山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月27日

(平成29年6月27日(火) 11:08~11:25  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日は、3件報告事項があります。
 1件目です。本日、お手元の資料のとおり、企業版ふるさと納税の対象事業として、新たに7府県、45市町村の57事業を認定いたしました。
 特徴的な事例を二つほど紹介しますと、石川県小松市では、株式会社小松製作所から3年間で総額9,000万円の寄附を受け、産業遺産である遊泉寺銅山跡に残る往時の遺構の周辺整備、遊歩道や資料館、休憩施設の整備等を行う民間団体に対し経費を助成する事業を計画しております。
 高知県では、地域の大人が子どもに無料あるいは安価で食事を提供することを通じて、子どもや保護者の居場所となる「子ども食堂」を新規に開設又は既に運用している民間団体等に対して経費を助成する事業を計画しております。
 今回、東京都青梅市と沖縄県国頭村の地域再生計画を認定したことにより、全ての都道府県において1以上の事業が認定されたことになります。
 2件目です。明日28日、明後日29日に、地方創生に関し、地域における意欲ある取組や地域のニーズ等を把握し、今後の取組に生かすべく、岩手県滝沢市、矢巾町、盛岡市、青森県八戸市を訪問する予定であります。八戸市では、内閣府のサテライトオフィス等を視察する予定であります。いずれも詳細は事務局にお問い合わせください。
 3件目ですが、昨日の夕方、特区自治体の首長、諮問会議の民間有識者議員、特区事業者の方々の連名で御要望をいただきました。具体的には、国家戦略特区の運営や原則を否定するような議論に強い危機感を表明された上で、国家戦略特区は構造改革特区と同様、自治体や事業者の提案が起点であり、政府としてこれまで以上に強力に提案に基づく岩盤規制改革を進めてほしいこと。2番目に、規制改革の議論において、規制が必要な根拠を立証する責任は規制担当省庁にあることが閣議決定されていることを改めて明確化すべきこと。3番目、自治体や事業者は全国での活用を見据えて、ドリルの刃となって既得権益と戦っており、その努力は報いられるべきことという3点について、御要望いただきました。
 今回の御要望は、国家戦略特区において、岩盤規制改革に最前線で取り組んでいる方々からの真摯な訴えがありまして、また規制改革の原理原則を再認識させる、正に的を射たものとして大変重く受け止めております。今回の獣医学部の新設も、こうした原則に従って決定したものであり、今後もより強力に岩盤規制改革を進めることにより、御要望いただいた方々の期待に応えてまいりたいと思います。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)大臣、今日、行政事業レビューの公開プロセスが今日で終了になるんですけれども、大臣御自身も大分視察に行かれていましたが、レビューの結果を今後どのように反映させていくお考えか、よろしくお願いします。
(答)今日も私は環境省にも行きますが、行政事業レビューを今、各省でやっていただいておりまして、私も幾つか既に参加させていただいております。
 私はずっと聞いているだけですが、民間有識者の方々から大変鋭い指摘が行われ、各省においても、やはり成果指標の在り方とか、あるいはその事業の効率性をもっと図るべきだとかいうような指摘を受けて、大変厳しい指摘もいろいろあり、その意味では、私は非常にこのレビューというのは有効な策ではないかと。やはり一つ一つの政策に対してしっかりとした透明性のある政策決定がなされなければいけない。説明責任もあるということを、それぞれが認識する上で非常に大事だというように思っております。
 これを是非、そうした指摘を受けて、実際のこれから概算要求、そして予算編成に生かしてもらいたいと。各省やはり緊張して受け止めているようでありますので、そうした成果が上がることを期待しているところであります。
(問)獣医学部新設の関連で何点かお伺いします。
 24日に安倍首相が速やかに全国展開を目指したい、地域に関係なく、2校でも3校でも意欲のあるところにはどんどん獣医学部の新設を認めていくと発言しました。
