鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年12月22日

(平成28年12月22日(木) 10:01~10:28  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見)

1.発言要旨


 私の方からは、4点ほど申し上げたいと思います。
 まず第1点目は、沖縄振興予算に関わる話でございます。先ほど、平成29年度予算案が閣議決定されました。沖縄振興予算案については3,150億円を計上したところであります。これは前年度予算と比べて200億円の減額ではありますが、従来の方針のとおり、3,000億円台の予算を確保することができました。厳しい財政状況の中の折衝ではありましたが、沖縄振興を進める上で必要な予算はしっかりと確保することができたと考えております。今回の予算案では、特に、新規で要求していた、県内の産業を支える人材の育成等を行うための産業イノベーション創出事業や、厳しい自然的条件に置かれている離島を支援する離島活性化推進事業などについて所要額を計上しております。また、沖縄の深刻な交通渋滞への取組を進めるため、新たに計上した経費があります。公共交通の活性化を図りつつ、住民にも観光客にも利用しやすく魅力的な交通環境の創造に向け、自動運転などの最先端技術も活用した戦略的な展開を図る調査に関わる経費であります。これらの予算を活用することによって、貧困の連鎖を断ち切って、沖縄県民の方々が真に暮らしの豊かさを実感できるよう、沖縄担当大臣として沖縄振興策を一歩も二歩も進めてまいる所存であります。予算額の詳細について、事務方からブリーフィングを行う予定ですので、その際には、詳細をお問合せいただければと思います。
 二つ目、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)と経済財政諮問会議の合同会議についてでございます。昨日21日、CSTIと経済財政諮問会議の合同会議が開催されまして、研究開発の「官民投資拡大イニシアティブ」の最終報告、国の研究開発評価に関する大綱的指針の改訂等、またノーベル賞受賞者の大隅教授のプレゼンを含めた基礎研究の振興、という三つの議題について議論させていただきました。イニシアティブの最終報告では、CSTIの司令塔機能を強化し、官民投資を拡大するため、新型推進費を創設し、民間投資誘発効果の高い領域に施策誘導いたします「予算編成プロセス改革」、二つ目として産業界からの投資拡大のための大学改革などの「制度改革」、また三つ目としてはPDCAサイクルの確立や政策効果の見える化を進める「エビデンス構築」という三つのアクションが示されました。また、基礎研究の振興については、有識者議員の声明を発表したところ、イノベーションの源泉である基礎研究を推進するため、国としてしっかりと投資を拡大することが重要であるということを訴えさせていただきました。総理の指示を踏まえ、私が先頭に立ってイニシアティブの具体化や基礎研究の振興にしっかりと取り組んでまいる所存であります。
 三つ目でございます。宇宙に関わる話、イプシロンロケット2号機に関わるジオスペース探査衛星「あらせ」が打ち上げ成功いたしました。イプシロンロケットは、我が国独自の固体燃料ロケット技術を継承し即応性などの優れた能力を有する基幹ロケットでありまして、今般の打ち上げが成功したことは、我が国輸送システムの自立性確保の観点から意義深いものであると思います。これによって、宇宙科学分野における世界的に優れた成果創出を期待するものであります。今後も引き続き宇宙基本計画を着実に推進してまいりたいと思います。
 最後、四つ目でございます。IT予算に関わる御報告でございます。 平成29年度のIT関連予算につきましては、「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき、政府CIOによるヒアリングを中心に、IT総合戦略室と財務省主計局が緊密に連携しつつ、府省庁のIT関連施策を評価し、予算案に反映いたしました。また、当該予算の執行に当たっては、従来の府省庁の縦割りや重複を排除することは極めて重要であるとの認識から、特に2点、一つ目はIoTを活用した「おもてなし」施策や人材育成施策、テレワーク施策については、関係府省庁で緊密に連携し、一元的に執行すること、また二つ目といたしましては、医療・介護等の分野において横断的なデータベース連携や互換性の確保に努めること、などについて関係府省庁に対し、文書で要請してまいりました。詳細は、IT総合戦略室にお問い合わせいただきたいと思います。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今日で、今年最後の閣議だったわけですけれども、就任から今日まで振り返っての御感想というか、御所見等をお聞かせいただければと思います。
