石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月11日

(平成29年7月11日(火) 10:40~10:57  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 先程の閣議におきまして、日EU・EPAの大枠合意を踏まえた総理からの指示に基づきまして、全閣僚がメンバーである「TPP総合対策本部」を「等」がつきます、「TPP等総合対策本部」に改組いたしました。この改組された「TPP等総合対策本部」はTPPに関わる取組を踏まえまして、政策を体系的に整理して政府一体となって総合的な対策を策定することを目的としています。先程私から当該本部のメンバーであります全閣僚に協力をお願いしたところです。
 これに伴いまして、事務局体制も「TPP政府対策本部」からこれも同じですが、「TPP等政府対策本部」に改組されました。首席交渉官が常駐となりまして、片上氏に代わり、前イタリア大使の梅本大使が着任いたしました。
また、財務省、農林水産省、経済産業省から審議官が着任するなど体制を充実させたところです。
 今週中を目途に日EU・EPA交渉の大枠合意を踏まえた総合的な政策対応に対する基本方針、TPPのときも基本方針を決定させていただきましたけれども、基本方針を決定していきたいと考えています。
 また、昨日ですけれども、ニュージーランドのマックレイ貿易大臣から、今週箱根で開催されるTPP高級事務レベル会合の前に意見交換をしたいということで電話で話をしまして、日本とニュージーランドが主導して緊密に連絡を取り、TPP11をしっかりと成就させていくためにしっかりやっていこうということを改めて確認させていただいたところです。
 私から、明日からの箱根会合での議長国としての議論の進め方、どういう形でやるかというようなことを説明させていただくとともに、11月のAPEC首脳会合に向けて議論を前進させるべく議長国としてニュージーランドと緊密に連携を図りながら議論を主導してまいりたいと、御協力のほどよろしくと、ニュージーランドはヴィタリス氏が交渉官で私もよく知っていますので、ヴィタリス交渉官にもよろしく伝えてほしいと、そのようなことをマックレイ大臣に話させていただきました。
 私から御報告する案件は以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭との御発言とも関係してきますが、今後もEPAをバックアップするという意味で、ヨーロッパ外遊に行かれましたが、その成果はどんなものであったかということと、あと日EU・EPAの大枠合意、これに対する結果の受け止め、あと基本方針とかを今度取りまとめられる、EPAの関係で、ということですけれども。
(答)日本の経済財政政策と未来投資戦略、これからの成長戦略、こういうものに大変ヨーロッパも関心を持たれていまして、先般も4月にOECDのグリア事務総長がいらして、いろいろなサジェスチョン、または意見交換をしましたが、その後どうなっているかという話をグリア事務総長にお話をさせていただきました。G20の前であるということが大変重要でありまして、日本の経済財政状況を説明できたことは一つ意味があったと思っています。
  グリア事務総長からの具体的な反応ですと、アベノミクスの三本の矢については、うまくいっているという評価を引き続きいただいています。
  4月にもおっしゃっていましたけれども、今後はやはり更なる成長をなし遂げていくためには生産性の向上が必要である。これは未来投資戦略の中にもしっかりと書き込ませていただいたということで説明させていただきました。特に、日本の場合は中小企業、こういうところの生産性向上と人材スキルの一層の活用が重要だという指摘がありまして、私どももそれを正に6月にまとめさせていただいたという話をさせていただきました。
  今回のグリア事務総長との議論で一番面白かったのは、中小企業、ここをめぐって韓国や他の国について、その国の中小企業についてはOECDで研究したそうで、日本でも是非ということで、中小企業庁の方を御紹介させていただきまして、OECDの方でもう一度来て、しっかりと日本の中小企業、成長戦略によってどう変わったかというような分析レポートを出したいという話をしまして、そこが新しいところであったのかという気がします。
  もう一つは、ちょうど私が会長をさせていただいていますけれども、日EU議員会議というのがその前後して行われていまして、ちょうど、岸田外務大臣がマルムストローム欧州委員(貿易担当)と会談した後、直ぐに岸田大臣からお電話を頂いて、その電話を車中で聞いて、その会議の冒頭におきまして今外務大臣から電話が入ったことなんですよということで、日本国とEUの委員会との間で合意がなされた後、次はEU議会というものがあるんですが、ですからEU議会としてもしっかりとサポートしていただきたいという話を基調講演のところでさせていただきました。
  多くの議員から歓迎の意が表されまして、ジョイントステートメントを出させていただいて、EU議会並びに日本の議会はもちろん具体的な条約等々ができていませんので、それをしっかり確認し検討した上で、しっかりと成就させていきましょうというようなジョイントステートメントをその日のうちに取りまとめさせていただきました。
  また、それを翌日ですけれどもタヤーニ欧州議会議長、イタリアの方ですけれども、そこに報告させていただきタヤーニ議長からも協力要請をして、前向きに受け止めていただいたと思っています。
  これはトピックス系ですけれども、ジャパンエキスポというのをちょうどフランスで4日間ですがやっていまして、日本のアニメやマンガ、今回は文化や日本食、そういうものもたくさんありました。巨大な展示場で、入場料が20ユーロ、4日間で25万人くらいいらっしゃって、日本からいろいろな、くまモンもちょうどいまして、あとは商工会議所の会頭さん、市長さんがいらして、岡山の方ですけれども紹介されていました。
