鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月16日

(平成29年5月16日(火) 9:27~9:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私からは、2点御報告を申し上げたいと思います。
 まず、一つ目は「知的財産推進計画2017」の決定でございます。先程、閣議前でございますが、安倍総理出席の下、知的財産戦略本部会合を開催いたしまして、「知的財産推進計画2017」を決定いたしました。お手元に構成と本文を配布しております。第4次産業革命が加速し、異文化の技術やデータの結び付きが新たな価値を生む時代に、我々の経済活動や創造活動を支える知的財産は我が国の貴重な資源との認識の下、イノベーション創出、地方創生、文化創造を実現するための知財戦略を取りまとめました。ポイントは、「第4次産業革命の基盤となる知財システムの構築」、「知財の潜在力を活用した地方創生とイノベーションの推進」、「2020年とその先の日本を輝かせるコンテンツ力の強化」、等でございます。今後、計画を基に施策の具体化を図っていくとともに、政府一丸となって知財戦略を推進していくことをお誓い申し上げたいと思います。詳細につきましては、事務方からのブリーフィングを予定しております。
 それから、二つ目でございますが、「沖縄観光ステップアップ戦略2017」でございます。これは何かと言いますと、沖縄版アクションプラン、日本のインバウンドを1,000万人にしましょうといった時に私も自らその任にあった経験上、アクションプランを作りました。それの沖縄版を作ることによって、沖縄圏域に訪れられるインバウンドをより一層効率的に、そしてまた、1人当たりの消費単価等々、沖縄の景気浮揚にも資する形で観光を振興することができるのではないかという私なりの提案でございます。内閣府において、「沖縄観光ステップアップ戦略2017」を策定いたしました。策定に当たって、有識者へのヒアリングを行った上、(三つの)重点化アクションを選定しております。一つは、急増する大型化クルーズ船の受入環境整備に関するものでございまして、現在、特にバスやタクシーといった二次交通の不足が問題となっております。平良港を事例として、クルーズ船社と地域の観光関連事業者との連携を図る協議体を新たに設置し、二次交通対策を検討してまいります。もう一つは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としまして、スポーツ・ヘルスケアの成長産業化を図る取組であります。今後、新たに産学官の推進協議会を組成し、計画の具体化を図ってまいります。更に三つ目は、新たな体験型観光の開発・回遊性向上に向けた交通モードの多様化を図る取組であります。とりわけ、本島北部地域等では、やんばる国立公園の指定等により、観光資源としての価値が高まっておりますので、高速船や小型飛行機等を活用した交通モードの多様化を図る必要があると考えております。これは準備が整い次第、交通モードの多様化に興味・関心を持つ企業・機関を公募し、御意見や提案を伺いながら実証実験の実施に向けた検討を行おうと考えております。本日より、本戦略について広く国民の皆様の御意見を募集してまいりたいと思いますので、どしどし御応募をいただきたいと思います。詳細につきましては、事務方に聞いていただければと思います。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 知財とオープンサイエンスの関連についてお聞きしたいんですけれども、G7で今オープンサイエンスについての共通ルールづくりをしているかと思うんですけれども、その中では、論文のデータも含めて共通公開していくと。一方で、AIを始めとしたそういう研究分野では、基礎研究の成果がそのままビジネスになったりしますよね。そういう段階で、その辺の知財保護とオープンサイエンスという共通化・共用化のその切り分けというか、それをつなぐ共通のルールづくりというのは、今後どのようにお考えでしょうか。
(答)結論から申し上げまして、まだこれは慎重に検討を進めるという段階ではあります。公正な競争秩序を確保するため、不正にデータを取得し第三者に提供するなど、悪質な行為を禁止する不正競争防止法の見直しなども考えております。
 こうしたことを前提に私なりの個人的意見を申し上げますと、両方から様々な要望や要請をいただいていることを申し上げておかなければなりません。
 特に科学技術の分野の方々から、データ活用、利活用の促進がこの国の浮沈に関わる大変重要な問題であるということは強調されておりますし、その一方で、個人情報に関わる知財の重要性については、相当、皆さんが懸念をされているということも忘れてはならない論点であります。これらのバランスを取りながら、いかにして国民の納得のいく形で進めるかということでありますから、今後ますますこうしたことについての議論を深めていくことに尽きるんだろうと思います。
 ただ、手をこまねいているわけにもいきませんので、私としては、まずは問題提起をし、こういうやり方で、こういう方式でということを国民に広く問うていく形が適当なのではないか、批判は覚悟の上でやっていくのが適当なのではないかと思っております。
