山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年5月30日

(平成29年5月30日(火) 10:00~10:25  於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日は、3件報告事項があります。
 1件目です。本日の閣僚懇談会において、現在、各府省において取り組まれている行政事業レビューについて発言いたしました。
 各府省が実施する公開討論、いわゆる公開プロセスが、6月1日木曜日から27日火曜日まで実施される予定であり、私から各閣僚に対して、充実した議論が行われるよう事務方を御指導いただきたいと申し上げました。
 この公開プロセスで取り上げる事業の内容や、インターネット生中継については、内閣官房の行政事業レビュー公開プロセス特設ページから御覧いただけます。私も可能な限り、各府省の公開プロセスを視察したいと考えており、記者の皆様にも是非御覧いただきたいと思います。詳細は、行革事務局にお問い合わせください。
 2件目です。6月5日から内閣府サテライトオフィスの試行を実施することとしましたので、お知らせいたします。
 これは、昨年の12月に閣議決定した、「まち・ひと・しごと創生総合戦略2016改訂版」において、地方に中央省庁のサテライトオフィスを設置して、本省の業務の一部を執行することの可能性について、当面、一部の業務についての実証、試行を進めるとしたことを踏まえ、行うものであります。具体的には、6月5日から16日まで、高知県の安田町、それから6月19日から30日まで、青森県八戸市にオフィスを設け、内閣府の地方創生推進部局や地方分権部局等が、市町村へのアウトリーチ支援や現場の実態把握等の業務を実施する予定であります。詳細は、この後、事務局から説明いたします。
 それから、3件目、いわゆる獣医学部の新設について、少しまとめて経緯を知っていただきたいと思いまして、今までの状況等をまとめた資料をお配りさせていただきました。
 今治市の獣医学部新設については、昨日の参議院本会議で、安倍総理から、民主党政権も含めたこれまでの獣医学部の新設の対応について、御答弁がございました。私からもこの場をお借りして改めて申し上げたいと思い、その概要を資料としてお配りしております。
 お手元の資料の1を御覧ください。獣医学部新設は、民主党の鳩山政権時代の平成22年3月25日に、総理を本部長とする構造改革特区推進本部で、「対応不可」を「速やかに検討」と格上げする対応方針を政府決定しております。その提案には、学部設置者として、学校法人加計学園の名前が明記されております。なお、民主党政権、菅政権、野田政権では、検討のままたなざらしとなり、実現には至っておりませんでした。
 2を御覧ください。民主党政権下の平成23年2月25日には、当時の文部科学副大臣が国会答弁で、産業動物獣医師や公務員獣医師の確保に懸念があるとの認識を示した上で、平成22年6月に閣議決定した新成長戦略によって、今後の獣医学教育の在り方について検討すべしとなっているといった、極めて前向きな答弁をされました。
 3を御覧ください。安倍政権では、こうした民主党政権での前向きな検討を引き継ぎ、最終的には国家戦略特区で地域や事業者を特定することなく、今年1月4日の内閣府・文科省共同告示で制度化しております。制度化に当たり、獣医学部の空白地に限る、1校に限ると要件を付していますが、いずれも獣医師会等の慎重な意見に配慮して、私が決断し、付したものであります。
 このように、獣医学部の新設が実現したのは、安倍政権になったからでも、国家戦略特区になったからでもなく、政権を超えた長年の検討と、国を超えた人流、物流の拡大に伴う感染症リスクの高まりによるものであります。また、今治市と愛媛県が、長年にわたり粘り強く提案を続け、提案を磨き上げてきたことも、大きく寄与しております。
 こうした経緯について、十分御理解賜ればありがたいと思っているところであります。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)冒頭の発言でありましたサテライトオフィスについてお聞きしますが、見方によっては、役所が東京にあって、地方に出るということは、行政の肥大化に、対応を間違われるとつながるんじゃないかとか、あるいは国家公務員の働き方改革というのが狙いということなんですけれども、のんびりしたところで、言ってみれば保養のような形でやることが良いのかというような受け止め方もできなくはないと思うんですけれども、改めてサテライトオフィスを作る狙いと、どういった点について、どういった点に配慮しながら進めていくお考えか、お聞かせください。
