山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年7月4日

(平成29年7月4日(火) 10:47~11:12  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 明後日7月6日木曜日に、地方創生に関し地域における取組や地域のニーズ等を把握し今後の取組に生かすべく群馬県川場村、高崎市及び埼玉県行田市を視察いたします。詳細は、内閣府地方創生推進事務局にお問い合わせください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日本版BIDを含めエリアマネジメントについてお伺いします。今年の創生基本方針には、日本版BIDなどによるまちづくりの推進が盛り込まれていて、昨年は検討会の中間報告を取りまとめていますが、こうした取組の意義と現状と、あと今後どのように進めていくかを教えてください。
(答)日本版BID、BIDというのはBusiness Improvement Districtですが、それを含めエリアマネジメントについては、地域住民などが主体となって良好な環境の形成や地域価値の維持向上を図り、地域の稼ぐ力を高める取組でありまして、自助の精神に基づく地方創生の実現にとって有効な取組であると考えております。
 私もゴールデンウイーク中の米国出張において、ワシントンのジョージタウンのBIDを視察いたしましたが、地域自らが財源を負担し美化活動やイベントなど地域全体の活力を高める取組を行っておりまして、大変参考となりました。
 日本においては、約半数の市町村において民間のまちづくり団体が活動しており、昨年7月にはエリアマネジメント団体の全国組織が立ち上がるなど全国的な広がりを見せているところと承知しております。
 例えば大阪市では、大阪版BID制度を創設し、うめきた地区において大阪市が地権者から分担金を徴収し、エリアマネジメント団体の安定的な活動原資として、地域の魅力向上と共に資産価値向上などの効果も上がっていると承知しております。
 引き続き、先月閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」等に基づき、エリアマネジメント団体の財源確保をはじめその推進方策の具体化に向けた検討を深めると共に、エリアマネジメント活動の底上げと横展開を図ってまいりたいと考えているところであります。
(問)加計学園の問題についてお伺いします。昨日の民進党の調査チームの中で、加計学園と京産大の提案を比較検討した資料がないと内閣府が回答しているんですが、それに対して野党側は、加計ありきという批判が出ているんですが、この批判に対する受け止めと、そもそもどうして比較検討した資料がないのかという部分を教えていただけますでしょうか。
(答)獣医学部の新設については、パブリックコメントの結果や獣医師会からの要望を受けて、昨年12月22日の3大臣合意で1校に限ることといたしました。これにより、当時実質的な提案を行っていた今治市と京都府のどちらでまず実現させるかを決める必要が生じたわけでありますが、スピーディに改革を実現するという国家戦略特区の性格に照らし、昨年12月下旬から年末年始にかけて、事業の早期実現性の観点からそれぞれの提案内容の比較を議論することとしました。
 具体的には、事業の早期実現に必要な専任教諭の確保の状況や、地元への就職を誘導する奨学金など地方自治体との具体的な連携、水際対策の実現に必要な広域連携などの観点から議論を行った結果、昨年10月に詳細な提案があった京都府よりも、平成19年秋から長きにわたり検討を重ねてきた今治市の提案の方が熟度が高いと判断したわけであります。ただ、京都府の方は、もうその際には断念したというようなことが後で分かっております。その際に、両地域の提案書をもとに議論を行った内部の打ち合わせでありますから、特段記録は取っておりません。
 しかしながら、内閣府における議論は、今治市で事業者公募を行うためのものであります。したがって、唯一の応募者である加計学園を事業者として選定したのは、公募に応じた後、関係3大臣の合意の下で開催した1月20日の区域会議であることから、内閣府が内部的に当初から加計学園に絞り込んだと、そういう事実は全くありません。
(問)先程、内部の議論だから記録を取っていないということなんですけども、国家戦略特区の基本方針、これには運用の三原則というものがありまして、これの第1に、透明性の確保が大事だということが書かれております。内部の議論が記録を取っていないと、この透明性が十分確保されていないという事態になると思うんですが、それについては如何お考えでしょうか。
