鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年4月28日

(平成29年4月28日(金) 9:32~9:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、2点。
 まず、イスラエル出張について御報告を申します。
 5月2日から6日にかけて、科学技術・宇宙・IT分野における協力等の推進のため、イスラエルに出張に行ってまいります。今回の訪問では、アクニス科学技術大臣と会談いたしまして、両国の科学技術・宇宙・IT政策について意見交換を行い、人材育成や関連ビジネス・産業の振興等の観点も踏まえながら、両国間の科学技術・宇宙・IT分野における協力の一層の推進を図ってまいります。
 次に、沖縄の子供の貧困緊急対策事業について、本年度の交付決定を行います。子供の貧困対策支援員の配置については、昨年度と比べて16人増加し、合計121人の見込みであります。また、子供の居場所の運営支援につきましても、昨年度と比べ、13箇所増加いたしまして、合計135箇所の見込みであります。
 例えば、石垣市においては、昨年度は1箇所だった子供の居場所を今年度は3箇所に増やす予定であります。実施に当たっては、支援員や居場所のスタッフの質の向上のため、期間が長く専門性の高い研修等を実施するとともに、学校等との連携強化のため、関係者への働きかけを強めていくこととしております。今、アンケート調査等を取りまして、中身についても、より深い精査をさせていただいているところでございます。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 二つ教えてください。一つはイスラエル出張についてなのですけれども、イスラエルは、ベンチャー創出については、とても世界的にも成功している国だと思うのですけれども、そういう中から、今度の出張でどういうことを学びたいのかというのが一つ。
 もう一つは、沖縄の国際医療拠点の報告書が出たと思うのですけれども、これ、バイオバンク、生物資源ライブラリー、感染症、こういうのでバイオ産業の振興の拠点にしようと。
 ただ、本気でこれをやるとなると、数百億円から一千億円くらいの規模の予算が必要になるかと思うのですけれども、今後の予算の見通しとか、例えば、次の夏の概算要求に向けてどういうふうに取り組んでいくのか、これについて教えてください。
(答)まず、イスラエル出張でございますが、正にそこが肝でございまして、今回も色々ないきさつがございました。まずは、我々、政策の目玉にしておりますベンチャーといいますか、新しい新産業の実装化、新技術の実装化、新産業の創出をいかにして進めていくかについて、参考になる国、最も進んでいる国はどこかという視点から、視察先を選ばせていただいた次第がございます。その意味において、アメリカのシリコンバレーも候補の一つではありましたが、残念ながらまだカウンターパートになる大臣も決まっていらっしゃらないということもありまして、イスラエルが、大変、今、御指摘のような状況にあるということ。複数の日本の民間の方々から、是非こちらへ行って、色々な方々と懇談することが有意義であるという御示唆もありましたので、今回は、特に政策面でのサポートをどういう形でしているか。死の谷やダーウィンの海等々を乗り越えていくためのサポートが、公的、民的の支援がどういうものがあるのか等々について、しっかりつぶさに見てこようと思っています。
 それからもう一つ、沖縄の話は、正にこれも御指摘のとおりであります。本格的にやるとなったらという話ではございますが、その本格的というのは、世界的なものを、世界レベルのものを目指さなければいけないという意味だと私は思っています。したがって、これも当然、官が全てをやるということだけではなくて、先ほど言いましたような、それを通じて実装化していくような企業、恩恵が及ぶような企業、新産業の創出につながっていくような分野の方々等々にも御参画をいただくことを念頭に置かなければいけないと思います。その呼び水となる予算については、でき得る限りの努力をしていくということだけは申し上げておきたいと思います。
(問)毎日新聞の酒造です。
 受精卵の改変について、国が主導で規制に乗り出す。CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の下に検討会を設けるという、読売新聞の報道について事実関係をお願いします。
(答)ヒト胚の取扱いに関する基本的な考え方というものについて、見直しを行うということを決定した事実はございません。検討体制についても、新たな組織をCSTI内に設置を決定したというものではありません。
 ただ、報道に則って言うならば、制限を設けず、これらを検討していくことが好ましいということは事実であります。
 我々としても国が責任を持って、しっかりと指導的立場に立ってやっていくという思いは変わらないということでございます。
(問)この問題については、学界と国で、どちらが主導的に規制を担うかということで、結構、もめている経緯がございますけれども、これはやはり国が責任を持ってということは、国主導で規制を決めていく方向だという、その方向性については間違いないということでよろしいのでしょうか。
(答)国が全てを決めるということでは、もちろんありません。やはり専門的、科学的な見地も知見も必要ですから。しかし、最終的な方針を決定していくべき主体となるのは、責任主体となるのはやはり公的な我々、国ではなかろうかと思っております。
(問)時事通信の平原と申します。
 沖縄の関係でお伺いします。
 うるま市で女性会社員が殺害されて、米軍属が逮捕された事件から、今日で1年となります。被害者の父親からは、基地があるがゆえに起こる事件だという手記も発表されているのですけれども、そうした思いに担当大臣としてどう応えていくか、お考えをお聞かせください。
(答)前回、この記者会見でも申し上げたと思いますが、許すまじき行為であり、到底看過できないという思いでありました。私が就任させていただいて以来、そのことがずっと念頭にありました。
 予算が通るまで、なかなか具体的な交付決定まで報告はできませんでしたけれども、どうすれば安心・安全な社会を取り戻すことができるか。また、米軍とのやりとりに、領土問題を担当している者ではありませんけれども、こうした安心を担保できるようなやりとりを、振興大臣としてできるのか、ずっと念頭にありました。
 一つは、前半の部分では青パトロールを充実強化すること、それから、今般、一部交付決定もさせていただきましたが、防犯灯・防犯カメラもしっかり地域に根付いていただくように努力するということ、特にうるま市については、45の市町村の中で、最もたくさんの予算が付いているはずでございます。
 したがいまして、これらについて御理解を得ながらしっかり皆さんの安心・安全が担保できるようにということを強調しておきたいと思います。
 米軍等々についての我々の立場を伝えていくということについては、折に触れやらせていただいているつもりであります。
 防衛省を通じ、あるいは外交ルートを通じ、私が個人的にお話しさせていただく機会もございましたし、何らかの形で一歩でも進められるように努力しておることは御理解を頂きたいと思っております。
(問)読売新聞の原です。
 昨日の日露首脳会談で、航路による墓参や船による出入域手続の増設についての合意がなされました。それについて北方対策を担当される大臣としての受け止めと、今後の対応について教えてください。
(答)正に総理も強調しておられるとおり、一歩前進と受け止めております。
 高齢化されておられる元島民の方々の身体的負担を考えますと、より簡便な墓参・往来が実現するであろうということを、私たちとしては歓迎しておきたいと思います。
 ただ、まだこれが第一歩と言われているとおり、私たちとしてはまだまだ引き続き平和条約の締結、完全なる領土問題の解決に向けてしっかりと努力していく思いでございます。

(以上)