石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月31日

(平成28年5月31日(火) 10:11~10:21  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議について、特段私からお話をする件はありません。

2.質疑応答

(問)サミットでの安倍総理の発言ですけれども、「新興国の資金流入のマイナスが、リーマンショック後初めてである。世界経済の成長率がリーマン以来最低を記録した」などリーマンショックとの比較をした上で、「対応を誤れば危険に陥る大きなリスクに直面する」などといった世界経済に対する危機という認識を示されていますが、この総理の発言を受けて、専門家や各国、国内の報道等、いろいろなところで、そうした状況ではないのではないかという指摘もありますが、そもそもサミット直前に公表された月例経済報告の中では、日本政府の認識としては、「世界景気については弱さが見られるものの、全体として緩やかに回復している」というのが月例経済報告の内容だったわけですが、サミットでの総理の発言について、マクロ経済政策を担当する石原大臣の受け止めと、政府の認識との整合性についてどう考えればいいのか、お考えを聞かせてください。
(答)サミットでは各国の首脳が、いろいろなお話をされるわけですが、サミットの結論は、首脳宣言だと思います。
 首脳宣言の内容を見ると、「世界経済の回復は継続しているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがある。また、前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている。我々は、新たな危機に陥ることを回避するため、経済の強靱性を強化してきているところ、この目的のため適時に全ての政策対応を行うことにより現在の経済状況に対応するための努力を強化することにコミットする」とされています。これが結果だと思います。
 月例経済報告における表現は「世界の景気は、弱さが見られるものの、全体としては緩やかに回復している」となっており、先ほど御紹介した首脳宣言の第1パラグラフとほぼ同じ文言です。
 先行きについては、「海外経済で弱さが見られており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある」となっており、ここも首脳宣言とほぼ同じだと思います。「こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」と指摘もしています。
 総理がサミットで具体的にどのような発言をされたかは承知していませんが、世界経済のリスクとして、新興国経済における経済情勢などを示されたことは、事実なのだと思います。
(問)消費税について伺います。増税を2019年10月に再延期ということで事実上決着したかと思いますが、大臣はこれまで、2017年4月に増税できるように環境を整えていくことが自分の仕事であるとおっしゃっていましたけれども、今回の再延期の決定について、受け止めをお願いします。
(答)再延期の決定は正式にはまだなされていないという認識を持っています。そんな中で、「経済再生なくして財政健全化なし」という方針に変わりはないということは総理も申されているとおりです。経済再生と財政健全化の両立を図っていくという内閣の方針に変わりがない以上は、私はその環境をしっかり整備していく。
 消費税の増税の取りやめについては、公明党の山口代表が昨日、私一人では判断できないと、党に持ち帰って判断されると言っています。我が党でもまだ党内の議論が進んでいない段階です。それを受けて総理が適時適切に判断される。そんな中で何をするかということがこれから出てくると思います。
(問)総理は、2014年11月の解散のときの記者会見で、「再び延期することはない。私は断言する」と言っていました。その後の国会答弁では、「景気判断することなく確実に2017年4月に引き上げていく」ということを言っていました。これをもって野党側は、内閣総辞職に値すると、その環境を整えられなかったのであれば、まずは退陣すべきだという考えを示していますが、大臣はこの辺についてはどうお考えになっていますか。政治責任についてどうお考えになっていますか。
(答)公明党の山口代表が党に持ち帰って御判断される。我が党でもこれから党内で議論が行われる。総理が適時適切に判断されるというのが現状の認識だと思います。
(問)サミットの首脳宣言は大臣の御指摘どおりだと思いますが、総理のサミット後の議長としての記者会見の中で、通常の景気循環を超える下振れリスクが発生し得るので、それに対処することに合意した、G7はこれを共有したと述べています。首脳宣言とこの総理の言葉が全く違うように思えて、ある意味、二枚舌ではないかとも受け取れるのですが、この辺について、総理が言っている認識が正しいのか、首脳宣言の言っていることが正しいのか、どちらが正しいのでしょうか。
(答)首脳宣言の中には総理も入っていて、総理もそれに同意されたからこそ首脳宣言を出された。首脳宣言が正しいのだと思いますし、総理が記者会見で、世界経済のリスクとして、新興国経済における経済情勢などを示されたという報道は聞いていますので、そのとおりだと思います。
(問)消費税の増税が再延期された場合ですけれども、大臣の所管の関係で、骨太方針は消費税の増税を一応前提にしていると思いますので影響が出てくると思いますが、一つ消費税の文言が入っている箇所があると思いますけれども、そこの変更が必要になるのかということと、そのほかの部分に何らかの変更を加えることになるのか。また、併せて閣議決定されるであろう成長戦略にも何らかの修正の必要が出てくるのか。そのあたりについてよろしくお願いいたします。
(答)公明党の山口代表が、私一人では決められないと、持ち帰って検討して答えると。我が党でも、副総裁、幹事長、政調会長、総務会長といった党の役員にはお話がありましたけれども、我が党の最高意思決定機関は総務会ですので、総務会で了承されて初めて党の決定となります。したがって、その手続が終わらない限りは、私が責任を持って皆様にお示ししなければならない骨太方針、成長戦略の取扱いをどうするということは、今は言えない。しかし、一般論として言えば、消費税の増税を前提に物をつくっていますので、少なくとも骨太方針には改めなければならないところがあるのではないかと思っています。ただ、くどいようですけれども、政党政治ですので、党内手続が終わって次の話がこちらに来ると、それを受けてどう対応するかということに今後なっていくと思います。

(以上)