(答)いや、そんなことは全く思いません。透明性の確保というのは、ワーキンググループとか区域会議とか特区諮問会議等の議論についてしっかりと会議録等を出しておりまして、そこでしっかり議論したことについては透明性が確保される。内部の議論は内部として当然あります。
(問)ワーキンググループや諮問会議で議論されているというんですが、この2つの議論では、今回の京産大と加計学園の提案を比較検討したというような議論の経過を見ることはできません。我々が検証するときに、そういう資料がないと全く検証ができない状態になっている。それがないがゆえに加計学園ありきじゃないかという批判を野党側から受けているわけで、そこの資料は是非とも開示していただきたいと思うんですけども、まず記録を取っていないということは問題ないというふうにおっしゃいましたが、その問題ないと言われる根拠については如何お考えでしょうか。
(答)両地域の提案書が既にあるわけでありまして、それを基に議論しているわけであります。そして、最終的に1校に限るという3大臣の合意があり、そして今治市の区域会議で公募をするということを発表しているわけですね。それで十分だというふうに思います。
(問)最終的に3大臣合意したのはよく分かっているんですけれども、それまでの過程の議論が全く分からないというふうに我々は聞いていまして、そこを聞いたら、記録がないと。記録がないんじゃ、どうやって政策決定されたのか全く検証のしようがないんですが、それでも問題ないという認識なんでしょうか。
(答)だから、その点について今幾らでも説明しているように、事業の早期実現性等について、こういう観点で議論しましたよというポイントをお話ししているわけでありまして、それは専任教諭の確保の状況とか地元に就職を誘導する奨学金など地方自治体との具体的な連携ですね、そして水際対策の実現に、必要な広域連携、そういう観点からしっかり議論しているということを何度も申し上げているわけであります。
(問)説明されているのは分かるんですけども、やはりその根拠となる資料というものを僕らはやっぱり示してほしいなと思っていまして、議論の過程の資料がないということは、逆に僕らからすると極めて不自然だなという感じもするんですけども、何でそもそも資料が、記録を取っていないんですかね。
(答)だから、基になる資料というのは両地域の提案書であります。提案書をよく御覧になれば分かると思います。
(問)今の質問と関連して、以前ワーキングの先生に伺ったときに、各事業者の提案書は、それぞれワーキングの委員が見て、いろんな観点から評価を付けると言っていたんですが、その評価書も公開できないんでしょうか。
(答)評価を付ける、ワーキンググループの先生方が評価を付けるというのは、それは具体的なことは私はまだ聞いていませんけれども、ちょっとそこは改めて検討させてください。
(問)関連してなんですけれども、この文科省の再調査で明らかになった追加の規制事項のペーパーの原案なんですけれども、この冒頭の「既存の大学・学部では対応が困難な獣医師養成の構想が具体化し」という、いわゆる「石破4条件」の一番上の条件に当たる部分に線を引いたのも藤原豊審議官だと先日、自由党のPTで内閣府の担当者が説明していました。この部分を削除するように指示したのも山本大臣でしょうか。もしそうだとしたら、なぜこの部分を削除するように指示したのでしょうか。
(答)その部分は削除するようにしたのは、全体で会合をして決めましょうということでしたが、要するに、諮問会議に上がるときは、11月9日ですね、そのときは既に文科省との間で、いわゆる4条件ということについてはクリアしているという話がついているわけであります。その挙証責任は文科省にあるわけですからね。そこでもうケリが付いていて、そして諮問会議に上がってくると。ところが、諮問会議というのは、そういう制度改正を、つまり獣医学部の新設を認めるということだけを決める話でありまして、そのときに、どういうところで決めるかということはありますけども、もう諮問会議で一番大事なことは、制度改正をはっきりしますと、どういう形でしますということだけを言えば良いのであって、それまでの4条件云々の話は、それまでに勝負は付いているとそういうことでありますから、特段必要はないということで決まったと思いますが、それは私の内部の会合のときに、これはそういうことだから要らないというように判断して削ったというふうに理解しています。
(問)その4条件のうち、なぜこれだけ削除したんですか、ほかの部分は残して。ライフサイエンスとか獣医師の需要の動向とかその部分は全部入っているのに、なぜここだけ削除したんでしょうか。
