石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月30日

(平成29年5月30日(火) 9:18~9:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議ですが、当方に関連する案件はありませんでした。
 御承知のとおり、閣議の後に「TPPに関する主要閣僚会議」がありましたので、その概要につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 本日で18回目となる会合ですが、最初に私の方から、ベトナム・ハノイで開催されましたTPP閣僚会合の結果を御報告させていただきました。詳細については片上首席交渉官の方からありました。
次に外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣から、TPPの今後の方策の検討に関して、緊密に各省、また各国連携して対応していく必要があるという発言がありました。
 総理からは、御案内のとおり御発言がありました。TPPの早期実現を図るための方策の検討について、スピード感を持って議論を前進させるため、7月に日本で開催される事務レベル会合の議長国としての我が国の役割が決定的に重要であり、私を中心に関係閣僚が一丸となって11か国の議論を主導するようお願いしたい旨の指示がありました。
 今後、この総理の指示を踏まえまして、我が国が持ちます求心力を活かしながら、日本が主催する7月の事務レベル会合、そして11月のAPEC首脳会合に向けて、TPPの早期実現を図るための方策の検討を進めてまいりたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)イタリアで行われましたG7のサミットで、首脳宣言に「保護主義と闘う」という文言が盛り込まれました。ただ一方で、貿易の在り方をめぐって欧州各国とアメリカの間にまだ溝があるようにも思われます。大臣としての受け止めを改めてお伺いさせてください。
(答)私も報告ベースでしか承知をしていないのですけれども、首脳間でのコミュニケ、実はこれ、まとまるか、まとまらないかと、行かれる前は言われていたものですけれども、自由で公正で互恵的な貿易こそが成長の原動力である、こういう認識のもとに、不公正な貿易慣行に断固たる立場をとりつつ、開かれた市場を維持すること、そして、おっしゃられた保護主義に対抗することということで7カ国一致を見たということだと承知をしています。
 自由貿易の推進の重要性と保護主義への対抗の重要性については、これまでと同様にアメリカを含むG7の間で共有されたのではないかと、この文言を拝見する限り、そのように考えているところです。
(問)先程、総理の発言の中にもあった「高級事務レベル会合」、これは日程、場所等はもう決まっているのでしょうか。また、それに向けて今後どのようなことを石原大臣としては指示していきたいか、お願いいたします。
(答)まだ詳細については、関係国の首席交渉官がいつ来られるか、何日に何があるというようなそういう調整をやっていると承知をしていますので、まだ確定はしていません。
 後段の御質問ですが、総理の指示を踏まえまして、我が国が持つ求心力というものはやはりあるということはハノイでも実感いたしましたので、これをうまく活かしながら、7月の事務レベル会合で、各国が本音を言っていただくということが必要だと思うのです。そして、それを受けてそこで本音の話を整理して、11月のAPEC首脳会合に向けてTPPの早期実現を図るための方策というものを結束して検討して答えを、解を出していく、こういう形が望ましいのではないかと考えています。
(問)国内の話になりますけれども、今夕には未来投資会議が開かれ、いよいよ成長戦略がまとまります。これまで、統括する大臣として心を配られたこと、注目をしてもらいたいところなどありましたらお願いいたします。
(答)今日の夕方、未来投資会議で議論する素案において、皆様方にどういうところというようなことはお示しさせていただきたいと思うのですけれども、考えますと、昨年の9月でしたか、スピードアップとパワーアップをしなければいけないと、その成長戦略ですね、そのような意味から、未来投資会議という形で立ち上げました。それから8カ月ですか、民間議員の皆様や各省の者と、今すごいイノベーションが起こっているのですけど、こういうイノベーションを社会に取り入れて、実際に社会課題の解決にどう役立たせるかということの議論を重ねてまいりました。その一方で、どんなにイノベーションがすごいかということを現場に行って拝見もしてまいりました。
 ICT建機を使う建設現場というのは、一緒に行かれた方もいらっしゃると思いますけれども、法面をコンピュータ制御で作れるというのは画期的な技術だったと思いましたし、またドローンを飛ばして測量するというもの、あるいは車ですと自動走行ですか、それと安全性。また、日本の非常に大きな課題であります介護施設でも、先進的な介護施設で入所していた人が、入所前、入所後みたいな形で総体的に拝見して、現実におばあさまにお会いしましたら、本当に表情が出て戻っていらっしゃるというようなものを見せていただきましたし、また地域の創生というような形で言うならば、スポーツです。野球とバスケットを見ましたけれども、非常に地域が盛り上がっている。過去を知っている人間としては、大分変わったという印象を受けましたし、特に震災があった熊本で1年経った中で親子3世代、小さな子供、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんといっても私と同じぐらいの方々、3世代が一つのスポーツで盛り上がっているのを見せていただきましたし、また農業も、ICTを活用したりセンサーを使ったり、あるいは一人の農業者の青年は、高校のころから自分でそういうセンサーを作る技術を持つから、誰にも頼まないで、セブンイレブンに勤めていたけれども、今度は農業をやっているといったような、今まさに変わろうとしている、変わっている現場も見せていただいて、すごく勇気づけられもし、ヒントもいただいた気がいたします。
