石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年2月23日

(平成29年2月23日(木) 18:17~18:32  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について、説明をさせていただきたいと思います。
 景気の現状についてですが、総括判断は「一部に改善の遅れも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」と判断を変更していません。据え置かせていただいていています。
 先行きですけれども、雇用・所得環境の改善が続く中で、経済対策等の各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されています。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響というものには、これからも十分留意していく必要があるのではないかと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、個人消費を下方修正しました。雇用環境とかは割といいと思うのですけれども、なかなか現状で個人消費が力強さを欠いていると思うのですが、ここをどう分析されているかということと、先行きについては、物価がこれから上がるという見方も多いんですけれども、個人消費の動向をどう見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)月例経済報告というのは毎月説明させていただいていまして、毎月発表していて、そして、季節要因というものが意外に数値には出てきます。
 昨年の秋以降を考えてみますと、やはりスーパーマーケットへ行きましても、葉物類や食料品価格の上昇というものはあったと思うのです。そういうものが消費者の方々の実質的な購買力をどういうふうに抑制していたのか、こういうことも影響はなくはないと思うのです。
 その結果として、今おっしゃられた消費総合指数で見ると、2か月連続でマイナスであったから、下方修正という形になったと。
 しかし、トレンドで見ると、こういう季節要因などを除くと、持ち直しの動きはやはり続いているのではないかと。このように分析をしているところです。
(問)今の関連なのですけれども、先日、総務省の方で発表された2016年の家計調査を見ると、エンゲル係数が29年ぶりの高水準になっているということで、このエンゲル係数が高くなっているということと、その個人消費との関係について、大臣はどのように御覧になっているかという点。エンゲル係数が高くなっている要因として、どういうふうに御覧になっているかも併せてお願いします。
(答)これは専門家の方に聞いていただきたいのですけれども、エンゲル係数が上昇しているという事実はあります。ただ、それによって個人消費が抑制されるということは、これもまたダイレクトにはつながらないと私は思います。ただ、専門家の話を是非聞いていただきたいと思います。
 では、なぜエンゲル係数が上がっているかといいますと、これもスーパーマーケットへ行っていただきますと、例えば輸入品の肉や、スパゲティー、あと、魚介類など、やはりメキシコ産などと書いてありますけれども、こういうもの上がっていますよ。だから、輸入物価の価格上昇というのは一つあると思います。
 というのは、魚でも原産地が全部書いてあって、それが当たり前に我々の食卓に来る時代になっている。これはすごく大きな変化なのだと思います。
 それと、その働き方改革、今議論されていますけれども、ダブルインカム、その言葉を換えますと、一緒に御夫婦で働いている世帯の割合というものも、以前に増して増えています。そうしますと、どうしても調理したものを買わざるを得ない日というのはきっとあると思うのです。そうしますと、そういう部分は素材で買うよりは、どうしても加工の手間が乗っていますから高くなる。
 それともう一つ言えるのは、やはり高齢化というのが実は大きいのではないでしょうか。これは学術的な話ではなくて私の見聞なのですけれども、私の住んでいる町で、何が増えたかとぱっと見ますと、お惣菜屋さんです。そういうところで例えば高齢者の方がきんぴらごぼうを買っている。我々が子供の頃食べた、普通であれば家でつくっていたものを100グラム単位で売っているのですよ。おからなどもそうですけれども。昔は一つの世帯に住んでいましたから、素材を買ってきてそこでつくって、そういうものは日持ちがしますから翌日も食べたということがありますけれども、見ていると、そういうものを100グラム単位で買われています、単身者の方は100グラム。そうしますと、どうしてもエンゲル係数はたくさんの家族でたくさんのものを買ってきて調理をするものから比べたら高くなる。これはやはりそういうところが原因なのではないでしょうか。
(問)改めて個人消費に関しては、特に若い世代の消費が伸び悩んでいるという点について、小売りの現場からはもう悲鳴に近い声が聞かれる。ここを何とかできないのかという点が1点と、明日からプレミアムフライデーが始まります。消費喚起について、ここへの期待について改めて聞かせていただけたらと思います。
