鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年3月10日

(平成29年3月10日(金) 9:02~9:16  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、2点ございます。
 まず一つ目は、「特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本的な方針の一部変更」の閣議決定についてでございます。 本日の閣議で、「特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本的な方針の一部変更」が決定されました。この決定により、特定研発は研究開発に必要な物品や役務の調達を迅速かつ効果的に行える、新たな調達方式を導入します。具体的には、研究開発に必要な物品や役務について、500万円までの随意契約を可能といたします。他方で、不正防止の観点から、契約結果の事後確認を徹底するなど、ガバナンスの強化も併せて実施いたしたいと思います。世界最高水準の成果を創出することを期待するとともに、その導入結果を踏まえ、更なる改善や他の国立研発法人への横展開を視野に入れてまいりたいと思います。
 もう一つは、本日14時半より、「クールジャパン官民連携プラットフォーム」の平成28年度総会を開催いたします。本総会では、カドカワの川上社長、パナソニックの長榮会長や各省の政務の方々等に御出席いただくとともに、日本産品の海外展開に積極的に取り組む三越伊勢丹の横山執行役員、ゲーム業界の人材育成に尽力されているセガの松原常務取締役にも御講演をいただきます。設立から1年を経て、内外で多くのクールジャパンの発信を重ねるとともに、クールジャパン戦略の深化に取り組んでおり、官民・業種の垣根を越えたネットワークも広がっております。今回の総会を機に、また新たな気持ちで、官民一体となってクールジャパンを盛り上げていきたいと思いますので、どうぞ御注目をいただければと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 先ほどの閣議決定した特定研発の話なんですけれども、新しい競争入札制度の導入によって、どのような効果を期待されるのかというのが1点。
 もう一つは、他の研究開発法人への横展開なんですが、その見通しについて教えてください。
(答)まず、効果でございますが、これまで調達についての随意契約の上限額が低かったということもあって、自由なスピード感のある契約がなかなかしづらいという声が多くございました。
 大学を参考に、これを引き上げましたから、当然のごとく大学のように、より機動的に調達を行うことができるのではないかと考えておりますし、それにより、大学のように研究の成果をより迅速に得られるのではないかと考えております。
 他の国研への横展開は、特例随意契約の導入から2年後を目途に、効果を検証した後、横展開を図っていくという方針で進めています。
(問)日刊工業新聞の冨井です。
 8日に内閣府と欧州委員会の方で、準天超衛星に関する協定が締結されたと思うんですが、これに関して大臣として期待することと、あと、今後の海外とのこういった連携というのをどういうふうに考えられているのか、2点お願いします。
(答)これは私が以前、ヨーロッパ、ドイツとスイスへ行かせていただいた時に、特にドイツのDLRという宇宙科学の衛星分野の研究開発法人をお尋ねさせていただいた時に、ヨーロッパとの連携を密にしなければならないという問題意識を持って帰ってきたところでありました。
 準天頂衛星は御存じのとおり、測位の精度を飛躍的に上げる効果がございます。これをもって様々な自動運転等々の精度を上げていくことが期待されるわけでありますが、ヨーロッパと日本とは全く違う車を作るというのだったら別ですけれども、これは世界的に共通のプラットフォームがなければいけないというような思いもございます。
 したがって、精度もそうですし、どういった形式のものを使っていくかというようなことも、これから密に連絡を取り合って技術開発を進めていく必要があるのではないかと考えておりますので、今回の連携については大いに喜びとしたいところであります。
 今後、ますます複雑化、複層化していくものも多いと思いますから、横軸の意思疎通の闊達な議論ができるように、これらについて前広に、まずはそういうプラットフォームを作っておきたいという思いでございます。
(問)化学工業日報の伊地知と申します。
 明日3月11日は東日本大震災が起こった日です。改めて科学技術の重要性というのも、これは大臣の口からお話を聞かせていただければというふうに思います。
(答)自然災害の結果とはいえ、ここに大きな人間の営みが関与したことは否めない事実であります。我々としてはこうした災いが二度と起きないように、高度な、そして、より社会のためになる技術を一歩でも二歩でも進めるということを改めて明日、思いを新たにしたいと思います。