(問)もう一つお伺いしたいんですけれども、今日、科学技術イノベーション予算戦略会議があると思うのですけれども、以前の重点分野を決めた時、大体毎年3,000億円ぐらい増額しなきゃいけないという話があったんですけれども、ただ、シーリングの問題については何も言及されていないと。その辺をクリアしないと、なかなか年間3,000億円を増やしていくというのは難しいと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは相当、今も水面下で議論はずっと重ねております。財務省ともやりとりはさせていただいております。総体として大変難しいハードル、高いハードルがあるということは、正直吐露せねばなりません。各省からも今までどおりの予算の焼き直しになるようなもので、何となく増えましたと見えるようなものであってはならないということも言われておりますから、今、御指摘のような方策も含め、しっかり私たちとしては、3,000億円確保に向け、それこそ皆さんの応援をいただいて、国民的論争の議論の中で3,000億円確保を実現したいと思っております。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 ちょっと素朴な質問で恐縮なんですが、知財なんですが、私も関心を持っている割には不勉強だったんですが、議員の先生ですと、甘利先生辺りが相当昔から熱心にやってはおられたんですが、元々の発想は、例えば科学技術であっても、我々の関連のコンテンツのような分野でも、先進国でありながら、どうも遅れているなという辺りからスタートしていっていると思うんですが、この第4次産業革命の基盤となる知財システムの構築とありますが、大臣から御覧になって、第4次産業革命なるものを進めていく環境整備として一番大事な知財の整備というのは何とお考えでしょうか。
(答)もう一言で、ずばりビッグデータだと思います。AIの下になる様々なデータは、ともすると、見方によっては個人情報に抵触しないとも限らないものも含まれております。これらについて個人のアローアンスをいかにして組み込んでいくか、そしてまた、どこまでを個人情報というよりも不確定情報として、国民的コンセンサスの下で利活用を進めていくかといったことが非常に重要な問題になってくるのではないかと思います。
 また、個人と言いましても企業もありますから、こうした企業間のデータを取引するような素地も世界的には生まれつつあります。こうした大きな流れに私どもとして乗り遅れないように、しっかりと法整備を進めていく必要があるのではないかと問題意識を持っております。
(問)共同通信の中田と申します。
 話は変わるんですけれども、昨日、安倍総理がテレビ番組で憲法改正について国民投票を国政選挙と同時にやってもいいのではないかというような、その含みを持たせるような発言をなさいまして、あと、自衛隊の合憲・違憲という論争には終止符を打つというようなお話もなさっていたんですけれども、そこのことについての受け止めというかお考えについて伺えますでしょうか。
(答)私、その番組は残念ながら見ておりませんので、確定的なことは申し上げられませんが、恐らくは安倍総理も自ら積極的に発言なさったのではなくて、色々なやりとりの中で考えを整理されておっしゃられたのではないかと推測いたしますが、同日選挙という形でやることに官房長官もその後、答弁なさっておられるように、法的あるいは政治的な問題があるとは私も認識しておりません。
 ただ、この内容について、そこに至るまでの合意形成をどれだけ進められるか、これにかかっていると思いますから、私の個人的立場、思いはこの間申し上げたとおりでありますが、こうしたことを進められるように国会議員として努力もしたいと考えています。
(問)沖縄タイムスの上地です。
 現行の振興計画が残り5年となったことを受けて、昨日、沖縄県が21世紀ビジョンを子供の貧困やMICEによる産業誘致などを入れて改定しました。大臣、その内容を把握されていらっしゃるようでしたら評価をお願いします。
(答)一つ一つの問題というか論点に背景があり、様々な議論、そしてまた、それぞれの立場の方がいらっしゃるという中でありますから、全体として良いか悪いかということよりも、その個別論点について、しっかりつぶさに対応していくということが私の思いでございます。
 特に今、議論になっております西普天間跡地利用の問題と、それからMICE、これらについては、様々な議論があります。考え方の整理として大筋でこれを推進していくことにやぶさかではないんですけれども、西普天間のことについては、やはり沖縄県民の方々がこの利益を享受でき得るような、実感でき得るような仕組みをつくることが必要なことではないか。それから、MICEについては、毎年赤字が出てくるような計画を立ててはならない、沖縄の将来への負担になるような計画を立ててはならないということが、まず大前提なのではないかということは、繰返し沖縄当局とやりとりをしているところであります。
 その他の論点についても色々ございますが、また時間があればいつでもお答え申し上げますので、よろしくお願いいたします。
(問)共同通信の中田です。
 昨日、自民党の麻生派とか山東派などが合流することで合意をしたんですけれども、自民党員と言いますか、国会議員でもある鶴保大臣としての受け止めをお願いできますでしょうか。
(答)合流されて大きな政治的流れをつくっていかれるということでありますから、派閥と言いますか、そういうことを乗り越えて、自民党として闊達な議論がこれからより進むことを期待したいと思いますし、政策提言なり行動なりが活発になっていかれることを期待し、そして、それを自民党の活力、そしてまた、日本の政治の活力につなげていければと思っています。私も頑張りたいと思います。
(問)朝日新聞です。(永田記者)
 沖縄観光ステップアップ戦略について1点お伺いします。冒頭に大臣、本島北部地域への小型船の活用について言及があったと思うんですけれども、先日、一部報道のインタビューで菅官房長官もこのことについて触れていらっしゃいましたけれども、これの具体的な日程、スケジュール感というのは現時点でどこら辺まで詰められているんでしょうか。
(答)これが一番頭の悩ましいところでございまして、私が担当部局に、急いでくれと言っております。部局も県とのやりとりを相当急いでいるようでありますが、事業者の選定等様々な相手のあることですから、こちらが思うとおりにはなかなかいっていないという部分もあります。
 いつまでに、どういう形でということを、沖縄の皆さんとともにつくり上げていくことが重要なのではないかと思いますから、皆さんの方でも、色々な意味で応援を頂きたいし、マイルストーンを置いていくような作業をこれからしっかりとさせていただきたいと思っています。

(以上)