鶴保内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年8月5日

(平成28年8月5日(金) 10:36~10:55  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 本日閣議前に、沖縄関係閣僚による会合を開催させていただきました。今回の会合は、先の内閣改造を受けて開催したものであり、沖縄の基地負担の軽減と沖縄振興に関する諸課題に関係閣僚が連携して取り組んでいくことを確認させていただきました。
 会合の詳細については、後ほど官房長官が定例会見において対応されるということでありますので、ここでは差し控えたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 昨日のニュースであったかと思うんですけれども、AIが特殊な白血病を発見したと。ただ残念だったのは、IBMの「ワトソン」だったと。それについて大臣の受止めと今後のAIの研究開発についてどのようにお考えか教えてください。
(答)大変意を強くしました。AIの活用が現場で大いなる成果を挙げた事実は私たちしっかりと自信を持ってこれから広げていかなければいけない好例だと思います。
 今日、ちょうどこのニュースを受けて、内閣府として何ができるかを今協議をさせていただいているところなんですが、私たちがこのAIのような、この分野で今回は医療分野でしかも大学病院で成功することができたということならば、その中身を調べさせていただいて、これをモデルケースとして、これを例えば普通の民間病院でできないか、なおかつ、他の医療分野でどういうことができるか等々、AIの活用のひな型を私たちの方で作って、それを各省庁あるいは各部局にアドバイスをしていくという作業を早急にとりたいと考えています。
 ただ、今のところそれができる状態であったのかどうか、あるいは、その中身について精査をしているというところでありますので、今のところそういう希望があるという意味で捉えていただきたいと思います。
(問)もう一つ関連で、今のこのAIが医療分野でということなんですけれども、そうすると今、内閣府の司令塔機能として大臣が持っておられる科学技術、IT、知財なんかも関わりますし、大臣の担当ではない健康医療戦略、ここら辺も司令塔としてはそれぞれ、国民から見たら、どこが本当にイニシアチブをとって司令塔としてやっていくのかよく分からないと思うんですけれども、そこら辺について大臣のお考えはどうでしょうか。
(答)私たちがこれをしろということではないです。ただ、今、厚生労働の分野では関係ないと、対象ではないとおっしゃったけれども、そうではないんですよ。どんな分野であっても我々科学技術がこういう民生化、現場でより活用できるようにするための努力であれば、それは分野関係なくやらせていただくのが私たちの役目だと思っております。
 したがって、司令塔という言い方がどんな印象で受け止められるかなんですけれども、私たちは科学技術によって世の中が良くなっていくためであれば、どんな努力も惜しまないよということであります。
(問)日本経済新聞社の出村と申します。
 2点お伺いしたいことがあります。1点目は先ほどのAIの話に関連して、今は内閣府でAIと社会ですとか、倫理というものに関する懇談会というものが動いているかと思いますけれども、そちらについて大臣として今後どのように活用したいとか、方針をもし考えられていることがあったら教えていただきたいというのが1点です。
 あともう一つ、今まで大臣はIoTの組み込み議連などでNICT(情報通信研究機構)を視察されたりという活動をされてきていると思いますけれども、そういうふうに現場を見ておられて、日本のITの強みでありますとか、ここを改善していくべきだと思われる点についてありましたら教えていただけたらと思います。
(答)まず、倫理の話、AIについてでありますけれども、まだまだ詰めていかなければいけない部分がたくさんあると思います。ただ、さっきの話、今日のニュースに出てきたような成功事例の一つ一つの積上げというものをしていく中で社会的に議論、そして認識していただくことこそ、まずここまでやるべきなんだ、ここまでは駄目なんだということを議論したところで、これは多分、神学論争になると思います。したがって、一つ一つの成功事例の積上げを私たちは限定的にやらせていただいて、その中で国民議論が積み上がっていくことを謙虚に見ながら進めていく、慎重に進めていくことが大切じゃないかなと考えています。
