鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年10月28日

(平成28年10月28日(金) 9:07~9:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、来週の10月30日及び31日の沖縄訪問について、御報告をしたいと思います。
 国会の状況が許せば、30日に沖縄入りをしまして、ウチナーンチュ大会の閉会式に出席をさせていただいた後、30日、31日の両日に、主に沖縄の貧困者問題の現場を視察してまいろうと思っております。児童に対する学習支援を行うNPO法人やキッズクラブといった現場、あるいは沖縄の教育を担っていらっしゃるような方々との懇談を持ちたいと、今のところまだ調整中なのではっきりとしたことはここで申し上げられませんが、そういうことを希望させていただいております。
 世界のウチナーンチュ大会も大変盛会に終わられそうだという話も聞いておりますので、これと併せて、活力ある沖縄の未来について、大いに議論もし、勉強もしてまいりたいと思っております。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 二つ教えてください。一つは、先週、河野太郎さん、(自民)党の行革本部長がツイッターで、科研費(科学研究費補助金)の罫線の問題が解消したよ、みたいなことをつぶやいたんですけれども、要するに科研費の申請書の中に罫線があるかないか、一部の研究者の中では罫線が邪魔だから外してほしいとか、そういう声があったらしいのですが、与党の行革本部長が科研費の申請書の罫線の問題というか、些末なことについて、いろいろなそういう行革の立場からいろいろやられているんでしょうけれども、そういう些末な問題について、そういう党の立場にありながら、そんなことをやるということについて、まずどう思うかというのが一つ。
 もう一つは、そういう些末な問題にしか目が行かないのは、内閣府の方からちゃんとした課題が上がっていないんじゃないかと、そういうことがあるかと思うんですけれども、その二つについて教えてください。
(答)一つ目でありますが、河野元行革担当大臣は、行革に長らく携わってこられた方で、大変知見もお持ちだろうと思います。
 数ある仕事を一つ一つこなされていったものの中に、たまたまそういうことがあったんではないかと、想像しております。
 したがって、それをメーンイシューにされておられるわけではないのではないかというふうにも思いますし、今後また様々な議論を提起なさるんでないかと思います。
 私どもとしては、その科研費の罫線の問題も含め、聖域なき行政改革に、前向きに取り組んでいかねばならないという思いでありますので、お気付きの点があれば是非また御指摘も頂きたいと思います。
 それから、もう一つ、何でしたか。
(問)内閣府から。
(答)正に、今申し上げたとおりですね、内閣府として気付いていない部分はたくさんあるのではないか。内閣府も怠慢でしておるようなことではないと思いますし、私の方から就任早々申し上げたのは、ITを使ってペーパーレス化とか、そんなことも内閣府が中心になってやるべきなのではないかという話もした覚えがございます。セキュリティの問題でありますとか、お互いの省庁間でのやりとりに担保でき得ないものもあるかもしれないというような様々な問題があって、今日にまで、まだ明確な回答は頂いておりませんけれども、こうしたことを含め、我々としては虚心坦懐にやらせていただくつもりでありますので、御指摘の点、もしもそこに後ろ向きな点があるようであれば、私もしっかり目を光らせて、国民の期待に応えられるようにしていきたいと考えております。
(問)化学工業日報の伊地知です。よろしくお願いします。
 大西宇宙飛行士のVIPコール(交信)、お疲れさまでした。テレビモニターに大西宇宙飛行士が登場して、思わず手を振ってしまった大臣の、純粋無垢な宇宙少年の姿を、とても感動して見させていただきました。大臣就任以来、一番の笑顔ではなかったかなというふうに思っています。
 大西宇宙飛行士との交信の中で、大臣がいろんな国の施策について問いかけをして、いろいろと宿題をもらったんじゃないかなというふうに思います。
 研究予算に関しては、地道な努力の結果が予算の増額につながるという、とてもすばらしいお答えだったと思うんですけれど、もう一つが、宇宙利用の拡大がこれから予想される中で、国際的というか、世界的な新しい枠組みに向けて、日本がリーダーシップをとっていくべきだと。そのためには早め早めの手を打ってほしいということを、これは多分、大きな宿題だったような気がします。その早め早めの打ち方、それから、宇宙利用に関して、やはり日本らしさというか、日本の存在感というのが必要だと思うんですけれども、その辺のところ、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)先日も御指摘があったように、VIPコールで宇宙予算どうですかという話は、ちょっと無理やり感もありましたけれど、大西飛行士にも問い合わせ、ぶつけてきたところであります。大西飛行士も、今、御指摘のあったように真摯にお答えいただいて、我々としてもしっかりとこれを受けてやらねばならないと思っております。
 宇宙利用のことについて、今、正に宇宙二法が審議中であります。この国会の審議の中で私どもの考え方、また国民の多くの意見をどれだけ集約した形で議論できるか、中身の濃い議論ができるかということを、常に考えておるところであります。
