鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年11月29日

(平成28年11月29日(火) 10:29~10:42  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは3点申し上げます。
 まず一つ目は、シンガポール出張についてであります。11月26日土曜日から27日日曜日までの日程でシンガポールを訪問いたしました。日本アニメの発信イベントとしては、東南アジア最大級の「アニメ・フェスティバル・アジア」に参加するとともに、この機会を活用いたしましてビジネスセミナーを開催いたしました。ビジネスセミナーでは、シンガポール企業と日本企業との協働による日本コンテンツを活用したビジネス展開を後押ししてまいりました。「アニメ・フェスティバル・アジア」では、現地のアニメファンの方々に対し、アニメを通じて、地方を含む日本の魅力をアピールさせていただきました。また、グレース・フー文化・地域・青年大臣との会談では、今後の両国間での文化に関する連携の可能性などについて、有意義な意見交換を行うことができました。その他、シンガポール科学技術研究庁が管轄する複合型研究開発拠点の「フュージョノポリス」において、科学技術における産業創出などについての意見交換を行うとともに、nuTonomy(ヌートノミー)社の自動運転タクシーの実証実験車にも試乗させていただき、実用化に向けた取組についての説明を受けました。 今回の出張では、日本のコンテンツが海外で持つ力を再認識するとともに、日本・シンガポール外交関係樹立50周年に当たる今年、両国の文化関係・経済関係の強化につながる取組を行うことができたと自負しております。今後とも官民協働、各省庁とも連携をしながら、クールジャパン戦略に取り組んでまいりたいと思います。
 二つ目でございますが、沖縄の道路渋滞対策について、昨日、有識者懇の安里座長、有住副座長より、懇談会としての中間取りまとめを頂きました。この提言では、ハード整備のみならず、ソフト対策、県民意識まで踏み込んだ多岐にわたる内容が盛り込まれております。沖縄の新たな交通環境の実現に向けた出発点になると思います。まずは現地の沖縄総合事務局が中心となって、しっかりフォローアップ体制を構築し、御提言いただいた事項について、IT技術なども積極的に活用しながら、実効性ある対策を進めてまいりたいと思います。とりわけ地域の公共システムの再編・活性化は重要であり、自動運転技術を活用したバスの社会実験を今年度中にも実施いたしまして、沖縄が地方創生の先進モデルとなるよう取組を進めてまいりたいと思います。
 三つ目、最後でありますが、北方対策でございます。2点報告をさせていただきます。1点目は、今週木曜日の12月1日に北方領土返還要求中央アピール行動が行われます。北方担当大臣として日比谷公園大音楽堂で開催されるアピール行進の出発式に参加し、元島民などの参加者の皆様を激励したいと考えております。2点目は、お手元にお配りしておりますが、北方領土問題に関する缶バッジの配布であります。先日(11月8日)の閣議後記者会見において、平成28年度北方領土に関する標語・キャッチコピーの最優秀賞について報告いたしたところでありますが、この度、事務方に指示をさせていただき、この標語を入れた缶バッジをお手元のとおり作製し、全国で一般の方向けに配布することといたしました。皆さんにも是非御関心の向きに広めていっていただけると幸いであります。いずれも詳細は内閣府北方対策本部までお問合せいただければと思います。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 シンガポール出張で、シンガポール科学技術庁、「A*STAR」の拠点に行かれ、様々意見交換をされたかと思うんですけれども、向こうのダイナミックな科学技術イノベーション政策を見てきて、大臣としてどんなことを学ばれたのか、また日本の科学技術イノベーション政策にどういうふうに生かしたいのか、そこら辺について教えてください。
(答)まず、正直な感想を率直に申し上げますと、悩んでいる部分については共有するものが多いと思いました。先方も民生化のためにいろいろな努力を今されかけていると言っていいと思うんですけれども、成功する事例もそう数は多くないようにも承りました。ただ、不断の努力を繰り返しやっておられるということには私たちは敬意を表さねばならんところだと思います。
 ただ、感想として申し上げるならば、我が国は、かの国と違って基礎研究の分野においては一日の長があると、大いなる進歩がこちらの方にはあると、アドバンテージがあると感じました。そのことの強みは相当やはり大きなものになっていると思います。ともすると、話を聞く限りの印象でありますけれども、短期的に結果を示さなきゃならないというシンガポール政府の姿勢に、なかなか限界めいたものもあるのかなというふうには思います。私たちにいろいろなものを国内で研究する底力があるということが、中長期的にはこちらに大きなアドバンテージをもたらすのではないかというふうには思いました。