 それから、IoTのことについては、正に問題点が一杯ありまして、これは危機意識と言ってもいいと思いますけれども、日本の産業分野の重要な分野でありますインターネットを使った家電製品であるとか、自動車産業であるとか、それぞれがIoTの出現によって、インターネットとつながっていく時代になると、このインターネットとつながる部分でのプロトコルが、プラットフォームが世界のグローバル基準みたいなもの、デファクトを海外に握られてしまうと、ものづくりそのものの根本が失われる可能性があると思います。
 この分野において、私たちは所掌ではありませんけれども、IoTの議員連盟を作らせていただいた者の一人としてそんな危機感を持っているという意味で捉えていただきたいと思いますが、そのために、私たちはしっかりと知的財産戦略という分野が私たちの所管でありますから、その部分においてサポートをできる限りさせていただきたいと考えています。
(問)朝日新聞です。
 もうすぐ終戦記念日が近づいてくるのですが、その日、その前後も含めて靖国神社に参拝するお考えがあるのかどうか、お考えをお聞かせください。
(答)安倍内閣の一員として適切に判断をさせていただくということであります。それ以上でもそれ以下でもないですけれども、過去に私も行ったり、行かなかったということがございましたので、今年まだ方針は決めておりません。
(問)時事通信の田中です。
 昨日の会見で、沖縄振興策の関係で、テクニカルなお話として、執行できてないようなものがあるならばというお話がありましたが、沖縄一括交付金ですと大抵執行率が6割程度ということですが、そうなると来年度に関しても4割弱というか、そういった部分に関しては削る対象たりえるのかどうかというのは今どのようにお考えでしょうか。
(答)もちろんそれは、現場とのやり取りの中で、これどうなのということについては、しっかりとこちらも意見は言わせていただかなければいけないと思います。
 何度も強調いたしますが、振興策については様々なやり方があります。お金のことについては限られた資源であるという認識でありますから、様々な振興策を総合的に実施するという認識においては変わりありませんから、これを額のことについてもっと効果的なものがありますよというような話をさせていただくのが私たちの役割ではないかと考えています。
(問)今月の10日に、翁長知事が来年度の予算に向けた要請活動を東京に来てされますが、その際にお会いになるお考えはありますか。
(答)もちろん。是非お目にかかりたいと思いますし、できれば私どもの方から出向いて、翁長さんとお話をさせていただく機会を作らせていただきたいと思います。
(問)10日以前に出向く可能性は現時点ではありますか。
(答)できればと思っているんですけれども、閣議があったり、日程の調整を今させていただいているところなので、必ずこの日に行きますという約束はできませんから、ここでは明言は差し控えさせていただきたいと思います。
(問)琉球新報の池田と申します。
 先ほど、閣議前に沖縄関係閣僚会合があったということで、全体としては長官が御説明になると思うんですけれども、大臣としては長官から指示を受けたりとか、何かあればお聞かせいただければと思います。
(答)さっき申し上げたとおり、今日は第1回目ですから、この4人でまたやっていきましょうという確認があっただけでございます。
(問)もう1点なんですけれども、昨日、島尻前大臣と引継ぎもされたと思うんですけれども、島尻(前)大臣の方からは、担務の中での横串の施策展開をというようなお話もあったと思いますけれども、今、大臣として思いついているものとか、考えつくものというのがあればと思いますが。
(答)横串というか、私は担務の中でというよりも、全体で何でもやるぞというつもりでおりますので、先ほどのIoTの話ではありませんが、私が今までやってきたことも含めてやりたいと思います。
 沖縄については、特に観光も大きなツールになると思いますから、これを一生懸命、観光分野において沖縄の何かお役に立つことができないか等々もありますし、もちろん科学技術、IT、それぞれの私たちの担務でありますけれども、こういったところで何か振興策になり得るものがないか、虚心坦懐に探していきたいと思っています。
(問)沖縄タイムスの石川です。よろしくお願いいたします。
 昨日、2020年の東京五輪・パラリンピックの追加種目に沖縄発祥の空手が決まりました。大臣の受止めと、この追加種目に決まったことで、沖縄振興にどういう寄与を与えるかということと、どう活用していきたいかというお考えがあれば教えていただきたいと思います。
(答)僕はまだ空手の分野で物語りができるほど詳しくはありませんが、一国民として本当に有り難いことだ、うれしいことだという考えでしか今のところはございません。