(答)特段大きな意味があるとは思いませんけれども、先端ライフサイエンス、どういうものを作るかということをきちっと言うためにはそういうことを、つまり新しい分野ということが非常に大事になるわけですから、そこは残しておくということは、ある意味で意味があるというふうに判断したということです。
(問)ただ、新しく獣医学部を新設するんですから、既存の学部では対応が困難なものというのは非常に重要な要素だと思うんですが、なぜそこは必要ないと考えたのでしょうか。
(答)いや、だから、そこは文科省との間でもう既に勝負が決まっていて、既存の学部では対応できないということについて認めたということでありますからね、それは、これは国会の答弁でも何度も言っていますが、それでは豚を使って、実験動物を使ってやっているところありますかと、ないんです、既存の獣医学部ではね、マウスとラットだけですよ。そういう施設もないんです。そういうことからも、それだけ一点だけ見てしても、既存の大学では対応できないことは明らかなんです。そういうことから、その意味で既に、いわゆる4条件についてこれはもうある意味で話し合いがついて、どういう獣医学部を新設するということだけ決めるわけですけどね、諮問会議では。その認める場所とか、そして、どういうものかについては新しい分野だということを出すことが必要ですから、そこは残しているんだというふうに思います。
(問)獣医学部を全国展開する根拠として、安倍首相は「公務員医師の確保は喫緊の課題」というふうに発言していらっしゃいます。でも、これは「石破4条件」には含まれていないことだと思います。公務員獣医師を確保するんでしたら、獣医師全体としては不足していないんですから、公務員の待遇を改善するとか、既存の大学の定員を増やすとかで対応できると思うんですが、なぜこれが喫緊の課題だから展開するという理論になるんでしょうか。
(答)それはいろんな部分的な考え方の強調する部分があると思いますが、私の理解はですね、公務員の待遇を改善すればいいのではないかと獣医師会は言いますよね。だけど、なぜそういう状況が起こっているかを根本を考えないとそういう話にならないんだと思います。つまり、みんななぜ小動物獣医師のところに行くんだと、ペットのところに。それは価格が高いからですよ、儲けるからです。そこでみんな行ってしまうわけ。公務員獣医師は、公務員という給与体系があるから、そんなに公務員獣医師だからぱかっとお金なんか出せませんよね。そういう状況が起こっているということは、価格が高止まりをそこの部分でしているということは、私に言わせれば、それは供給を制限しているからそういうふうになっているんだと。もしそういう状況が経済で普通起これば、新規参入が起こってきて供給が増えて、そして価格は高止まりしているところが下がっていって、一定の均衡条件でバランスするわけですよ。その均衡条件でバランスしたところの所得水準と公務員獣医師の所得水準が均衡するところになれば不足することはないんですね。
(問)今の論理ですと、今の小動物獣医師の給与水準というのは高過ぎるから、もっと下げるべきだというお考えでしょうか。
(答)私はそう思っています。というのは、獣医師会の資料を見ても、1施設で5,000万以上の収入があるところが3割を超えていますからね。それは獣医師会としても言っていますよ、そっちが儲けていて公務員の方が低いから、彼らは公務員獣医師を上げればいいのではないかと言うんだけど、経済論理から言えば、それはこっちが偏っているから、そっちが供給が増えて価格がバランスすれば、そんなに公務員獣医師になっても、公務員獣医師になる人はまたほかの使命感もあると思いますけれども、そういうものとそう差がないという状況ができてくるわけですね。
(問)歯学部でも定員が増えたことで同じようなことが起こって、歯科医院がたくさん乱立して倒産するところもたくさん出ています。つまり、獣医師の世界でも同じように小動物医院で価格の競争が起きることによってたくさんの小動物の病院がつぶれて淘汰される、それが自然な経済の原理であるということでしょうか。
(答)そこはどこまで増やすかでしょうけどね。無制限に増やしていけば、そういう淘汰されて均衡が、バランスが取れるというのは経済学の原理ですね。だけど、今回みたいに1校や2校、そしてまた、今の獣医学部の有り様というのは定員以上にとっているわけなんです。毎年、本当は930人が定員だけど、1,200人位採っているわけですよ。その定員管理をきちっとすれば、200人、300人増やしたって、結局今と余り変わらないような状況もあるわけで、そこは、極端な議論をすればそういう話があり得ますけども、まあそこまではいかない段階で考える。いずれにしても、一定の質さえ確保すれば、ある意味で、できるだけ多くの人が参入すれば値段も下がってくるから、ペットを飼っている人にとっては良いし、消費者のためにはなるわけですね。そして規制緩和の利益というのは、そういう消費者が得る利益と供給している人が失う利益と比較衡量するわけです。通常の需要曲線と供給曲線の場合には、必ず消費者の利益の方が大きいんです。だから規制緩和した方が経済全体としてはためになるというのが根本的な議論なんですね。私はそういう原理だから考えに基づいて言っているわけであります。
