石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年12月22日

(平成28年12月22日(木) 10:13~10:26  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議で、昨日の経済財政諮問会議の後の記者会見で御説明させていただきました「経済・財政再生アクション・プログラム2016」を報告させていただきました。同じ内容です。
 また、社会保障制度改革推進本部を持ち回りで開催させていただきまして、「今後の社会保障改革の実施について」を本部決定いたしますとともに、「平成29年度の社会保障の充実・安定化等について」を了承しました。今後、これらの方針を踏まえ、「社会保障と税の一体改革」に引き続き着実に取り組んでまいりたいと思います。これは消費税率引上げの延期に伴うものです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日の閣議で、一般会計で過去最高の97兆4,547億円規模の平成29年度の当初予算が、閣議決定されたわけですが、成長戦略にも手厚く予算配分されていると思うのですけれども、経済成長と財政再建、これの両立という観点から、大臣はこの予算をどう御覧になっているか、御所見をお願いいたします。
(答)内容につきましては、今、おっしゃられたとおり財務大臣から、そして総務大臣から補足で説明をいただいたところです。社会保障制度の持続可能性、サステナブルな制度であるということを高める。その意味でも減らすところは減らさなければいけない。一般歳出の伸びが全体で5,300億の中に、2年連続で目安としているところに入っているというところを、私としては高く評価させていただいています。
 もちろん歳出抑制に努める一方で、経済再生、経済成長に資する予算というものがついていかなければならないと、ずっと申してまいりました。メリハリの効いた予算であるかどうかということですけれども、潜在成長力を高めるという意味では、日本の科学技術とイノベーション、イプシロンロケットも固体燃料で2号機も無事成功するというようなことを見ても、科学技術振興費の増額が、0%とか0.2%の伸びが多い中で0.9%確保できたということは、非常に高く評価をしているところです。それによりまして、今、御質問のあった経済成長と財政の健全化の両立、こういうものを実現する予算であるのではないかと思っていります。
(問)同時に決定した3次補正予算案で、7年ぶりに税収の見積りを下方修正して赤字国債を増発しました。これまで安倍政権は国債発行を抑制してきたと思うのですけれども、今回の増発で財政健全化が後退するという指摘もありますが、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)今は117円台といったような、なかなか予想されなかったようなドル高・円安局面を迎えていますけれども、年初からトランプ次期大統領が決まるまでは、どちらかというと円高局面が続いていて、一時は100円を切るようなときもあったわけであります。日本は、これまでの経済発展で輸出が伸びて利益を得るという形が定着しておりまして、グローバル・チェーンで外国に出ていったといっても、輸出関連企業というものはかなりのボリュームがあるわけで、そこの業績見通し、円高による法人税の減収というものが、原因としては大きかったのではないでしょうか。
 ですから、今のこの円安基調が続きますと、こういう事態がまた発生することはなかなか考えにくいと。その一方で、先ほどの質問の中にもあったのですけれども、歳出増圧力というのは絶えずこの政治の世界ではあるのですが、一般歳出の伸び、これを抑制することができました。高齢化に伴いまして歳出増、社会保障分野は5,000億増加したわけですが、それを逆から見れば5,000億で止められたということだと思います。
 今後ですけれども、冒頭に閣議で御報告させていただいた「経済・財政再生アクション・プログラム2016」というのは、改訂版ですけれども、これにのっとって着実に改革を進めていくということで、今の御質問に応えていく姿を示していくということが、肝要ではないかと考えていります。
(問)今回の予算案について、景気への影響という観点でお聞きしたいのですけれども、特に景気を押し上げるという意味で言うと、どの辺りが効いてくるとお考えでしょうか。また、それはいつごろ効果が出てくると見ていらっしゃいますか。
