石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月9日

(平成29年5月9日(火) 8:50~9:05  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議ですが、格段私の方から報告する案件はありません。

2.質疑応答

(問)先週、カナダで行われましたTPPの首席交渉官会合についてお伺いします。まず、今回の交渉の評価について、大臣としてどのようにされているかという点と、また、今月下旬にベトナムで閣僚会合がありますけど、それに向けた課題についてもお伺いさせてください。
 それと、アメリカを除く5か国で先行発効を目指しているという一部報道もありますけども、そうした動きの有無についても併せて教えていただければと思います。
(答)昨日も予算委員会で総理が御答弁をされました。私も答弁をさせていただきましたけれども、TPPというのは関税の引下げだけではなくて、ハイレベルなルールの決定等々広い大きな意味がある。そして、アメリカはトランプ大統領になりまして離脱ということをおっしゃっていますけれども、それ以外の国だけで見ても、戦略的な意義というものは非常に高いものがあるのだと思います。
 昨日、片上首席交渉官と澁谷内閣審議官から、もちろん会合が終わった後、国際電話では話をしましたけれども、昨日実際に帰国してお話を聞きましたけれども、どうでしたと、率直な印象を今の御質問と同じように私の方から聞いたのです。そうしましたら、本当に率直な意見交換ができたと。それと、各国で一致したということは、やはり高いモメンタムを失わないように議論を進めていく必要があると。すなわち、何もしなかったらばらばらになってしまう。それはよくない、そういうことでは駄目だと、そういうところでは集まって全員のコンセンサスを得ることができたと報告を受けました。それは大変私は素晴しいことではないかと思います。各国思惑がありますので、その思惑だけが表に出ることを一番危惧していたわけですけれども、今、冒頭私が話をさせていただいたようなTPPの意義を踏まえてモメンタムを失わないように議論を前に進めていこうということが結論であったのではないかと思っています。
 そして、後段御質問のありました5か国というのが、どの5か国を指しているのか私は分かりませんけれども、具体的に5か国がどうしようというような議論は全く出ていない。これは、全く出ていないという報告を受けています。全く出ていないことでありますから、出ていないと明確にこの場で皆様方にも御報告をさせていただきたいと思っています。
(問)先程に重ねてなのですけども、今度の閣僚会合に向けての課題というのは何かございますか。
(答)閣僚会合は、実はまだオークランドの後全員集まっていないのです。そういう意味で、そこで首席交渉官でモメンタムを維持していこうということでコンセンサスを得たわけですけれども、実際それが本国に戻っています。それで、各国、先ほど思惑という言い方をしましたけど、国内事情というのはやはりあると思うのです。アメリカがいることによって譲歩した、しかし、アメリカがいないのだったら配慮は要らないのではないか、各国いろいろな、農業から始まって工業製品、繊維も広い分野にわたっています。知財などはもちろん入ります。そこを首席交渉官の話が今、本国に戻っているわけですから、そこで各国がどういう思いを持たれるのか、またこれは交渉でありますので、ある意味では。いろいろなことを言う国が出ても不思議ではないと。そういうことを踏まえて、これも昨日、総理が答弁をさせていただきましたけれども、我が国が主導してこの議論を各国と率直に議論をしていただきたい、これがハノイでのポイントではないでしょうか。
(問)骨太の議論もゴールデンウイークが終わりまして本格化してまいります。近年は、この3年間はPBの削減目標を掲げてきたわけですけれども、内閣参与の藤井聡さんなどが最近、プライマリーバランスの規定を撤廃してもいいのではないかというような御主張をされる文章をネットですとか新聞などで発表されたりしております。担当大臣としてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)藤井先生の本はちょっと読んでいないので何とも言えませんけれども、政府として「経済再生なくして財政健全化なし」という方針は微動だにしていませんし、2020年度のPBの黒字化を目指す、更には債務残高のGDP比の引下げ、これを積極的に進めていくということは全く変わっていません。
(問)フランス大統領選についてお伺いしたいのですけれども、EUに残留を支持しているマクロン候補が勝ったわけですけれども、これまで大臣は、海外経済のリスクとして、排外主義とか保護的なものの高まりを挙げていらっしゃいましたが、今回の結果を受けて、そのリスクは後退したと捉えていらっしゃいますでしょうか。
