石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年9月16日

(平成28年9月16日(金) 9:57~10:07  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議ですが、皆様方に格段御報告する案件はありません。

2.質疑応答

(問)中小企業の賃上げについてお伺いいたします。昨日、日商の三村会頭が最低賃金の引上げに関連し、景気や経営状況と乖離した大幅な引上げであるという不満をもらすような発言がありました。最低賃金の引上げはとりわけ中小や小規模事業者の経営の影響が大きくなるかとは思いますけれども、それに関し、特に生産性の向上というのが継続的な賃上げには重要になるかと思いますが、この点について、今後どう取り組んでいくべきかお考えをお聞かせください。
(答)昨日の件は報道ベースで承知していますし、これまで三村会頭とお話をさせていただいた中でも、東商は大きい企業があるのですけれども、地方へ行くと、日商傘下の商工会議所の中には地方の基幹産業の中堅企業もありますけれども、かなり小さな企業群の方も入っている。そんな中のヒアリング等々からそういう声が出ているということを代弁されて、会頭の立場としてそういう話をされたのだと思いますが、内閣として加重平均で3%、最低賃金を15円、16円、18円、25円と上げてきて、東京などでは全国平均よりも100円ぐらい高く、所得環境の改善に役立っているのだと思います。その一方で、中小の方々に配慮ということも非常に重要で、何といっても日本では中小企業が99%ですから、そういうことにはきめ細かく配慮していくということはあわせて必要だと考えています。
 大幅な引上げに向けた環境整備といたしましては、経済対策の事業規模は28兆円ですけれども、この中にも中小企業、小規模事業者の経営力強化、そして生産性を向上させていかないといけないわけですから、そういう支援策というものはかなり拡充させていただいています。そういうものを使っていただき、最低賃金1,000円を目指していくのだという内閣の方針に従って、無理のないように、きめ細かい配慮を忘れずにやっていくことが肝要ではないかと考えています。
 また、中小企業の場合は、数千万円の設備投資をするといっても、なかなか大変なことです。先般も大田区の中小企業群を見せていただいてきましたけれども、そういう中小企業が取得をする機械装置にかかる固定資産税の軽減策、固定資産税は地方の基幹税目でありますので、市町村等を通じてかなり反対があったわけですけれども、この減税措置というものもつくらせていただきましたし、昨日、中小企業庁の方から発表させていただきましたけれども、中小の方々に対する取引慣行も、しっかり開かれた形で、しわ寄せが3次、4次、5次といった中小企業の方に、ものづくりなどでそのしわ寄せが行かないように。次の国会で審議される補正予算において、1,000億円を超えます中小企業の生産性向上支援策が組み込まれていますので、こういうものも十分に、周知徹底しないとなかなか小企業の方々には分かりませんので、現場の経済産業局あるいは商工会議所等を通じて、こういう施策を利用していただいて、最低賃金を加重平均で3%ずつ上げて1,000円を目指していくという内閣の方針に御理解をいただければと考えているところです。
(問)昨日、GDPの基準改定に伴う試算値が発表されまして、11年の名目が19.8兆円、新しい基準だと上乗せされるということですけれども、これに関連して、政府が掲げている経済目標との関連を伺いたいのですが、GDP600兆円を目指すということで、今が大体500兆円で、これから100兆円ぐらい上げていきましょうという議論がされてきたと思うのですけれども、この基準改定分の20兆円というのを含めて考えるのか。要は、残り80兆円でいいということになるのか、これまでどおり100兆円分増やしていくという議論になるのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)私は、引き算というのはあまり意味がないと思います。この基準は、我々が、「よし、やろう」と言ってやったものではなく、国連の方で、この5年ごとにロールオーバーしているものに合わせて基準を直したものです。こういう基準改定というものはやはりあって、それにのっとった数字を中心に物を考えていく。過去の数字と照らし合わすということに意味があるとは、個人的ですけれども、思っていません。
 今回の基準改定は急に出てきた話ではなく、2011年に公表した対応方針に沿って、2008年のSNAに対応しているわけですので、基準改定後は、今申しましたとおり新基準の統計に依存していきますし、それ以外のものを発表するということは当然ないわけです。
 2段目の御質問になるわけですけれども、では現時点で、今回の基準改定によって基準年以外の計数がどう変わるかは明らかではないというのは、御存じのことだと思いますし、600兆円経済というのも、2020年ごろに、600兆円経済を目指すという割とざっくりしたもので、メッセージとしては、ともかく経済のパイを拡大する、すなわち、経済再生なくして財政再建なしというところに立脚した数字であると御理解いただきたいと思います。
 ですから、2020年ごろ、名目GDP600兆円を達成させるという目標は変わらないと承知をしていますし、その実現に向けて基準値がどう変わろうが、やる施策というものは、先ほども最低賃金の御質問が出ましたけれども、あるいは中小企業の支援策等々を説明させていただきましたけれども、大きく変わらないですし、きめ細かく絶えずローリングオーバーを施策の方もしてやっていくと御理解をいただきたいと考えています。
(問)今の質問とも少し重なるのですけれども、そのGDPの改定に合わせてですけれども、一応政府としては、2018年度のプライマリーバランスのGDP比で赤字幅1%目標というのはまだ掲げていらっしゃると思うのですけれども、基準改定に伴い分母のGDPが増えると、それだけ目標は達成しやすくなると思うのですけれども、今後それを考えていく上で、その分母には、基準改定した後のGDPを当てはめて考えていくのか、あるいは今までの旧基準のものを当てはめて考えていくのか、それはどう考えているか。
(答)先ほど言いましたように、旧基準というものは発表しませんし、引き算には意味がないという話をしましたけれども、今度は要するに、割り算もそんなに大きなボリュームにはなりませんので、そんなに意味はないのではないかと思います。20兆円というと大きく聞こえるかもしれませんけど、割り算すれば、パーセントは当然小さくなりますので。政府は、総理がこれまで申していますとおり、2020年度の財政健全化目標の達成というものは堅持すると明確に申していますし、一昨日、海外の投資家の方とディスカッションした際に、ここの点は海外の投資家の人たちも非常に気にしているところで、堅持しているのだということがなかなか伝わっていないのかなと少し反省もしまして、そこはしっかりと取り組んでまいりますし、30か月の消費税引上げ延期の影響や、次は2016年度の補正予算ですから、2017年度の予算の姿などを見極めて絶えず点検し、適切に対応していくということが肝要ではないかと捉えています。

(以上)