石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年10月25日

(平成28年10月25日(火) 17:49~17:59  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、「月例経済報告に関する関係閣僚会議」についての概要を説明させていただきたいと思います。
 景気の現状についての総括判断ですが、「このところ弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いています。
 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もありまして、緩やかな回復に向かうことが期待されます。
 ただし、海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響などに留意する必要があると考えています。
 政策態度についてですが、先に成立をさせていただきました平成28年度第2次補正予算を円滑かつ適切に実施してまいりたいと考えているところです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、生産が上方修正されております。スマートフォン部品の生産などが良かったということが理由のようですけれども、これが持続的な生産の回復につながっていくのか、この点について大臣はどう見ていらっしゃいますか。
(答)生産、鉱工業生産についてですけれども、今、御指摘のありましたスマートフォン等々のデバイスのほか、輸送機器で持ち直しの動きが見られております。中国のスマートフォンの高級化に伴って、そこへの部品の供給増加などもあり、持ち直しの動きが見られると、上方修正をさせていただいたわけです。
 先行きについてですけれども、中国の経済に依存するところが、この電子部品・デバイス等々ありますので、それが持ち直していくことが期待されております。景気の下ぶれリスクということから見ましても、やはり先ほど総論としてお話をさせていただきましたように、海外経済の動向というものを引き続いて注視をしていくということが肝要ではないか、と捉えているところです。
(問)全体の判断ですけれども、同じ表現が8か月連続で続いています。金融政策も財政政策も総動員してやっていると思うのですけれども、なかなか上向いていないですけれども、大臣としてはどういうところが足りないのか、今後どうすれば上向くのか、そのあたりをお願いします。
(答)総括判断というのは変わっていないですけれども、個人消費あるいは設備投資が良かったり悪かったり、そして、ここにきて鉱工業生産が良くなったりと、でこぼこがやはりあります。それを総じて見ると、先ほどの表現でありますけれども、このところ弱さも見られるが緩やかな回復基調が続いているという総括判断は変わっていないというふうに御認識をいただきたいと思います。やはり、そのGDPに占める割合が、個人消費と設備投資で大きいわけですよ。耐久消費財が多く売れるとか、そういうものはありませんが、車で見ますと、若干回復しているのかなという気はするのですけれども、やはりこれもあともう二月ぐらい、10月、11月と見てみないと、それがトレンドとして上昇なのかということを判断するには、残念ながら至っていない。
 中国も12月まで車の減税をやっておりまして対前年比が大きく上がっています。日本の場合はエコカー減税で需要の先食いというのが間違いなくあったとの分析もしております。そういうことを考えると、何か起爆的な、オリンピックがあれば4Kテレビが売れるとか、そういうものがないところにも一つ要因はあるのかなと思います。
 しかし、その一方で、先ほども総論のところでお話をさせていただきましたとおり、平成28年度の第二次補正予算というのは4兆円を超えるかなりのボリュームがあります。こういう政策が着実に実施されることによりまして、全体の底上げ、公需の底上げというものはあるわけです。
 そして、気を付けなければいけないのは、いつまでもその財政出動はできない。そして、無駄をする余裕がない。そのような中で、先般、未来投資会議というものをつくらせていただきました。構造改革のほうはお金がかかりませんから総ざらいをして、そして科学技術のイノベーションです。ここをブラッシュアップしていかない限り、潜在成長力というものが高まらないわけですから、これをその実際の社会に適合させていくという施策をこれから積み上げることによりまして、設備投資もそれに関連するものは当然増えてくる。
 個人消費にしてもそういう便利なもの、一つ例を挙げるとすると、その自動運転というのが当初の予定よりも早く技術が進んでいるような気がします。ですから、先ほどエコカー減税の話をしましたけれど、ではそれに合わせた安全自動運転等々に対するインセンティブがあるかというと、政策的には実はないのです。ですから、政策をつくる前に技術の進歩と、それが社会実装におりてくるスピードが速まっていますので、そういうことをこれからしっかり考えていくということが必要なのではないか。やはりキーワードはイノベーションのような気がいたします。
(問)企業関係で言うと比較的良かったというところがあるかと思うのですけれど、内需のほうが一応据え置きという形、個人消費据え置きということでありますけれども、住宅のほうで下方修正があったりと、そのあたりの懸念というのは、感じられておられるところはあるのでしょうか。
(答)住宅は見ていただければ分かりますとおり、100万戸程度で横ばいですよ。これまで100万戸を切っていたものが上がってきていましたけれども、総じて、大きく落ちているわけではありませんので、ここの部分は割と旺盛なのではないかと見ております。
 そのほか、先ほどのお話に戻りますが、やはり大きな起爆剤。それとやはり構造改革、安倍内閣でこれまでやってきました。これを総ざらいして、何が足りないのか、また、何をやればこの民間がもっとその分野で仕事をしやすくして、民需を拡大していくことにつながるのか。そのイノベーションが重要で、そのスピードが速いわけですから、そういうものに合わせて社会実装に落とす。例えば私も試乗してきました、個社の名前を出しますけれども、日産のセレナ、これの自動運転システムは今、20万円程度かかるそうです。その時に聞いた話ですと、メーカーの見立てで言うと、3割から4割、それの付いているものが売れるだろうという見立てでしたけれども、実際はふたをあけてみたら、75%がその新しいテクノロジーの付いているものを、20万円高くても買うと。ということは、やはり車というのは高級車のほうが利幅が大きいわけですから、高いものが売れる。今は車の例だけ出しましたけれど、まだまだいろいろあると思います。
 私はもう、これからの社会の、その実装面で一番役に立つのは、スマートフォンだと思っています。スマートフォンも、高いスマートフォンもあれば安いスマートフォンもあって、誰もが同じ情報を共有できる社会。そして、その端末を利用して生活が、利便性が向上する、また知識を得ることも容易になると、こういう社会が、もう技術的には可能になってきておりますので、こういうものをいかに社会実装に広げていくのか。こういうことが肝要なのではないかと考えています。

(以上)