鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年9月16日

(平成28年9月16日(金) 10:38~11:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 私の方からは、北方領土の視察の御報告を申し上げたいと思います。明日、17日から18日にかけて、北方対策大臣として、北方領土隣接地域の根室市を訪問させていただくことになりました。現地では、元島民の皆様や行政関係者の皆様と意見交換を行うとともに、納沙布岬から北方領土を視察する予定でございます。日程の詳細については内閣府北方対策本部までお問合せをいただきたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 先週、科学技術・学術政策研究所が世界の研究動向と日本の活動状況をまとめた「サイエンスマップ」を公表したんですけれども、その中で最先端領域での日本の存在感が相対的にちょっと低下しているという結果が出ているんですけれども、大臣として、この状況をどういうふうに見ているのか、さらに、今回の結果を受けて、今後の科学技術政策にどういうふうに取り組んでいきたいのか、そこら辺をお聞かせください。
(答)まず、前提として、この「サイエンスマップ2014」の別の部分を見ますと、(2006~2012年において特許に引用される回数が)上位5位の論文20本のうち我が国発の論文が11本含まれていて、相当な数であるという事実も踏まえておかなければならないと思っております。確かに御指摘のとおり、コアペーパーでの参画の推移なんかを見るとイギリスやドイツや中国等々と比べると、やや下がり気味のようなところもあるので、その部分を御指摘なんだろうと理解いたします。その理由についてひもといてみますれば、国際論文に関する参画がすごく少ないということでありまして、それは圧倒的に国際共著論文と言われるところに弱みがあるのかなと。これは言い替えれば、日本の研究者が海外に出ていって、そこで共に研究をし、論文を書いてくるということが少なくなってきているのかなと思います。
 社会の実相をこれは表していて、なかなか留学をする研究者が少ない、あるいは基礎研究分野において日本の研究者が海外に出て帰ってきて落ち着けるところがないというような、構造的問題にも多少は起因している部分もあるのかもしれないというふうにも思いますから、今、御質問のとおり、どうするべきなのかという点については構造的な、もう前々から指摘をされている部分でありますので、先日、理研(理化学研究所)に行かせていただいた時なんかにも御指摘がございまして、海外に出た研究者をより積極的に迎え入れるような仕組みを早急に私たちも考えたいと思っております。具体的には、今、検討させておりますので、然るべきタイミングを見て、また御報告をしたいと思います。
(問)化学工業日報の伊地知です。よろしくお願いします。
 先般、概算要求、来年度のが出て、科技関係の集計の昨日の(総合科学技術・イノベーション会議)本会議の方で御報告されたと思うんですが、概算で4兆弱ということで、まず仕上がりのところでどの辺、どういう形で年末にかけて財務省との折衝の中で、どういうふうにサポートしていく、各省の折衝だと思うんですけれども、どういうふうにサポートしていくかということと、あと第5期(科学技術)基本計画がスタートして、計画では総額で26兆円と。これを単純計算して年度ごとで5.2兆円でしたっけ、地方公共団体のものが四、五千入れても5兆弱の上積みをしていかなければいけないというところで、ちょっと2年目としては先が見えないのではないかということの御所感。
 それからもう一つ、長くなって恐縮なんですが、民間投資に関しても基本計画の中で積極的な投資を明記されているかと記憶していますが、民間企業の内部の研究開発に使うと、内部資金。これとは別にやはり外部資金として、大学、公的な研究機関に投資をしてもらうというのが非常に優良事例かなと思うんですが、今の段階でもし大臣がそういう何かアイデアがあればということで、お話を聞かせていただければ。長くなって申し訳ございません。
