松本内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見要旨 平成29年8月3日

(平成29年8月3日(木) 12:20~12:35  於:中央合同庁舎第2号館16階第1会議室)

1.発言要旨


 昨年、平成28年8月3日に安倍内閣の一員となり、国家公安委員会委員長、領土問題担当大臣、国土強靭化担当大臣及び内閣府特命担当大臣として、消費者及び食品安全担当、防災担当、海洋政策担当として、それぞれの担当の分野において、全力を尽くしてまいりました。
 本日をもって退任いたしますが、その間、皆様には本当にお世話になりました。心から感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、まず国家公安委員会委員長としての取組について、お話をさせていただきます。私は昨年の就任以来、「世界一安全な国、日本」をつくるため、テロ対策の強化、サイバー空間の脅威への対処、暴力団対策、人身安全関連事案等への的確な対処、交通事故抑止対策などを課題として掲げ、これまで取り組んでまいりました。
 印象に残るものとしては、改正道路交通法の円滑な施行を初め、高齢運転者等に関する交通安全対策の強化に向けた取組が進展したこと、また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据えた、テロ対策が着実な推進をみたことなどが挙げられます。
 また、在任中、様々な分野で国民の安全と安心を守るという崇高な目的のため、日夜努力されている警察職員の姿に接する機会がありました。重要案件の捜査本部で困難な事件捜査に従事する捜査員、空港でテロリストの入国を阻止する水際対策に取り組む警備隊員、地域住民に寄り添った活動にいそしむ駐在所員、大規模災害の現場での懸命の救助活動や捜索活動を行う機動隊員の姿に感銘を受けました。こうした警察職員の活躍に対し、国家公安委員会委員長として、大変誇らしく思った次第でございます。
 国民が警察に寄せる期待には大きなものがあります。治安の維持は国家、社会の最も基本的な要請であり、良好な治安は、我が国が世界に誇るべきものであります。「世界一安全な国、日本」の実現に向けて、全国警察の皆さんには、一層の奮闘、努力をお願いしたいと思います。
 次に防災を担当する内閣府特命担当大臣としての取組であります。防災については、国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識し、政府一体となって、災害対策に全力を尽くしてまいりました。在任中、昨年8月から9月にかけての台風、10月の鳥取県中部を震源とする地震、12月の糸魚川市の大規模火災、今年7月の九州北部豪雨、また、最近の秋田県を中心にした大雨など、数多くの災害が発生し、それに対応して、できることは全て行うとの姿勢で対応してまいりました。また、4月の熊本地震からの復旧・復興についても、2回にわたりまして、現地視察に入り、被害の甚大さを改めて実感する一方で、復興に向けた着実な足取りを感じることができました。これらの被災地では、被災された方々が大変厳しい状況にある中で、前を向いて、生活、生業を再建していこうとする姿に心を打たれたところでございます。
 政府としては、これらの発生した災害からの復旧・復興を進め、被災された方々が一日も早く元の生活に戻られるよう取り組んでいくとともに、南海トラフ地震、首都直下地震など、今後想定される大規模自然災害にも備えていかなければなりません。そのためには、政府のみならず、地方自治体、企業、そして国民一人一人が起こり得る災害を想定しながら、取組が進められるよう期待しております。
 次に国土強靭化担当大臣としてでございますが、この国土強靭化については法律に基づく国土強靭化地域計画の策定を促進し、ほぼ全ての都道府県で策定済みとなり、また、事業継続に積極的に取り組む企業等を認証する仕組みを普及させ、合計71団体が認証を取得するなど、オールジャパンで取組が進められております。大規模自然災害の発生が懸念される国家百年の大計として、強靭な国づくりが進められるよう期待をしております。
 次に領土担当大臣、また、海洋政策担当の内閣府特命担当大臣としてお話をいたしますが、我が国の領土、領空、領海、そして排他的経済水域を守ることは、非常に重要であると改めて認識をしております。特に本年は海洋基本法制定から10年となる節目の年であり、昨今の海洋をめぐる情勢を適切に踏まえて、来春の次期海洋基本計画の策定に向けて検討を進めているところでございます。
 また、我が国の海洋にとって、国境離島は欠かせない存在であります。このため、財務大臣とも直接折衝を経て、新しくつくり上げました、国費50億円の交付金による離島地域への支援や「日本の国境に行こう!!」プロジェクトの立ち上げといった、新しくおもしろい取組をスタートさせました。我が国を守るこうした取組を継続し、また、より磨きをかけて進められるよう期待をしております。
 次に消費者及び食品安全を担当する内閣府特命担当大臣としてでございますが、食品安全については昨年の臨時国会でのTPP審議を通じ、食の安全・安心を確保することの重要性と難しさを痛感したところでございます。科学に基づき中立公正な立場から食品のリスクを評価し、正確かつ分かりやすく丁寧な説明を続けるという地道な取組をこれからもしっかりと行っていただきたいと思っております。
 このほか、消費者行政を担当いたしました。消費者、生活者の視点に立って、考えるべき課題は至るところにあり、職員とともに対応してまいりました。印象に残るものといたしましては、悪質な事業者からも実効的に消費者被害を回復するための、国民生活センター法の改正が今年の通常国会で成立いたしました。また、河野太郎前大臣から、徳島県提案の消費者庁などの移転という案件を引き継ぎまして、真に豊かな暮らしとは何かということを考えること、現在の東京での消費者行政ではできていなかったことに挑戦をし、消費者行政新未来創造オフィスを開設することができました。
 以上、様々な取組をさせていただいてきたところでございますが、終わりに当たりまして、重ねて申し上げたいと思います。在任中の報道各社、記者の皆様からの御厚誼に改めて感謝を申し上げまして、退任の御挨拶とさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。

