鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年10月7日

(平成28年10月7日(金) 10:21~10:39  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、東京オリ・パラ推進本部において、政府の各省からのヒアリングがありましたので、科学技術や沖縄の部分において積極的に関与し、協力をしていきたいという旨の発言をさせていただきました。特に科学技術では、自動走行技術を応用した車いすや高齢者の方々にも乗りやすい次世代都市交通システムの実現や、ゲリラ豪雨の詳細な予測など、様々な科学技術イノベーションが寄与できるものだということと、沖縄担当大臣としては、空手が正式種目となりましたので、このことを契機に空手の発祥の地であることを世界に広めてまいりたいという発言をさせていただきました。
 あともう一つは、経済社会・科学技術イノベーション活性化委員会につきまして、昨日、官民投資の拡大に向けたイニシアチブの中間報告について議論がされ、大筋合意が得られたところであります。その中身でありますが、政策パッケージとして三つのアクションを掲げさせていただきました。第一は、予算編成プロセス改革アクションであります。新型推進費を創設し、民間投資誘発効果の高いターゲット領域に研究開発予算を重点化し、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の司令塔機能を強化していくということが眼目であります。第二は、制度改革アクション。分野横断的な科学技術イノベーションを実現し、産業界からの投資拡大のための大学改革等、制度改革を実行していきたいと思います。そして第三は、エビデンスに基づく官民投資拡大アクション。エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立を通して投資効果の見える化を進め、効果的に官民の研究開発投資を促進していくということになります。引き続き議論を行い、年内に最終報告という形で取りまとめさせていただきたいと思いますし、その前に近々には経済財政諮問会議にも報告したいと考えております。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今の官民投資のやつなんですけれども、一つは新型推進費で民間の研究開発投資誘発効果が高そうな領域を決めると。ただ、本当に民間が投資したいような分野であれば、内閣府が予算を付けるだけじゃなくて民間からも出させるようなマッチングファンド形式とか、もっと踏み込んだようなことも考えるべきだと思うんですけど、その辺についてはどうでしょうか。
(答)全くおっしゃるとおり。マッチングファンドについては議論がありました。今、ここに来るまでの間、少し遅れたのはマッチングファンドについての部局との議論がありましたから。これはしっかりどういう方策があるのかについて具体策をこれから詰めていきたいと思います。こちらが一方的に決めるということは決してあってはならないことだし、そういう仕組みにはしないことだけは申し上げておきたいと思います。
(問)もう一つは、この日の会合で上山(隆大)先生から税制改正についても幾つか提案があったかと思うんですけれども、税制改正、例えばふるさと納税のうまい活用だとか、寄附税制の改正だとか、いろいろあると思うんですけれども、それについては大臣、どのように受け止めたでしょうか。
(答)これは上山先生がおっしゃっていただいたことでありますけれども、以前から私も同じことを考えておりました。今回、上山さんとも意思疎通を図りながら同じ方向を向いていただいているなという気持ちであります。研究開発投資において7割ぐらいはもう民間資金なんですよということは肝に銘じておかなければなりませんし、この国のどこにそのお金があるのかを冷静に考えた時に、内部留保の多い企業でありますとか、何とか科学技術を応援してあげたい、ノーベル賞学者を見て、私たちもああいうところに応援してあげたいと思う個人でありますとか、こういった国民の気持ちや民間の気持ちにしっかり応えられるような制度を私たちは作っていきたいと考えております。おそらく税制だとか何とかということになると、相当あちこちの部局ともしっかりとした交渉をしていかなければならないと思いますので、是非皆さんにも応援をしていただきたいと思います。