 今、御存じのとおり、原発の後処理について様々な関連分野に御協力を頂いて進めているわけでありますが、こうした分野においても科学技術の総結集が必要だと痛感しております。
 具体的には、以前も委員会等で申し上げたと思いますが、防災関連のロボット技術等々の開発に向けても、米国や様々な国との技術協定のようなものも水面下ではたくさん進めていただいていると聞いておりますから、我々としても世界を牽引するような科学技術大国を目指して、世界の平和と安全に大きく寄与する文化国家日本を作っていかなければいけないと考えています。
(問)読売新聞の伊藤と申します。
 3月7日に日本学術会議の安全保障と学術に関する検討委員会が、大学などでの軍事研究を否定する趣旨の声明案をまとめました。
 その後の委員長の記者会見では、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)において検討されていると思いますが、その安全保障に関する関わり方、これについても懸念を示すような御発言がありました。
 今回、その声明案を踏まえた大臣の御所見と、それが今後CSTIでのそういう安全保障分野での科学技術の対応を進めていく上で、どのような影響があるのか、現状その検討がどういうふうに進んでいるのかというところを教えていただけますでしょうか。
(答)まず、声明案についてでありますけれども、まだこれは4月の取りまとめまで固まったものではありませんから、この議論は冷静に注視していきたいと思いますが、先日、私も委員会に出させていただいた時申し上げたんですが、大西会長と懇談を持たせていただきました。本当にたくさんの科学技術者の方々が悩みながら議論しておられるということは、痛感を強く胸に落ちたところであります。
 もう何度も繰り返しになりますけれども、軍事と言われる部分と科学技術と言われる部分の切り分けがどこまでができるのか、厳密にどうすればそれを判断することが可能なのか等々についてのメルクマールも、これから議論をしていかなければならないところですし、そういう意味においてしっかりとした議論を、やはり国の方でも指導していかなければいけないのではないかと個人的には思っております。
 CSTIの方々も、そういう問題意識はお持ちだろうと思います。水面下でそういう検討会議なるものではありませんが、内々の思いを持ち寄って検討するというようなことを聞いておりますから、これらについても私どもとして何ができるかをしっかりこれから考えてやっていきたいと思います。
 今後、4月の取りまとめまでの間に私どもとして考え得るサポートがあれば、しっかりまた皆さんに御報告も申し上げていきたいと思います。
(問)共同通信の市川です。
 先週の会見で大臣も大変懸念をしているとおっしゃった、那覇空港第2滑走路の岩礁破砕許可の件で、昨日沖縄県が許可の更新を認めるという決定をしました。
 まず、これに関しての受止めと、あと、2020年3月の供用開始、ここを目指されていると思うんですけど、ここに変更はないかというか、今の見通しについてどう考えておられるかをお聞かせ願えればと思います。
(答)県の方々には、水面下で様々な接触を試み、状況報告を受けたりしておりました。ようやく再開されたことは大変喜ばしいことだと受け止めております。
 一生懸命、県の方も内部で事務的に努力をしていただいたとするわけでありますけれども、やはり期間が遅れたのは事実でありますし、また、新聞によってはこれが通常の審議期間であったと書いてあるものもあったようでありますけれども、遅れた事実に対して一刻も早くせねばならないという意識の中で、やはり県の協力がなければ進められないんだというその意識を共有していただいて、一日も早くという思いを持っていただくことが肝要なのではないかと思っております。
 この遅れた期間を取り戻していくためにも、我々としても最大限の努力をするつもりでありますけれども、県にもその意思を共有していただいて、より一層緊密な協力関係で進めていっていただきたいと思っています。
(問)NHKの奥住です。
 直接大臣の担当ではないんですけれども、昨日、務台政務官が辞任を(表明)されました。そのことの受止めをお聞かせいただきたいのと、また、今日は閣議で長坂政務官の就任が決まりました。長坂政務官に期待することをお聞かせください。
(答)務台さんは、これはコメントはしません。御本人が自分の申し上げたことの意味をゆっくり考えていただければと思います。
 長坂さんについては、個人的にはよく存じ上げませんが、過去に部会等々で様々な発言をされる姿を見ておりまして、とても前向きで積極的な方だと思います。
 今後、大いに国民の期待を失墜した部分を挽回すべく、頑張っていただきたいと思います。

(以上)