(答)これも昨日、総理がマクロン次期大統領に祝意を表されていますけれども、その中で総理が言っているのは、今御言及のあったEUの中での内向き志向や、保護主義的な動きがいろいろなところで見られる。そういうものに対しての象徴的な勝利であったと。そして、EUはブレグジットの問題がありますので、EUへの信任であると、こういう祝意を表されていますけど、私も正にそういう勝利ではなかったのかと思います。
 しかし、その一方で、これも報道レベルの話ですけれども、議会選挙がこの後控えている。ですから、ヨーロッパの選挙というのはフランスにとどまりませんので、やはり広い視野を持って、距離的にはヨーロッパは日本から遠いですけども、実は経済的には近いわけですし、民主主義、法の支配、基本的人権、この共通な理念のもとに私たちはあるわけですから、友好関係を深めると共に、今御質問ありました点について、やはりどうなるのかということは絶えず見ていく。そういう意味では、これによって全てがハッピーになったという形ではなくて、総理の祝意に表れていることが全てなのではないかと、そのような気がいたします。
(問)先日、安倍総理が自民党総裁として、憲法改正につきまして、9条3項の加憲と、それから高等教育の無償化について発言しておられました。石原大臣、この総理の考えについてどのように受け止め、また、この考えに賛同できるものでしょうか。お考えを教えてください。
(答)私もビデオメッセージはちょっとびっくりしたというのが率直な感想です。これまであのような形で総理がこの憲法について、御出席されて会合でお話をなされることはあるのですけど、ビデオメッセージという形で今、おっしゃられたところまで言及されたということでは、ひとつ大きな出来事だった、インパクトがあったというふうに私は受け止めました。  これも、昨日の予算委員会で総理が自民党総裁としての認識を示したものであるというふうにおっしゃっています。私も正にそのとおりだと思います。私も内閣の一員ですので、憲法を守るという立場は微動だに変わっていないわけですので、何をどうこうするというようなことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)TPPの関係でちょっとお伺いしたいのですけれども、今度はハノイで閣僚会合がありますけれども、日本としてこれまでメガ貿易構想みたいなものでは、TPPが牽引していくというような位置づけをとってきたかと思うのですが、その中で、11か国によってどうしていくのかというのをハノイである程度方向性を出したいと日本としては考えるのか、それとも各国の出方を慎重に見極める必要があるというふうに慎重に考えているのか、その辺どうお考えになりますでしょうか。
(答)これは、どうなるかということについては、先程言いましたように、各国のいろいろなモメンタムを維持していこうというコンセンサスは首席交渉官会合で得られてはいますけれども、先程の答弁での中でもお話しさせていただいたように、いろいろな押したり引いたりの結果が今回の合意内容でありますので、アメリカが抜けましたので、どうするのか。ただ、そこでやはり大切なことは、我々はあらゆる、これも総理が昨日答弁されていましたけれど、あらゆる選択肢を排除していない。アメリカが気が変わったら、アメリカが入ってこられるようにすることを別に排除しているわけではないわけですし、経済規模からいうと、アメリカが抜けますと日本が特別大きいわけです。そうしますと、当然、各国からの期待というものは日本に多く寄せられるということも事実だと思います。
 そして、今、御質問にありましたとおり、成長戦略の一つの柱として捉えてきています。そして、それは戦略的な意義、地政学的な環太平洋の中で自由貿易圏を作るという戦略的な意義も非常に強いわけです。そうしますと、本当に何がベストなのか、議論する中でそのベストというものが見えてくると思いますけれども、主導的に議論を我が国として引っ張っていく責務のようなものはやはりあるのではないかと思います。  やはり先程もこれは言いましたけど、レベルの高いルールなのです、ここが一つポイントなのだと思います。それを主導していくために、これは我が国の国益にも合致するわけですから、ハイスタンダードのルールを貿易の中で各国が共有し合えるために何ができるのかという、そういう一つの試金石になるのではないかと思っています。
 各国ともいろいろな、電話会談などもやっていますし、これからまた、ニュージーランドのマックレー貿易大臣がハノイの共同議長なので、ハノイの前にお会いすることになる、日本でお会いすることになると思うのですけれども、そこで思いが近い国々の方々とも話をしっかりしていくことが重要だと思いますし、今、できれば今週、駄目ならば来週ぐらいの段階で、アジアの国々の在京大使の方々、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムですか、緊密に意思疎通を図っていきたいと考えています。そこで、特にベトナム大使などは私親しいものですから、ベトナム大使とシンガポール大使も大変親しいもので、どのようなことを首席交渉官会合を受けて本国にその内容が行き、そして在京の大使に私が会いたいというオファーをもう入れていますので、率直な意見交換ができるのではないかと思っています。

(以上)