 では、それでどういう社会を目指すのか、少し長くなって恐縮ですけれども、いわゆるSociety5.0に向けて戦略分野を設定して、またそのデータ利活用基盤を構築していろいろな政策、規制緩和も行っていくということが経済を発展させていく上で重要なのではないかというのがこれまでの議論の大まかな点でもありますし、強調したい部分でもあります。
 今日の夕方、かなり議論が詰まってまいりますので、またそのときしっかりと御報告させていただければと考えています。
(問)また質問変わるのですけど、家計調査が今日発表されまして、1世帯当たりの実質の消費支出が1.4%の減少で、14カ月連続のマイナスということで、何か消費が弱い状況が続いている感もあるのですけれども、改めて消費に対するお考えを伺えればと思うのですが。
(答)これはもう国会でも私何度も答弁しているのですけども、家計調査というのは世帯ごとでして、東京などを見ても単身世帯、高齢者の方とか大変増えています。全国的にも同じ傾向があるのだと思いますので、長期的に、今、おっしゃられたような減少傾向というものが続くというのは、この世帯の構成人員が減れば、当然そういう姿というものはこれからも続いていくことが予見されるわけです。
 では、そのような中で実際の消費動向はどうなのかというと、私は現場を見た感じではかなり改善しているような気がします。
 一つ例を出させていただきますと、ファミリーレストランの夕刻あるいは10時というような遅い時間にグループの子供連れの親御さんが垣間見えるようになったというのもありますので、飲食に対する消費が拡大しつつあるのではないか。それは売上げなどにも出ているような気がいたします。
 マクロで捉えるならば、やはりGDPベースで捉えるのが的確なのではないかと思いますが、これは昨年からですか、プラスの基調が続いていて、現場の見ている感覚とマクロの数字を合わせますと、総じて持ち直しの動きは続いていると、そういう感じは、まちを歩いた雰囲気ではいたします。
(問)TPPの今日の閣僚会合の件ですけれども、先日、大臣の方から、TPP対策本部の組織強化のお話がございましたけれども、これについての御言及が会議の中であったのかということが1点と、あと7月の首席交渉官会合、高級事務レベル会合でどういったところまでの議論を期待するかということと、それを受けて更に閣僚会合まで発展する可能性というのがあるのかどうか、これについてお願いいたします。
(答)組織の強化ということは、私の方からも杉田官房副長官の方に実はお願いいたしました。ただ、御存じのとおり各省人がないと人がなかなか寄せにくいという事情もありますので、そこは、ジュニアの人ですと、現場で回す人がいれば出してもらえるのではないかというお願いはしていますが、これも各省庁にお願いをする、内閣府というのはプロパーよりも外の方が多い役所ですので、これはちょっと宿命的にお願いベースでやるしかないのかなと思っています。
 具体的なことですけれども、先般も取材いただいたと思いますけれども、シャンパーニュ国際貿易大臣がいらっしゃいました。カナダも含めて、このアジア太平洋のパシフィックのところに高いレベルの貿易ルールですか、そういうものを早期に実現していくという機運、モメンタムを失ってはいけないというところは改めて確認できましたし、カナダ、ニュージーランド、豪州、日本ですか、ここのグループは互いにもっと緊密に連携していこうと。
 シャンパーニュ国際貿易大臣は、機会があったら是非オタワの方に来てほしいというようなことをおっしゃっていましたけど、こちらは国会がありますので、そんな簡単にはなかなか、オタワは遠いですから、なかなか許可が出ないのですというような話はさせていただいたのですけども、やはり各国と、外務大臣などもやはり出先を持っていますので協力してくださると思いますので、各国との連携をより密にするということと、やはり与党とも、現場がありますので、どうなるのだろうという、特に農業関係の方々、こういう方々にしっかりと御説明していく上でも、与党との相談というものもこれから更にしっかりとやっていきたい。そんな形で7月、そして11月で話を進めていきたいと考えています。
(問)先程、大臣の方から、TPPに関してですけど、本音の整理をする議論をしたいというお話がありましたが。
(答)本音の整理というのは、本音を言ってもらって、それからどう解きほぐすかということだと思います。
(問)ハノイ会合でも大臣自身が、各国の立場があって調整の難しさを実感されたのだと思うのですが、この11月に選択肢を評価していくという過程の中で、この数カ月をどう大臣として位置づけていらっしゃるか、TPPにとってどう重要性が高いのかという考えをお持ちなのか、もしお考えがあれば教えてください。
(答)先程も御質問ありましたけれども、7月に会合をやるということは、どのようなことを言うという紙は必ず来るわけです、事前に。日程さえ決まれば、1週間ぐらい前に。そうしますと、本音ベースが分かってきます。それを整理することになると思うのですけども、やはり関税のところはいじってはいけないという思いは、開けたら大変だからという思いはあると思います。ただ、アメリカがいないということをおっしゃる方もいると思うのです。ですから、そういうものを紙が出そろったところで、これは配慮できる、これは言うと、こことここはだめだというようなことが初めて分かるのではないか。ハノイは割と時間がなかったもので、ともかくばらばらにならないようにしていこう、「モメンタム」という言葉を皆様使われていましたけれども、機運を失ってはいけないというところは共有できていたのかと。ただ、そうはいっても国内事情もありますし、各国が置かれている地域での立場というものもあると思うのです。ですから、そういうものを高級事務レベルで整理する。ハノイで共同議長のニュージーランドのマックレイ大臣がおっしゃっていましたけれども、必要があるならば大臣会合もやらなければいけないかもしれないということは共同議長のマックレイ大臣がその会議の中でおっしゃっていました。

(以上)