(答)いろいろなことがありまして、部局の方からもそういう質問が出た時に忘れていることがたくさんあるのではないかと言って、一覧表をまとめていただきました。これは、読むだけでも大変な量になりますので、総合して科学技術に関することで、特に私が思い出深いのは、やはり宇宙2法が成立して、今回のイプシロンも打ち上げができたように、宇宙関連産業の夜明けが進んだことは、大変感慨深いものがありました。
 これによって宇宙関連産業のみならず、裾野産業も大きく広がっていってくれるのではないか。それがまた科学技術振興に向けて、国民の理解も含めた振興につながっていくのではないかと大いに期待しているところであります。
 また、予算等についても、いろいろな評価はおありだろうと思いますが、どこに問題点があるのか、そしてまたこれから何をしていかなければならないのか、どういうものを目指していくのか、ということについては、部局と本当に闊達な議論をさせていただいた自負はあります。
 少なくとも、今後、各部局が目指すべき粗々の目標みたいなものは、出来上がりつつあるのではないかと思いますので、来年以降、執行も含め、皆さんには、適宜、良い御報告ができるようにしていきたいと思っています。
(問)その予算の話が出たので、例えば宇宙予算とか、科学技術予算、今回の仕上がりについて、どのように思っておられるでしょうか。
(答)予算全体は、先ほど申しましたとおりでございます。これから中身について、量だけではなく質についても、しっかり議論していかなければいけない、国民の理解を得ながらやっていかなければならないということは論をまたないわけであります。
 したがいまして、何度も申し上げておりますが、基礎研究の分野においても、ある程度の選択と集中も必要であろうと思いますし、どうすれば効率的な、そしてなおかつ実効的な実のある研究に向けてできるかについても、仕組み等々を考えていかなければならないと思います。
 この場でも、今年1年何度も申し上げてまいりましたが、そういう意味でのエビデンスベースの政策を立案するためにもエビデンスをしっかりと集めていく必要もあると思いますので、それらについて出来上がっていないものもまだありますけれども、その準備にかかっていることだけは申し上げておきたいと思います。
(問)琉球新報、池田です。
 2点お伺いさせてください。まず沖縄関係予算なのですけれども、今回は一括交付金の減額分がかなり大きな要因になったのかなという形はするのですが、その中で繰越率や不用額の多さというのが指摘されてきていますけれども、執行率自体は年々県としても改善していっているような部分もあったりするのですけれども、この一括交付金というこの仕組みの在り方について、大臣は今どうお考えなのかということをお聞かせ願いたいです。
(答)県が自主的に様々な予算を組み、そして事業を計画していけるという意味では、大変意義深いものであると思いますが、その一方で、それが精緻に積み上げていくことを阻害している部分が全くないのかと思うところもあります。
 これから不断にこの予算の在り方も含め、県当局や市町村の皆さんと闊達な議論を進めていきたいと思いますし、また、いかねばならない時期が来ているのではないかとも思っています。
 一括の交付金が真に県民・市民の生活に、豊かさの実感を与えることができるようなものになっていくために、どうあるべきなのかということについては、これからも虚心坦懐に議論を続けていくべきだというのが私の感想であります。
(問)もう1点お聞かせください。先ほど大臣コメントにはなかったのですけれども、うるま市の米軍属による事件を受けて、前の大臣から取り組んでいることだと思うのですけれども、防犯カメラの設置と街路灯の設置という部分も新規事業として盛り込まれていると思うのですけれども、この意義について大臣はどうお考えですか。