(答)サテライトオフィスは、正に行政、特に我々は地方創生、地方分権関係ですけれども、他の行政もありますが、やはり中央にだけいては実情は分からない。あるいは地方創生をやっておりましても、例えば交付金等についての理解が十分進んでいないのではないかというようなこともあります。
 あるいは地方分権についての提案が余り行われていないと、そういうところに対して、しっかりと理解を進めて、是非地方分権、あるいは地方創生に前向きに取り組んでいただけるような、そういう働きかけをやるというのが一つの目的であります。
 それから、同時に働き方改革で、テレワークとか言っているんですけれども、なかなか実際にやってみないと、本当に進みません。
 そこで、こうした形で地方に出ていく機会を作ることによって、仕事はテレワークでやらざるを得ないというようなことになりますから、そういう試行をやってもらうということも、非常に大事だというように思っております。
 その意味では、これから試行していくわけですが、おっしゃるように行政の肥大化ということには一切ならないように、注意しなければいけません。逆に行政をそういうテレワーク等でいかに簡素で効率的なものにしていくか、しかも地方の隅々までそうした中央の取組について、理解を深めることができるかということを試行していって、これが私の希望としては、単に短期的なだけではなくて、少し長期的な意味で、そうしたオフィスが展開されるというようなことになっていければ良いなというふうに思っておりますが、いずれにしても、少し試行して、その結果を見なければ分かりません。
(問)公開プロセスの件なんですけれども、改めまして今回の公開プロセスに向けての大臣の期待しているところですとか、狙いを御説明いただけますでしょうか。
(答)この公開プロセスというのは、正に税金の使い道が効果的、効率的かと、それをチェックする意味で、行政事業レビューの一環として行うわけであります。
 秋は、我々が中心になって行いますけれども、この春の公開プロセスというのは、各省が独自に有識者等と相談しながら、公開でそうした事業の在り方について、チェックしていくものでありまして、そうした形で、税金が無駄なく使われていると、効率的、効果的だというようなことを外部の方々も理解してもらうような形になるということが狙いでありまして、是非そういう効果を上げてもらいたいと。
 私も、できるだけ各省のやっている公開プロセスには参加したいと思っておりますし、今日も各大臣にも、できるだけ参加してもらうようにお願いをいたしました。
(問)先ほどのサテライトオフィスについて、今回この2か所に決まった理由とか、目的を教えてください。
(答)内閣府については、今回東西に1か所ずつという前提の下で、東京から遠く、そして人口減少率や雇用情勢とか、厳しい状況にある県であって、交付金の活用状況、地元の受入れ体制等を総合的に勘案して、選定いたしました。
 なお、内閣府だけではなくて、それ以外に復興庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省において、平成29年度にそれぞれの行政ニーズ等に基づき、このサテライトオフィスの試行の検討、実施等の取組を進めていただけるものと承知しているところであります。
(問)加計学園のこの資料なんですが、まず1点目、このタイミングでこの資料を御用意して、今日の会見で御説明されたこのタイミングについては、どうしてこのタイミングになったのかなというのが1点目。
(答)加計学園の問題については、いろいろ国会で取り上げられ、新聞報道でもいろいろ出ておりまして、ただ断片的にいろいろなことを言われるんですけれども、それだと全体像がつかみにくいのではないかと。国家戦略特区法も、今日衆議院で上がれば参議院に移っていきますので、この際きちんと整理して理解していただいたほうが良いのではないかと、そういうふうに判断いたしました。
 昨日、総理から国会の本会議でそういう答弁があったと聞いておりますので、ちょうどよいタイミングで一応全体の経緯が何だったのかということを知ってもらう必要があるというふうに判断して、説明させていただきました。
(問)野党などが問題にしているのは、この安倍政権になって、長年検討というか、申請してきた獣医学部が、安倍政権になって決まったと、新設が。それはやはり加計さんと安倍総理との親しい関係が背景にあるのではないか、あるいは文書などにありましたが、何らかの官邸あるいは総理サイドからの指示があって、いわゆる獣医学部の新設が条件に合致していない部分もありながら、強引に進められたんじゃないかという点であって、民主党政権からやっていたかどうかということではないような気がするんです。
(答)そういう批判が行われているんですけれども、安倍政権になったから突然、総理の友達だから加計学園ですよというような話になったのではないということは、この経緯をずっと見ていただければ明らかに分かるわけでありまして、正に民主党政権のときでも前向きに検討ということまで行っていたわけですから、もうそのときも当然加計学園というのは出ていたわけです。そして、今治市と共同でやるということで。そういう話なんですよと。
