鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年11月1日

(平成28年11月1日(火) 9:25~9:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、まず、昨日、北方領土返還に関する政府要請が官邸において行われましたが、その際にも北海道知事の方からも言及がありましたように、北方領土隣接地域の交流人口を増やすための協議会、正式には「北方領土隣接地域への訪問客拡大に向けた振興方策の検討会議」を立ち上げることにいたしました。明日10時半から開催させていただきたいと思います。会議には、北海道庁に加え、隣接地域の根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町からも御参加をいただきたいと思います。隣接地域における観光客誘致のための取組などについてまずは御報告をいただき、今後何度かこの会合を重ねたいと考えております。
 それから、沖縄出張をさせていただきました。皆様も御案内のとおり、昨日まで第6回世界のウチナーンチュ大会が沖縄で開催されておりました。閉会式で挨拶もさせていただきまして、その前後に子供の貧困対策や北部振興事業の現場を視察させていただいたほか、県内人材育成の観点から、工業高等専門学校の視察や沖縄県下の専修学校関係者の方々との意見交換をさせていただきました。各種産業の中核を担う人材の育成が極めて重要であると改めて実感いたしましたし、今回、IT関連企業も視察させていただきましたが、ITの分野によっては、人材確保に大変苦労しているといった話も聞かせていただきました。これらのことに対してしっかりと手だてを打っていかなければと思っております。今回また、沖縄の貧困対策のためにNPOの活動をしておられる方々や、南風原町のキッズクラブという学童保育に似た作業をしておられる方々との交歓をさせていただき、今回の視察を踏まえて貧困対策により一層力を尽くさねばと考えております。
 それから、科学技術関連でありますが、まず、本日の閣議(閣僚懇談会)で、テレワーク・リモートアクセス環境整備の推進について、IT総合戦略室、内閣人事局、総務省行政評価局が連名で実施をしております「国家公務員の働き方改革を推進するためのテレワーク・リモートアクセス環境整備の実態調査」結果について発言させていただきました。政府一丸となって取り組む必要があると考えております。
 それから、産学官連携功労者懇談会を開催させていただきました。これは、この席で皆さんから御指摘があった件であります。いろんな産学官の連携功労者の表彰などもさせていただいておりますけれども、これらのフォローアップ、レビューがなされていないという指摘もありましたので、これらについて、先週の(10月)28日に産学官連携功労者表彰の歴代の受賞者の中から4名をお招きし、懇談会を開催させていただきました。表彰制度をより良いものにしていくためには、受賞者が受賞後にどうなったか、フォローアップをする必要を感じ、いろんなお話を聞かせていただきましたが、私も個人的に大変勉強になりました。今後この懇談会、必要とあらば二度、三度目を開かせていただきたいと思いますが、一番聞かねばならないのは、この表彰に出て、このフォローアップの席に出て来られなくなってしまっているような事例というのが多少あるようなことも言っておりますので、そういった方々の声をできるだけ拾えるようにして、連携功労者で表彰を受けたにもかかわらず産業として離陸できなかった部分の問題がどこにあるのかをしっかり検証し対応していかねばならないと考えております。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今の産学官連携功労者との懇談会なんですけれども、その中で特に印象を受けた話とかそういうものがあれば教えてください。
(答)また改めてしっかりとした報告を出させていただきますが、一番大きかったのはというと、私はあそこでも質問させていただきましたが、シーズとニーズをどうマッチングさせるのかについての苦労をいろいろ聞かせていただいた記憶があります。こういう問題があるから、それに対応できるような学や官の協力を仰ぐ作業に入ったのか、あるいはこういう方とお付き合いがあるから、そのお付き合いのある方との間の中でこの社内のこういう問題が解決できるんではないかと動き出したのか、これは大きく意味が違いますので、どちらですかという話を聞かせていただいて、後者の方が近いという話はしておられましたが、ケース・バイ・ケースだということであります。したがって、これらについて我々としても、できればニーズに対して対応ができるような仕組みというのが本来はいいというふうにも思いますので、そういう仕組みを作りたいと思っています。