 皆さんが平和的に、そして、かつ、世界からも認められる形で、納得のいく形で、この宇宙利用が進められることを、ほとんどの国民が期待していると思います。これはやはりひとえに、私どもがしようと思っている中身について、国民の理解を得られるような分かりやすい言葉で、いかにしっかりと伝えていくかということに尽きるんだろうと思いますので、国会の現場がそれに値するかどうか分かりませんが、そういう意味では、しっかりと私も答弁を通じ、またいろんなチャンネルを通じて、これを発信していきたいと思います。
 限られた予算でありますが、大西飛行士がああやって現場で頑張っておられる姿、最近VIPコールも少し慣れてきて、あまり大きく取り上げることがなくなってきた感があるようにも思いますが、私も個人的にああいう現場に立たせていただいたのは初めてでしたし、周りの方々はほとんどの方がちょっと興奮気味に、やっぱりすごいねと、こんな時代が来ているんだねということを改めて感じる一時でありましたから、大西さんが(地上)400キロの彼方で頑張っていらっしゃる、そのことを私たち、日本国のみならず世界中の国民が注視し、期待していることをもう一回かみしめておきたいと思います。
(問)琉球新報、池田です。
 何点かちょっとお伺いさせてください。ウチナーンチュ大会の参加について、活力のある沖縄の未来について議論をしたいとのことだったんですけれども、この世界に県系人のネットワークが広がっている、この沖縄の特性というのを、沖縄振興にどう活かしていきたいのか、何かお考えがあればお聞かせください。
(答)これは、今までずっと私、沖縄に限らず思ってきたことでありますが、世界に雄飛し、そこに定住されておられるような、同胞と言っていいのかどうか分かりませんが、そういった方々との連携が、我が国は本当に少ないと今までずっと考えておりました。
 地球の裏側にあるアルゼンチンやパラグアイやウルグアイには、たくさんの日本人がいらっしゃいます。そんな方々とも以前懇談させていただいたこともありますけれども、本当に彼らは、その国で中枢として頑張っていらっしゃる場面も多いんですね、市長になっておられたりとか、州政府の枢要なポストにいらっしゃったりとかですね。日本人の多くはそんなことほとんど知りませんし、ペルーで大統領になられた方もいらっしゃいましたけれども、それを報道で、ほんの少しの部分だけを私たちが知っていると。でも、その裏にはたくさんの方々が、血のにじむ努力をして営々と築かれたものがあるんだということを、私たちはまず一般論として、気付いておかねばならないと。
 どこの世界へ行っても、沖縄の県人会というのが最も多いんですね。私の地元である和歌山も、結構海外へ出ていっております。私の古い親戚もハワイに住んでいる者がいたりしてですね。そんな話を昔から聞いておったのですが、世界中で最も多いのは、やっぱり沖縄の方々だろうと思います。これは、沖縄の財産のみならず、日本の財産だと私は思います。
 したがいまして、このウチナーンチュ大会が、こういう企画をされることは本当に意義深いことだと思いますし、これは沖縄のものだけではなくて、日本のものとして、日本政府も大いにこれを研さんし、そしてサポートしていくべきなんだと、日本の宝だと思いますので、そういう意味で、今回、開会式にも行かせていただきたかったのですが、たまたま都合が合わなくて、閉会式にのみ行かせていただいて、ほんの短い滞在ではありますけれども、思いは伝えてこようと思います。
 今後何をしていくかについては、こういう方々とも相談をしながら、できればそんな時間も持たせていただいて、やれることを考えていきたいと思いますが、特に、海外で苦労なさった方々の多くの方が言われるのは、日本に来るのにものすごくやっぱり、遠い国だと。子供たちが段々日本語をしゃべれなくなってきて、日本の文化みたいなものに触れさせてやりたいが、残念ながらその資力がない。残念ながら、その橋渡しをしてもらう日本での滞在先のような仕組みがないみたいなことを言われることが、これは一般論としてですけれども、あるように思います。これを沖縄県の方々も感じておられるんではないか。そのことがもしあれば、これは私の直接の所掌ではありませんけれども、一国会議員として是非これはやってみたいと思います。
(問)もう一件。今日は閣議後に(官房)長官の部屋に入られていたようですけれども、どういったお話をされていたのか。
(答)明後日から、沖縄に行かせていただくことの報告と、今後の我々としてどういったところに気を付けてやっていくべきなのかという話の、懇談、雑談でありますから、特にここで報告すべきことはありません。
 日頃から、沖縄の問題のみならず、私たちは内閣、一致して当たらねばならないと思いますので、その部分についてはしっかり連携をとりながら頑張っていきたいと思います。
(問)共同通信の市川です。
 沖縄出張で関連して1点なんですけれど、貧困の現場も視察すると、冒頭、大臣、おっしゃったと思うのですが、この前も子供の貧困の中間報告、公表していただいて、今回の視察でどういったところに注意して、その貧困の現場を見ていきたいとか、今回のその貧困の現場の視察の狙いですね、お考えがあればお聞かせ願えればと思います。
