研究者の中では、管理の仕方というか、審査の仕方が曖昧で、極端な言い方をすると、ずさんだというような考え方の研究者の方もいらっしゃいますけれども、そういった方々に対して、どういう責任を示されるべきでしょうか。
(答)繰り返しになって恐縮ですが、責任問題をここで云々するつもりは今のところはございませんが、まずは外部専門家の方々がおっしゃっておられる意見を踏まえ、これから研究成果の公表の在り方等を検証したいと思っています。
 まず、この報道の指摘を受けて、これは良くなかったのではないかということになってしまうと、他の研究成果も同じような状況が生まれかねないとも限りませんから、今後、私たちとしては抑制的に、慎重に進めていきたいと考えています。

(以上)