(答)これはもう御案内のとおり、沖縄については、これから観光も増え、そして人口もどんどん増えております。なおかつ、米軍基地関連の不幸な事件等々もあり、いろいろな防犯ニーズというのは高まりを見せていると思います。
 今、通称「青パト」を回遊していただいているようでありますが、これらも踏まえて、より効率的、実効的に何ができるかということを考えた上、しっかり町村や地域の方々との対話の結果、おおむねこうした防犯カメラや街路灯の設置について、要望が高かったと理解しておりますので、私たちとしては積極的に進めていきたいという思いから、新規で予算を付けさせていただきました。
(問)朝日新聞です。
 沖縄の振興予算について伺いたいと思います。
 最終的に、概算要求の額に近付ける形で、やや積み増したのかなという印象も受けるのですが、ここのところ、辺野古をめぐる最高裁の判決やオスプレイの事故など、沖縄側にとっては厳しい事態が続いていたのですが、そこら辺も踏まえて一定の配慮をされたと理解できるのでしょうか。
(答)基地問題と振興額は、ここでも申し上げましたが、リンクしているものではありませんので、そういう趣旨に取られては多少、的の外れたところになってまいります。
 ただ、沖縄県当局とも話をさせていただく中で、様々な要望があるのは事実であります。我々としても、その対話、例えば渋滞対策でありますとか、こうしたことについて、しっかりやっていく予算を確保できているかということを自己点検した結果、これが増額になったということでありますので、より沖縄の方々に喜んでもらえるような予算に、満点ではないにしても、近付いているのだという思いを理解していただきたいということをお伝えしたいと思います。
(問)関連でもう1点なのですが、政府として約束している3,000億円台ということで言いますと、より概算要求の3,210億円に近付ける形での決着になったのですが、これについては大臣として、どういう判断があったとお考えでしょうか。
(答)3,000億円台は確保している上で、当然出来る限り、概算要求どおりのものとなるように努力するというのは私たちの思いですから、それ以上でも、それ以下でもないということであります。
(問)時事通信の田中です。
 予算の関係なのですが、先ほど沖縄予算について精緻に積み上げているところがあるかどうかと思うというようなお話がありましたが、今回の予算を見ると、新規事業として、離島の振興と、あと産業イノベーション創出、この2点付いていますが、一括交付金という形ではなくて、国として自ら目的を付けてやる予算を新しく付けたということで、これはそういうふうに考え方を今、進めているというふうに受け止めてよろしいのでしょうか。
(答)御質問の趣旨が正確に把握できていませんが、私が申し上げたのは、今の仕組みの中で精緻に積上げができるようになっているかということについては、いささか疑問があるということなのです。
 御案内のとおり不用額や繰越額があるという事実をもって、減額せざるを得ない部分というのはやはりこれはあります。しかし、それが沖縄県の県当局の皆さんや、またその周辺の方々の努力不足でこうなったのかと言われると、それはそうではないかもしれません。したがって、私たちとしては、この仕組みが、より精緻なものになっていくように努力していくべきだと私は申し上げたつもりであります。
 したがって、今回、いろいろな離島振興だとか、そういったことについても、我々としては、より実効性のあるものになるように、地元の皆さんとも対話を続けていきたいと思っています。
(問)その二つの新規事業なのですが、いずれも一括交付金の交付要綱の中でカバーできる分野だと思います。それをあえて取り出して事業化したのは、どういった狙いがあるのでしょうか。
(答)やることは一緒です。より精緻に対話していくことができるようになっていけばという思い、それから、今回、離島の振興についても、市町村の方からも要望がかなり高い事業でありますから、こうした声にしっかり応えていくということを念頭に置いて、こうした形にさせていただいたということであります。