2.質疑応答

(問)共同通信の井澤です。
 所管分野全体を通じて、任期中にやり切れなった、やり残してしまったという、課題がありましたらお聞かせください。
 また、後任の大臣の引継ぎに関して、どういった点を重点的に御説明されるお考えなのかということも併せてお願いします。
(答)できることは全てやるという安倍総理の御指示に基づいて全力を傾注してきたこの1年間でございまして、やり残してしまったという気持ちはございませんで、やるべきことは全てやったという、そんな思いでございます。ただし、この先も続く大きな目標としては、この事件や事故、また、災害死ゼロという、その気持ちを次の大臣にはちゃんと担っていただいて、しっかりとそういう危機感を持って対応していただきたいと思うところでございます。引き続き政府には頑張っていただきたい、そんな思いを引継ぎの中でお伝えをさせていただきたいと思います。
(問)徳島新聞社の伊藤と申します。
 先程触れられました、徳島への消費者庁の移転のことに関してですが、河野前大臣の流れを引き継いで、お取り組みになられまして、4月24日に徳島にオフィスが完成しました。こうした方向性は後任の大臣にどのように引き継がれ、また、その方向性が今後どのようになっていくのか、どうなっていただきたいのかをご所見いただきたいのと、それこそ正にスタートしたばかりの徳島のオフィスに対しての期待であり、また、消費者庁、本当に国民の生活に密接に深く関係しているすごく大事なテーマを扱う省庁が今後どのように機能していっていただきたいか、エールを送るような形でお言葉をいただくとするならば、いかがでしょうか、よろしくお願いいたします。
(答)徳島の話につきましては、河野前大臣から引き継いで、その中でどのような形で取組を進めていくべきかということでの検証をしたり、あるいはできることは何なのか、いろいろ議論をさせていただきました。その中で、消費者庁が担っているのは、これは国民の安全・安心ということが最優先であります。今現在、東京で取り組んでいる様々な課題については、例えば事故が起きた、あるいは事件が起きたというものが、どんどん通報があり、それに対してどう対応し、消費者を守るかということで取組を進めておりますが、その機能をただ持っていけばいいということではなくて、消費者を守る、また、これからの消費者がどういう生活を送っていくべきなのかということも考えて、その規制をするということとプラス、どういう暮らしを提言していくかということの二つの大きな目的があるだろうということから、その提言に耐えるだけの、正に真に豊かな生活とは何かということが提言できる戦い、チャレンジを是非徳島でやっていただきたいということで、その分野について取組をしていただくことになりました。
 もちろん徳島だけがそれで潤えばいいということではありません。全国にその考え方が広まることができるような、そんな提案をこれから3年間の間に挑戦をしていただいて、その中でさらにその先、将来に向けてどのような形をとっていくことが国民にとって一番プラスになるのかという判断を、3年後に出していただくということになります。今はやるべき大きな課題を見つけ出したわけですから、それをしっかりと形あるものにつくり上げていくということに、次の大臣は取り組んでいただきたいと思います。

(以上)