(問)またちょっと話変わるんですけれども、今のテレワークの話なんですけれども、一つは、調査報告書を見ると、(対前年度比)3倍になったけれども、1,592人で6,841人日、要するに、1人平均4日ぐらいなものしかテレワークを取れていない。この実態について、大臣としてはどのように思われるでしょうか。
(答)基本的に働き方を選ばれるのは公務員御本人の問題だろうと思いますが、多様な選択肢を提供するというところまでは必要なことなんだろうと。したがって、今の数字を見て多い少ない、これはコメントのしようがありません。その選択をする環境整備をすることによってそれが増えるかもしれませんし、また逆に、そういうことならば無理に取らなくてもいいやと思って減る可能性だってないわけではないので、そういう考えを持っております。
(問)それに関連して、例えばカナダなんかですと、大体、研究所や大学で女性研究者が妊娠、出産、子育て、そういうことをするためにテレワークなんかが一般的に使われているんですけれども、日本の大学や研究機関ではそういうのがどうなっているのかというのを大臣として把握されているのかと、今後、女性研究者活躍のためにそこら辺の環境整備についてはどのようにお考えなのかを教えてください。
(答)テレワークという大きな括りの中で、今回は国家公務員に関する働き方改革ということですから、限定されていましたけれども、テレワーク全体の考え方としては、いろんな応用範囲が広がるのではないかと思います。
 したがって、例えば今回、沖縄へ行かせていただいて、ITの関連企業を見せていただいた時も、これは私も意外だったんですけれども、本当に東京でしかできないと思われるような先進技術を、沖縄で人材を育成し集めて仕事をしておられるんですね。東京の企業だけをクライアントにしながら仕事をしているという話でした。
 そういうビジネスモデルが成り立つのは、正にテレワークなんですよ。インターネット環境がすごく整備されて、常時、画像がつながっているテレビ会議がすぐにいつでもできると。東京からボタンを押せば、沖縄のスタッフたちが集まってくる姿なんかを見せていただきましたから。そういう状況がいろんな働き方を可能にしていると改めて思いましたので、カナダの例を引き出すまでもなく、、もちろんセキュリティとかいろいろな問題あるだろうと思いますけれども、私たちとしてはこの状況をしっかりとフォローをしていかなければいかんなと思います。
(問)フジテレビの和田です。
 今のテレワークの関連なんですが、大臣でなくても結構ですが、細かいことなので。そもそもテレワークとリモートアクセスにこだわっているのは何か政府で大きな取りまとめでもあって、その中に入っていた1項目みたいな位置付けから始まっているんでしょうかということが一つと、それから、今大臣のお話を伺っていて、テレワークとリモートアクセス、それぞれ役所によって需要が違うというのは分かるんですが、放り投げてあるだけで、例えば、まず順序が少し逆転しているような気もするんですが、テレワークは進めた方がいいということなのか、あるいは進めてもいいし、進める必要がなきゃ進める必要がないでいいんだけれども、環境だけ整備していくということなのか、それがはっきりしていかないと、何のどういう事情で予算を要求するんだという話にもなりかねないと思いまして、増やすということは、うっかりぱっといざ原稿を書こうとすると、意外に進んでないやという原稿になっちゃうんですが、そもそも今大臣のお話を伺っていますと、必ずしも増やせばいいというものじゃなくて、人数があれば全体として環境を整備するということなのかなと思ったんですが、事務方でも結構ですが、その辺のニュアンスをちょっと教えてください。
(答)事務方からもまた詳しく御説明させていただく機会を持ちたいと思いますが、その考え方についてはおっしゃるとおりなんです。私は、多様な働き方があっていいというところまでは国がやる話であって、これはハードの整備だけではなくて、これを有休とするのか、あるいは働いているものだというふうに見るのか、またあるいは別の形態を作るのか等々、制度としての考え方も整備が必要なんだろうと思いますので、これも含めてテレワークの環境が整備されているという状況を私たちは進めるべきではないかと思っています。
(問)そういう意味では、加藤さん(勝信大臣)の方の担務の働き方改革の中の一部分の、ある意味ハードの整備というか、そういう位置付けと考えて。
(答)そうです。