(答)もうお気付きだと思いますが、沖縄には、十分とは言えなかったかもしれませんが、様々な振興策がこれまでもつむいでこられました。にもかかわらず、県民の所得は47都道府県の中でも下の方であるということ。それから、最近になって有効求人倍率が1を超えましたけれども、これが史上初であったというような状態。ここにどういう問題があるのかは、冷静に分析をせねばならないと常々考えてまいりました。
 我々、振興をやる者として一番狙わなければならないのは、沖縄県民一人一人が、どの立場の人であろうと、どの階層の人であろうと、振興の実を実感できることだと私は主張してまいりましたし、その意味では最も苦労されておられる貧困の再生産を、何としても断ち切るべきなのではないか。したがって、その若い人たちがどういう思いを持っているのか、どんなことをサポートしてあげられるのか。その親御さんも含めてお話を聞いてきたいと思いました。
 なおかつ、子供たちといってもいろいろな世代がありますから、学業世代については、彼らが実社会に立っていく上でしっかりと、その職業であるとか、二本足で立っていくことのできるような社会を、サポート体制をいかにして作っていくべきなのか。そのためには何が必要かということを考えるためにも、これは経営者の側ですけれども、専修学校等の方々とも懇談をしたいという、そんな思いであります。
(問)フジテレビ、和田ございます。おはようございます。
 せっかく大西さんのイベントがあったので、役所の紙を離れていただいてですね、むしろ、宇宙というのは私全く未知の世界で不勉強なのですが、これの予算をどうするかって、きっとすごく難しい問題で、それこそ蓮舫さんじゃないですけれど、何で2番じゃいけないんですかの世界かもしれない。つまり、きっと予算を一番、日本が世界のトップに立つほど付けるというのは恐らく無理であろうし、考えもしない世界だと思うんです。
 そういう意味で、例えば、5番でいいのか、10番でいいのか、100番でいいのか、あるいは、違う観点から見れば、例えばアメリカが宇宙について100のテーマを持っているとすれば、日本は10でいいのか、一つでいいのか、何かに特化すべきなのか。そういう意味での大臣御自身の言葉で、大方針をお伺いできればと思うんですけれども。
(答)これは基礎研究の時にも申しましたが、日本は今、財政的に余裕のある社会ではありませんから、何らかの形で制約があるのは重々承知の上であります。しかしながら、その基礎研究と質が違うと思うのは、宇宙の分野では、様々なことが民生化、転生化される技術の推移が、やっぱりあると思うんですね。一つのプロジェクトに対して、こういう問題点があるから、それを解決するために何をすればいいのかという努力も含めて、宇宙開発は本当に、長らく実用化、実装化するまでに時間のかかるものではなくて、技術のテンセイという意味では、非常に効果の高いものであるというのも、分野によってはあると思います。
 これは大変申しわけないけれども、私は意味、意義はお金に代えられない部分もあるし、やっていかなければいけないんだろうと思います。
 したがって、大方針と言われて、私はこうすべきだと今答えられるほど定見があるわけではありませんけれども、国民の多くが望んでおられるようなその声に、少なくとも応え得るような仕組みを作りたい。
 一つだけ申し上げると、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に対して、子供たちが、国民が、応援をしたいと思う気持ちに応えられる仕組みを少しでも作りたいがゆえにですね、例えば個人の寄附でありますとか、ドネーションであったっていいと思うんですけれども、そういうものを何とか作れないかという話は今させていただいております。
 また、お金だけではなくて、いろんな意味で国民のサポートをでき得るような仕組み、これはJAXAも努力をされておられますけれども、広報活動等々、JAXAにおみえくださいねとか、あるいは宇宙のロケットの打ち上げも国民の多くがちゃんと参加ができるようにとかですね。そういう目に見えない、できればお金のかからないサポートの体制も作ってあげることも必要なのではないか。国民参加型の宇宙産業、宇宙開発、宇宙分野での作業をしていけないのかということを、今のところ考えるぐらいであります。
 今後、宇宙を皆さんがどういうふうに思っていただくかによって、我々政府もその声に比例していくべきものなのではないかと思いますので、ここはしっかりと広報なり努力をしていくべきなのではないかと思います。
(問)稚拙な話ではありますが、将来的なことを考えると、国民のサポートはもちろんなんですが、特に文科省だけではなく、少しえげつないですが、民生利用というような意味では、経産省をもっと巻き込んでいった方がいいのかなという感想は持っておりました。
(答)これは、あえて私の方からコメントさせていただきますけれど、そのとおりだと思います。
 この間、ドイツの元研究技術大臣が来られて、その方が、昔、私が科学技術の担当大臣をしていた頃は、宇宙の分野も担当していましたと。しかし、今やドイツの経産省に当たるのかな、経産省の方に所管が移りましたと言っていました。各国で多分、そういう状況になってきているんだと思うんです。
 産業政策としての宇宙のウェイトが高くなってきて、段々とシフトしてきている。それを私たちはやはり視野に入れながら考えねばならない部分はあると思います。
 今のところ、文科省、それから経産省の間を取り持つ形でこの内閣府というものは存在し、その宇宙の担当大臣として私がいるわけですから、それは私自身がしっかり考えながら、バランスをとってやっていくべきことなんだろうと思っています。

(以上)