(問)日刊工業新聞の冨井です。
 先程のシンガポールの件に関連して、日本とシンガポールで共通して悩んでいる部分というのは、例えば具体的にどういったところなんでしょうか。
(答)新しい産業創出のためにベンチャーを立ち上げたいという努力は、かの国も同じようにそのベンチャーの施設を「A*STAR」のすぐそばに造って、そこに誘致して優遇的な措置を講じており、当然そこにベンチャーキャピタルを入れ、いろいろなことをしておるようですけれども、まずどこにニーズがあって、そこにどれだけの可能性があるのか等々、コーディネーター役になる方も政府自らやっておられるようです。そこは私どもも今悩んでいるところですけれども、目覚ましい、こうすればいいんだというような結論めいたものを、感じることではなかったようにも思いました。
 あと、民間企業に働きかけて問題点を抽出するような作業も、政府としてしておられるようでありますが、それがどこまで実効性を持ってやっておられるのか、今一つ私どもとしては測りかねるところもあったようにも思います。日本の場合はたくさんの民間企業がございますから、これら全てにおいてヒアリングをし、そしてそれに対しての答を出していくということは、果たして現実的なのか、どこまでできるかというところもあったようにも思います。ただ、採算度外視と言ってはなんですけれども、かの国では相当微に入り細に入りのサポートをしておるということもありました。また具体的には事務方から聞いていただければと思いますけれども、そういうサポート体制の在りようについては、私たちも参考にできる部分はたくさんあるというふうにも思っております。
(問)琉球新報、池田です。
 先程、渋滞対策のお話があったと思うんですけれども、内閣府として今年度、沖縄の方で自動走行運転技術を活用した公共バスの実験を年度内にするというような目標を立てて取り組まれていると思うんですけれども、先程、シンガポール出張の件でも自動運転タクシーの実証実験を見られたというようなお話もありましたし、昨日も全国知事会の懇談会の中でも、大臣として公共バスの関連に言及されていたと思うんですが、スケジュール感、何か固まったものがあればということと、次年度予算も近付いてきますけれども、どういった形で予算計上を更に進めていくのかどうなのかも含めてお聞かせください。
(答)スケジュール感については、以前御報告したところからまだ具体的に詰めている部分はありません。ただ、私が今やらせていただかなければならないと思っておるところは、沖縄問題と科学技術の分野が、ともすると連携がとれていないところもあるようにも思いますから、私どもの方でこれはこっちでこういう動きになっているから沖縄部局にはそれを前提にしたモーションを起こしてくれないと困るよ、あるいは科学部局には、こっちはこれほど期待をしてこういう場所まで決まっているので、こういう状況になってもらわないと困るよというスピード感も合わせ、しっかりそのかじ取りをしていかなければいかんだろうというふうには思っております。
 このことについて、やっぱり我々だけでできるものでもありません。もちろん沖縄県当局に対しても、しっかりとした御理解をいただきながら進めたいと思っておりますので、こうしたことも我々の仕事かなと思います。
(問)もう1点お聞かせください。
 税制の議論が大詰めを迎えつつありますけれども、沖縄関係税制、9項目全て(自民党税制調査会)小委員会で「○×」で判断されることになってきますが、大臣として今後どう働きかけていくのか。明日にも「○×審議」があるというような話になっていますけれども、税制に関するお考えを少しお聞かせください。
(答)基本的には、県なり、県民の皆さんの御要望に沿った形で私たちとしては働き掛けたいと思っております。その働き掛けの中で、様々な問題点があれば、もちろんそれをフィードバックしてもう一度練り直していかなければいかん場面もあるかもしれませんけれども、基本的にはそういうことだと御理解いただければと思います。
(問)沖縄タイムス、石川です。
 昨日、沖縄県の翁長知事が、米軍北部訓練場の過半の返還の条件となっているヘリパッド移設に関して、苦渋の選択だということで事実上容認する発言をいたしました。大臣の直接の所管ではないんですけれども、受止めと、今後の沖縄振興への影響についてどうお考えになられているかというのをお聞かせください。
(答)私の直接の所管ではありませんので、それに対するコメントも、大変申し訳ないですけれども、大したことは申し上げられません。
 発言の詳細を私も承知しておりませんので、まず言えないということもありますけれども、もし翁長知事が沖縄振興のために決断をというか、そういう発言をなさったというお気持ちであるならば、私たちとしては歓迎をしたいと思います。
 私たちとして考え得ることは、振興を一歩も二歩も進めるということのみでありますから、そのために県とも連携をとって、これからやらせていただきたいと考えています。

(以上)