鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年2月17日

(平成29年2月17日(金) 9:28~9:47  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは2点発言させていただきます。
 まずは、沖縄でのバスの自動運転の実証実験でございます。後ほどプレスリリースを配布いたしますが、昨年12月26日の会見でお話をさせていただきました、沖縄でのバス自動運転実証実験の関係で、その後、進捗がありましたので、御報告を申し上げたいと思います。同実証実験は、沖縄振興と科学技術政策を担当している私のイニシアチブにより、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において、地域のコミュニティバス等の自動運転を想定しまして、来月から沖縄県南城市の公道で実施する予定でございます。このような本格的な公共バスへの導入に向けた実証実験は全国初の取組であります。これまで内閣府の関係部局において、検討、調整を進めてまいりましたが、この度、3月20日から実験を開始することになりました。また、実証実験の模様はインターネットで中継もさせていただく予定でございますので、是非御覧いただければと思います。また、昨日、官邸で開催されました未来投資会議で私から発表させていただきましたけれども、2020年までの完全自動運転の市場化・サービス化の実現に向け、ドライバーによる運転を前提としたこれまでの交通関連法規の大幅な見直しが課題と認識しております。このため、総理の指示にもあるように、IT総合戦略本部を司令塔として、2017年度中を目途に、完全自動運転実現のための政府全体の制度整備の方針、大綱を取りまとめてまいりたいと思います。詳細につきましては、各部局にお問合せいただければと思います。
 これがまず1点目でありまして、2点目は、この週末18日から19日にかけて沖縄を訪問いたします。今回は宮古島を訪問いたします。大型クルーズ船の受入環境整備が進められている平良港等の各種施設を視察させていただき、また18日の夕刻には、石垣島でも開催しました「島のゆんたく」を宮古でも開催させていただきたいと思います。なお、この「島のゆんたく」で、まだ今準備中ではありますけれども、ネットでやりとりができるようなものをこれから考えていきたいと思いますので、その時に実証実験等々ができればというふうにも考えます。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 未来投資会議の完全自動運転実現に向けた大綱の策定なんですけれども、2017年といっても一応1年もあるものですから、いつ頃をめどに考えていらっしゃるでしょうか。
(答)大綱は、2017年度を目途にとありますから、役所的には来年の3月になってしまうんですけれど、思いは一緒でありまして、大綱が進んでなければその先は進まないという内容のものであるならば、できる限り早くさせていただきたいと思いますし、形として出てくる前に様々な議論は戦略本部でも進んでくるでしょうから、その都度折に触れ皆さんに報告したいと思います。
(問)メインというか大きなテーマになるのは、ドライバーを前提としない法体系がメインになるかと思うんですが、これもIT本部の中でまず議論していくという感じで。
(答)先程申しましたとおり、そこまでいくには様々な法制度の整備も必要です。レベル3の自動運転であれば、ある程度はグリップできるんですけれども、レベル4の部分についてはそうなってくるだろうと思いますから、それはIT戦略本部でやらせていただくという意味であります。
(問)朝日新聞の竹石です。よろしくお願いします。
 大小四つ伺いたいんですけれども、一つは、先般、アメリカの科学アカデミー(NAS)の方でゲノム編集に関する新しい報告、最終報告という形でまとまりました。まず大臣、その受止めを教えていただけますでしょうか。
(答)これは内閣府として、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの方で生命倫理専門調査会というものがございまして、アメリカのアカデミーと軌を一にするぐらいかなり議論を重ねていただいております。その結果を見て、皆さんに御報告申し上げたいと思いますが、正に今議論の最中だということを御理解いただきたいと思います。
(問)受止めはそれですか。
(答)はい。このゲノムの編集技術が疾病の分野で目覚ましい成果を与えていることは否めないことでありますから、そういう意味においてゲノム編集技術そのものを否定するわけには到底いきません。しかし、それが使われ方によっては、やはり社会的認知を入れるかどうかについて、私たちも、このどの部分に線引きをしていくか、かなり難しい専門的な話もありますから、その議論を待ちたいということであります。