(答)安倍内閣になりまして21世紀に入って最大の賃上げが過去3年間行われています。3年間で6%超増えているわけです。私もこれ、就任以来言っているのですけども、やはり20年近く続いたデフレ下においては、まだ3巡目でありますから、収入が増えていくんだ、これがずっとこういう形で続くんだというところまでは実は多くの方々、特に若い世代の方々はバブル景気も知りませんし、戦後の右肩上がりの7%、8%、あるいは中成長になったとしても4%ぐらいの成長はしていたのです。その中成長の期間が日本は長いのです。
 そういうことを知らない方々にとったら、あるいは高齢化が進んで、特に安倍内閣になりまして社会保障費の抑制というのは1兆円のところ5,000億にしてありますけれども、本当にそれが内閣が代わっても大丈夫なのかということを考えるということは当然だと思います。
 そういうものがバイアスとしてかかっているということと、やはりこれも今から10年ぐらい前に東京都で調査をやったのですけれど、東京都で仮に東京に住んでいる者同士が結婚するケースは、家を持っている者同士のケースが一番多いということは一つまた新世帯ができても親がいる間はいいのですけども、一つ家がどうしても多くなってしまう、そういう家族構成というものが大きく変わってきている。そうしますと、持っている人と持っている人が結婚すると、どちらかの家を使えばいいわけですから、もちろん東京に住んでいなくて地方からいらっしゃった方で東京に住もうという方は家を買うわけですけれども、昔は新築も200万戸近くとなったのですけど、今は100万戸を切っているわけです。何が言いたいかというと、人生にとって一番大きい買物は、恐らく家だと思うのです。ですからその家も、実は日本は全国的に見ても、東京で見ても、飽和状態にある。
 では次に、大きい買物。もちろん地方に行けば、一家に3台、4台車があるというのは、公共交通が進んでいないからです。では、皆様が普通車に乗っているかというと、そうではなくて、軽自動車。それは普通車に比べてやはり安いわけです。
 それは、私たちが若い頃はやはりみんな車を買って、彼女を乗せて、デートに行くというのが、スタンダードだったのです。もう今は、うちの家族を見ていても、それは全くスタンダードではないです。公共交通機関が便利ですし、タクシーも、昔はタクシーは拾えなかったのです、本当に。手を挙げようが素通りされたりです。今はもうタクシーが拾えないということは一度もないです。急に雨が降ったり雪が降ったり、そういう、それこそ季節要因のようなものがない限りはない。
 これも何が言いたいかと言ったら、その車、もう一つ大きなものについても、「よし、どうしても」というのは、本当に公共交通のないところの人たちなのです。ここも大きく変わってきている。
 では、次、何を買うかという方です。その消費というのは旅行などいろいろありますけれども、旅行などは皆様行かれています。でも、考えてみますとね、LCCなどはなかったわけです。それは、費用の積み重ねが収支になりますから、何と言いますか、「ようし、外国に行くぞ」みたいな、エアラインのバックを背負って行ったのを覚えていますけれども、今はもう国内旅行するより安いではないですか。
 そういうところは多分、若い家族の方は使っていると思うのです。ただ、その全体に占める割合は昔から考えたら、全然、安いのではないでしょうか。
 あともう一つ、旅行で言えば、社員旅行などはなくなりましたでしょうか。我々の頃はまだ社員旅行はありました。みんなで行って、もうすごいスタンダードで、ゴルフをして麻雀する、あと宴会する。今、ないのではないですか。どちらかといったら家族旅行です。では家族旅行でといって、私もいろいろなところを見ましたけれど、二極化しています。3万、4万する旅館、あるいは6,000円から7,000円ぐらいの間で2食付き。そういうところには家族連れ来ているのですけれど、連泊しています。5泊とか。これ伊東で見てきたのですけれども。
 だから、そういうものがすごく変わっていますので、あるいはその、テレビの通販ってあったではないですか。うちの家族の両親世代はテレビを見て、もうすぐ買ってしまうわけです。今の若い人たちは、みんなアマゾンとかですよ。では、それが正確に消費で、統計に反映されているかといえば、もちろん入ってはいますけれども、割合に対して何を調べているかといったら、まず百貨店の売上げです。あと、スーパーマーケット。やはり、そういうものを中心に見ていますから、本当に何がこの若い人たちが今一番、今御質問のあった世代の人たちがやっているかということは、ざっくりは分かっていますけれども、これまでのスタンダードな統計の中では十分には分かっていない。
 ですから、統計改革なども今やっていますけれども、そういうことも見ていく必要が、実はこの個人消費の問題というのは、すごく奥が深いのではないかというのが、私の今の認識です。
(問)プレミアムフライデーについて。
(答)是非プレミアムな夕刻を過ごしていただいて、実践していただきたいと思います。
 長時間労働の方も、是正をして、皆様方の夜回り、朝回りをなくして、夫婦で楽しい週末を過ごす。
 だから、意識改革なのではないでしょうか。このような話をするとあれですけれど、長時間残業するというのは計算をしたら皆様方もそうではないですか。
 でも、やはりそれは、では、アメリカの記者の人がそういうふうにやっているかというと、どうもアメリカの記者の人はそうではなないですよね。外国の方、是非、言ってやってください、本当に。ちょっとおかしいよ、日本のはといって。
 ですから、プレミアムフライデーを一つの契機として、その働き方を変えていく一つのものになっていただきたいですし、それによって、需要の先食いではなくて、しっかりと働き方が変わっていく、そういうことが重要なのではないでしょうか。

(以上)