石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年9月23日

(平成28年9月23日(金) 10:27~10:36  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 閣議で皆様方に特段御報告する案件はありません。

2.質疑応答

(問)21日に開かれた日銀の金融政策決定会合の後の記者会見で黒田総裁が、政府に対しては、成長力を高める構造改革をしっかりやってほしいという注文がありました。政府としては、今後具体的にデフレ脱却に向けてどのような政策が必要になってくるとお考えでしょうか。
(答)言うまでもありませんけれども、政府、日銀ともに経済成長を実現してデフレから脱却していくというのは共通の目標であるということは、安倍内閣ができたときから全く変わっていません。そんな中で金融政策、財政政策あるいは構造改革、全ての政策を総動員してアクセルを吹かす、エネルギーを充当していかなければならない、ここは全く変わっていません。そんな中で、先般決定させていただきました28兆円の経済規模の経済対策、補正予算の審議も来週からの臨時国会でなされるわけですけれども、こういうものをしっかりと実りあるものにして、内需をしっかりと拡大していくことが一つ肝要だと思います。そんな中で、マクロの経済政策というのはこれまでどおり経済財政諮問会議を中心に立案していく。また、今度、官民対話と競争力会議を発展的に解消して「未来投資会議」をつくらせていただきました。成長戦略はここが中心になって議論を深めていく。肝要なことはスピードアップとパワーアップであるということだと思います。
 1回目の未来投資会議の後にブリーフィングもさせていただきましたけれども、コンストラクションの現場で生産性を2025年までに2割上げるということもその場で決めさせていただいたように、早く政策目標をつくって、決めて、実施に移していくというのは、IT、IoT、AI、これらのめざましい技術発展のスピードは非常に速いものですので、それに議論が後からついていくということのないようにしていかなければならない。その中で、構造改革は電力の自由化、あるいは農協改革、また法人税の減税等、いろいろなことをやってきましたけれども、これらを総ざらいしてこれからの2020年以降の社会に向けて何が必要なのか、また何が障害になってくるのか、こういうことを全て克服して前に進んでいくという立場で取り組んでいきたいと考えています。
(問)外国為替市場について伺います。先日のFOMCでFRBが値上げを見送り、これを受けて1ドル100円台まで円高が進みました。この円高が日本経済に与える影響をどう見ているかということと、併せて、今回の円高は、FRBの利上げ見送りとともに日銀の新たな措置が期待外れだったことも影響しているのではないかという見方もあるようですけれども、この見方についてどうお考えなのか教えてください。
(答)為替の水準については、これまでどおりコメントは差し控えているということには変わりはありません。
 FOMCの件についても、今日の各紙の朝刊の1面に載っているとおりだと私も思います。
 そのFOMCの声明文を読ませていただくと、利上げの条件は整ってきたと。しかし、更なる確証が得られるまで待つことにした、ということですから、常識的にこの声明文を読めば、利上げ近しと多くの方々が認識しているという記事も載っています。私もそういうことなのかなと思っていますけれども、私たちとしては、休みを挟んで円高が進んだということは事実ですので、マーケットをしっかり注視して経済に与える影響についてもどういうことが懸念されるのか、またどういうメリットがあるのか、こういうことも引き続いてウォッチしていきたいと思っています。
(問)日銀の金融政策についてお伺いします。今回、3年余り続いた量から金利への大幅な方向転換が行われたのですけれども、その件について、大臣はどのように評価されていますか。
(答)先日の取材でお話をさせていただいたことに尽きるのですけれども、その後、記者の方と少し雑談したのですが、長短の間に金利差ができるということも一つ重要なポイントではないかと捉えています。先程の質問で、失敗ではないかというようなマーケット関係者のコメントが出ているという御指摘をいただきましたけれども、私は、あれはそれなりにうまくいったのではないか、そんな気がいたします。
(問)TPPについてですけれども、来週から始まる臨時国会で議論がスタートすると思いますが、アメリカのオバマ政権は成立を目指して提案するのですけれども、大統領選の候補者は反対しており不透明感がある中で、日本が早期に議決を得る意義というのはどのようなところにあるのか、改めて教えてください。
(答)総理がバイデン副大統領と会談をされています。そんな中で総理が何て言ったかというものもこちらに来ているのですけれども、総理の方から、日米が主導をしてTPPの早期発効に向けて機運を高めていくと発言されて、バイデン副大統領がそれを受ける形で双方はTPPの早期発効に向けて努力を続けていくことで一致した、ということに尽きるのではないでしょうか。
 なぜバイデン副大統領、安倍総理の会談でこういうものが出てきたかということを考えると、アジア・太平洋の政治状況などが必ずしもクリアではない。例えば中国の南シナ海や東シナ海、あるいは中国の鉄鋼余剰、これに対して中国国内の大手2社が一緒になって世界第2位の鉄鋼会社ができる。これによって需給調整がなされていけば、だぶついているものの解消にはなると思いますけれども、経済的にも政治的にも外交安全保障的にも非常に不安定な状態にある中で、TPPの12カ国は法治主義です。そして民主主義。こういう共通のルール持っている人たちがさらに自由経済を中心とした絆を深めて、その輪を、もう既に、例えばフィリピンやタイ、インドネシアなどもTPPに大変関心を持っているわけです。こういうものを広げていくことによって、今不安定な、不透明な地域の状態にくさびを打っていく、そういう戦略的な意義があるからこそ日米がこの時期に、総理と副大統領で会われて、こういうステイトメントを出されるに至った、こういうことに尽きるんだとは思っています。

(以上)