  非常にフランス人の方がこういうことをやってくださっているということで、日本の文化発信としては素晴らしいなと。トマさんという方がやっていますけれども、あとは武道のブースもあり、いろいろな武道をやっていました。チャンバラなどもやっていました。
あと面白かったのは、野球というのは向こうではポピュラーではないものですが、バッティングセンターもあって、それが体験できたり、さくらステージと名前がついているところがありまして、300人ぐらいの方が聴衆でいらっしゃって、そこでプレゼンテーションをさせていただきました。日本に対する関心の高さに大変驚きました。
  続きまして、日EU・EPAの大枠合意についてですけれども、これもかなり時間がかかっていると思います。4年3か月、一進一退、2回くらい盛り上がってまた、交渉相手があることですからなかなか、農業の部分で引っ掛かっていたと思いますが、厳しい交渉を続けた結果、今日に至った。やはり保護主義の台頭と時期が非常に重要だったような気がいたします。
  日EUが自由貿易の旗を高く掲げるのだというような政治的なメッセージを世界に対してあげることができたと思いますし、これに伴って明日から首席交渉官会議が始まりますけれども、TPP11の早期発効に向けた議論を促すことになると期待しているところです。
  政府全体としてはこの大きな成果を確たるものにする、条約までやらなければいけませんが、それにはEUサイドでは2019年という話をしていますから、それでも結構忙しい話でして、国会審議もあります。しっかりやっていかなければならないです。
  併せてやはり関税を下げるわけですので、撤廃したり、下げるわけですから、国内対策というものもないがしろにしてはいけないと思っています。
  そういう中で、必要な体制整備について総理から指示を頂きましたので、今日、「等」というふうに改組させていただきまして、会議をつくらせていただいて、TPPは総合的な関連政策大綱をつくらせていただきましたので、その中で農政新時代ということも掲げていますので、自国の農産品が海外のものに脅かされるということではなくて、逆に打って出る、そういう大胆な発想も必要です。その一方で、零細な方々に対してはきめ細かい配慮も必要ですので、農林水産大臣とも連携を図っていかなければならないと思っています。
また、政治的な関係としては、与党の側から大枠の前に交渉に関する申入れというものを頂いておりますので、昨日から平場の議論が我が党では始まっていますので、連携を図りながら何ができるかということをしっかり検討してまいりたいと考えています。
(問)TPPについて2点お願いします。
  1点目は、首席交渉官に梅本さんが就任されましたけれども、どんなことを期待しているのかをお願いいたします。
  2点目は、明日から始まる箱根の首席交渉官会合ですけれども、関税だとかなかなかいじりたくない側面があると思いますけれども、11か国でTPPを進めるに当たって、大臣としてはどんなことが今後のポイントになると考えているのでしょうか。
(答)ポイントから言いますと、正に言われたそこの箱は開けない方がいいですよね。それは全体的な共通認識みたいなものは、かっちりしたものではありませんけれどもあるのだと思います。
  ハノイの閣僚会議の合意を受けて、昨日もマックレイ貿易大臣と話をしましたし、カナダのシャンパーニュ国際貿易大臣ともこの間会って話をしたり、いろいろなレベルで各国と議論を行ってきていますので、大体各国は何を思っているかということは分かっています。
  箱根会合ではこういうことを踏まえつつ、我が国に対する期待は大きいので、それは一つの期待はやはりTPP11もいいけれども、やはりアメリカの市場をアジアの国々は目指しておりますので、アメリカをどう戻すか、そういうことも含めてTPPの早期実現に向けた議論を前進させたい。またそういうことになるようにこの会合が、今回だけでは全てが固まるわけではありませんで、次は9月ぐらいになると思いますけれども、そこにつないでいく。
  昨日もマックレイ貿易大臣と話をしたのですけれども、11月みたいなAPECの首脳会合というふうに切ってあるのです。これはある意味ではすごくタイトな日程ですけれども、日程が切ってありますので議論がドライブしていくというメリットもありますので、一つ一つきっちりと進めていくことが肝要なのではないかと思っています。
(問)梅本さんへの期待を。
(答)梅本首席交渉官は、実は霞クラブにいたときからの古い付き合いですので、非常に能力の高い方ですので、話をしましたけれども、非常にやる気がみなぎっていて、交渉官としては適材なのではないかと考えています。
(問)今日、内閣府も異動でして、新旧次官が代わられます。西川次官への労いの言葉、河内さんへの期待、なかなか18年度に向けては経済財政も難しい舵取りをされることになるかと思います。お言葉を頂ければと思います。
(答)それは本当におっしゃったように、2018年は経済財政運営は正直言いまして大変だと思います。今は景気は間違いなく回復基調が続いて、景気ウォッチャーを見ても日本全国で景況感はよくなっていますけれども、その一方で財政再建の話もあります。また消費税の話もあります。そういうものをしっかりと前に進めていく、西川前次官は官庁エコノミストとして経済の専門家ですから、今度は河内次官は旧自治省出身です。西川前次官はある意味では景気分析というか、政策立案において経済理論の専門の方ですので、そういうことを念頭に内閣府の運営をされてきたと思います。
  統計改革、ここが一つ大きかったのではないでしょうか。そういう意味ではこの流れを、何人も優秀な官庁エコノミストの方が残っていますし、新次官もそういう方をしっかりと統括して、2018年に臨んでいっていただきたいと、このように考えています。

(以上)