山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成28年11月22日

(平成28年11月22日(火) 9:12~9:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 今日は一つ御報告をいたします。
 先般、RESASの公的データに新たにAPI機能を追加したところでありますが、このRESAS-APIを使ったアプリケーションを募集するコンテストを実施します。
 APIというのは、アプリケーション・プログラミング・インターフェースであります。
 受付期間は12月19日から2か月間であります。また、アプリコンテスト用に、補助金や政府表彰等の法人情報をまとめている経済産業省の法人ポータルのデータや、民間企業が持っているデータについても利用可能とする予定であります。
 具体的な応募作品としては、例えば複数のデータを組み合わせた高度な分析ができるアプリや、RESASと企業のデータを使って地域の魅力の発見につながるアプリなどが考えられます。
 幅広い応募を期待しておるところであります。詳細は、まち・ひと・しごと創生本部事務局にお問合せください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日19日に、兵庫県養父市を訪問されたと思いますけれども、視察して感じられたこととか、今後、取組に生かしたいことがあれば教えてください。
(答)19、20日養父市、そして豊岡市、香美町、新温泉町と訪問させていただきました。養父市では、国家戦略特区を活用した株式会社による農地取得という初めての事例が出まして、私が伺う1日前に正式に契約を取り交わして農地の取得を株式会社アムナックと、兵庫ナカバヤシ株式会社というところが、実際に土地を購入することになりました。
 アムナックというところは、耕作放棄地を新たに取得して、それを酒米の生産に使うということで、もう既に始めておりました。また、兵庫ナカバヤシ株式会社というのは、本業は本の製本をする会社なんですけれども、これは非常に業務に繁閑があるということで、そのちょうど合間にできる農作業ということで、ニンニクの生産をやるということで、これも生産をしておりました。
 事前に彼らは借地でやっていたところがありまして、それを正式に一部購入という形になったわけであります。
 私は、この株式会社による農地取得というのは、今後の日本の農政を抜本的に変える第一歩になると思っておりまして、大変高く評価しております。
 先般の行政レビューでもかなり明らかになったんですが、中間管理機構で一生懸命農地を集約、借り入れて、そしてそれを認定農家に貸し出すという、そういう取組をやっているんですが、やっぱり個人の農業者がたくさん農地を借りても、逆にライスセンターとか作ろうと思って投資をやろうとしても、なかなか資金が借りられない。あるいは、そういう認定農家がたくさん土地を借りていて、万一、お亡くなりになったときに、その土地がどうなるのかというような問題が生じてくるわけです。やっぱり貸し借りの段階ではかなり限界があるようなことを行政レビューの議論の中でも感じました。
 そういう意味では、やはり法人ですね、法人経営にしていくということが、しかも取得もできるということによって長期的な投資ができるというような選択肢がないと、日本の農業の将来はあり得ないというようなふうに思っておりまして、今回、是非成功してもらって、これが特区だけじゃなくて全国的にそうした制度に持っていければと思っております。
 実際、養父市長との話では、今回は特区の中で一回養父市が買い取って、それをまた企業に売るということをやるんですけれども、その辺が本当に実務的に良いかどうかという問題もあるということで、そういう課題を、実際にやってみて課題を整理した上で、新たに展開できればというふうに思っているところであります。
 その他のところも、いろいろ面白いところを見てまいりました。城崎温泉では国際的なアーティストを招聘(へい)して、そこに数週間あるいは数か月住んでもらって、実際に練習をしてもらう。24時間無料で貸し出すということによって、世界中からすばらしい芸術家たちが集まってきて、そしてそれを子供たちや市民に無料でワークショップや講演をするというような取組、そのことによって地域の誇りが生まれている。
 あるいは豊岡市では、コウノトリの野生復帰に取り組んでおりまして、もう自然にも放たれているんですけれども、コウノトリを育てるためには、無農薬なり減農薬なりでお米を作らないとコウノトリは生息し続けていくことができません。そういう意味で、農家としてはそういう減農薬、無農薬のお米を作って、それがコウノトリを育むお米ということで大変高く評価されて売れておりまして、大体普通のお米の倍の値段でどんどん売れるということだそうでありまして、これまたそういう取組が地域の所得を上げることに、貢献しているかなと。
