山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成29年3月3日

(平成29年3月3日(金) 9:11~9:32   於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日は、2件御報告がございます。
 1件目は、本日、「第7次地方分権一括法案」、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定いたしました。本法案は昨年12月に閣議決定した「平成28年の地方からの提案等に関する対応方針」を踏まえ、法改正が必要なものを取りまとめ、10法律について所要の改正を行うものであります。本法案は地域に密着した課題を一つ一つ解消し、地域が自らの発意と創意工夫により課題解決を図るものであり、本国会において御審議を賜り、成立させていただきたいと考えております。
 2件目であります。明日3月4日に地方創生に意欲ある取組や地域のニーズ等を把握し、今後の取組に生かすべく、愛知県を訪問する予定であります。愛知県では「生涯活躍のまち」に関する取組や特区制度を活用して開発した先端技術に関する情報発信の場等を視察し、関係者と意見交換します。また、「地方創生チャレンジミーティング」がございまして、ここで私が講演すると共に、御来場の皆様と意見交換し、実際に地方創生に取り組まれた方々からも各地の取組を御紹介いただく予定であります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)大阪の学校法人「森友学園」の国有地売却問題に関して伺います。
 自民党の鴻池議員に学園側が仲介を働き掛けるなど、政治家の関与が明らかとなりました。国有地を安く売却した根拠や経緯をめぐって国会で論争が続いていますが、大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)今、国会で審議も行われていますし、会計検査院も検査するということですから、しっかりやってもらいたいし、その推移を見守りたいと思います。政治家については、政治家が自らしっかりと説明責任を果たすべきだと思っております。
(問)関連して、国有地の売却には透明性や妥当性が求められますが、今回の事案では売却に関する面談記録など資料の一部が廃棄され、野党から関係者の参考人招致を求める声が上がっています。事実解明に向けて政府の説明責任や文書管理の在り方はどうあるべきだと考えますか。また、野党が求める参考人質疑についての御所見を伺いたいと思います。
(答)文書管理については、公文書管理規定、それから国家公務員制度改革基本法という改正がありまして、それぞれ定められております。公文書管理法ではしっかりと将来の歴史に残るようなものとして、きちっと公文書を管理するということが定められておりまして、それについて各省、最終的には各省の判断で、どういう文書について、どういう期間で管理するかということを決めることになっております。その意味で、各大臣において所管の省庁の文書についてはしっかりとした文書管理規定を作ってやっていくべきものだと考えております。
 それから、そういう政治家との接触等についての記録については、平成20年度ですか、国家公務員制度改革基本法というのが改正されまして、このときに自民党、公明党、民主党3党で共同修正がなされて、そういう記録の保存の話が修正項目の中に入っております。そのときの国会審議で、だけどあまりに煩雑な記録まで全部残すのかと、それはまた大変なのではないかという質疑が行われました。これは民主党の議員が質疑して、民主党の修正提案者が答えているんですが、そこは事務が滞らないように考えていかなきゃいかんという答弁がなされました。
 それを受けて閣僚申合せというのがございまして、そこできちっと残すべきものというのは、要するに政府の方針に反するようなものや、行政の執行上極めて問題があるというようなものについては残す必要があるけれども、それ以外のものについては各省大臣の判断で文書管理規則を定めるという話になっています。
 それを受けて各省で文書管理規定が作られていると思いますが、今回も、財務省の方の文書管理規定では、そういうものではないものについては1年以内ということで、事案が終わった場合には破棄されたということであります。そういうことから言えば、正規の手続をもって行われたものだと考えています。
(問)政府が今、検討している民泊の新法についてお伺いします。民泊を全国的に解禁するというような内容ですが、地方創生の観点から期待することと、あと既に営業が行われている民泊について、地域活性化とか観光客の呼び込みなどに好影響を与えているような事例がありましたら教えてください。
(答)民泊法案、今回提出される運びと聞いております。これは既に実態が少し先行し、違法民泊というようなことが横行しているという実態を見れば、適切なルールをしっかりと決めていくことが大事だと思います。これについては、前の規制改革会議以降、約2年にわたって議論が続いてきたわけであり、大臣になる前に自民党の観光立国調査会長をやっておりましたが、そこでもこの新制度の整備を早急に進めるべきだという立場で議論をリードしてきた一人であります。
 今回、その意味でようやく各省の調整がついて民泊法案が今国会に提出されるということでありまして、大変意義深いと考えています。インバウンドの推進等を含む観光立国、あるいは地方創生、そういう我が国の重要課題に対応するためにも、一日も早く全国各地できちっとしたルールの下で民泊が円滑に推進されることが大いに期待され、そのことが地方創生、観光推進に大いに役立つと期待をしているところであります。
 なお、特区民泊というのが既にございまして、大田区や大阪市、北九州市で事業を実施しているわけですけれども、これは既に民泊法案に先立って、特区では最初は6泊7日だったものを、昨年の10月に政令改正し、今は2泊3日に短縮いたしております。ここは既に近所の方々の理解を得るような努力もしていますし、また既存の旅館やホテルとも提携して行われており、正に理想的な民泊の在り方を示しており、しっかりとした実績も上がっております。ちなみに大田区、大阪府、大阪市、北九州市で認定件数2月28日現在で、72施設199室となっており、利用者の7割近くは外国人であります。インバウンドに大きく貢献していると思います。大田区の例は私も見てきたところであり、よく民泊を勧めると既存の旅館業界、ホテル業界と利害が衝突するなんていう話なんですが、大田区ではむしろ旅館業者に管理を任せるというか、キーを預けて、民泊の住居の民泊のところに連れていくということがうまく行われておりまして、決して利害が対立するようなものではないと確認したところであります。 そういう意味で、この特区民泊は既に始まっておりますが、これもしっかり進めてもらいたいし、一方で、いわゆる一般的な民泊法案も解禁されるということであります。特区があるところは特区民泊の方が私はやりやすいのではないかと思いますから、そっちの方を選択すると思いますけれども、いずれにしても早く適正なルールの下でやっていくということが大事であり、違法民泊で誰がどこに泊まっているか分からないというような状況だけは何としても直さなきゃいけないと思っています。
