鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年3月24日

(平成29年3月24日(金) 9:19~9:32  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、2点申し上げたいと思います。
 まず、一つ目は、「北方領土隣接地域発見ツアー」というものでございまして、北方領土の隣接地域への訪問客を拡大し、多くの方に関心を持っていただくため、来年度より「北方領土隣接地域キャンペーン」と題しまして、セールスポイントを聞くファムトリップ等々を開始いたしたいと思います。その地域の魅力を紹介するには、どのような取組が効果的かについて分析を行うため、日本旅行業協会(JATA)より協力をいただきまして、旅行業者の方々に地域の観光スポットを回っていただいて、現地の人々からセールスポイントを聞くファムトリップを実施したいと考えております。その結果を踏まえ、今後、地元のイベントとの連携も視野に入れたキャンペーンや、シンポジウムを順次実施する予定であります。具体的な内容につきましては、今後また検討を積み重ねてまいりたいと思いますので、1人でも多くの方に隣接地域に来ていただき、北方領土を目で見て、この問題について知っていただきたいと考えております。それが1点目であります。
 そして2点目。これは少し野心的な意味を込めて、今晩夜遅くに、東京外環自動車道で車線規制工事を実施するため稼働しているロード・ジッパーのシステムを視察してまいります。ロード・ジッパーと言われて、何のことかは多分お分かりにならないと思いますが、簡単に言うと中央分離帯のようなものを、トラックのようなものでダーっと走りまして、それを可動するんですね。車線を変えていくことができるという、今まで実験的に工事現場なんかで使われていたのですけれども、本格的に使うということが、日本で初めてやられるようなので、沖縄でやっているような渋滞対策、もちろん、全国的に渋滞の対策になります。皆さんも御存じのとおり、時間帯によっては車線を変えていったり、上り線だけ3車線にして、夕方になると逆車線を3車線にするとか、よくやっているようなやつがありますけれども、ああいう中央分離帯の車線変更のためのシステムを東京外環自動車道でやるということなので、夜間工事なものですから、夜の9時か10時かぐらいに、そこを見にいってこようと、そういう話であります。沖縄だけではなく、日本全体の新しいイノベーションですから、そんなものをどこかで応用ができないか等々について、考えていきたいという思いで見にいかせていただきますので、もし御興味のある方がいらっしゃれば、是非また御一緒いただければと思います。
 私の方からは、以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 昨日発売の「ネイチャー」で、日本の研究力がこれだけ下がっていて、このままいくと、世界トップの地位は失われるだろうというふうなことが言われているんですけれども、それについて大臣どのように受け止めていますでしょうか。
(答)問題意識は以前から申し上げておりますとおり、持っておるつもりであります。だからこそ、何をせねばならないかという意味において、(科学技術イノベーション)官民投資拡大イニシアティブを昨年の12月に取りまとめさせていただきましたけれども、その中でのやるべきラインが四つほど、粗々固まってまいりましたので、御報告しておきたいと思います。
 一つ目は予算編成プロセス改革として、御存じのとおり、これは平たく言うと、ちゃんと予算取りましょうと。これは財務省ともギリギリやっておりますけれども、各省庁の取組に関し、内閣府が追加的に事業費を抽出できる制度を設けるために、現在そのターゲット領域の検討も行わせていただいております。ターゲット領域を決めて、我が国のそれぞれの有識者の方々に意見を聞きながら、将来あるべき日本の社会において、この分野は特に科学技術の振興、イノベーションを進めていかなければいけないというようなところについては、呼び水として予算を大目に付けて、そのイノベーションが進むようにしていきましょうという意味の予算編成をやらせていただくと。
 次に、制度改革等々では、国立大学へ土地や株などの評価性資産を寄付する際の譲渡所得を非課税とする要件の緩和に向けた検討も進めることとしております。
 3番目として、イノベーションを進めるためには、やはり中小企業やベンチャーの力が必要であります。残念ながら、これらになかなか目が向いてこなかった。今ベンチャーキャピタル等々でアメリカのような状況にはなっておりませんので、これらベンチャーの支援、育成のためにも、公共調達等々では、まず一定割合あるいは目立った技術を持ったところは、特に調達に参加していただけるような仕組みを作ろうではないかというのが三つ目であります。