 あるいは、鞄の生産とか頑張っている。いろんな地域資源を生かして、そしてそれに磨きをかけて、しかも地域の誇りを取り戻して所得拡大につなげているという取組がたくさん見られまして、特に養父市なんていうのは、本当に谷あいの中山間地ですけれども、そこで改革的な試みをしようという、そうした意欲に大変感銘を受けました。
 こうした頑張るところには是非大いに支援をしていきたいなというふうに思っているところであります。
(問)農協改革について、一つお尋ねをします。ワーキンググループの提言に対して、農協であるとか自民党内からまだ強い反発が残されていると思います。当初、規制改革推進会議、親会議が24日に開催される方向で今準備されていると思うんですけれども、これに間に合わないのではないかという声も自民党からは聞かれます。
 そこで、大臣としましては、今後どういった調整が行われるのが望ましく、その際、24日の会議開催も含めたスケジュール感をどのようにお考えでしょうか。
(答)農協改革について、規制改革推進会議の農業ワーキンググループからの提言がなされまして、今それを受けて業界あるいは党内で議論がされているところであります。
 このワーキンググループの提言というのは、有識者による農協改革のあるべき姿というものを示したものだと私は思っておりまして、日本の農業が本当に持続的にやっていくためには、現状のままでは当然あり得ないわけでありまして、しっかりと農政の在り方を改革していくというのは必要なことであり、私はこれはアベノミクスの成長戦略の重要な柱であるというふうに思っておりまして、積極的に取り組まなければいけないと思っています。
 そういう意味で、改革をこの線に沿って進めていければなと思っておりますが、当然、現場の声もしっかり聞かなければいけませんし、また現場に近い与党の先生方の意見もしっかり聞かなければいけません。いろんな議論がなされているようでありますので、そうした声にも真摯に耳を傾けながら、しかし改革の方向はきちっと打ち出すという形でやっていきたいと思っております。
 その意味で、じゃ、24日にそういう取りまとめができるかどうかということは、ちょっと難しくなったかなというように感じております。これはしっかり関係団体や党内の意見も聞いてからやっていきたいと思います。
 ただ、既に秋までには一定の結論を出すということも決まっておりますので、その辺を踏まえながら、できるだけ調整ができればなと思っているところであります。
(問)日本郵便が電子私書箱のデジタルメッセージサービスという実証事業を来年春からスタートさせて、政府のマイナポータルとも7月には連携するようなんですけれども、地方創生の観点からそうした事業に期待されることがもしありましたら御見解をお願いしたいのですけれども。
(答)先日の郵政関連の議員連盟に私も顔を出しましたけれども、郵政の皆さん方がしっかり頑張っておられて、また、それを議連としても推進していきたいという立場の一員でもあります。
 郵政は全国にネットワークを持っていて、本当に地元の声をよく知っておられる方々ばかりであります。私も特定郵便局長さん方と良く意見交換しますけれども、本当に実態を良く知っておられて頑張っていると。こうしたネットワークなりパワーを、地方創生に是非生かしてもらいたいと思っておりまして、そうしたサービスが政府と一体となって行われることは心強いと、是非これを地方創生にまた生かしてもらいたいと思います。
(問)ちょっと質問が戻ってしまいますが農政改革について、大臣は耳を傾けながら調整するというような御発言だったと思うんですが、そうなるとやはり党や業界団体が納得する形で、何度も何度もすり合わせを行うような形になって、時間も掛かるのかなというのが一つと、やっぱり内容的に、大臣は改革もしっかりやらなきゃいけないということだったんですが、やはり幾らか後退というか、ぼやかすという可能性も出てくるかと思うんですが、その点について改めて大臣の改革に向けたお考えを。
(答)私は、もう農政というのは本当に抜本的に改革しなければ持続できないし、正に成長戦略の大きな柱が実現できないと思います。したがって、先程申し上げたように将来的には養父市の取組のようなものを是非、全面展開するような方向に持っていかなきゃいけないと思っていますから、そういう意味では農政、特に農協改革というのも重要な柱ですから、これは改革の軸がぶれるというようなことがあってはならないと思っています。
 そうした中で、しかし現場の意見というものも大変重要ですから、その辺も十分、真摯に耳を傾けながら、しかし改革の軸がぶれるということは絶対にならないようにしなければいけないというふうに思っています。

(以上)