(問)それに関連してなんですが、例えば事務ベースでやるととても時間がかかったり、手続が煩雑だったりして、なかなか来年行う税制改正要望に盛り込むとか、そういうペースになるかと思うんですけれども、例えば良い話であれば、政府レベルで大臣同士議論したり、そうやって世の中の変化が素早いという認識をみんなが持っている時に、もうちょっとスピード感を持ってやるために、大臣としてどのように取り組みたいでしょうか。
(答)言わせたい気持ちは分かりますが、ここは前のめりにならずに、しっかりまずは議論をさせていただきたいと思います。税制の話はやっぱり年末に向けて正面から構えていくのが本筋でありますから、まずはその議論に乗っかっていくのが私たちの務めではなかろうかと思います。もちろんそれまでの間、努力をしないわけではもちろんありませんから、水面下での努力も引き続き継続をさせていただくつもりではおります。
(問)朝日新聞です。
 地元紙では菅(官房)長官が今週末、沖縄に入るというふうに報じられています。翁長知事とも会うというふうに言われていますが、大臣として期待されることを教えてください。
(答)以前から申し上げておりますとおり、しっかりと話合いを重ね、個人的であって構いませんから信頼関係を構築していき、虚心坦懐にそれぞれのお立場を意見交換をしていっていただきたいと思います。沖縄県のために何が一番必要なのか、それはそれぞれが考えることでありますけれども、目指す方向は一緒だと思いますから、まずそのためにどうするべきなのか、そんな意見交換ができる場であってほしいと思います。
(問)沖縄振興について、何か大臣の方から託されていることというか、事前にお伝えしたいことなんかは今、どうでしょうか。
(答)特にこれはという話はありませんが、自由にやってほしいということだけは言われています。鶴保大臣が思うことを自由に思い切ってやっていただきたいということを言われておりますので、私は以前から申し上げておりますとおり、沖縄県の県民の一人一人が豊かさを享受できるような、そういう政策を是非やり遂げたいと思います。貧困の連鎖を断ち切って、国がやる事業の結果、こうなったということが分かってもらえるような、そんな施策を様々打ち立てていきたいと思います。
(問)日刊工業新聞の冨井です。
 今週初めにノーベル賞の発表で、東京工業大学の大隅教授が生理学賞を受賞されたんですけれども、その時の会見で基礎科学の重要性というのをすごく強調されていたように思うんですが、大臣としてそれを受け止めて今後どうしていきたいか、何かお考えがあれば教えてください。
(答)予算委員会でも質問が出ましたので、その時もお答え申し上げましたが、おっしゃっていることはすごく大切なことだと私も共感をする部分があります。ありますが、残念ながらこの国の財政状況が全て基礎科学へ振り向けられるべきだ、基礎科学がもっと自由におおらかにされるべきだ、いつまでも期間を決めずにされるべきだというわけにはいかない、それを許す財政状況ではないというのも考えておかなければいけないと思います。したがって、答弁にもありましたとおり、ノーベル賞クラスの研究がいかにして生まれ、そしていつまでに、どのようなプロセスで生まれていっているのかをまず検証し、これまでの制度がそういう成功プロセスから見るとどういった問題点があるのか、ボトルネックになっているのは何かをまずは検証するべきなんだろうと思います。具体的には、論文の引用件数が増えていないとかいろいろ言われますけれども、基礎研究の分野では急激に伸びる時期があるんですよね。見向きもされなかったような分野が、急に世の中の注目を浴びるような時期があります。その時期というのは大体平均で幾らぐらいなのか。しかもそれがどういう分野であれば、どういう研究であれば、その注目を得やすいのか等々考えていくべきなのではないかと思います。今、ともすると近視眼的に、初めから出口を求めてということが出てきますから、そうではない基礎研究の分野もあるんだということをしっかり受けたいと思います。
 あともう一つ、これはいつも皆さんからも御指摘があるように、研究分野における若手研究者の育成、人材育成については深刻な問題があると。大隅教授とも時間があれば意見交換もしたいなと思うんですけれども、今は連続してノーベル賞受賞者が出ているけれども、あと数年すれば、また10年、15年という長い冬の時代が来るかもしれないという指摘は科学者の方々が皆、異口同音に同じようなことを言われるわけです。その危機感を私たちはまず共有しなければならないんではないかと思いますし、その対応をしっかりとっていきたいと思います。
(問)TBSの深井です。
 今日一部報じられたんですけれども、昨夜、都内で行われた沖縄県選出の衆議院議員のパーティーで選挙への支援を呼びかけられたのに合わせて、振興策とリンクしているというふうに大臣がおっしゃったというふうに報じられていますけれども、まずこの事実関係と、どういった意図でおっしゃったのかを教えてください。