 ただ、これからそう言われてみればそうだなと思いました。そういう意味で私たちが空手をツールに何かできることがあるのかないのか、一遍調べてみたいと思います。御指摘ありがとうございます。
(問)日刊工業新聞の冨井と申します。
 ちょっと宇宙に関してお聞きしたいんですけれども、昨年、H-IIAロケットによる海外商業衛星の打上げだとか、あとISSの日本の参加、2020年に延長しただとか、そういういろいろな出来事があって、歴史的な年だったと思うんですけれども、一方で、今年X線天文衛星の「ひとみ」が運用断念ということがあったと思います。
 そういった総合的なところを含めて、宇宙開発、宇宙政策の大臣が御覧になった時の課題と、あと宇宙開発に関する期待みたいなところをお聞かせ願えますでしょうか。お願いします。
(答)課題と言えるほど、私この分野でまだ皆さんと議論はできてないんですけれども、今のところ、大きく宇宙施策が民生分野の発展とか、大いに変わりつつあるということは皆さんも御存じだと思います。その意識で私たちは仕事をしていかなければいけないと思いますから、今ここで、この問題が課題で、これを変えますと明言ができるほどまだ知見がないんですけれども、しっかりとそのことをフォローしながらやっていきたいということの決意だけ、今日は申し上げておきたいと思います。
(問)宇宙開発で期待されているような、こういうことができたらいいなという大臣の期待みたいなところがあれば。
(答)私は例えばこれが世の中の、特にこの国の産業政策としての期待はもちろんあります。つまり、成長戦略の一つとしての期待、成長戦略の国富の増加につながるような産業政策として成長していっていただければなという期待はもちろんあるんですが、個人的にはそれよりも現実のものとして、国民生活が変わっていくようなものに宇宙分野が基礎インフラとして果たす役割を私は非常に期待しているんです。
 例えば、昨日申し上げたと思いますけれども、自動運転の車なんかも、これから先どんどん進んでいく、そのためのGPSや運転支援のようなもの、宇宙分野における衛星がどれだけ精度の高いものができるかとか、こういったことについてはしっかりフォローしていきたいと思います。
 自動運転ができてくると、恐らく過疎の村や過疎の町で苦しんでいる買物難民や、高齢者の歩行支援みたいなものをどんどん進めていくことができる。それはすごく大きな変化を呼ぶんだと私は思いますから、例えばの話。
(問)フジテレビの和田でございます。
 一通り公務の方の質問が出たようなので、ちょっと外れますが、自民党の二階さんが自民党の総裁任期の延長問題についての結論を年内にお出しになるという趣旨の発言をされたことで、党内で賛否両論が出ているんですが、自民党総裁といいますと、事実上、総理というようなこともあり、一議員として結構ですが、この総裁任期の延長問題についてどのようなお考えかお伺いしたいと思います。
(答)ここは大臣会見ですから、一議員としての意見を声高にお話しできませんけれども、安倍内閣がもっとたくさん続いていただきたいと、全国民、全議員が思うくらい、我々は一生懸命内閣を支えていく、そういう成果を出していくという気持ちを持っております。
 それ以上でもそれ以下でも今のところはありませんので、御理解いただきたいと思います。
(問)北海道新聞の佐藤です。よろしくお願いします。
 1点だけ、北方領土問題に関連して、大臣、北方領土を今後御訪問される意思とか御予定があれば教えてください。
(答)調整中です。もうすぐにでも行きたいと思いますけれども、なかなか日程の調整がとれてないというところであります。できるだけ早く行かせていただきたいと思います。
(問)朝日新聞です。
 天皇陛下が週明けにもお気持ちの表明をされるというふうに言われています。生前退位を望まれているという見方もありますが、一閣僚としてこの問題についてお考えをお聞かせください。
(答)これは安倍内閣全体として考えていただく、そのことに私は従いたいと思いますし、閣僚としての意見というよりも、こういう制度が果たしてどうあり、それからそのことにどう対応できるべきものなのか等々について、私の担務ではございませんから、しっかりと調べてはいませんので、軽々な発言は今ここでは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)(フジテレビ・和田記者)
 調整中というお話があった北方領土なんですが、どちらに行かれることで御調整をされているのでしょうか。
(答)できれば北方領土に関する全てのところへ、関わる全てのところへ行きたいというのが私の希望ですけれども、なかなかそれがどういうところなのか、行けるところはどこなのか、これについては事務方が今一生懸命調整をしていただいていると思います。

(以上)