 それを抜いて、突然、安倍政権になったから加計学園ありきで何か進められたような議論をされていますけれども、そこは全体の経緯を踏まえない議論ではないでしょうかということであります。
 その上で、私は国家戦略特区担当・規制改革担当になって、私の信念は正に岩盤規制をどんどん打ち破るんだという意欲でこの任に当たったと思っておりますので、そうした意味で、あらゆることに対して改革を進めようと。
 私がそういうふうに思っているのは、ずっとアベノミクスというのをやってきて、海外の投資家等と話をしていると必ず言われるのは、1番目と2番目の矢は良いけれども、3番目の矢が進んでいないじゃないかと、構造改革、規制改革が進んでいないじゃないかと、もう批判ばかり受けるものですから、自分がそういう任になった以上は、そんなことはないと、どんどん進めるんだということをやらなければいかんと思って、そうした今までの懸案についてスピード感を持ってやろうと。
 ただ、その際に勝手にやっているわけではなくて、当然、ワーキンググループ、あるいは区域会議、特区諮問会議等で民間議員の意見を聞きながら、また反対派、慎重派の意見も聞きながら、どこでまとめていくかということを考えて決めるのが私の責任だと思っていますから、そういうことでやってきたわけであります。
 特に民間議員の方々の意見からいえば、52年間も獣医学部の設置を禁止していると、それ自体がおかしいと、正にそれはゆがんだ行政だと、新規参入を認めないというのは既得権を守るだけの話ではないかと、そういう議論が行われて、当然、先端ライフサイエンスとか、感染症対策とか、新たな需要が明らかに起こっている。特に創薬関係なんかは、獣医師の方々を雇いたいんだけれども、全くいないと、来てくれないと、そういう声も強いし、そして、BSEを初め、感染症が一旦起こったときには、日本中が騒ぐわけですね。そのときに、地域的にそうした対応ができない地域があるというのは、やはり問題があるわけで、その点は、新たな需要として、地域偏在があるということは、農水省もきちんと認めているわけですから、そういうことを民間、有識者も含めて、きちんと議論した上でやっているわけでありまして、きちんと根拠に基づいて、そして、法令、ルールに従ってやっているわけでありまして、私は何の問題もないというように考えてやっているわけであります。
 したがって、何かこう、安倍政権になったから突然、加計学園になってしまったというような話は、それは少しおかしいのではないでしょうかということは、是非、理解していただければと思っているところであります。
(問)この文書についての確認なんですが、どなたの指示で、どの部局に作成させたものなのでしょうか。
(答)これは私の指示で、国家戦略担当部局に作ってもらいました。
(問)今の質問に関連しまして、繰返しになってしまうんですけれども、先週、前川前次官が会見をして、この設置の経緯は、昨日、総理も答弁されていましたし、作っていただいたので、分かりました。
 改めて、いわゆる問題としているのは、前川氏の会見も含めて、いわゆる忖度的なことが有ったのではないかと。また、総理の御意向が有ったんじゃないかというようなことが指摘されていることであって、それは内閣府として改めて、特に、大臣は担当されていましたし、当時から。改めて、その事実関係について、前川氏の会見に偽りが有ったのかどうかとかということも含めて、御見解を聞かせていただきたいと思います。
(答)総理からの指示とかというのは全くありません。私も総理と話をしたこともないし、そんな指示をもらったこともありません。むしろ私は、この件については、逆に、きちんと法令に基づいた形で、粛々と進めていかなければいけないと注意をしながらやってきたわけでありまして、そういう話は全くありません。
 したがって、前川さんがどういうふうに言っているのか知りませんが、直接指示を受けたなんて有り得ないでしょう。僕もないんですから。
 私はむしろ、そういうことを言われないように気を付けながら、淡々と、要するに、52年間も獣医学部を認めないでやっていることによって、新たな需要に対応できない状況を作っていると。そのことの方が行政としておかしいのではないかと。私はそっちの方が行政のゆがみだと思いますよ。それを正す、つまり、既得権益の側だけに立った議論だけではなくて、消費者といいますか、獣医サービスを使う方々のために立って物を考えれば、値段はもっと下がってもらった方が良いはずなんだし、そういう意味では、需要もある以上は、そうした硬直的な行政はやめるべきだと、新規参入を認めるべきだと、それが国家、国民経済のためになると私は信じてやっているわけで、民間の有識者の方々も皆さんそろって、そういう議論をしていただいたわけでありまして、その意味では、全くそんなことはないということであります。