(問)今大臣がおっしゃられたのは病気の分野、これからだと思いますけれども、まだ基礎医学の部分だと思いますけれども、二つ目にお伺いしたいのは、もう大分前になりますが、去年の4月に生命倫理専調の方で中間取りまとめというのがありまして、その中でも、今回の報告よりは少し前の段階でのNASの報告を受けてのものになりますけれども、原山委員長の下でガバナンスというものが大事だという話もされていました。その当時は、法律とか指針とかそういった規制も踏まえて、ゆくゆくは考えなければならないだろうと。ただ、それには時間がかかるので、暫定的に学界主導のものを作っていくというのも一つ案だろうというふうになっていたと思います。それに沿った形で現在、学界主導のものが検討されていると思うんですけれども、その点について二つ伺いたいのは、そこの場でどうやって国がガバナンスを発揮していくのかということと、ゆくゆくは法律とか指針というのも必要だという認識がその当時あったわけですけれども、その議論は残念ながら厚労省、文科省においても進んでいませんし、逆に言えば、内閣府の方でも何も言わないので、別に今やらなくてもいいんじゃないという空気が漂っております。そういう中で、内閣府としては、今後どのような形で文科、厚労と調整を進めていくのか、どのような方針で進めていくのか、教えていただけますでしょうか。
(答)この話は大変難しい問題だと思うんです。理想論を言うと、内閣府を始めとする政府が国民の理解を得つつ、完全に国民の総意を呈して法律なり指針をしっかりと示し、そして、それが国民的コンセンサスの下で守られていくというのが一番の理想ではあります。ただ、今回の問題だけではなく他の分野でもそうですけれども、疾病を治したいとか様々な要望に応えたいという考え方や意見もあって、規制というわけにいかない部分もやはりあるんだろうと思います。また、方針や指針を示したところで、それが規制という形、法律という形でしっかりしたものに制度としてビルトインをするまでにはいかないものが多いのではないかと思います。したがいまして、内閣府として、だから手をこまねいて議論をして、それで終わりにしようというのではなくて、少なくとも今できること、考え方、そしてあるべき姿についてはしっかりとした指針、方針なりは議論の末、示していきたいと思いますが、それがこの国の全ての総意を呈しているものだと言える、そういう法律という形になるかどうかはまだ未定だと理解いただければと思います。
(問)3点目に移る前に、今の件で言いますと、未定だということは、可能性としては残っているということでよろしいんでしょうか。
(答)もちろん、議論によっては。
(問)代理出産の時も何度も議論をして、いろいろな場で報告書を出されながら法律には結びついていないということはあると思うんですけれども、一方で、ああいった議論の中で周知が進んできたという現実もあると思います。法律には至らなかったけれども、一般の方に「代理出産」という言葉を言った時に、どういうものなのかということがイメージがつくようになったという、そういう意味での効果はあったと思うんですけれども、今後、もう一つNASが提案している市民の対話というところ、若しくは透明性の担保というところで、そういった開かれた議論が必要だと思うんですけれども、大臣も開かれた場は必要だというふうにお思いになるのか、そういった場を担保するためにも、法律や指針が最終的にどうなるか分からないけれども、今の生命倫理専調よりも開かれた場でそういった現在のゲノム編集であるとか、ゲノム編集が、いい面、悪い面両方あると思いますけれども、持つのかということを、代理出産の時のように広く議論していく場を新たに設けると、そういう御予定はありますでしょうか。
(答)どういう形になるにせよ、できる限り広い国民的コンセンサスを得る努力は必要だと思います。
(問)それも含めて省内で検討されるということでしょうか。
(答)そうです。どんなやり方が最もあるべき姿なのかも含めて検討したいと思います。
(問)最後に1点、中間取りまとめの段階では大きな穴があかないように、大きな穴をあけるためにこの中間取りまとめがあるわけではなくて、変な形で大きな穴があかないように、変な形で穴があいていかないように、ある意味ブレーキをかけながら進めていくということが大事だと、ブレーキに主眼を置かれたものが中間取りまとめだったと思うんですけれども、その点が若干その後、合同研究委員会とかいろいろな議論の中で、多分事務的なものを詰めていると、どうしても開くところに作業が行っちゃうので、何となくそっちへ空気が行っちゃっているような気もするんですけれども、改めて、要するに、現段階においては、穴があかないようにするために中間取りまとめがあるという認識でよろしいのかどうか、大臣の受止めをお聞かせいただければと思います。
(答)これはあくまでまだ議論の最中ですから、私の個人的見解ということで御理解いただきたいと思いますが、価値判断ありきの議論というのはやはり危険だと私は思っています。穴があかないようにするためとおっしゃいましたけれども、そのための議論であれば、やはり当然縮小的、抑制的になっていきますから、そうではなくて、科学技術者が集まって議論を虚心坦懐にする以上、どこからの線引きがそれに当たり、そしてそのことについての議論は、国民的意見を聞きながらしていただくというのが理想ではないかと思っています。
