石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年10月7日

(平成28年10月7日(金) 9:39~9:49  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

閣議について、特段御報告する案件はありませんが、閣議の前に第16回TPPに関する主要閣僚会議を開催いたしましたので、その概要について御説明をいたします。
最初に私から、ニュージーランド、シンガポール及びマレーシアへの出張やTPP参加各国の駐日大使との会合の結果を御報告させていただきました。その内容について、かいつまんでお話をすると、各国とも協力して早期発効に向けて努力をしていこうということと、再交渉は行わないということで一致しているということです。
更に、中小企業や農水産品関連企業は既にTPP協定の発効を見越して動き出している。「新輸出大国コンソーシアム」の話を紹介させていただきました。
雑談の中で農林水産大臣からは、鹿児島県のブリ業者、こういう人たちもこのTPPに大変関心を持って、輸出ということに取り組んでいるので、農林水産分野のことも次回のものにはしっかりと資料に記載してくれというリクエストもありました。
このような国内外の情勢を踏まえまして、今国会での協定承認・整備法案の成立をなし遂げるべく、丁寧な説明に努め、国会、そして国民の理解が得られるよう全力を尽くしたい。関係大臣には御協力をお願いしたいと発言をいたしました。
次に、外務大臣、農水大臣、経産大臣から同様に、早期の協定承認・整備法案の成立に尽力する旨の発言がありました。
最後に、総理から御発言がありました。詳細は、もう既に御案内したとおりですが、今国会にかける意気込みを述べられ、関係閣僚に対し、引き続き気を引き締めて取り組むようと御指示がありました。
本日の会議で確認したとおり、今国会でのTPP協定の承認及び関連法案を成立させるために、政府一体となって全力を尽くしてまいります。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず1点、TPPに関してですが、参加国のうち一番経済規模が大きいアメリカでは、大統領選を控えて、かなりTPPに慎重な意見が根強く残っています。議会承認も見通せない状況ですが、かなり注目されている中で、今国会で国会の承認を得たいという意義について改めて所管大臣からよろしくお願いします。
(答)国会でも同趣旨の質問が数多くなされたことは、御承知のとおりだと思います。やはり二つぐらい大きな意義があると思っております。
 TPPの持つ意義は、人口8億人、世界のGDPの4割(3,100兆円)という巨大市場を、自由民主主義、そして基本的人権、法治主義、この共通認識を持つ国々がアジア・太平洋を中心に、これからの世界経済の成長と言われているこの地域に同一の経済圏、しかもそれは自由貿易だけではなくて、21世紀型のルールをつくる、そういう意義と、やはり北東アジアで見ますと安全保障の関係や外交、あるいは経済状態に、不確実性が高まっている、このような中で、この共通の価値を持つ国々がそこに自由貿易圏をつくることの戦略的意義があるわけです。その中での大国というのはアメリカ、日本ですので、アメリカは大統領選のさなかですが、日本が率先して行うことによって、アメリカのオバマ大統領の議会承認を後押しするという意味もあるのではないか。これは総理も既に申し述べさせていただいているところです。
(問)先日の講演で消費税について言及されましたが、そのことについてお伺いいたします。
 講演では、消費税について15%まで引き上げる必要があり、選挙で国民にそれを問わないといけないという御趣旨の発言をされていました。消費税について、次の選挙で争点にする必要があるとお考えなのかどうか、改めてお伺いします。
(答)結論から申しますと、昨日も質問がありましたので答弁をさせていただきましたが、安倍内閣では2年半後の10%、それ以上は上げないと総理が申されている以上、総理の任期中に行われるであろう次期衆議院選挙においては争点にはならない。これは自明の理です。
 なぜ消費税が導入されるに至ったか、古い話ですが御存じですか。
(問)社会保障では。
(答)いえ、違います。社会保障ではないのです。最初に竹下内閣で導入したときは直間比率の見直しです。すなわち、シャウプ税制をずっと我が国は戦後とってまいりまして、累進性の高い税率、所得税においても法人税においても、これは直接税です。しかし、成熟化社会、右肩上がりの高度成長のときは累進性で税率が上がっても、それ以上の収益を企業が得る、あるいはそれ以上の収入を個人が得るということで許容されていたのですけれども、成熟社会になってくるとインダイレクト・タックスに転換せざるを得ない、これが抜本的な日本の税制の大きな転換点だったのです。ちょうど私はそのとき記者をしていまして、消費税の導入をつぶさに見ました。
 そして、消費税率を3%から5%に引き上げる。これは村山内閣のとき法案の審議をいたしまして、私は税制改革特別委員会の理事で消費税率を引き上げるべきであると論陣を張らせていただきました。
 そして、橋本内閣で消費税率が5%になりました。ちょうどそのとき、選挙制度が中選挙区制から小選挙区に変わり、これは講演の中でも申し述べましたけれども、選挙で増税しますというのはプラスにはなりません。しかし、先程お話をさせていただきましたように、成熟化社会、そして少子・高齢化、そういうものが予見される社会にありましては、このインダイレクト・タックス中心の税になっていくという日本の税制の大きな方向転換というものを、更に進めていかなければならないという信念に基づいて、税制改正特別委員会では質問に立たせていただきましたし、選挙では堂々と、消費税率を5%にするべきであるというお話をさせていただきました。
 その後は税制調査会に長く身を置かせていただき、また橋本内閣の前は財政部会長として2年半にわたって税に取り組んでまいりました。自・社・さの三党連立政権の中でも与党税調のメンバーとして話を進めてまいりました。増税ということにネガティブな当時の社会党系の皆様を説得して、直間比率を見直すという所期の目的、そして、平成11年ですけれども、この社会福祉目的税化、すなわち予算総則の中に消費税は社会保障に充当するということを書かせていただいて、その方向性が特定されていったわけです。そして三党合意に至りまして、三党合意のときは幹事長でした。署名をさせていただいた一人として、社会福祉目的税としてこの消費税を育てていくと、それはすなわち国民の皆様方に全て消費税はお返しするということですが、これも講演の中でお話をさせていただきましたとおり、医療費だけでも年間1兆円増えています。
 こういうことを考えますと、残念ながら今、消費税率は8%でも足りません。そして、国会の中で議論にありますように、社会保障の充実もしていかなければならない。そして安定財源でなければならない。こういうことを考え合わせると、消費税というものは2年半後に10%にした後、国民の皆様方の議論を経て、また国民の皆様方に意見を問うと、そういう時は必ず来るものだと考えている。このような背景でこのお話をさせていただいたと御理解をいただければと思います。
(問)TPPで確認ですけれども、今日の主要閣僚会議では、少し問題になっているSBS米に関しては、農水大臣からは何か御説明はあったのでしょうか。
(答)ありません。

(以上)