 この発言を受けて、内閣府としては、今後具体的にどのような対応をしていくのでしょうか。今治のように新たな告示を作るのか、又は平成15年の文科省の告示の撤廃を目指すのでしょうか。
(答)これまでの国会答弁で何度かお答えしておりますけれども、私どもとしては今回の国家戦略特区における獣医学部の新設ということは、別に今治に限ったことではないということで考えておりました。広域的なということですね。それは、京都の提案もあり得るし、新潟の提案もあり得るということを考えていたわけであります。
 ただ、その後、パブリックコメント等をやる中で、獣医師会から是非1校にしてくれという話があって、その点については、岩盤規制突破を早く、スピーディに進めることと、それから慎重な意見に配慮するということで、今回はまず1校に限ろうということで私から提案し、3大臣で合意に至って、政府としての決定に至ったわけであります。
 ただ、そのことで終わりというふうには考えておりませんで、国会答弁でも、当然2校目、3校目はあり得るという答弁をしております。したがって、そういう具体的な要望がこれから出てくれば、是非前向きに検討していきたいというふうに思っています。
 そういう意味では、まずは国家戦略特区の中から出てくることが一つのステップになると思いますけれども、もともと国家戦略特区でやる岩盤規制突破というのは、それをやってみて、特に問題がないということがはっきりすれば、直ぐに全国展開に移していくという建前の規制緩和でありますので、そういう意味ではまず戦略特区でやった成果を見て、それから全国展開という形に至っていくというふうに思います。
 その意味では、まず具体的にどこから提案があるかということで、前向きに考えていきたいというふうに思っています。
(問)関連して、獣医学部設置を1校に限定して認めたことについては、中途半端な妥協と安倍首相は指摘しました。
 1校に限った経緯については、山本大臣が自ら決断し、3大臣合意に移ったと説明していますが、山本大臣の決断を安倍首相は中途半端な妥協と指摘されたことについてはどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)まず、獣医学部の新設では、獣医師会等の慎重論に配慮して、広域的に存在しない地域に限るといたして、まず制度改正をやるということを11月9日の諮問会議で決めました。この11月の諮問会議では、要するに獣医学部の新設を認めるという、制度改正をやるということを決めたわけです。
 それから、今度、具体的な場所、そして事業者を決めていくわけでありますが、その際にパブリックコメントをしまして、慎重意見が非常に強かったということと、具体的に獣医師会から、確か、12月8日だったと思いますけれども、1校に限ってもらいたいということで、その要請を踏まえて、慎重な意見に耳を傾けたということでやってまいりました。
 これは、いきなり広く門戸を開いて、規制改革を実現できれば、それにこしたことはないのですけれども、様々な抵抗がある中にあっては1校に限るとして、改革の第一歩をまずスタートさせることが重要と判断したものでありまして、当時のこの判断は妥当なものであったと考えております。
 こうした判断は、民間有識者の方々の御意見も踏まえた上で、最終的には内閣府、文科省及び農水省の3大臣が合意をして行ったものであり、関係者の総意だったと考えております。医学部の開設でも同様の措置を行いました。
 そういう意味で、これからはこの点について誤解を与えないように、更なる新設も見据えて、改革を続行していきたいと思っております。その意味で、どんどん具体的な提案があれば、しっかりと対応していきたいというふうに考えているところです。
(問)そういう当時の事情を考慮せずに、中途半端な妥協といったことについては心外であるということでしょうか。
(答)それは、心外というまでではありませんけれども、1校に限るという妥協をしたということは確かですから、その点については、我々としては、やむを得ないという判断でありましたが、そうした妥協が、国民の誤解を与えるというようなことになるのであれば、それはもともと、2校目、3校目も当然考えてきているわけですから、何ら、我々としては問題ない。具体的な要望があれば、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。
