山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年6月9日

(平成29年6月9日(金) 9:12~9:30  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 明日6月10日土曜日から11日日曜日にかけて、地域における意欲ある取組や地域のニーズ等を把握し、今後の地方創生に関する取組に生かすべく、山形県最上町、鶴岡市、山形市及び秋田県の湯沢市、横手市、秋田市を視察いたします。
 詳細は、内閣府地方創生推進事務局にお問い合わせください。
 以上です。

2.質疑応答

(問)加計学園の獣医学部新設についてお伺いいたします。去年11月9日の国家戦略特区諮問会議で、広域的に獣医師系大学が存在しない空白地域に限って開設を認める方針が決まりました。これに関して、5日の決算委員会で安倍総理が、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る、1校に限るという要件は、獣医師会等の慎重な意見に配慮した、獣医師会から要請があった」という御答弁をされています。しかし、獣医師会側はテレビ朝日の取材に対して、「『1校に限る』という要件は内閣府側から示され、しぶしぶ了承した」と回答しております。内閣府が「1校に限る」という要件を提示した事実はありますでしょうか。
(答)全くありません。広域的に限るという話は、11月9日の特区諮問会議で決めたわけであります。その方針は、岩盤規制を早く突破して進めなければいけないという観点と、それから獣医師会からの、それまでに私のところに来ている反対意見、慎重な意見ですね。そしてまた、文部科学省、農水省との間の意見のやりとりを通じて、とにかく早くそれをやる。そしてそのために慎重意見にも配慮しなければならないということも踏まえて、最終的には10月の末に私が決断をして、そして原案を作って文科省、農水省とも調整し、あるいは、またそういう地域を限るということについては、非公式にワーキンググループの八田座長ともいろいろ御相談をした上で、最終的には私が方針を決めました。そして打ち合わせをして、合意を得て、9日の諮問会議の取りまとめということになりました。
 それから、「1校に限る」ということは、そのときまだ「1校」という言葉は言っていなかったわけでありますが、その後パブリックコメントをやったわけでありますが、11月18日から1カ月間やりまして、そして、その前の日に私はまた獣医師会の方に私から出向いていって、そういうパブリックコメントをやる取り運びになりましたということもお話しさせていただきました。そのときも獣医師会は反対だというような意見ではありましたけれども、一応私としては仁義を尽くして、そういうことになっておりますということでお話し申し上げました。
 その後、パブリックコメントが終わって、その結果を見ると、慎重意見がかなり多いということ、そして12月8日だったかな、獣医師会から正式に、むしろ獣医師会から1校にしてくれという強い要請がありまして、そういうパブリックコメント、そして獣医師会からの1校にしてくれという要請で、それを受けて最終的に私が1校にした方がこれはうまくいくというように判断して、最終的に急遽、3大臣でそのことについての了解がなければいけないということで、私の方から両大臣に調整方お願いをして、最終的に12月22日の文書になるわけでありますけれども、「1校に限る」という形で公募する、告示でそういうふうに書くということを決めたわけであります。
 こちらから、1校にするなんて言うことは全くありません。それは間違いで、明らかに獣医師会の方から1校に是非してくれという要請が強かったというのが事実であります。
(問)さらに、獣医師会側は、「広域的」という要件については要請した事実がなく、11月9日に初めて出てきたという証言をされています。獣医師会側から「広域的」という要請があったというのは事実に反していないかという点についてお伺いできればと思います。
(答)それは、獣医師会から広域的にしてくれという、そういう話は確かにございませんでした。それは私が最終的に、そういう形にしようという判断をしたわけでありまして、獣医師会は一貫して反対だということを強く申し入れてきていたわけでありまして、そういうことを考えて私の方でそういう表現ぶりにしたということであります。
(問)先程ちょっと言及もあったかと思うんですけども、去年10月なんですけども、京都産業大学からヒアリングを受けられていますけども、どの時点で京産大が対象外になるという認識を持たれたかという点についてお願いいたします。
