石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年7月12日

(平成28年7月12日(火) 16:30~16:50  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 つい先ほど、15時35分に総理官邸の総理のもとに私、財務大臣、官房長官が呼ばれまして、経済対策の取りまとめについての指示がありましたので、御説明をさせていただきます。
 既に指示の文書は配付させていただいていますが、取りまとめのタイミングは月内を目途にという指示を受けました。その中にも書いてありますけれども、今回の経済対策の目的は未来への投資ということになると思います。これは必ずしもハードということに限られたものではありませんで、いわゆる施設整備だけを言うのではなくて、一億総活躍社会実現に向けた施策、加速化するための施策というものが含まれるというところがポイントではないかと考えています。
 柱立てを見ていただければ分かるのですけれども、第1が一億総活躍社会です。一億総活躍社会は、実現段階に入るためにエンジンをかけ、エンジンをふかして加速します。一億総活躍については、アベノミクスの成果の活用も含めて、来年度の当初予算を想定して、保育士や介護士の方々の処遇改善など恒久的に実施していく必要がある施策が多いわけですけれども、今般、作成を指示をされました補正予算においても、来年度以降の施策につながる施策を、指示を頂きましたので、これからしっかりと検討させていただきたいと考えています。
 柱立ての第2ですが、これは21世紀型のインフラの整備です。例えば、これ私も先般、金沢港を視察してきましたけれども、インバウンドのための観光振興用のインフラ整備、既存の港が浅かったり、浚渫(しゅんせつ)をするには県単位のものですと、浚渫(しゅんせつ)に費用がかかるということでなかなかできない。そして、クルーズ船の方が大型化していまして、日本に寄港するもので一番大きなものは10万トンを超えます。残念ながらこれに対応するバースというものはなかなかありません。こういうものや、あるいは私が農業輸出のワーキンググループの主査をやって取りまとめさせていただきましたけれども、農産物の輸出の促進、大変付加価値のあるものがありますが、こういうものをあわせて日本文化あるいは日本の軽工業品等々とセットで輸出をする。それによって、農業競争力強化に向けてのインフラ整備ということも入ってきます。
 更には、これも総理が昨日の会見で申されていましたけれども、日本だけが実現可能が目の前に来ていますリニア中央新幹線の整備・建設加速などについては、現在の低金利の状況を活用した財政投融資を活用して行うようにとの指示がございました。成長のための投資というものに対しては、思い切って中長期的に成長していく基盤を構築するものと、そういう位置づけで頑張らせていただきたいと思います。
 第3の柱立てですが、これも総理が昨日の会見で申されていて、朝の会見で私もお話をさせていただきましたけれども、英国のEU離脱に伴う不安定性などのリスクに備えた中小企業、小規模・零細事業者や海外展開企業への資金繰り、運転資金が足りなくなる、ドルを調達できなくなるというようなことに備えた資金繰り支援というものはしっかりと目の見える形でやらせていただきたいと考えています。
 柱立ての第4番は、決して忘れてはならない東日本大震災、あるいは熊本地震からの復興・復旧の加速化や、その後も熊本視察をさせていただきましたが、地震の後、豪雨等々もあったわけです。自然災害に強い国づくりを進めるための防災、安全対策の強化です。それとあわせて2020年度の財政健全化目標は堅持するようにとの指示がありました。私としては、本日の指示を受けて財務大臣と連携しながら総合的かつ大胆な経済対策の取りまとめに、月内と大変時間が限られていますが、力を尽くしてまいる所存です。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お尋ねします。まずは現段階で補正予算の規模感について、どれぐらいになりそうなのかということと、今回の補正予算に当たっては、剰余金とか税収の上振れ等、財源の問題がかなりあるのではないかと言われています。そこら辺、大臣どのようにお考えになっているのか、この2点をお尋ねします。
