石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年9月27日

(平成28年9月27日(火) 11:06~11:17  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議ですが、各段御報告する案件はありませんが、私から一つだけ御報告をさせていただきます。
 お手元に資料を配布させていただいていますけれども、明日、「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」の第1回目会合を開催させていただきます。
 この研究会は、「骨太方針2016」を踏まえまして、より正確な景気判断に向けて、GDP統計をはじめとする各種統計の改善の方向性について、経済財政諮問会議のもと、伊藤先生に座長をお願いして、専門家の方に御議論を頂くというものです。経済財政諮問会議でも、統計をめぐっては様々な意見が出されていることは御承知のとおりです。
 今後の予定ですけれども、年内に数度開催して、年末までに議論の方向性を取りまとめていきたいと思っています。
 なお、詳しいことについては、事務方に問い合わせていただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今お話がありました研究会についてですけれども、統計をより正確な景気判断のため改善されるということですけれども、現状の経済統計でどういった課題や問題点があるとお考えなのか、これを教えていただきたいというのが1点。
 それから、もう1点が、総務省の統計委員会や、山本行革担当大臣も統計の見直しが必要だということで、いろいろなところで統計の見直しという話が出ているわけですけれども、そういったところの議論と今回の研究会のお話との関連性など、その点についてお願いします。
(答)1番目の質問については、経済社会の構造変化がすごく起こっていると思います。単身世帯が増えてくる、あるいは税制改正でも話題になっています控除をめぐる議論でも分かるように、夫婦共働き世帯も増えてきていると思います。
 それから、インターネットを通じた多量の情報提供、また、それによる利便性の向上。こういうものはスピードが速くて、統計の分析手法が追い付いていっていないと思います。
 そういうものを含めた多面的な情報を、どうやって統計に反映させていくのか。このため、ビッグデータの活用をはじめとした、新たなデータ源を活用していくことが重要であるということは、御存じのとおりだと思います。
 既存の統計と見比べてみると、アナログ的に標本を抽出するわけですが、調査手法の違いによって、統計ごとに違う数字が出てくる、違うイメージ、ベクトルが出てくるといった、動きが異なることも理論的にはあり得るわけです。そういう調査手法を改善することによって、問題を解決していくということも、重要だと思っています。
 こういうことをいろいろ、これから伊藤先生のもとでやっていくというのが、今、御報告をさせていただいた研究会でして、当然、「骨太方針2016」を踏まえてのものであると御理解を頂ければと思います。
 それでは、その他の統計委員会と、どういう仕切りになっているのか、また、どういう関係なのかという御質問ですけれども、伊藤先生を座長とする本研究会は、景気判断、マクロの経済政策を分析している経済財政諮問会議の関連ですので、景気判断をより正確に行うことに視点が置かれていると理解を頂きたいと思います。
 GDP統計をはじめとした各種統計の改善に向けた取組の方向性を、本研究会ではスピード感を持って検討し、年内に取りまとめていただくということです。
 統計委員会と違うことをやるかというと、当然これは政府ですので、連携して今後の取組方針を政府全体で取りまとめていく。
 山本大臣がやろうとしていることは、山本大臣は地方創生担当大臣であり、規制改革担当大臣ですので、エビデンスに基づく政策というものを展開していくという観点から、この統計に取り組まれていく。その違いがありますけれども、政府一体となって統計をよりよいものにしていくと御理解いただければと思います。
(問)TPPに関してですけれども、協定の和訳に不備が見つかりまして、今後、政府としてどのように対応していくのか教えてください。
(答)訳文については外務省から、TPP協定の訳文の一部に欠落や重複があったほか、その訳文の参考として提出した説明書についても一部不正確な表記があったと、昨日、外務大臣からも報告を受けています。
 本件は既に外務省の方で徹底的な調査を行いまして、なぜこういうことが起こったのか、また、それはどういう影響があるのかといったようなことを、既に発表されていますし、今後正誤表を出すなど所要の訂正措置をとると聞いています。
(問)今のTPP関連で、追加でお聞きしたいのですけれども、先ほどの外務省の協定文書の誤り以外でも、外国産米のSBS方式の不透明な取引があったというような話があり、野党としても、真相究明がなされない限り、補正予算の審議には応じないような構えを見せています。
 日程的にもタイトな中で、審議の方にも影響してくると思うのですけれども、大臣としてその審議に与える影響と、この問題にもどう対処していくかという考えがあればお願いします。
(答)私も報道でしか承知していませんけれども、そもそも論を言わせていただくと、TPP交渉は日本が入って2年2か月、P4からスタートしたところを考えると6年近くやっているわけです。各国ともセンシティブな問題をたくさん抱えている。日本にとってはお米というものがセンシティブ品目であると。これはWTOの交渉のとき、GATTのウルグアイラウンドのときも一番焦点になっています。その結果、ぎりぎりの交渉の結果、今日の結果になっている。
 やはり農業者の方々に不安を与えるということがあってはならないということであるならば、国家貿易制度は維持する、これはとれていると思います。それ以外にも、例外措置。例外措置を獲得できて、米の輸入の大幅増加ということは、見込めないわけです。ここで実は既に遮断できているのです。
 今、御指摘のあったSBS(Simultaneous Buy and Sell)、本制度において、アメリカとオーストラリアから輸入される米について、どうなっているかというと、その輸入量に相当する国産米を備蓄米として買うわけです。国内の価格に与える影響というものは、相当分を買うことによって相殺している。だから、値段には関係ないわけです。
 TPPの試算というものは、こういうものを前提に、既にお示しをさせていただいている。新聞の論調、御指摘は、これまでの説明と間違っている、だから今、御質問があったようなことになると思うのですけれども、全然間違っていないのです。そこが根本だと思います。
 SBS取引というのは輸入業者がいて、卸がいて、国が入って、三角形になっているわけです。そこで、一部報道のあるとおり、金銭のやり取りがあったのではないか、また、それが裁判になっているではないかというような記事も承知していますが、そこの部分については、商慣行なのかどうか。例えばお酒などでもリベートというのはあるわけです。販促費というようなものもありますし、いろいろな商慣行の中で、いろいろなものがあります。それなのか、そうではないのか。今、農水省の方で事業者からヒアリング調査を進めている。その結果を速やかにお示しすることによって、今の御懸念に応えていくということが肝要なのではないでしょうか。
(問)関連するのですが、先ほど民進党の山井国対委員長が、TPPの審議について不備が見つかったということを取り上げて、先の国会の審議、今までの審議を一度クリアして、新たに審議することにならざるを得ないと述べたということですが、大臣としてはそのような必要はないとお考えでしょうか。
(答)今の話は今、初めて聞きましたので、私がとやかく言う話ではありません。国会の審議については国会で、与野党で決めていただく。それにのっとって丁寧に説明をしていくという立場です。
(問)今国会で、TPPの協定、関連法案の理解、承認を得て、成立させるというお考えだと思いますが、そのスケジュールへの影響はないというお考えですか。
(答)国会にお決めいただくことで、今のお話については今聞いたので、それが本当なのかどうか、またどういう論点に立って話されているかということが分かりませんので、今この段階で話すことが何もないというのが本当のところです。

(以上)