(問)1点、別で。今朝、官房長官のところに入られて、他に防衛大臣と外務大臣、あと国交大臣が入りまして、沖縄関係閣僚会議かなと思うのですが、これはどういった案件だったのでしょうか。
(答)12月20日に最高裁の判断が出ました。不作為の違法確認訴訟に関し国勝訴との判決が確定したことを受け、会議を開催したということであります。
 最高裁判決を踏まえて、国の今後の対応について協議を行いましたが、協議の詳細については、後ほど官房長官が定例会見において対応するということで一任しておりますので、この場では、言及は差し控えさせていただきたいと思います。
(問)沖縄タイムスの比嘉と申します。
 少し細かい話になってしまうのですけれども、ソフトの一括交付金の繰越率の計算方法で、内閣府と財務省の方では異なる考えがあったようなのですけれども、それについて何かございますか。
(答)一括交付金、ソフトね。
(問)はい。ソフトの繰越率の計算方法で、内閣府は、県内における国庫支出金事業との比較をしていたんですけれども、財務省は全国との比較をしておりました。これに対して何かありますか。
(答)繰越額の減額については、昨今の厳しい財政状況があったものですから、相当喧々諤々の議論があったのは事実であります。ただ、ソフト交付金というのが、他県に類を見ない、例を見ない沖縄独自の制度であるということは、もう御存じのとおりであって、そのことに着目して、これまで沖縄県のデータを勘案して、概算要求をしてまいりましたけれども、全国のデータを勘案すべきというのは、厳しい財政状況の中ですから、こうしたことで繰越額が恒常的に生じているのであれば、それは看過することができないという指摘も踏まえ、査定案も同様の考え方に立ったと御理解をいただきたいと思います。
(問)(琉球新報・池田記者)
 別件なんですけれども、本日、米軍の北部訓練場の返還式典が執り行われますけれども、返還される東村とか国頭村は、世界自然遺産に登録とか、返還された部分でやっていきたいというところもあると思うんですが、大臣として、この北部訓練場の返還というのが、沖縄振興にどう役に立っていくのかというところをお聞かせください。
(答)訓練場自体が返還されることは大いに歓迎すべきことだと私は認識しております。振興額と基地問題はリンクをしませんが、振興策とは大いに関連性があるものですから、私たちとしてはしっかりこれを注視して、より一層返還が続いていけるように努力をするべきなのではないかと思っております。
 今回、北部訓練場の返還式典も、私は欠席をしますが、国県民の大いなる歓迎の意を持って、大成功に終わっていただくことを期待しております。
(問)沖縄タイムス、石川です。
 沖縄関係予算の件について、改めてお伺いしたいんですけれども、大臣は常々、総額にこだわることなく、政策に総力を挙げて取り組みたいというお話をされていましたけれども、今回、予算の反映されていないところで、総力を挙げて取り組みたいこと、今後、どういったことをお考えになられているかというのを、もしあればお聞かせください。
(答)まだ反映されていないとはっきり決まったわけではもちろんないんですが、これから財務当局とも断続的に折衝していかなければならないと自ら心に決めておるのは、人材育成の分野であります。これは、これまでの仕組み上、財務当局とのやり取りができかねる部分もありましたので、例えば、全国的な給付型奨学金の制度が、ほぼ策定されつつありますから、こうした制度設計を受けて、沖縄にどういった奨学金制度を適用することができ得るか、そしてまた、その対応について、在りようについて、考えていくべきなのではないかと思っております。何度も繰り返していますが、県民の一人一人が豊かさを享受できるようにするために、就職であるとか、職業訓練であるとか、あるいは就学であるとか、こうしたことに貧困のゆえにそれができない、無知のゆえにそれがなし得ないというような不幸な状態は絶対に断ち切っていかなければならないと強い決意を持っております。
(問)大臣、もう一点。就任以来意欲を示されている県内の交通渋滞の解消に向けた取組で、今回、3億円の調査費が付きました。具体的に自動運転など最先端技術も活用した戦略的な取組をということをおっしゃっているんですけれども、調査として、他にそれ以外、どういったことを考えているのかということと、あと今回、この交通渋滞対策に取り組もうと思った何かきっかけ、沖縄の方にも何度も行かれて、もしかしたら渋滞に巻き込まれたかなとか、そういった感情的な面も含めて、どういう視点から取り組もうと思ったのかというのを改めてお聞かせ願いますでしょうか。
