石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月23日

(平成28年5月23日(月) 18:51~19:02  於:合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について説明させていただきます。景気の現状についての総括判断ですが、「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いています。
 なお、「平成28年(2016年)熊本地震」では、地域住民の生活基盤、地域経済を支える生産施設・設備や社会インフラ等が広範にわたり毀損しております。今回、地震の影響試算をお示ししましたが、今般の地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。
 先行きについてですが、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に至ることが期待されています。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。また、熊本地震の経済に与える影響については、引き続き注視してまいります。
 政策の基本的態度については、先月からの変更点として、熊本地震に一層機動的に対応するための平成28年度補正予算が成立したこと、「経済財政運営と改革の基本方針2016」、「日本再興戦略2016」、「規制改革実施計画」、「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」、及び「ニッポン一億総活躍プラン」を取りまとめることを踏まえた記述になっています。
 私からは、概要の報告は以上です。

2.質疑応答

(問)今日の月例経済報告で、熊本地震の被害額を発表されたわけですけれども、改めてこの時点で公表された狙いと、今後この試算をどのように生かしていきたいかという大臣の御所見をお願いします。
(答)熊本地震は、誰も経験したことのないような地震で、震度7の地震が前震・本震と2回発生して、その後も震度6が数回、あるいは体に感じる地震が千回以上も出ているように収束していない。引き続き予断を許さない状態と認識しています。その一方で、月例経済報告の中にお示ししたように補正予算が成立して、復旧・復興に向けての取組を一層強化することになったところです。
 震災発生から既に1か月過ぎましたが、被災地における地域住民の生活基盤、地域経済を支える生産施設・設備や社会インフラなどのストックの毀損状況も、徐々に明らかになってきています。こうしたストックの毀損は、地域経済や日本経済に、既に影響を及ぼしていると思います。
 経済の先行きに与える影響に留意する。そういう意味で必要性は以前よりも高まっている。こうした状況を踏まえて、熊本地震による地域経済や日本経済への影響を分析する一環として、内外の経済動向を分析する月例経済報告とあわせて、推計試算に幅を持って、積み上げたものではなくて、過去の阪神・淡路大震災、新潟県中越地震のときのものをベースに試算をしてこのぐらいになると、そういうものを出させていただきました。
(問)今の大臣の説明にもありましたが、今回の試算は幅を持たせているという部分ですけれども、この幅の考え方についてお願いします。
 また、被害額は最終的なものなのか。より拡大することはないということでよろしいでしょうか。
(答)数字を積み上げたものだけのものは関係の役所が出しています。今回の試算は、一定の仮定のもとに試算したことに加えて、民間のストックの毀損額も入っています。そういう民間の毀損分が試算額の3分の2程度を占めているわけです。先ほど冒頭に御説明させていただいたように、事態の収束に向けてまだ予断を許さない状況だと思いますし、そういう報告を受けています。
 ストックの毀損率は、推計値ですので一つのケースに決めつけずに、複数の大きな震災をもとに想定を置いて数字を出している。ですから、今、御指摘のとおり金額の小さい方は2.4兆円で、大きい方は4.6兆円と相当幅のある推計となっています。今は事態が進行中ですから、こういう形でいいと思います。予算も御存じのとおり、予備費という形でいろいろ対応できるようになっています。今も地方六団体の代表の方との議論の中でそういう要求がありました。そういう中で適切に処理していただいて、復興に役立てるということだと思います。
(問)今回の最大の4.6兆円という額についての大臣の受止め、率直な感想をお聞かせいただければと思います。
(答)先ほどもお話しさせていただいたように、試算ですので幅を持たせている。そして、まだ余震が続いています。注意を示す黄色い紙が張ってあった住宅が、また震度4や5の地震が来て、危険を示す赤い紙に変わってしまったという話も聞いています。そうしますと、やはりこういう幅を持たせた推計値が妥当だと思います。4.6兆円だとすると、中越地震よりはかなり大きい。今日もある方が言っていましたが、九州というのはやはり一つなのだと、今度のことでよく分かりました。観光一つとっても九州全体に非常に影響が出る。熊本県のGDPは日本経済の1%だが、九州全体で見るとそういう話ではないと。そこに尽きるのではないでしょうか。その結果、まだ確定値ではありませんけれども、大きくなっているということだと思います。
(問)総理が、リーマンショック級や大震災級のことが起こらない限り消費増税を実施すると言っていますが、今回の試算の数字を見ると中越地震ぐらいのようにも見えるのですけれども、これは増税を判断する材料になり得るのかどうか。
 それから、影響が非常に長引いていて、過去の地震に比べて長い期間影響があるということですけれども、この影響が総理の解散権を縛るものなのかどうか。
 その2点を教えてもらえますか
(答)今回の試算は、過去の阪神・淡路大震災、新潟県中越地震の損壊率をベースに、熊本県と大分県のストック額への影響を、幅を持って推計した数字です。
 ですから、地震が終わって被害総額が確定してから比較すれば、大震災なのか、中震災なのか、小震災なのかが言えると思いますけれども、今回の試算は被害額を積み上げたものではないということを、是非御理解いただきたいと思います。
 先ほども言いましたように、集計が進むにつれ、黄色い紙だった住宅が赤い紙に変わってしまうような事例や、住宅被害の報告件数が、日々増加していることも事実だと思います。
 域内外の企業や、気をつけなければいけないのは消費者マインドです。さらには、韓国は地震がない国ですので、九州への渡航を当分やめた方がいいよといった声が出ている。訪日外国人客の動向については、地震が収束して、もう余震もない、これから復興・復旧だということになれば、では、助けようということで、来てくれる方もいると思いますが、そういうものも考えなければいけない。
 事態は進行中という話をさせていただきましたが、消費者マインドは一度冷えてしまうと、すぐには戻りません。
 ですから、どういう震災なのかということを、今、言うだけの判断材料は持ち合わせていません。
 したがって、その次の質問に対する答えも、今は持っていないというのが現状です。

(以上)