鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年2月21日

(平成29年2月21日(火) 9:26~9:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは1点御報告を申し上げたいと思います。
 以前からこの場でも、科学技術のあるべき姿について議論を重ねているという話をいたしましたが、シーズとニーズのマッチングのためにも、我々としては、これに何らかの手だてを打っていかなければいけないと。そのための、これはマッチング・フォーラムと今仮称で言っておきますけれども、そのイノベーターであるとか、コーディネーターであるとか、そういった方々の集いの場を是非とも作っていきたいということを御報告申し上げておきたいと思います。
 内外の有識者との意見交換や部局との議論を重ねて検討を進めてきました。このマッチングのためのフォーラムは、コーディネーターあるいはアクセラレーション、プロジェクトマネージメント等に従事されている方々が、組織や事業を超えて活発に人的なつながりを作り、そこがイノベーションを次々と生み出していくプラットフォームとなって、従来以上に柔軟で業際的な発想やコラボレーションが創造されるような新たなコミュニティの形成を目指すものであります。
 今後、皆さんの方からもより良い名前のアイデアを頂けたらと思いますが、そういうものを作ろうということであります。
 今後、今年7月をめどにキックオフの年次総会、またあるいはシンポジウムを開催する予定であります。ただ、そこに至るまでの間、準備会等々もさせていただきながら、逐次皆さんに御報告をさせていただき、また御協力をお願い申し上げる次第であります。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村と申します。
 これまでもコーディネーターとかのフォーラムのようなものはあったかと思うんですけれども、それと大きな違いというのはどういうことなのでしょうか。
(答)まず、ニーズ側の方、シーズ側の方が組織的にここへとにかくエントリーさえすれば、何とか解決の糸口が見えてくるというものを目指しております。したがって、今回はもちろん学識経験者、あるいは産業界という方々は当然のこと、現場で頑張っていらっしゃる中小企業や研究者、そしてまた金融界の皆さんにも是非ともそういうフォーラムには参加していただくということになろうかと思います。現在のところ、まだそこまで声掛かりはできておりませんけれども、そういう広い呼び掛けの中でやらせていただくということであります。
(問)そうすると、これは4月から第1回総会で提唱する具体的な内容について検討を始める。だから、その検討を進めながら声掛けをして広げていくというようなイメージ。
(答)ある程度走りながら考えていくところはありますけれども、現在のところ各役所、研究機関等々にはお話をさせていただき、内々の了解を得ているという状況であります。
(問)日刊工業新聞の冨井です。
 関連してなんですけど、このマッチング・フォーラムに関して、イメージとしては、例えば研究所と企業とかのニーズとシーズ、技術的な例えばニーズ、シーズというのを結びつけるマッチング商談会みたいなのがあると思うんですけど、そういうイメージでいいんでしょうか。
(答)それもあると思います。
(問)そういうのも。
(答)ええ、マッチングといっても、御存じのとおりシーズの研究段階をいかにニーズに結び付けるかは一つの一気通貫でできるものもあるかと思いますが、そうでないものもやっぱりあると思うんです。研究の中ではまだまだこれを育て、そしてその方向、こういう問題があるよということへの気付きがあって初めて研究がまたよりよく進んでいくというふうにもあろうかと思いますから、実際にやっていらっしゃる方々の話を聞いていると、幾つかの段階に分けてマッチングをした方がいいんじゃないかという声もあります。つまり、シーズが種だったとしたら、ちょっと例えがよくないかもしれませんが、芽が出るまで育てて、ある程度苗木になった段階でもう一段大きく育て、そしてそれにそぐうようなニーズを探してきて、それとマッチングさせるというようなやり方もあるというようなお話も聞いておりますから、そういう幾つかの段階に分けた考え方からすると、いきなり商談会だけがこのマッチング・フォーラムの全ての役割だということではなくて、それも一つの役割、そしてまた研究者サイド、研究サイド、シーズサイドに置いて様々なアクティビティを行うということも私たちの役割ではないかと考えています。
(問)商談会以外の取組で、例えばイメージしやすいもので、こういった取組をしたいというのがあればお願いします。
(答)まず、研究者の業際的な取組、自分の研究がこの研究と一緒になってこういうものを作れるかもしれないということについては、なかなか情報交換の場もありません。それは今までも研究分野の中ではずっと言われてきたことですし、そのために様々な努力が重ねられております。WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)なんかもそういう意味で様々な分野の統合の場を作ろうじゃないかという努力もしてこられました。それをもう少し有機的に、組織的に結び付けることができる場も必要なのではないかというふうにも思います。
 また、あるいは今までも産学の連携という形で大学側がいろいろな努力をしてこられ、大学側と地域の産業とが様々な意見交換をしてきていましたけれども、各大学ごとにあるそういった場を情報共有できる場がないのか等々もこれから考えていかなければいけないのではないかと、個人的にはそう思っています。
(問)化学工業日報の伊地知です。