(答)京産大を対象外にしたという感覚は全くありません。広域的というところで、そこはどう解釈するかというところがあって、そこは含みがあるわけでありまして、全くそういうのを外しているという感じで考えているわけではありません。しかも、京産大は、その中で、11月9日は地域を決めた、ある意味で、地域をそういうふうに想定しますよということを言っているわけですね。大学については、どこの大学だって公募に応じれば良いわけですから、全く対象外という話ではありません。
(問)大臣も出席されていた昨日の内閣委員会で、桜井議員が今治市の記録資料を使って、内閣府が開学時期を事前に伝えていたのではないかと追及していたかと思います。一方、今治市側は取材に、独自でスケジュールを作成したと。実際、市長も2016年3月の市議会で、「成田市の医学部新設スケジュールを基に想定で申し上げますと、最速で18年4月の開学となれば大変ありがたい」と、今治市は独自で判断したと市長は言っております。一方、大臣としてなんですが、今治市がそういった独自のスケジュール感を持っていたことは御存じだったでしょうか。
(答)それは、昨日の答弁でもありましたように、今治市が独自でそういうスケジュールを作っておられるということについては、我々としては承知していなかったということでありますが、それはいろんなシミュレーションをそれぞれやるんでしょうから、我々は、内閣府としてはこちらの必要な作業を淡々と進めているわけでありまして、それに応じて対応するようなところは、それは自分なりにみんなシミュレーションをやると思いますけれども、そのことについて詳しいことは我々としては承知していないということであります。
(問)一方で、今治市は昨年8月に、開学時期を示した独自のスケジュール表を内閣府に送っているということも言っていると思うんですが、その辺りはどうでしょうか。
(答)それも昨日答弁していましたけれども、今治市が来てそういう資料等が来たのかと探したけれども、それは担当者レベルで会ったのかもしれないんだけど、少なくとも上の局長とか審議官クラスは見たことがないというような話でありまして、そこまで承知していなかったというふうに考えています。
(問)一応確認なんですが、内閣府から伝えられたことはないとは思うんですが、今治市のスケジュールに合わせて開学時期を判断されたということはないでしょうか。
(答)全くそんなことはありません。我々は我々の考え方で淡々とスケジュールというかそういう方針を決め、そして告示を出し、手続を進めているということであります。
(問)先程の「広域的」というのは獣医師会側が要請していないという話で、確かにそういう話はなかったという話がありましたけど、先回配られたこれまでの経緯の資料の中に、「広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限る」、それと「1校に限る」という要件は獣医師会等の慎重な意見に配慮して付したものであるというふうに書かれていたんですが、そうすると、この最初の方の「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」というのは、この獣医師会等の慎重な意見に付したものではないということで、ここは違うという理解でよろしいんでしょうか。
(答)いやいや、そうではなくて、獣医師会から広域的にしてくれというような話はありませんでしたと、そういう文言でね。ただ、獣医師会は反対だということはずっと言っているわけで、そういう意味の慎重な意見は常に述べられてきたわけであります。それを受けて、最終的にその文言については私が決めたということであります。
(問)すると、少なくとも、この広域的に存在しない地域に限るというのは獣医師会、先程の繰り返しになりますけれども、獣医師会側の方からはそういうふうな要望というか要請はなかったという理解で……
(答)広域的にしてくれという、そういう文言的な意味の要請はありません。絶対反対だというような慎重意見はずっと従来から行われてきたわけで、それを踏まえてうまく改革を進め、同時に慎重意見も配慮すると、その辺を考えると、ここでそういう表現で進めようということを私は決断したわけであります。
(問)そうすると、先程、京都産業大の話がありましたけれども、そこが入るか入らないかというのは、正にこの「広域的な」というところがあるかないかという問題になってくると思うんですが、この「広域的な」というところが入ったのは、そうすると、どういったところからの要請なり、若しくはプロセスでこの要件が入ってきたんでしょうか。
(答)だから、何度も言っているように、規制改革を進めて獣医学部を新設しなければいけないという私どものそういう方針と、それから獣医師会が絶対反対だという慎重な意見、そして文科省、農水省も議論の中で慎重な意見もありました。そういうのを踏まえて総合的に判断して、それでは、どういう形で進めていけばいけるかということで、私は、ある意味で空白地帯をまず優先しようと、そういう形で進めることが一つの手順としては最適かというふうに判断してそういう文言を決めたわけであります。
