石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年9月2日

(平成28年9月2日(金) 9:44~9:57  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 閣議ですが、皆様方に今日は御報告するような案件はありませんが、TPP協定の寄託国であるニュージーランドを訪ねてまいりました。担当閣僚も代わられて、グロサー前大臣がアメリカ大使に転出され、マックレイ貿易大臣とイングリッシュ副首相とTPPについて率直な意見交換を行わせていただきました。互いに国内手続に入っているわけですが、その見通し等々についても意見交換をいたしました。TPP協定の早期発効に向けた機運を高めるためにも、両国が速やかに国内手続を進めることで考えは一致したと思います。
 ニュージーランド側から、年内に議会プロセスを終了させることを目指して取り組んでいるとの御説明がありましたので、私どもも既に議論に入っていて継続されており、開会日はまだ決まっておりませんが、今国会での成立を目指していくという説明をさせていただきました。
 それともう一点、大変多く質問の出る点であり、両国にとりましても大変重要な点ですので率直に話をしたのですけれども、いわゆる再交渉はもうあり得ないという認識を両国が共有しましょうという話を、私の方からしまして、マックレイ貿易大臣と握手をするといった場面もあったわけです。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどのTPPのお話ですけれども、今国会の開会日が決まっていないということですけれども、一応今月の下旬、26日ではないかというお話になっていますけれども、その場合に、審議の進み具合にもよるかとは思いますが、具体的にいつごろの時期に通るのかという見通しについてはどうでしょうか。
(答)28年度の補正予算の予算委員会が開かれるので、この審議にどの程度費やすのか、それによってTPPに入る時期も変わりますので、いつということは今のところは予断を許さないのですけれども、前国会でもお話をさせていただいていますとおり、早期の承認を求めて努力をしていきたいと考えています。
(問)昨日、財務省の法人企業統計が発表されました。15年度の利益剰余金が377兆円ということで、4年連続で過去最高を更新しました。一方、足元で設備投資の伸びが鈍化しています。企業が利益をため込んでいるというような声もありますけれども、いわゆる内部留保がどんどん毎年積み上がっているという現状についてどう捉えていらっしゃるのか、御見解をお願いいたします。
(答)今、御指摘されたとおり、企業が内部留保を貯めているという状態が高水準で推移してきているということは事実だと思います。その一方で、企業でありますから、生産性を上げて収益を上げていくためには設備投資をして、新たな分野に出ていくということが望ましいわけですけれども、昨日の法人企業統計を見ると4-6月期は前期比マイナス0.5%、1-3月期もゼロですから、3期連続で減少と。本来であるならば、投資あるいは賃金に向かうべき、賃金は2%ではありますが、3年連続で上がっているわけですけれども、弱いということは、我が国の経済を確固たる成長軌道に持っていくためには、逆から言わせていただければ、内部留保を設備投資に使う、賃金の増加につなげていくということが重要である。残念ながら、そういう状態に十分になっているということは言えないのではないか。
 政府の側としては、去年の税制改正で、固定資産税に触れている。固定資産税というのは、地方財政の要でありますから、非常に抵抗の強いところですけれども、中小企業が設備投資をして新しい機械を入れると、平成30年まで2分の1の固定資産税の減額などの施策を盛り込んで、皆さんこの制度を利用している。こういうことで後押しをさせていただいていますので、榊原会長も平素からおっしゃっていますけれども、2015年度から10兆円の増加、2018年度には80兆円設備投資をやっていきたいということをおっしゃってくださっていますので、引き続き注視して、是非前向きに取り組んでいただきたいというのが率直な印象です。
(問)TPPのニュージーランドのお話がありましたけれども、今おっしゃれる範囲で、今後、ほかの国・地域に対して、同じように訪問をされて、認識を共有されていく御予定はありますでしょうか。
(答)ニュージーランドも、先方から、年内の承認を目指して頑張っていると。シンガポールもたしかそういうことを既に発表されていると思います。ですから、日本も、国会がいつ開幕するということが正式に決まりましたら、そういうところの皆さんにはメッセージとして伝えなければいけませんし、メンバーがかなりどこも入れかわっていますので、できる限りニュージーランドとも国内手続を早期に進めたいということで一致していますので、そういう話はいろいろなチャンネルを通じて行っていきたいと思っています。
(問)今日、総理がこの後ロシアを訪問されまして、日露の首脳会談が行われます。極東地域の経済活性化についての意見交換もありますけれども、一方で、北方領土問題についても意見交換がされる見通しとなっていますけれども、今回の交渉の成果について、大臣はどのような期待感をお持ちでいらっしゃいますか。
(答)総理も1泊、短い訪問でありますけれども、ウラジオストクに行かれる。ロシアは日本の隣国でありますので、友好関係また経済関係で進化していくということは重要ですけれども、ウクライナの問題、あるいは北方四島の問題等々ございますので、そういう話も政治家同士としてじっくりと話されるということが肝要だと思っています。
(問)先ほどTPPについて、ニュージーランドのマックレイ貿易大臣とお話された際に、再交渉はあり得ないというのは、石原大臣がおっしゃって、マックレイ貿易大臣もそれに同調したという解釈でよろしいのでしょうか。
(答)同調したというよりも、一致したということだと思います。デービットさんという交渉官だった方も話をしていましたし、再交渉はデリケートな問題、ガラス細工という話は先方からも出ていました。
(問)この週末の話で、先ほど、総理のロシア訪問という話がありましたけれども、それに続いて、総理はG20サミットに行きますけれども、その場でも中国経済や国際経済についていろいろ議論を深められるかと思うので、そのあたりについての期待をお聞かせください。
(答)御存じのとおり、政権交代が行われて3年半、安倍内閣で3年半を経験させていただいて、おかげさまで緩やかな成長軌道に乗ってきたと思います、賃金を見ても、所得・雇用両環境も改善している。
 世界に目を転ずると、やはりブレグジットの問題等々ヨーロッパにはまだいろいろ不安定要因が残っている。もちろんテロなどもあります。そういう中で、日本がこの成長軌道をしっかりと守っていくということは、世界経済にも非常に重要なことですし、一方、新興国のほうも、中国も含めまして、かつてのような勢いがない。そんな中で世界経済を牽引するという意味からも、日本がアベノミクスをしっかりと成就させていくということが肝要である。そういう中にあっての総理の幅広い地球儀を俯瞰する外交を展開されている。そんな中で、経済の問題についても忌憚のない意見交換がなされ、世界経済に対して様々な国が互いに力を携えて進んでいくことが非常に望まれるわけですので、その点で総理の訪問というものは大変意義のある訪問になるのではないかと期待しています。
(問)今のTPPの関連ですけれども、ニュージーランドとの対談の中では、今、アメリカは大統領選で、再交渉の話だけではなくTPP自体どうなのだみたいなことを言っている人もいますけれども、アメリカについての言及や意見交換はされたのでしょうか。
(答)アメリカの議会がいつ承認を行うのか、8月にオバマ大統領が議会に対していろいろアプローチをされていますので、情報交換はさせていただきました。
(問)何か両国で働きかけるなど、そういう話にはならないのですか。
(答)具体的な内容につきましては、相手国との関係もありますので、そういう話をしたということで御了解いただきたいと思います。
(問)都連会長を辞任表明された後で恐縮ではあるのですが、東京10区の補選が来月迫っている中で、自民党の候補者を公募で選ぶというような話も出ていますが、候補者選びはどのように進めていくべきとお考えか、また、どういう方がふさわしいとお考えでしょうか。
(答)敗軍の将は多くを語らずです。

(以上)