 したがって、私は前川さんの中で、行政がゆがめられるなんて言ったことに対しては、とんでもないと、逆だと、むしろ、既得権益のことばかり考えて、行政をゆがめてきたのを正しただけだというように私は理解してやっているつもりであります。そして、それだけ長年にわたって認めなかったことによって、残念ながら日本の獣医学部の質は落ちています。これは国際機関が各獣医学部のランキングというのを発表していますが、50位以内には、東京大学が34位に、1校しか入っていないという状況でありまして、OECD諸国はかなり複数入っています。そういうことにまで至っているということを私は認識するのが本来の行政ではないかと。それを我々は改革してもらいたいと言って、訴えて、当然、新規参入を望むときには既存の既得権益が侵される方々は反対しますから、そこは激しいやりとりをやるわけでありまして、それに対して一歩一歩その必要性を訴えて、農水省のそうした、産業動物獣医師等の偏在は有るということを認めていただいて、それを文科省も受け入れてやったわけでありますから、何ら問題はないと。行政をゆがめたなんてことは有り得ないというように思っているところあります。
(問)関連しまして、加計学園の問題で、昨日、首相もこの設置の経緯の御説明を参議院本会議でされたところなんですけれども、これに対して民進党の野田幹事長が、「民主党政権下の特区はボトムアップ型だった。安倍政権はトップダウン式で、同じ前提であったかのように議論をすりかえると国民に誤解を与える」という批判をされております。この点については、どのように受け止められていらっしゃいますでしょうか。
(答)これも国家戦略特区の制度自体を誤解しているのではないかと思います。構造改革特区はもちろん地元からの要請であるんですが、国家戦略特区も地元が受け入れないようなやつを上からできるわけありません。基本的には地元自治体が、こういうことをやりたいと、そしてまた、それをやる事業者と一緒に要請をしてくるわけであります。つまり、国家戦略特区も構造改革特区も、自治体などからの提案からスタートするわけでありまして、そして、その上で関係省庁等との折衝を経て、最終的には関係省庁の合意を得て、政府全体として決定するわけであります。したがって、推進派だけで独断するような仕組みではないことは明らかであります。
 また、国家戦略特区で今治市の提案が認められたことを野田さんは批判しているようでありますが、これは先ほど申し上げたように、今治市の提案というのは、民主党政権でも評価され、実現に向けて前向きに検討されていたわけであります。このことは獣医学部の新設に向けた検討が、これを担う事業者と総理との関係とは関わりなく進められていたということを示しているものでありまして、問題のすりかえでは全くないということだと思います。
(問)関連して、本日、首相補佐官から「総理は言えないから、代わって私が言う」というような証言が一部報道されておりますけれども、こういった件について、行政のプロセスとして適切だったとお考えかどうかと、大臣が昨年の9月7日に加計孝太郎氏と面会された際に、新設に向けて手続を急ぐようにというような依頼があったのかどうかとか、そういった経緯を教えていただければと思います。
(答)まず最初の報道されているような、和泉補佐官からされたものについては、私は全く承知しておりませんのでコメントできません。
 それから、昨年の9月7日には加計孝太郎理事長が私のところに挨拶に来られました。これは就任についての挨拶と同時に、今治市と共同で獣医学部新設についての提案をしているのでよろしくという、そういう挨拶がございました。私は公正、中立、透明性を持って、しっかりと粛々と進めていきますので、もうそれ以上のことは言えませんと、そういう対応をいたしました。
(問)先ほどのお答えの中で、総理から直接指示されたようなことはあり得ないと、私はそういうことを言われないように淡々とやってきたということは、そういうことというのは、大臣の認識の中で、加計学園と総理の関係が親しいという認識があったのかということをちょっと聞きたいのですが、そういうことを言われないようにというのは何を言われないようにしていたんですか。
(答)私は総理と加計学園の理事長さんが親しいということは就任したときは知りませんでした。ただ、9月7日に来られるということで、そういうアポがセットされたということで、そのときに事務局から「総理とは親しい間柄の人ですよ」というような話を聞いて、「ああ、そうか」と、しかし、それはそれとして、淡々とやっていくということを言っておかないといかんなと、同時にそれ以降、そういうことがあるなら、むしろきちんとした手続に沿って、客観的な批判、客観的に堂々としてやっていくという姿勢を心がけなければいかんなと、自らそういうふうに思ったところであります。

(以上)