(答)額についての所感については、これからこの額が少ないか多いかということは、今、単純計算すると、まだまだ頑張らねばならないなと思っています。ただ、最後の質問と関係もするんですけれども、科学技術予算というものの中身をずっと見ておりましたら、これは個人的な意見ですけれども、さっき御質問に答えた時のように、海外からの人たちをもっと引っ張ってこなければいけない、基礎研究の分野にもう少し研究者が生き生きと活動するようなものを作っていかなければいけない、というような問題点を直裁に解決するような仕組みが、今の言われている科学技術予算の数字の算定の中にどのような形で入ってきているのかということを少し精査をせねばならんのだろうと思います。
 と申しますのは、沖縄振興の時のなんかともよく似ていますけれども、政策の中にお金さえあれば何もかもできるというのではなくて、海外からの研究者が日本に帰ってきて、その生活がちゃんとできていけるようにするためには、民間との人材交流みたいなものは、これは案外お金はかからないかもしれません。こういったこともやっぱり政策手段の一つとして考えていくべきなんだろうというふうにも思いますので、額を見た時に、確かにこれ、頑張らねばならないと思いますし、これはしっかりとこれから予算折衝をやっていく決意でありますけれども、もっともっと他にもいろんなことをしていかなければいけないのではないかと思います。
 最後の御質問でありますけれども、そのうちの一つとして、民間投資、民間資金のもっと積極的な活用をするために、例えば寄附税制のようなものはできないのか、例えば、ふるさと納税の科学技術版のようなものができないのか、例えば、積み上がった内部留保に対して科学技術のこういう予算をある程度パーセンテージを入れてくださいよというような、強制ではないですけれども、インセンティブを作ることはできないのか、みたいなことは、今、正に部局で議論を始めているところであります。少しその報告を待って皆さんに御説明を申し上げたいと思いますが、それこそ全国民的運動がやっぱり必要だろうと思いますので、そこは皆さんの方からも御提案をいただきたいと思いますし、御協力もいただきたいなと思っているところであります。全くおっしゃるとおり、民間資金をとにかく使う、そして、民間との協力の中で研究者のこれから立ち入っていく姿をしっかりと地を固めていくということがこれから必要なのではないかと思います。
(問)科技のふるさと納税版というふうに、とてもいいネーミングだと思うんですが、これは企業をイメージされているんですか。
(答)一般の措置。
(問)ということですか。個人も含めたという理解でよろしいわけですか。
(答)はい。
(問)共同通信の前田と申します。
 北方領土の関係で2点お伺いします。
 まず、明日の視察なんですけれども、どういったところに着目して御覧になってくるかというのをまず1点目、お願いしたいんですけれども。
 2点目が、先日、総理の方が、プーチン大統領が訪日されるということを発表されました。北方領土問題の前進が期待されているんですけれども、大臣として所感ですとか、御期待されることというのがあればお伺いしたいんですけれども、お願いします。
(答)大臣としては初めて行かせていただくわけでありますから、虚心坦懐に何かを見たい、こういうことなんだということを予断を持っていくというよりは、状況を把握し、島民の方々からの話をまずは白紙の状態で聞かせていただくというのが私の今の立場だと思っております。
 それから、プーチン大統領に対してというか、訪日のことに関連して申し上げるならば、以前から申し上げておりますとおり、今がタイミングだと。今、北方領土問題についての啓発や教育活動を力を入れるべき時なんだということは関連部局に強く指示をしておるところでありますので、これからまた皆さんの御協力を得ながら、その北方問題についての国民啓発をいかにして進めていくべきかについて、また報告をし、そしてまたそれを皆さんの方からも、いろんな意味で運動に協力していただければなと思っています。
(問)琉球新報の池田です。
 昨日、沖縄の北部3村にまたがる地域が「やんばる国立公園」として告示されました。今後、3村はエコツーリズムを通した地域振興などを図っていきたい考えを持っていらっしゃるんですけれども、一方で、北部訓練場と隣接していて、今、ヘリパッド建設を進めているところと隣接しているから、それが影響して世界自然遺産登録に向けて影響するんじゃないかという見方もあると思うんですけれども、大臣として、この国立公園の指定についてどうお考えなのか。