(問)都議選についてお伺いします。都議選の結果、自民党が大敗ということになってしまいましたが、その一因として、国家戦略特区をめぐる一連の問題等も指摘されていますが、まずこれについて、所管される山本大臣の御意見、受け止めをお伺いします。
(答)選挙結果の分析については党において行われるものであると理解しておりますので、政府としてはコメントする立場にありません。
 昨日、安倍総理も述べたとおり、直面する諸課題について一つ一つ取り組み結果を出すことで国民の皆様からの信頼を回復するよう努めていくことが重要であると考えております。私も閣僚の一員としてこの結果を謙虚に受け止め、安倍内閣の経済最優先の方針の下、地方創生、規制改革、行政改革等の政策を強力に進め、国民の皆さんにしっかりと成果がお見せできるように全力で臨んでまいりたいと思っております。
(問)都議選でも加計問題について、いろいろ有権者の方から疑問の声も出ていたと思うんですけども、今振り返ってみて、ずっと国会でも答弁ありましたけれども、山本大臣としては、加計問題について十分な説明をしてきたというふうな御理解があるのかということと、もう一点は、文科省の文書が出てきた後、内閣府でも調査をされましたけれども、あの調査でもまだ疑問な点が私としてはあるんですけれども、改めて、こういった今回の都議選を受けて、もう一回内閣府として調査するという意向はあるのかということについてお伺いしたいんですけども。
(答)先程申し上げたとおり、選挙結果の分析は、政府としてはコメントする立場にありません。ただ、加計学園問題について、私は国会で真摯にきちんと説明をしてきたつもりでありますし、この点については全てルールと法令に基づいてやっていることで、一点の曇りもないと確信をしております。幾らでも聞いてもらえれば、きちっとお答えする用意がありますし、私どもは民間議員といろいろ議論をしながら、どうしたら岩盤規制が突破できるか、そして日本経済の活力を取り戻せるかについて真摯に取り組んできたつもりでありますし、こういうことは今までも説明してきたつもりでありますが、今後も必要であればしっかりとやっていきたいというように思っております。
 それから、調査云々の話がありますが、これは既に内閣府においても十分な調査を行ったというように理解しておりまして、それ以上の調査をするという予定はありません。
(問)また加計学園の問題で一つお伺いしたいんですけど、先程やりとりの中で、京産大が断念したというふうにお話ありましたけども、大臣は、京産大が断念したというのはいつの時期というふうに認識されているんですか。我々の取材に対して京都府と京産大は、やはり「広域的に限り」が出た11月9日というふうな言い方をしているんですけども。
(答)私どもは、去年の暮れまでははっきりとは知りませんでした。それは、国会で質問等をやっている中で、そういうことだったという話を質問する委員の皆様方もおっしゃいましたし、その後いろんな報道等で、その時点で断念していたのかということを後で知ったということであります。
(問)そういうことであれば、はっきりと知らなかったということなんですけども、11月9日で京都府や京産大が、あれでちょっと手を挙げられなくなってしまったと言っているのは、彼らが勝手に判断したということになるんですかね。
(答)私どもは別に外したつもりはありませんですからね。そこはどう判断したのか、最終的にはよく存じませんが、そういうことを当然あり得るという前提でいろいろ我々は、年末までは当然そういうこともあり得るということで作業していたわけでありますし、最終的に公募ですからね、そこで手を挙げることは当然あり得るという建前でしっかりやっていたわけであります。
(問)京産大や京都府から、11月9日から年明けの1月までの間に、ちょっとこれ、自分たち厳しいんじゃないかという相談があったりとか、その相談に対して内閣府の方から、いやいや、まだあなたたち手を挙げる可能性はあるよというようなアドバイスをあげたということはあるんでしょうか。
(答)そういうことは全くなかったというふうに理解しています。

(以上)