(答)経済対策は今、柱立ての御説明はさせていただきましたけれども、これは積み上げ方式です。どの程度のものが必要になってくるのか、例えば財投の予算を使うといってもどれだけのものが消化できるかという話もありますので、規模についてはこれから検討して見えてくるというものだと思います。
 2点目の財源ですけれども、もちろん余っているものは使わせていただきたいと思いますし、未来への投資ですので、残るもの、将来世代がしっかりと使えるものについては建設国債の発行というものはあり得る。しかし、これも総理が申されていますけれども、補正予算の財源としての赤字国債の発行というものは私も望ましいものではないと考えています。
(問)4番目の財政投融資ですけれども、この言葉はかなり聞くのが久々で、もともと小泉元総理の郵政改革のときには財政投融資の問題が指摘され、その財政投融資を縮小する方向で動いていたのですけれども、なぜこのタイミングで財政投融資の拡大ということにかじを切るのか、この辺のところについてお考えがあれば。
(答)古い話なので、多分、余り御存じないと思いますが、その当時の行政改革担当大臣は私です。そして、この問題には、私もずっと取り組んでまいりましたけれども、財投のお金が特殊法人に流れて行き、それで余計なものをつくった。一つ例を出すと「グリーンピア」みたいなものがあると思うのですけれども、その施設が老朽化をして、民間の経営ノウハウにのっとっていなかったためにどういうことが起こっているかというと、全て大きな観覧車があって、リフトがあって、ゴルフ練習場があって、テニスコートがある。その中で「グリーンピア」で観覧車だけ乗る人というのは余りいません。そうしますと、観覧車が廃墟のように残っている。それでは、これを撤去すればいいではないかということになると、観覧車撤去に当時のお金で3,000万円かかる。そうすると、もうそういうお金が回ってこない。そういうことで非常に無駄と生産性が極めて低い施設がいろんなところに、それ以外のものでも見られました。こういうことはあってはならないということで、財投改革がスタートしたと思いますし、その入り口のところの改革を先にやったのです。ですから、その後の改革というものは割とスムーズに行きまして、今は超低金利時代ですので、資本を有効に活用するという観点からは、これも国民の広い意味では財産でございますので、こういうものを利用するということは非常に意義のあることだと思っています。
(問)今月をめどに取りまとめということで、非常に期間が限られているのですが、改めてこのスピード感を持ってやる必要性について、大臣の見解をお願いいたします。
(答)これは、財源の話、そして積み上げていきますので規模がどの程度になるか、そういうものを与党の皆さん方の意見を聞きながら、あわせてすり合わせをしながら予算に仕上げていく。予算を補正予算という形で秋の臨時国会に提出することになると思いますけれども、私はいつ秋の臨時国会を召集するかという知識は持ち合わせませんけれども、巷間言われているような日程ですと、お盆休みが入りますのでかなりタイトなものになる。そのためには、やはりスピード感を持って経済対策を取りまとめて、それに肉づけをしていって補正予算になるというプロセスをたどりますので、この規模が大きくなればなるほど、実は時間と精査というものは大変になってくる。そういうことを考えてスピード感を持って行うべしというような考えを示させていただいたところです。
(問)先ほど大臣は、赤字国債の発行は望ましいものではないということをおっしゃっていましたが、それは今日会われた総理含めた4者の共通の認識なのかということと、当たり前ですけど、赤字国債は何で駄目なのかということについて、大臣のお考えを教えてください。
(答)今日特に財源について、総理を含めた4大臣で議論はしていませんが、総理のこれまでの言動の中でもそういうお話がありましたし、私も振り出しは当選2回のときの党の財政部会長、大蔵委員会の筆頭理事という形で財政あるいは税制の問題に取り組んできた人間として、使い切りのものにお金を使うということでありますと、現世で補助金等々を利用する人は、それは非常にハッピーなことですけれども、世代間をまたいで言うならば借金の先送りになるという意味で望ましいものではない。もちろんいろいろな事態が発生したときに、いろいろな財政手法を使用するということ全てを否定するわけではありませんけれども、今回のような経済対策の中では望ましくないと考えているということを、先ほど申し述べさせていただいたところです。