(答)国立公園、大変喜ばしいことだというふうには受け止めております。今後、世界遺産登録も視野に入れて、自然をしっかりと保護していくということを我々としても歓迎をしたいと思います。ただ、基地問題がどういう形で影響するかという御指摘でありますけれども、全く無影響であるというふうにも思いませんし、それから、基地の部分について国立公園が隣接しているわけですから、これを全くこれから度外視して考えるわけにはいかないという意識は個人的には持っております。でき得れば、こうしたことを基地問題が解決し次第、県民の皆さんの声を聞きながら運動を起こしていきたい、振興策の一つとして何ができるかということを考えていきたいと思っております。
(問)朝日新聞です。
 今日の午後なんですが、辺野古をめぐる国と沖縄県の訴訟の高裁判決が出ます。この問題をめぐっては、国と沖縄県側の主張がかみ合わずに議論が続いているわけなんですが、今後の双方の議論に期待すること、注文等あればよろしくお願いいたします。
(答)注文はたった一つ、早く片付けてほしいということに尽きます。双方が裁判を、国と地方が裁判をし合っている状況は、決して正常な喜ばしい事態だと私は思いません。事前に様々なやりとりがあったにせよ、折り合いをつけて、全てが納得する百点満点の答えが出ないにしても、それぞれが譲歩をし、それぞれが納得をする形でこの問題についてしっかりとした決着をつけていくのが、私は道筋だと考えておりますので、それを期待したいと思います。
(問)速く片付けてほしいという御発言があったんですが、そのためには何が一番必要だというふうにお考えでしょうか。
(答)話し合いでしょうね、やっぱり。双方がしっかりとした、誰かの目を気にするのではなくて、思いをお互いに虚心坦懐にぶつけ合って、それをしっかりと解決の方向にお互いが導いていくんだという思いじゃなかろうかと思います。
(問)再度、琉球新報、池田です。
 二階(自民党)幹事長が沖縄を来県されて、副幹事長のポスト5人に沖縄担当を付けるというようなことを発表されたと思うんですけれども、党として沖縄政策に関わっていく姿勢を示されたと思うのですが、鶴保大臣として、副幹事長5人が就いたというこの人事についてはどうお考えでしょうか。
(答)もう大歓迎です。有り難い話だと思っています。5人どころか全国会議員が沖縄問題に関心を持っていただくべき話だと思いますから、5人が代表して全ての国会議員の先生方に状況を報告し、そして問題意識を啓発していただくことに期待をしたいと思います。なおかつ、我々ともしっかり連携をとりながら沖縄の実態について、沖縄県民の思いについて、政府としてしっかり受け止めて状況に対応していくということが大事なのではないかと思います。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 せっかく北方視察に行かれるので、1点お伺いをさせていただきます。大臣御自身が、もちろん北方領土問題の交渉をされるわけではないので、しっかりした定見をお持ちなので、逆に歯がゆいところもあると思うんですが、ただ、政府の総理を含めて交渉されるお立場の大臣も4島の帰属という点はどうも基本方針として外さないというところはあるようですが、そうはいうものの、歴史的経緯を見ますと、なかなか12月の首脳会談だけですぐに事が前へ進むということでもないのだろうと私は思っているんですが、キックオフというような意味合いかなと思って見ているんですが、こういう中で北方領土の問題を啓発するというお立場の場合、あんまりファジーなものでもインパクトがないでしょうし、交渉をまず始める、これからやるというさなかですから、あまり生々しい啓発ということも難しいでしょうし、どんな啓発の仕方が、いい知恵がありますでしょうか。
(答)本当のことを言うと、今のところ手探りなんですが、今4島の話をわざわざされるぐらい本当に国民がこの4島の帰属についてどこまで理解をしているか、なぜ、この4島返還に我々が強く主張しているのか、それがまたどういう歴史的経緯があるのか、これについては大体のことは分かっていらっしゃる方も多いと思いますけれども、今まで議論をされた中でどういう解決案が、非公式であっても出てきていたのか等々については、やっぱり国民に少し踏み込んだ関心を持ってもらわないと、なかなか理解、解決の糸口はつかめないように思うんですね。したがって、その思いを持った人たちだけではなくて、どれだけそういった方々が増えてもらうかについて、私たちはまずやるべき必要があり、そして、その思いを調べてみよう、深く関心を持ちたいと思う人たちに対して、より深い理解が進むような、こんな2段階の啓発活動をせねばならんのではないかというふうには思っています。
