山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成29年2月17日

(平成29年2月17日(金) 9:02~9:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日は、2件、御報告がございます。
 1件目は、明日18日土曜日に福岡、来週25日土曜日に仙台、来月の4日土曜日に名古屋にて、地方創生チャレンジミーティングを開催いたします。ここで私が講演するとともに、実際に地方創生に取り組まれている方々から、これまで視察してきた事例も含めた各地の取組を御紹介いただいた後、御来場の皆さんとも意見交換をいたします。
 2件目です。来週20日の月曜日に、46道府県のプロフェッショナル人材戦略拠点のマネジャーが一堂に会した全国協議会が開催されます。本事業は一昨年10月の開始以来、本年1月末までの1年4か月で、1万1,000社以上から相談を受け、転職実績も817件に上るなど順調に成果を挙げているほか、都市部大企業等との連携や東京・地方兼業型のプロ人材の活用など、新たな人材市場作りにも成果を挙げ始めています。
 私も国会等の都合がつけば、本協議会に出席し、その成果と今後の取組の方向性などについてしっかりと自分の目で確認してこようと思っております。
 詳細は事務局にお問い合わせください。
 以上です。

2.質疑応答

(問)規制改革推進会議の件でお伺いします。
 会議の発足から、今月12日で5か月間となりました。混合介護など、新しい目玉案件を打ち出す一方で、働き方の分野の議論は低調だといった指摘も出ています。
 この5か月間の議論の評価をお願いします。
(答)規制改革推進会議、大変精力的にやっていただいていると思います。まず、従来からの懸案でありました農業関係の提言をまとめて、それについてもフォローアップもしていますし、それから、新しい課題としては、正に今取り組んでいる行政手続の在り方の改善ですね。これも、もうすぐ具体的な姿が見えてくると思いますが、だんだん詰まってきております。
 それから、おっしゃったような介護の話についても、既に議論を始めています。
 それから、雇用の問題についても、切れ目ない、その職業を移転をするときの仕組みなどについて議論をしておりますし、非常に中身の濃い議論が進んできていると思っております。岩盤規制もワーキング・グループは1日3回など極めて精力的に頑張っていただいていることを高く評価してますし、引き続き、大いにしっかりやってもらいたいと思っています。
(問)プレミアムフライデーが来週24日にスタートします。早く仕事を切り上げて消費拡大につなげるという趣旨の取組だと思うんですが、地方創生の観点から、大臣の期待をお願いします。
(答)これは具体的にどういうものになるか、よく分かりませんが、常日頃から働き方改革の一環として、できるだけ定時退庁、ワーク・ライフ・バランスをしっかりとるような取組を進めてもらいたいと強調しており、それを進める一環になれば、良いなと期待をしているところです。
 ただ、私どもは、予算審議など国会のことですから分かりませんが、、一般の職員の皆さん方には是非、そういうプレミアムフライデーという仕組みを利用して、良いワーク・ライフ・バランスを作ってもらいたいと思います。
(問)昨日もありましたけれども、地方大学の振興の在り方に関する会議なんですけれども、私学の大学連合が国による規制に反対だというようなことを昨日おっしゃって、意見書を出して、逆に、やはり18歳人口が減少する中で、増設等抑制の方向も必要だと、いろんな意見が昨日の会議で出たと思うんですけれども、大臣の受け止めをお伺いできればと思います。
(答)昨日は全国市長会、大学関係団体、PTA関係団体、それぞれ意見を伺いました。その後、委員会でも意見交換を行ったところであります。
 関係団体からは、地域のニーズにマッチした大学の移転とするべきとか、本部が東京にある大学の地方キャンパスに関しては定員超過にかかる制限を緩和してほしい、地元企業の情報は保護者に入っていないなどのほか、今申されたような意見もありました。
 また、委員の意見交換においても、地方大学の活性化、産官学の連携を地域貢献度に応じて支援すべきや、東京圏の大学において地方企業の求人・インターンシップ情報が円滑に得られる仕組みを作るべきだとか、それから、東京は既に収容力が突出しているので、新増設は避けるべきとの意見もありました。さらに、若者のアンケートによれば、都会のライフスタイルへの憧れが強いとか、様々な意見が出されておりまして、大変活発な議論が行われました。
 もう一回ぐらい、今度は経済界も含めたヒアリングをし、その後、委員の間の意見交換を経て、収れんしていくことになると思います。
 私はそれぞれの意見が活発に出たことを大変高く評価しておりますが、昨日の場でも申し上げましたとおり、やはり、東京一極集中がここまで進み、東京に来るということは出生率が低いところに来るということですから、正に少子高齢化をさらにまた進めるということになります。この姿というのは自然の競争という意味での市場メカニズムがある意味で失敗しているものと私は見ています。