 関連してなんですが、まさしくオープンイノベーションというのを促進するための起爆剤になるような組織かなという理解なんですが、やっぱり世界に打って出なければイノベーションというのは意味がないのかなという気がするんですが、例えば海外の企業とか外国研究者、こういうところ、オールジャパンというところを押さえつつも、そこのオープン的なものというのはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)大変重要な御指摘だと思います。我々としてもそこに至れるように、まずは努力をしたいと。目標、ニーズといっても、国内のニーズを満たすだけでは恐らくは全ての研究の明装化がなし得るまでにはならないというふうにも思いますし、また実装化の最も大切な部分で、ある程度実用化のめどが立った後も、そのマーケットの世界でちゃんとこれが二本足で立っていくようにするためには、日本国内の市場ではあまりに心もとないところもありますので、これはニーズの部分だけではなく、もちろんシーズの部分もそうですけれども、できる限り広い視野を持ってこれからやらなければならないと思います。
(問)具体的に、例えば会員のところの制限があるとかということだと思うんですけれども、外国企業とかそういうことも会員の要件に満たすようなことをお考えなんでしょうか。
(答)まだどういう資格というか、どういうものになっていくかは検討中でありますけれども、できればそういう知見を持った方々に様々な業態をお伺いして、でき得る限り広く、能力とやる気のある方には、もう皆さんに入っていただくようなものが好ましいのではないかと私は思います。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 全く事前に取材をしていないものですから、イメージをはっきりさせたいんですが、特に役所的発想だと、ちょっとフォーラムを開いてみて的な感じがあるんですが、これを少し前向きに見てみると、ちょっと話分かりやすくて恐縮ですが、産官学、それこそ婚活までいっちゃおうというような話なんですか。つまり、具体的な研究、あるいは具体的な実業もこれによって動いていくぐらいのつき方をさせようとしているのかということがまず基本的にあって、それを、例えば1年間で終わっちゃうということではなくて、永続的に、あるいはそんな長くなくても5年10年やっていこうという発想のものなのか。それから、総会というのがその規模なのかどうなのかよく分かりませんが、どのくらいの規模のものなのか、あるいは科学技術といってもどのくらいの幅でやろうとしているのか、全体のイメージが分かればありがたいんですが。
(答)最後の二つの質問については、これからの検討に委ねたいと思います。ただ、言えることは、官主導でというふうにおっしゃった和田さんのそのお考え方を否定するものではないんですけれども、まずは私たちが呼び水としてこの場を作っていきますと。最終的には運営主体も、それから運営の状況も中身も、民でやっていくべきなのではないかということを今のところ考えています。
 様々な形でファイナンスの問題であるとか、さっきおっしゃった婚活だけではなくて、結婚後もうまく仲良くそれがテイクオフしていくようにするためには、いつまでも官主導での場面であってはいけないと思いますので、そういう意味では、どうするのが一番適当なのか、常に動きながら業態が変わっていくような、そんなフォーラムができたらというのが今のところ理想と思っています。
(問)研究開発だけですと、官と研究者がメインということもあるんだと思うんですが、そうではなくて、例えば科学技術の先にある、それを実業なりに結びつけていくというところまで視野にきっと置こうとしているんだろうなという気がするんですが、ただ、当初は官がそういう枠組みを作っていかなきゃならないということはあると思うんですが、例えばそれを実業に結び付けていこう、あるいはマッチング、実際にこんな研究成果をこういう実業に生かしていこうみたいなことまで念頭に置くんだとするならば、どこかで主体になるものが変わらないといけないのかな、前へ進めていきにくいのかなという気もするんですが、その辺はいかがですか。
(答)おっしゃるとおりです。アメリカなどでは、いわゆるキャピタリストと大学側とのやりとりの中で様々なフェーズがあって、それが有機的にこれまでやってこられたというところも仄聞しております。その他の分野、そのほかの国々でもそれに似たような努力はされております。先程、脱線する形ではありましたけれども、ニーズとシーズを結び付けると言っても、いろいろな段階のものがあって、私たちとしてはそれを意識しながら、その段階ごとにいろいろなプレーヤーが出てきてくれ得るのではないか。問題は、そのプレーヤーというかコーディネーターなりアクセラレーターの方々の役割がそれぞれにあったとしても、そのつながりがあまりないわけです。ですから、その場こそ大切なのではないか。
 具体的に言うと、こういう技術をある程度見つけてきた。これはこういう技術、こういう実装化にそぐうのではないかという人がいた。この人とこの人がそのままコンサル的な役割を果たし、そして金融部門と結び付け、なおかつマーケティングをやってくれる能力のある方だったら、これは最高ですけれども、なかなかそういう人材が日本では育っていないという現状もありますから、こうした状況を打破するためにも、まずは業際的なそういうものを、いろいろなプレーヤーが有機的に連結するような、そんな場を作りたいというのが今回の趣旨であります。
(問)これは、その手順なんですけど、29年7月、今年7月をめどに第1回総会とあるんですが、それまでの間に、今、大臣おっしゃったようなことというのは、もう少し趣旨だとか、どういう形で具体化していくんだということは事務的に詰めていくんですか、それとも総会から初めて始まってくるんですか。
(答)いやいや、事務的にこれから詰めていきます。なおかつ、これも、予防線を張るわけではないんです。この7月の総会で全てまとまった形で、きれいな形でスタートというふうにはならないと思います。それも全てまずはキックオフするんだ。7月までの間に事務的に様々な努力をしていくんだ。そしてなおかつ、今こうして皆さんの前でお話をさせていただいているのは、業界横断的なもの、民間の力を何としても借りたい、そういう思いでありますから、これを是非とも国民運動にまで押し上げるぐらいのつもりで努力をしていくんだということを御理解いただきたいと思っています。
(問)最終的にどこまで行くのかということと、どのぐらいの期間をやっていくのかという辺りが見えてこないと、きっと民の方は参加しにくいですよね。
(答)まずは小さく走って、成功事例を幾つも作ること、私はそれに尽きると思います。

(以上)