(問)あまり古い話をしてもしようがないんですが、旧ソ連時代に交渉していた頃と比べますと、日本政府の対応も大分経済に重点と言うと少し語弊がありますが、柔軟になってしまっているので、それこそ北方領土の進展なくして経済協力なしと言っていた頃と、国民の感覚も違ってきていると思うんです。経済協力8項目出したって当たり前ぐらいの感覚になっていると思うので、そこからの啓発がまず必要なのかなと。そして4島の帰属ということははっきり主張していくべきことなんだというような啓発が必要なんだろうなと思っているんですが、如何でしょうか。
(答)おっしゃるとおりです。長い時間をかけて領土問題を解決することに意味があるとしたならば、その時代時代において国民感情が変わってくるのではないかという過去のというか先輩の方々の期待感もあったろうと思います。ところが、様々な国際情勢の変化の中で国民感情も、良い意味でも悪い意味でも振れたり変わってきたりしている部分もやはりあると思いますから、今がその経済協力についてもそのチャンスなのかどうかは、私たちも官邸ともしっかりと連携をとりながら、国民的にロシア本国とのやりとりをより緊密にしていくという意味であるということをしっかり啓発をし、宣伝をし、理解を深めていってもらって、その上で4島の帰属問題について議論をしていただくというのが本来の道筋なのではないかというふうには思っています。

3.資産公開に関する質疑応答

(問)日本経済新聞の中山と申します。
 新閣僚の資産が公開されましたが、大臣は、この資産公開制度をどうお思いになりますでしょうか。また、御自身の資産に関しての御感想も、2点お願いいたします。
(答)資産公開制度は、私どもも初入閣ですから、閣僚になる前の印象と、なってからの印象は大分変わっていまして、閣僚になりましたら、やっぱり役所の方からも相当厳しく心配・懸念の声も出ましたので、私自身、言葉は悪いんですけど、こんなので大丈夫なのかななんて思うようなところが入閣するまではありました。しかし、しっかりとしなければということを周りからも言われますし、私自身も、この資産公開はしっかりと作ったつもりであります。ですから、国民の目で見て、まだまだ不十分な点があるとすれば、それは是非また御指摘をいただき検討するべきマターなのではないかと思いますが、これからの議論に委ねたいというふうに思います。
(問)御自身の資産について、何か御感想はありますでしょうか。
(答)申し上げたつもりですが、しっかりと書かせていただきました。個人的な事情で東京と地元に家を持ちましたので、その分だけでありますね、こんなものでしょうというぐらいでしょうか。
(問)共同通信の前田といいます。
 2点ほどで、1点は質問なんですけれども、この資産公開制度自体はロッキード事件を契機に始まったというような背景があると思うんですけれども、先程おっしゃったように、不十分な点があればということで、何か今御自身で、もうちょっとこうした方がいいんじゃないかという制度的な御感想はありますでしょうか。
(答)いやいや、さっき申し上げたのは、ちょっと言葉足らずに聞こえたかもしれませんが、あるようであれば、是非それはまた御指摘をいただき、これからの議論に供したいと思っているということであります。私自身が、これ不十分だ何だという感想があるわけでは今のところはありません。
(問)あと、ちょっと事務的な確認にもなるんですけれども、資産公開の資料なんですが、港区の土地に関してなんですけれども、この書かれている面積234平米とか2,000平米ぐらいあると思うんですが、従来の、これまでの取材のところで認識統一というところもあるんですけれども、これは持分計算をしているものなのか、それともマンション全体の敷地を表しているものなのかという、そこの認識の齟齬がございまして、これはマンション全体の面積ということで
(答))マンション全体ですね。
(問)要は、持分を計算したものが。
(答)面積はマンション全体で、価格については自己の持分ということのようです。
(問)では、面積の方は、持分の方を我々の方で計算させていただいたものが鶴保先生の持分ということで。
(答)はい、そうなるんですね。

(以上)