(問)昨日行われた地方大学振興有識者会議についてなんですけれども、昨日、ヒアリングを行いまして、今後、方向性というのを議論してくということなんですが、改めてこの有識者会議に望む大臣の期待というか、こういうことをやってほしいという、こういうことを打ち出してほしいというような御期待がもしございましたらよろしくお願いします。
(答)私が最初から結論めいたことを言うと有識者会議になりませんから、そこはあまり最初から結論めいたことは言いたくないと思います。しかし、東京一極集中是正という、これはまち・ひと・しごと創生法に書かれている法律の目的そのものでありますから、この日本が抱える最大の課題に対して、大学の在り方についてしっかりと有識者の間で議論してもらいたい、どうすれば大学の振興と、それから東京一極集中是正、地方振興が図れるのかということで、しっかり議論してもらいたいと思っております。
 私はこの前の会見でも申し上げましたけれども、前回の会合で一言申し上げたものは、こんなのは自然な競争に任せれば良いんだという議論がありますけれども、それはちょっとおかしいのではないかと。つまり条件があまりに違い過ぎるわけで、根本的に情報量が全く違います。そういう場合、自由競争では、市場は失敗するものであり、この失敗の最大の例が大学の東京一極集中ではないかと思っています。
 その結果、東京に人口が集中してしまい、東京というのは一番出生率が低いところですから、そこにどんどん人が集まって、出生率がどんどん低くなるという、それは負の循環を生むようなことをやっていたら、日本の将来はないわけであります。そこはやはり市場の失敗があるということを考える必要があり、そのときには政治や行政が介入する余地がある。これが私が経済学を勉強している中で、経済学と政治の接点の在り方をいつも考えていたところであります。そういうことを申し上げまして、有識者の会議の皆さん方に是非、実のある方向を出してもらいたいと思っております。
(問)森友学園に戻ります。
 野党が求める参考人質疑についての御所見を伺いたいんですけれども。
(答)これはもう国会が決めることですから、国会でしっかり議論してもらえればと思います。
(問)特区に関連して、岡山理科大学の獣医学部を設置する件で、経営する側が安倍総理に非常に親しい方で、特区認定がされることについて、一部野党なんかが森友学園のように何らかの関係があったんじゃないかというような指摘がされている、報道なんかもされているんですが、それについて特区担当の大臣として、その経緯などについて改めて検証したりするようなお考えはありますでしょうか。
(答)私は、最近まで、安倍総理と親しかったというのは知りませんでしたけれども、週刊誌にそういうのがあるということで読んで知りました。これは、既に、私が大臣になる前から始まっていた話でありまして、とにかく先端的サイエンスの研究、あるいは地域の感染症に対する水際対策をやる必要があるという意味で、それらがない所に是非獣医学部を作ってほしいという話が元々ございました。
 一方で、獣医師会では獣医師の数は足りているんだというような議論があって、そこで本当に新しい先端的サイエンス研究ができるのかとか、そういう必要性があるのかというようなことで、国家戦略特区で議論が行われておりました。
 申請者は愛媛県今治市でありますけれども、市と議論している中で特区の委員は是非やるべきであり、今、日本で創薬等をやる際に、豚とかちょっと大きい動物を上手く使えるような獣医師さんがいないとなかなかそれはできない、小さなマウスぐらいでは駄目だという状況になってきました。
 つまり簡単に言えば、従来の医学と獣医学との間になるような分野、その境界線みたいなところの研究が非常に必要とされているわけでありまして、そこに対応するような獣医学部ができると非常に良いんだということでありまして、これはやっぱり必要ではないか、特に教育改革の先生方が非常に熱心で積極的でありました。
 私もそういう議論を踏まえる一方、私が心配していたのは、自治体が過剰な財政負担を抱えるということにならないだろうかというような話、それから、本当にそういう良い先端サイエンスができるかというようなことでありまして、その辺はきちっと詰めさせていただきました。そして公募手続をやりまして、しかも当初は一つしか来なかったので、もう一回追加して公募期間を設けるということをやりましたけれども、他の事業者の応募が無く、一つしか応募がなかったということで決まりました。
 いずれにしても、この選定プロセスについては特区法に基づいて他の案件と同じような手続を採っておりまして、公平性、中立性、透明性は十分に確保されているというように考えておりまして、是非獣医学部を作ってもらいたいと思っております。
(問)天下りの全省庁調査についてなんですけれども、昨日、萩生田副長官が3月末での終了というものが報告は難しいというふうに改めて大臣はおっしゃっているように表明されましたけれども、例えば調査票が流出されているとか、そういったことは確認はされているんでしょうか。つまりOBの方から回ってきた調査票がネット上に公開されたりとかして、そういった事案を確認されているかなと。
(答)調査票そのもの。
(問)そうです。内閣人事局が出されている調査票。
(答)調査票全体が出ているという話は聞いておりません。いずれにしても、これは元々スケジュールありきではなく、しっかりした調査を行うべきだということでやっております。一省だけではありませんで、多くの省について調査をしていくわけでありまして、相当な分量がございます。その意味では、締切りを決めて、それに間に合うようにといったずさんな調査になってしまうことは最もいけないことだと思っておりますので、私は今回、徹底してうみを出せという指示をしております。しっかりとした調査を行ってもらいたい、それを踏まえて有効策についても検討したいと思っております。  

(以上)