(答)もちろん最後に言われたとおり、何度も渋滞に巻き込まれました。なおかつ私も、観光の分野やその仕事をさせていただく中で、観光関係者ともお付き合いもありましたから、そのことについては苦情といいますか、陳情は大変引きも切らずあったのも事実であります。ただ、それだけではなくて、やはりこれから沖縄という地域に新たなイノベーションを起こしていこう、そしてまた新たな雇用を生み出していこうといった時に、観光もしかり、また、物流もしかり、こうしたことの本当に基礎的なインフラとして道路整備、これは今、道路だけではもちろんありません、交通整備ですね、が喫緊の課題であるというのは、もう誰が見ても論をまたないわけでありますから、そこはしっかりと、十分ではないにしても、スタートを切っていきたいというのが今回の思いであります。
 調査については、いろいろ議論もあって、その中で出てきた話もありますが、具体的には今のところビッグデータを活用した効率的な渋滞対策案の立案でありますとか、IoTを活用した交通情報やバス利用等の情報提供手法の検討でありますとか、あるいは観光地にふさわしい道路景観の実現方策の検討でありますとか、こういったことを前向きに。多分、他府県でまだそんなにやっていないと思うので、先進的な事例を沖縄でやれればとちょっと野心的に考えております。そのための調査であります。
(問)科学新聞の中村です。
 昨日の大隅先生の訪問とかいろいろあって、基礎研究の重要性を大臣、以前からおっしゃっているんですけれども、と同時に、先ほどの発言でもあったようにPDCAを回していくために、エビデンスをしっかりしていこうと。ただ、一方、基礎研究でいえば、例えば今、内閣府でやっているImPACTの山本プロジェクトで量子ニューラルネットワークを作りましたけれども、それの最初の基礎となった論文は1980年代の物理の論文なんですよね。例えば、白川先生がノーベル賞を取った時も、当時やっていたときは誰も注目されなかったと。そういう普通のPDCAで評価されないような基礎研究の振興と、あと大臣がやろうとしているエビデンスベースに基づいたそういう科学技術振興と、どういうふうにリンクするのか、そこら辺を教えていただければと思います。
(答)大変、難しい質問です。科学的にこれだけのものがこういう効率的なものが出来上がるということが証明できれば、これに越したことはないんですけれども、基礎研究の重要性をいろいろな方からお話をお伺いする中で、その重要性というのはどこにあるかというと、結局のところ、出口を決めるなということなんですね。研究しながら、あっちへ行き、こっちへ行き、そして、本当にどこへ、どんなものが出来上がってくるか分からない、でも、ただただ探究をすることの喜びの中で研究をし続けてきたことの結果、今があるんですよという話を基礎研究で成功された学者の多くの方々は言われます。それをサポートしていく体制というのは、結論ありき、こういう結果が出るか出ないかということで、なかなか否定し得ない問題ではないかと思います。
 ただ、冒頭、私が申し上げたのは、ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、そのための仕組み作りはできるのではないか。昨日も大隅教授とお話をした時に、皆さん(の中で)いらっしゃった方もいらっしゃると思いますが、闊達な議論を横串でできるような、そんな場があることが、私の個人的なモチベーション維持につながっていったという趣旨の発言があったように記憶しております。これはすごく重要なことを示唆されているのではないか。それぞれの研究室ベースで孤独に地道に積み上げて、基礎研究を黙々と、蒸し蒸しとやっていくというイメージがありがちですけれども、そうではなくて、そのブレイクスルーをするために多くの方々を巻き込んで、闊達な議論をしていく中で、大きなものが出来上がっていくということを、私たちは一つの資産にしていきたいと思います。そうしたことも含めて、そういうことができ得る仕組みを作った時こそ、もっと良いものが出来上がっていくというエビデンスを、私たちは作り得るのではないかと思っています。

(以上)