(問)その獣医師の数を増やさなければいけないと大臣がおっしゃられているのはよく分かるんですけれども、そうすると、それは必ずしも空白地帯に作らなくても、それは獣医師の数を増やすという面においては特に問題ないのかなというふうに私は理解したんですけれども、それをなぜわざわざ空白地域に作るというふうにされたのかというところをもう一度教えていただきたいんですが。
(答)だから、それは何度も言っているように、絶対反対だと言っている獣医師会もあるわけですから、あるいは文科省も農水省も慎重な意見も当然最初はあったわけ。一方で、有識者なんかは、是非やらなければいけないという話もしている。私も、この規制改革というのは絶対やらなければいけないというふうに思っています。それをどう調整するかの話であって、そのときに、それはどこでも良いですよと、ぱっとやるというやり方もあるでしょうけど、そうすれば反発というのはまたすごい大きなものになるわけでありまして、そういうことから考えると、優先的に空白地帯からうずめていくというのは自然な考えではないかというように私は判断して、そういう表現にしたわけです。
(問)つまり、空白地域だったら獣医師会側からの反発も少ないのではなかろうかという。
(答)まあ、そこのところは御想像に任せますけれども、私としては、そういう進め方の方が、一つの自然な進め方ではないかというように判断したわけであります。
(問)重ねてになりますが、そうすると、ただ、それは飽くまで獣医師会側から空白地域にしてくれという話があったわけではなくて、こちらの内閣府の方でそういうふうに。
(答)そういうことです。
(問)先程なんですけれども、文部科学省の方が総理の意向を記した文書があったかどうかに関して再調査する方針を固めたと報道されております。それについての大臣の受け止めと、内閣府でも改めてそういった発言があったのかどうかについて調査するお考えがあるかどうか教えてください。
(答)内閣府については、もう調査というか担当者に聞いて、全くそういうことはないということを確認しております。文科省が再調査する云々については、それは文科省において判断することですから、今私のところでコメントするようなことではないと思います。
(問)加計学園の獣医学部の新設に関連して、大臣が先月30日の閣議後会見で、「獣医学部の質が落ちている」というような発言がありまして、それに対して昨日、日本獣医学会などが、根拠なき批判だという意見書を発表しましたけれども、これに対して大臣の受け止めをお願いできればと思います。
(答)まだその意見書というのは見ていないんですけれども、そもそも獣医学部の新設という半世紀ぶりの岩盤規制改革に挑戦しているわけでありますから、規制に守られている側と、規制改革をしようとする側との間で見解が対立することは当然だと思います。ただし、これは国会答弁で言っておりますが、既存の16獣医師養成系大学等でもOIE(国際獣疫事務局)の動向を踏まえて、近年、国際通用性の観点からコアカリキュラムの実施に取り組んでおり、私と同様、日本の獣医学部を世界に誇れる獣医学部にしたいという思い、方向性は一緒ではないかと思っております。
 ただ、私が根拠として挙げたのは、毎年、英国の評価機関でありますクアクアレリ・シモンズ社が世界獣医学系大学ランキングトップ50を公表しておりまして、その2017年版を見ますと、我が国からは東京大学ただ一校が34位に入っているのみという状況であります。一方で、アメリカは18校、イギリスは7校、G8以外の国からもオーストラリア4校、オランダ、ベルギー、スペイン、ブラジル、各2校がランクインしているわけでありまして、この点から見て、我が国の獣医学教育への評価は、国際的には必ずしも高くないのではないかというのが私の感じであります。
 また、国家戦略特区の委員の皆さん方からも、獣医学の治験、実験動物を用いた臨床研究などが期待される創薬分野において日本が後れを取っていること、それから再生医療分野の臨床研究の促進に必要な中・大型動物の管理・育成等のための人材が現在明らかに不足している等、獣医学系人材の質・量両面での充実を図ることの必要性などが指摘されております。これらを踏まえて、日本の獣医学部の質は低下しているという旨発言したものでありまして、今治市への獣医学部新設により、国際的にも通用する獣医師の養成が重点的に図られることを強く期待すると共に、新規参入を契機に、既存16獣医学部等の質の向上が更に加速することを期待しているところであります。

(以上)