(問)医学部に関しても1校に限り、特区での新設が認められて、今年4月に、成田市に国際医療福祉大が開学しました。これも、そうすると、中途半端な妥協なので、今後、全国的に医学部を作る方針で臨むということでしょうか。
(答)医学部について云々の話は今特段考えておりませんが、私の個人的な考えとしては、医学部と獣医学部は少し性格が違うところがあるというふうに思っています。医学部の医療というのは、正に、国民皆保険の下で行われているわけで、ある意味で、公定価格で事業が行われるものであります。その意味では、やはり国としてそれなりの需給の調整なりを当然考える必要があると。そうしなければ、保険制度自体がおかしくなるということもあります。
 一方で、獣医学部というのは、全くの自由価格の世界でありますから、そこは国家試験ということで、一定の質が担保されれば、後は市場原理に任せて、落ちつくところに落ちつくというのが通常だというふうに思いますので、ちょっと性格が違うだろうというふうに私は思っています。
(問)広域的な件で2点お願いしたいんですけれども、古い話で、国会答弁で、前に櫻井委員の質問に対して、大臣が広域的にを入れた理由について、いろんなところに大学ができるからというふうな発言があったと記憶しているんですけれども、これは以前に、京産外しじゃないみたいなことをおっしゃっていたと思うんで、そこと矛盾するような発言だと思うんですけれども、この広域的なと入れたのは、いろんなところに大学ができるからというふうな発言のこの真意は、どうだったのかということをまず伺いたいんですけれども。
(答)それまで、いずれにしても限定するということは当然考えて、原案としても出しているわけですね。獣医学部の既存の獣医師系大学は存在していないところにおいてと。ただ、その場合に、正に市町村なりになければいいのではないかというような話になるのではないかと。これは文科省等との間でもそういう話題が言われたと聞いています。
 そこで、それはそうだなと。それでは隣でもいいんだという話は当然あり得るので、そこは新しい需要ということで、感染症対策とか、産業 動物獣医師が不足しているとか、そういうことを当然加味しなければいけないので、その意味では、自分の市町村なりになければいいんだという話ではなくて、少し広域的にそういうのが存在しないというようにするほうが、段階的ではいいのではないかというふうに反対したわけであります。
(問)さっき、広域的にということなんですけれども、この広域的に限っては、これは獣医師会は要望しないというふうに明確に発言されておりまして、あと広域的という文言について、最初の文科省からの修正原案には入っていないわけですね。そういう中で、じゃどうやって大臣が自らそれを決断したというのであれば、広域的にというものをどういうところから入れたのかというのが今までの国会答弁では伺えないので、そこをどういう自分の判断で広域的にという言葉が出てきたのかというのをもう一度お伺いしたいんですけれども。
(答)いやいや、それは国会答弁で何度も説明して、今も説明したとおり、当初、内閣府の案は出してあって、そこのところからも限定しようという話を出しているわけです。ところが、それに対しては文科省とかからも、それでは自分の市町村なりになければいいのかという話、どんどん数が広がるのではないかという、そういう指摘もありました。
 そして、獣医師会がおっしゃるように、獣医師会は絶対反対ということをずっと言っていたわけでありまして、それはそういう話で受け止めていました。
 したがって、そういう文科省とかの議論の中で、自分の市町村なりになければいいのではないかということになると、ちょっとどこでも、すぐ隣だったらいいのではないかという話になりかねませんかという議論があって、それはそうだねと。
 やはり、全国的に見て、感染症対策、産業動物獣医師の不足ということに対応するという観点からすれば、やはり周辺、少し広めに見て、そういうのがないところに限るということのほうが、全体として第一歩としては納得されるのではないかということで考えていたわけであります。
 当然、私の頭の中には幾つかのバリエーションがあったわけでありますけれども、その一つが広域的にと入れることになったということです。
(問)先ほど、トータルすると獣医師会は言っていないと。となると、文科省のほうで限定的よりは、より厳しい文言を入れてくれてというふうな意見があったということですか。
(答)そういうふうに私は理解しています。

(以上)