 その意味では、市場の失敗があるときには、何らかの行政的な、あるいは政治的な介入というものも当然行われ得るわけでありまして、そこはそういう観点も持って、こうした問題に対応していく必要があるんじゃないかというような趣旨を申し上げました。そういうのを含めて、委員の皆さん方にはこれから議論していただくことになると思います。
 もう一つ申し上げたのは、大学関係者から、東京周辺に一回移ったんだけれど、行ってみると山の上で何もないと。そんな東京は嫌だって、また戻ってくることになったんだという話がありました。私はコーネル大学というアメリカの大学に留学したんだけれど、それは本当に山の奥の、山の上にある大学ですが、だからといって不足だったかというとそんなことは全くなくて、非常に快適で、しっかりと勉強も出来るし、自然も楽しめるしというようなことで良かったのですが、なぜ日本の大学はそうなるんだろうかなと。
 やはり魅力のある、例えばコーネル大学は世界一のホテルスクールなんですけれども、山の上の大学キャンパスの真ん中に高級ホテルがあり、そこで学生は実習しながら、しかし、ビジネスとしてもホテル経営をやっているんですね。
 やはり特色のあることを大学が提供していれば、山の上であろうと何だろうと構わないという気がしていまして、その辺がどうして日本と違うのか、よく分かりませんねという話を申し上げました。
(問)プロフェッショナル人材事業についてお聞きしたいんですけれども、昨年秋から大企業と提携をして、人材の地方への還流を促すというものがあったかと思うんですけれども、その結果、もし実際にそういった提携した企業の中から行っている人がいるのでしょうか。もしいたら、そういった具体例とか効果があれば教えてください。
(答)いや、正におっしゃるように、これは非常にうまく機能していると私は評価しておりまして、各県にその拠点を作っているわけですが、その拠点のリーダーというのは、本当に企業経営でも第一線で活躍した、かなり上の人に知事が直接面会をし、頼んでやってもらっています。そうすると、その方は人脈もあるし、あるいは説得力もあるということで、地方の企業に経営者のところへ行って、あなたのところの会社の問題はこういうことじゃないかなと思うと、そういう話をしながら、そうしてそれに合う人材を今度は東京の、今は人材会社ですが、パートナーシップを一流の企業と結んで、システム的に派遣しようというようなことをやるんですが、それが上手くいって、一気にその地方の中小企業の業績が上がったとかいう例がたくさんあります。
 例えば、ある中小企業の経営者というのは思い込みをしていますからね。ある程度事業がうまくいっているとか。その人は、ちょっと業績が少し伸びないのは、デザインが悪いんだというふうに社長さんは考えていた。ところが、そのプロフェッショナル人材のセンター長がその企業に行って、いや、ちょっと違うんじゃないかと。むしろ品質管理の点が問題なんじゃないかと指摘して、社長さんを何回も説得して、そうか、じゃそういう人を入れてみようかということで入れてみたら、正に品質管理のところが最大の問題で、それが向上したら一気に評判がよくなって、業績も上がったというようなこととかですね。
 やっぱりマーケティングの専門家を入れたら一気にまた売上げが上がったとか、そういう例があります。配付している資料に書いていますから、見ていただければと思います。そういう意味で、これはどんどん広がっていくといいなというふうに思います。
 それから、もう一つの問題は、やっぱりその収入面の問題とかがあります。そこは行く人にとっては収入が一つだけだと下がるので、兼業という形でそういうところに支援をするというようなことにすれば、収入が下がらないで良いじゃないかということで、これから兼業形態の派遣みたいなことを考えるということも思っています。
 あるいは、例えばですね、大企業に勤めている人で自分の両親が介護が必要になったというような状況が出てきたとします。そうすると、その人はもう田舎に介護で行かなきゃいけないということがあるんだけれど、企業からすればその人の能力はとても貴重なので、ちょっとやめてもらったら困るというようなことがある。そうすると、その地域のプロフェッショナル人材事業の拠点と話をして、本社にはちゃんと残ってもらって、本社で何日か仕事をやるんだけれど、介護の必要性があるという意味で地元に戻ってもらって、地元で働けるところを紹介してもらうと。その二つを兼業することによって、両者とも、また御本人も良いというような関係が出来ると。
 いろんな形が、やってみて考えられてきて、これからそれを取り組んでいこうということになります。
 それから、企業だけじゃなくて、地方創生に必要なDMOとか地域商社、そういうところに対しても、必要な人材を供給するというのは非常に大事であります。
 これは、やっているのを見て、ちゃんとした働き口が紹介できるということがあると、結構、東京の中堅どころのいいところにいる人でも、そういう条件さえそろえば行っても良いよという人がかなりいるということがよく分かってきました。潜在的なそういう可能性がですね。
 したがって、こういうのをどんどん進めていけば、地方創生というのは一朝一夕にはいきませんが、徐々にそういう方向が、流れが出来てくるんじゃないかと期待しているところであります。

(以上)