(問)もう長くなるので最後にしますけど、そうすると、中間取りまとめでは委員の先生方からも、これは抑制的にすべきだというところが科学者の先生方を中心とする意見の中で出てきたわけですけれども、そこの議論もあまり踏まえない方がいいということでしょうか。
(答)その議論を今やっていただいている、抑制的にするという方針を固めたわけではないというふうに私は報告を受けていますから、またそれを見ていただければと思います。
(問)それはどこから報告を受けているんですか。
(答)いやいや、正にその議論を今やっているというところです。抑制的にすべきだというのは、それこそどこから出てきた話なのかという。
(問)それは中間取りまとめに書かれています。
(答)いや、抑制的にすべきなのは、どの部分なのかということが大事なんです。国民的理解を得られないものに対しては抑制的にすべきだ。それは当たり前なんです。しかし、国民的理解を得られない科学技術のどの部分なのかみたいな議論はまだこれからですから、結論から言うと、まだ価値基準、価値判断ありきのゲノム編集全体に対しての在り方を示したものではないと私は理解しておりますし、またそれを理解いただければ。
(問)進めればいいというものでもないということですね、逆に言えば。
(答)そうです。
(問)琉球新報、池田です。
 宮古島の訪問に関連してなんですけれども、先日、大臣、石垣島の方を訪問された際に、人材育成を図るための専修学校の展開ということに言及されていたと思うんですけれども、これは恐らくインターネットをつないだサテライトの学校なりの展開のことも検討に上がっているのかなとは思われるんですけれども、今回、宮古島の訪問ということなんですが、改めて離島における専修学校とか学校、大学でもこういうインターネットをつないだサテライトの人材育成とか、そういったところの検討状況とか、あと、こうした離島における人材育成の意義というのを改めてお聞かせ願えますか。
(答)まず、その前提として、この話が学校ありきとか、教育の押しつけと言っては言い過ぎかもしれませんが、その施設を作ることが目的であってはならないと思います。ずっと申し上げていますように、教育の機会ができる限り均等にあって、貧困の連鎖を是非とも断ち切りたいという思いに資する形が何なのかという一環でサテライト授業なんかも考えられるんではないかということを申し上げたつもりであります。
 したがいまして、その中身について、例えばサテライト授業をするにしても、その地域で何が求められているかは多分微妙に違うんだろうと思うんです。石垣なんかでも、畜産農家の子弟が、畜産に関わる基礎技術を学びたいといった時に、北海道や山形にわざわざ出ていって研修をしているというような話を聞いたことがありますけれども、そういった面での、例えば座学の部分だけでも先にできないのかとか、その中身については、その地域によってニーズが違うんだとすれば、その地域において、ゆんたくのようなところも含めて、どういうものが必要かをやはり地元の方々、行政なんかも巻き込んで議論をしていった上進めるのが筋ではないかと私は思っておりますので、意義としてはそんな思いだということを理解をしていただければと思います。
(問)検討の進捗とか、どういったところで動き出そうとしているのか、方向性としてはどうなんですか。
(答)今ちょうど、あるところで集まっていただいて、そんなことができないのか、関係の民間企業なんかにもお願いするべきところがあるかを議論していただいております。あくまで内閣府ができる部分においては、さっきも言いましたとおり、私たちがやりますからついてきなさいでは話になりませんから、地元の方々を巻き込んだ形にしていきたい。民間の力もかりながらやっていきたいと考えています。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 先程発表された沖縄でのバスの自動運転の実証実験なんですが、全国で初めてということ自体がメッセージでもあるんでしょうけれども、特に沖縄県民の方々に向けて、沖縄振興担当としてメッセージがおありになれば一言お願いします。
(答)ありがとうございます。是非とも申し上げたかったのは、沖縄でやらせていただくからには、沖縄が最先端の交通システムを持ち得るようなものにしていければと思います。そして、それがひいては全国の過疎、地方の村々で交通弱者と言われている方々の一助に、救いになるような、そんなモデルケースを作ることを目標としております。
 また、加えて沖縄には大変な渋滞の深刻化が予測されておりますから、そのことの回避も重要な任務。そのためにも自動運転というツールをできる限り早く実用化して実行化したいという思いであります。是非御協力をいただきたい。

(以上)