(答)私が自分で言ったことを覚えていないというわけにはいかないのですけれども、一言一句正確であるかはお許しをいただきたいと思います。
 政治家のパーティーですから、この人には是非当選をしてもらいたいと申し上げるのは当然のことであると私は思っております。ただ、前提として、当選をさせてもらうかもらえないかは本人の努力と、そして県民の支持ですから、私ども振興を担当する大臣としては、いかにして県民の支持を得られる振興策を作れるかが勝負であります。そして、なおかつ与党であれば、その自覚と責任はどの野党議員よりも強くあるはずでありますから、そういう意味で振興策をしっかりと彼らが作り上げ、いかに県民の支持を得られるかは御本人の努力にかかっていますよという意味も含めてエールを送ったつもりであります。振興策と本人の当選がリンクしていると言えば、逆の意味にもとれますし、そこのところは皆さんもお分かりだと思います。本人が頑張ってとにかく皆さんの支持を受けるように、いろんな振興策を共に作り上げていっていただきたいという意味で申し上げました。
(問)今、意図を御説明いただきましたけれども、この選挙と振興策を結び付けたととられかねないような発言とも書かれていましたけれども、それについて沖縄から反発を招く可能性もあるかとは思うんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)選挙と振興策は全ての国会議員がそうなのではないでしょうか、それに尽きます。いかにして自分たちが沖縄のために良い振興策を作っていくかということを努力するのは全国会議員がその責任を負うのではないでしょうか。そのことに何ら私は恥じるものはありませんけれども。
(問)琉球新報、池田です。
 ちょっと関連しましてですけれども、大臣、与党としてはやっぱり今おっしゃったように、沖縄の国会議員を応援するというところがメーンであったと思うんですけれども、振興策とリンクしているという言葉、ワーディング自体が非常に機微に触れるのではないかというところはあると思うんですけれども、そういう中でもっと応援を促すならば、もう少し別の言葉を使うこともできたと思うんですけれども、なぜその言葉を選んだのかというところがちょっと腑に落ちないんですが、その辺りちょっとお聞かせ願えますか。
(答)何度も申し上げていますとおり、リンクという言葉に皆さんものすごくこだわっていらっしゃるけれど、振興策と例えば基地問題は現実にはリンクしておりますよ。そのワーディング云々の問題ではなくて、何をするべきなのか、私たちは何を考えて努力をしていかなければいけないのかという実質論にしっかり目を向けていただきたいという思いであります。それが適当であったかなかったかということは、当然これからの御指摘にも謙虚に耳を傾けたいと思いますが、私がやろうとしていることはそんな些末な話ではありません。それだけは申し上げておきたいと思います。
(問)話題変わりまして、先程空手のお話があったと思うんですけれども、昨日も自民党の(沖縄)物産展の中で、翁長知事とも空手のお話を少しされていたと思うんですけれども、オリンピックの空手競技の誘致を県側は求めていますけれども、世界に空手の発祥の地であることを広めたいということをおっしゃっていましたが、実際どうやっていくのかというと、何か浮かんでいることがあれば。
(答)これはまず皆さんに覚えておいていただきたいんですけど、最初にアクションが起こったのはこの席ですから。この席の中でどなたかから、空手が今度オリ・パラの正式種目になったら、空手の発祥の地は沖縄なので何とかする気はないですかという質問があって、そこから私どものオリ・パラ担当大臣、あるいは空手部局に動かせていただいたということだけは是非明記しておいていただきたいと思います。これから出口について展望がないじゃないかと言われるかもしれませんが、私どもとしては最大限の努力をする、それに尽きるんです。必要とあれば空手部局というか、空手をしておられる協会、正式名称はちょっと分からないんですけど、空手の協会の方へも出向いていきたいと思いますし、当然、県当局に対して空手のこういった方々のところへ行かれたらどうですかということをアドバイスといったら失礼な言い方に聞こえるかもしれませんが、御助言もさせていただきました。それ以上でせねばならないこと、思い付くことがあれば是非皆さんからも御献言を頂きたいと思います。共に沖縄の振興のために立場を越えてやっていくことは必要なことなのではないかなと思います。このことについては誰一人として反対しませんよ。よろしくお願いします。

(以上)