(答)昨日、「月例経済報告」の質問の中にも出たのですが、指標に一喜一憂するというのは良くないのではないかと私は思います。中長期で見て日本の成長分野が一体どこにあるのか、そして歳出増圧力はどうしても社会保障にあることは間違いないところですから、そこをどこまで抑えることができるのか、この兼ね合いの中で予算の編成が、ここ数年、安倍内閣になってもなされているわけであります。
 その中で2次補正では、28兆円の経済対策に基づいてかなりの景気対策というものを打っていまして、この成果は間違いなくこれから出てくる。先程の質問の中にありましたように、為替レートも当初より円安に振れていると。どうなるかは、金融市場の動向というものは、注視していかなければなりませんけれども、そのような中で潜在成長力というものを高めていく。もちろん直ぐにこれは芽の開くものではありませんけれども、日本の強い分野、先ほどイプシロンロケットの話をさせていただきましたが、今日もニュースで、グーグルと日本の自動車メーカーが自動運転で組むという話も入ってきておりますように、新しい技術革新が私たちの社会生活に身近なものとなってきています。実装という言い方をさせていただいておりますけれども、こういうものが広まることによって、経済成長というものがなされるのではないか、また、生活というものも大きく変わってくるのではないかと、私は捉えております。
(問)おそらく年内最後の閣議後会見になるのではないかと思いますのでお伺いいたしますけれども、今年1年を振り返ってどうであったかということと、それから来年に向けての抱負などをお聞かせいただければと思います。
(答)「今年の漢字は何ですか」という質問を前々回にいただいたのですが、私は「耐」えるという言葉を挙げさせていただきました。
 日本社会にとっても「耐」えるということはあったと思います。震災が熊本で起こって、その後、自然災害も北海道、東北で猛威を振るったと、いまだに実は北海道の鉄道というものは、予算措置はついたのですけれども、まだ開通の見込みが立っていないところがあります。
 世界に目を転じてもベルリンで、真相はまだ分かりませんけれども、テロの確率の高いトラックの突っ込み事故によって、多くの方が亡くなりました。3月にはブリュッセル、7月には人の多く集まるニースの海岸沿いでテロがありました。こういうことが起こるというのは、大変不安定な社会でもありますし、また、どこかにそういう原因があると。そういうことに対してもヨーロッパの方々は、団結して「耐」えているのだと思います。
 それと一番驚いたのは、私がピンチヒッターで就任させていただいた次の日に、マイナス金利、金融政策がまた大きく変わりました。それとブレグジットも、いろいろな方に聞いても、少し想定の外にあったような気がいたします。あのときの開票状況を見ていて、あれあれという感じがして、昼ごろ数万票差が出るのではないかと。これも少し予想外の出来事だったと思います。
 総理もおっしゃっていますように、保護主義の風というものがある意味では吹いている。排他的な空気も吹いている。そういうものに「耐」えていかなければいけない。自由主義、自由貿易、民主主義、こういうものをしっかりと守るというようなことを、世界が一致して取り組んでいかなければならない。
 そうこうしていましたら、今度はトランプ次期大統領が誕生するといったような事態。その中でTPPの審議が行われ、また、TPPについては、ゲティスバーグの演説の中でもトランプ次期大統領は、やらないと。選挙期間中から言っていたわけで、選挙が終わって1か月ほど経ったところでまた同じことを言われたと。しかし、総理も申されているとおり、レベルの高い自由貿易圏をつくっていくというTPPモデルというものは、大切にしていかなければなりません。アメリカの場合は、NAFTAの話が多分その前に来るのかもしれませんけれども、私どもとしては引き続き説得をしていく、そういう役目が日本にも回ってきている。これもある意味では「耐」えるということなのかもしれないと思います。
 来年ですけれども、来年はちょうど私は干支を、60年で1周するわけです。酉年というのはいろいろなことが起こるとよく言われておりますけれども、緊張感を持って、通常国会では予算。また、先程も経済の見通し、経済の政策についてお話があったように、こういうものも非常に重要な焦点になってきますので、一日も早い予算の成立を目指して国会に取り組ませていただきたいと、このような気がいたします。
 また来年もひとつよろしくお願い申し上げます。あと、来年は都議会議員選挙もあります。大切な選挙だと思っています。

(以上)