(問)財投の中でリニア中央新幹線の計画前倒しなどというのが入っているのですが、昨日の総理の会見では、整備新幹線の加速というものも入っていたと思うのですけれども、これは今回この中に入っているという認識でよろしいのか。
(答)はい、結構だと思います。私も、函館から一日も早く札幌に到達するのが望ましいと考えています。
(問)その加速というのは、これも前倒しという意味合いが入っているのでしょうか。
(答)結局前倒しするには、予算と施工するマンパワーとあります。両方とも実はタイトです。そういう中で北海道新幹線は、せっかく函館まで開通しましたので、私は個人的には、かねてよりミッシングリンクの部分は早くつなぐべきだと、北陸新幹線もせっかくあそこまで経済効果が出ているわけですから、これが大阪までつながれば、大きな地域発展につながるという論者です。今日別に議論はしていません。その中に入っているということも事実です。「など」というところで読んでいただければ結構です。
(問)望ましいけれども、まだ分からないという認識なのでしょうか。
(答)これについては、私は担当大臣ではなくて、国交大臣とこれから予算と枠の中で、限られたものですから取り合いに必ずなると思います。しかし、そういうミッシングリンクは早くつなげた方が、地域経済のため日本のために私は役に立つというのが、私の論点です。これは議論したわけではなくて私の個人的な論点です。
(問)先ほど財政投融資の質問が出たのですけれども、今は低金利なので利用した方がいいという話でしたが、将来的に金利が上昇したときに逆ざやが発生するのが財政投融資の課題だと、常々言われている気がするのですけれども、この辺の観点に関してはどのような。
(答)これは中長期で見ても金利の高騰というのはなかなか今の段階では考えにくい。すなわち日銀がマイナス金利という、これまで私どもが経験したことのない経済政策をとっている中で、いきなり金利が3%、4%、5%というようになることは、なかなか想定しにくいのではないか。ともかく、我々の経済政策のポイントは一日も早くデフレから脱却する。そして経済のパイすなわちGDPを拡大していく。これにより対GDP比の債務残高というものは減っていくわけです。そうしない限り財政再建というのはなかなかなりません。ですから経済成長なくして財政再建なしと、安倍内閣は当初からその立場をとって取り組ませていただくという中で、御理解をいただければと思います。
(問)一億総活躍社会とありますが、一億総活躍でもいろいろあって、補正はワンショットだと思うのですが、次につなげていく恒久的なものとの関係や、具体的にどういうもので、あるいはワンショットなのか、何かつながるのか、もう少しどういう内容のものなのか。
 それから、これは第1の優先順位来ていますが、財政支出の規模も大きいという話なのか、優先順位の意味、こういうイメージで規模が第1、第2、第3と来るのか、それに限らないのか、優先順位の意味を教えてください。
(答)今日は指示を受けただけですので、何度も申しますとおりこれから政策を積み上げていきます。新幹線を待ち望んでいる方にとりましては、多分、新幹線の予算が第1順位だと思います。
 私は一億総活躍社会、すなわち希望出生率1.83を実現していこうというところに、アベノミクスのもう一つの意味があると思います。結婚したくてもできない。また、結婚した後、子どもを育てたくてもなかなかうまくいかない。そういう状態を変えていく。そのためには保育士の環境の改善というものも重要ですし、介護離職ゼロということに代表されますように、高齢化社会で、家庭の中で介護をやっていくところが限界に来ている家庭というものがたくさんある。これは先般もテレビで私も拝見いたしました。こういうものに対してアベノミクスの成果というのを、第一義的に充当していくべきであるというのは、これまた私の基本的なスタンスです。
 そういうことから、そういうものの重要性、そして今回の補正予算、補正予算というのはワンショットですけれども、恒久財源を見つけてこの政策というものが継続していく、それが未来への投資、子どもを育てるということは、日本にとりましてこんなにすばらしい未来への投資はない、このように考えているところです。
(問)都知事選関連ですけれども、都連会長として伺いたいと思いますが、今日ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが立候補の意思を表明されたのですが、これについて受け止めなどありますでしょうか。
(答)報道では知っておりますが、大臣としてコメントする立場にはありません。

(以上)