(問)今日はこれ、大臣の報告ですか。
(答)そうです、報告です。
(問)北海道新聞の佐藤です。
 北方の検討会議の件なんですけれども、ちょっと細かい話で恐縮なんですが、これ、最終的に何か成果物というか報告書めいたものを作るということなのか、それと、めどとしては大体どれぐらいにそういうものを作られるのか、その辺ちょっとお知らせください。
(答)まず、成果物等々について、今特にこうしますということを考えているわけではありません。成果がなければ報告もできませんから、いろんなことをまずは御報告を受け、どうすればいいか、またそれができ得るかを検討するところから始めたいと思っておりますので、まず結論ありきでということで集まっていただくということではありません。ただ、やる以上は、私たちが目的とする北方領土問題の運動の振興のために、その周辺地域への交流人口が増えなければ意味がありませんので、その所期の目的を果たすためにどうするべきなのかということは、作るべきなんではないかと思っています。
 それをいつまでという話も同様でありまして、北方領土問題が年内に解決してくれれば、それはやる必要もなくなってくるのかもしれませんが、そうでもないだろうと思う人もいると思いますし、それはいつまでということをここで申し上げるのではなくて、北方振興のために断続的にやるべきなのではないかと思います。恐らく皆さんも、12月のプーチン大統領の訪日までいろんな運動をしていかなければいけないと思っていらっしゃると思いますが、そのためだけとするならば、もうはっきり言って時間は限られていますし、また、そのためだけにやるというのもナンセンスだと思いますから、私たちはでき得る限り急ぎ、そしてなおかつ密度の濃い振興策を考えていきたいと思います。
(問)時事通信の田中です。
 今のお話でもう一つお聞かせいただきたいんですけど、交流人口が増えると、どういうふうにつながって北方領土問題の解決に向かうかというのを御説明いただきたいのと、あと1点、国会でこの件を御説明された時に、LCC(格安航空会社)の就航など少し触れられていましたが、そういった国としての施策を作るための検討会議ということなんでしょうか。
(答)まず、交流人口の話は、私も納沙布へ行かせていただいて痛感したんです。ここに来られていれば、北方領土問題に必ず関心を持つはずだと。周りに何も特に目立った観光施設があるわけでもないし、なおかつ、目の前に見えている北方領土、歯舞や国後の島影を見て感慨を思わない日本人はいないと確信いたしました。
 では、ここへ来ていただくためにどうすればいいのかという発想です。残念ながら、中標津空港だけではない根室市内に訪れられる人たちというのが年々減っている。その理由はと聞くと、根室で泊まる所もありませんし、また交通アクセスも非常に悪い。恐らく中標津から納沙布までバスで2時間半ぐらいかかるのかな、そんな状態ですから。しかも、それを定期バスが定時に出ているというようなものではもちろん想像に難くないと思います。こういった環境整備というのは、やはり運動していく上で大きな意味を持つであろうと思います。
 今、納沙布に年間15万人の観光客が訪れているそうですけれども、これを少しでも増やすことができないかということを考えると、例えば修学旅行に来ていただこうとか思いましたが、その修学旅行に来ていただくための条件というか、さっきも言いました交通だとか泊まる所だとか、あるいは食べる物であるとか、そういう地域の総合力みたいなものが段々弱まっている状況というのは非常に危惧されるべきではないかという発想でありますので、そこは言葉が過ぎましたけれど、是非御理解をいただきたいと思います。
 それから、その流れの中でLCCというのは当然検討には入るものであります。ただ、LCCのためにやる検討会ではありません。いろんなものを考えながら総合的に判断をしていきたいと考えています。
(問)NHKの奥住です。
 今の検討会議の件でちょっと追加でお聞きしたいんですけれども、基本的には、これ、国内からの訪問客を増やすための会議という理解でいいのか、あるいは政府として2020年までに外国からの観光客4,000万人という大目標もありますし、そこを関連させて海外からの観光客誘致というのも併せて考える会議にするのか、その辺をお聞かせください。
(答)これは北海道の取組、意気込みにもよると思いますが、我々としては後者の方であっていただきたいなという希望はあります。ただ、こうしろああしろと我々が言うものではなくて、地域の振興ですから、地域振興策の中でどんなことを考えていらっしゃるかを虚心坦懐に聞いた上で決めていきたいと考えています。

(以上)