 四つ目は、この場で何回かお話をしておりますが、ニーズとシーズをくっつけるための、知遇のための出会いの場を作りたいと。ゆくゆくは民間の皆さんに御協力をいただいて、そんな場を作って盛り上げていきたいと思いますが、最初はいろんな方に声を掛けて、その場を作りますということだけは、国主導でやらせていただく。まずは、7月頃と今は目標にしておりますけれども、夏頃にそういうフォーラムの立ち上げを目指してこれをキックオフにして、毎年、毎期間、そういうフォーラムを盛り上げていきたいということを考えております。
 これらの取組についての詳細は、本日午後の「未来投資会議」でも説明させていただきたいと考えておりますので、是非また詳細を取材いただき、御意見も賜われればと考えております。
 そんなことを含めて、こうした日本の科学技術力の低下に対する懸念を少しでも食い止めていきたいと考えておりますので、よろしく御注視いただければと思います。
(問)今回、「ネイチャー」が世界に向けて、こういうことを発信したことで、例えば日本に留学するとか、日本に研究に来るという人にとっては、なかなか魅力が低下してしまうんじゃないかという懸念もあるかと思うんですけれども、そこら辺についてはどうお考えでしょうか。
(答)そう思うからこそ、いろんな改革をしておるのが、まず1点であります。
 それから、そうは言えども、私どもが世界の各国の要人とお話をさせていただいている限り、日本に対する科学技術への期待はものすごく大きなものがあります。現状で、我が国の科学技術力が大きく後退しているという認識ではありません。将来、その懸念があるということは否めない事実でありますけれども、そういう意味では、今のものをもっとブラッシュアップして、パワーアップしていけるような仕組みを、不断に努力していくことこそが何より肝要なのではないかと考えています。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 何かお約束事みたいで恐縮なんですが、昨日の証人喚問、どのような感想をお持ちかということと、喚問された御本人にはどんな印象を持たれましたでしょうか。
(答)私は所用で、その委員会の様子は画像では、実を言うと見ておりません。活字もしくは報告程度のことでありますので、あまり不確かなことを言うべきではないんですけれども、喚問されていろんなお話が出たようでありますが、雰囲気としては想定の範囲内だったのかなというふうにも思っています。
 あと、明確に何度も申し上げましたが、こちらの方もそんな事実はないということを申し上げているようでありますから、私ども内閣の一員として申し上げられるべきことは、総理を信じ、そして総理の言っていることが私は正しいんだろうと考えておりますので、今後の推移を注視していきたいということに尽きます。
(問)朝日新聞です。(山下記者)
 関連なのですが、野党側は国会側に昭恵夫人も呼んで話を聞くべきだというふうに主張していますが、これについては大臣、どうお考えでしょうか。
(答)そこまでの問題なのかなという気はしています。10万円だか100万円だか知りませんが、お金のやりとりがあったということなんでしょうから、そのことを証拠を持ってお話ができるのであれば、問題提起しておられるのは籠池さんの方でありますから、私は誰かからお金をもらいましたと言っていらっしゃる方が、あるいは渡しましたと言っていらっしゃる方が、まずは証明をするべきなのではないか。そんなことはなかったという説明は、委員会でも出ていましたけれども、これは悪魔の証明に近いものですから。こういうことがありましたという証明はやっぱり籠池さんの方でしっかりとされるべきなのではないかと思います。
(問)あと、各種の世論調査では、国民の多くが政府の説明が不十分だというふうに、これまで調査結果で出て、今見ているという結果が出ていましたが、昨日の喚問を受けて、この国民の持つ疑念というのはある程度払拭されたというふうにお考えでしょうか。
(答)まだ100%だと私は思いません。思いませんが、先程言いましたとおり、こういった一連の話の焦点はどこにあるのか、もう1回その原点に立ち返って考えるべきだと。何人かの政治関係の方々の名前も出ておりますが、格安のこういう払下げが一番の焦点でありますし、そのことの疑惑解明が、なぜか今は総理夫人とのやりとりに焦点が向いているような感じもしますから、その分が少し曖昧になっていることを私は懸念します。
 その払下げ問題について、どういう経緯で、誰がどういうプロセスを経てしてきたのかについて明らかになれば、国民はある程度の納得はしていただけるものだと思います。
 そこは完全なものだとは思っていません。

(以上)