石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月21日

(平成28年4月21日(木) 18:33~18:43  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告します。景気の現状についての総括判断ですが、「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置きました。
 先行きについてですが、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されます。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響には引き続いて留意する必要があると思います。
 また、「平成28年(2016年)熊本地震」の経済に与える影響については、十分留意する必要があります。早急に把握してまいりたいと思っております。
 政策の基本的態度については、先月からの変更点として、東日本大震災からの復興が、「復興・創生期間」に入ったことを踏まえた記述にするとともに、平成28年度予算を前倒しして実施すること、今般の地震による被災者の支援に万全を期すことや、地域経済の早期回復、産業復旧に取り組むことなどを記述しています。
 概要については以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭に日本経済の先行きについて言及がありましたが、改めて世界経済が停滞している一方で、今回の地震が大きな影響があるとみられています。先行きが厳しいという見方もありますが、大臣は、どのように今、受け止めていらっしゃいますか。お考えをお願いします。
(答)先ほど、先行きの概況についても、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されるというお話をしました。海外経済に弱さがみられていますし、それが日本に飛び火してくる、そこには留意していかなければなりません。原油価格についても、ドーハの会合が、当初の予定ですとうまくいくのではないかと言われていましたが、しかし、イランが出席しないといったことで不確実性が高まっている。こんな点にも、留意していくことが必要なのではないかと思っています。
(問)今、原油価格のお話が出ましたが、今朝の国際金融経済分析会合でも原油の話が話題になりまして、有識者からは、長期的には相場、価格の乱高下があるのではないかという懸念が示されたと思うのですが、大臣御自身、その見方に対する考えと、世界経済、日本経済に及ぼすリスクはどんなものがあるのか、お願いいたします。
(答)在庫は減ってきていて、需要はそこそこある。それに対して供給が、シェールの話が中心だったと思いますが、それによって、2015年から2016年にかけて、原油価格が急激に下落すると。これは産油国サイドの経済にも影響しますし、輸入消費国の経済にも影響する。またそれが複雑に絡み合って、株式マーケット、為替にも影響している。そういうお話がありました。
 専門家の方々も、どうなるかは断定的に言うことができない、そういうことだと思います。ですから、しっかりと注視していくことが肝要なのではないでしょうか。
(問)月例経済報告でも熊本地震の影響について触れられていたわけですが、今日の会議の中では、それについて議論や言及は何かあったのでしょうか。
(答)熊本の地震ですが、直下型地震としては広がりをみせ、専門家や気象庁の地震部の方でも予見が難しい。いまだ収束していないというのが現状ではないかと私も思っています。
 地震が経済全体に与える影響は、今後の重要課題だと思います。サプライチェーンへの影響や、あるいは社会資本のストックがどれだけ損傷していて、どれだけを直していかなければならないのか。
 今回の月例経済報告においては、留意事項として、今後の動向を含め、その影響について早急に把握していくことが肝要と考えているところです。
(問)先行きのところで、金融資本市場の変動の影響に留意とあるのですが、最近の株価の動きなどをみていますと、少し持ち直したりとか、一時に比べると、変動幅が少し落ち着いているような感じがするのですが、景気に与える影響については、大臣はどう御覧になっていますでしょうか。
(答)昨日、今日は割と落ち着いてみていられましたが、その前は、そうではなかったと思います。少しスパンを広げると、まだまだ変動幅が大きいという気がします。その要因としては、先ほど挙げたような海外経済の不確実性、産油国の問題や中国経済の減速等々があるのだと思います。そういうことを総合的にみていくことに加え、今度新たに、誰も想像しなかった地震が起こり、地震がまだ収束に向かっていない状況で、10万人を超える方が避難をされている。全壊家屋もかなりなものがある。そういうものをどのようにみていくのかが、これから非常に重要になってきます。その中で、今、の御質問の答えが出てくるのだと思います。今のところはマーケットも不安定ですし、また地震も終息しておらず、外国からの観光客が減っているとの報告もあります。そういうこともこれから経済全体に影響してくるので、予断を持たずに注視をしていかなければならないと思います。
(問)今回の月例経済報告の中で、個別項目をみていくと、個人消費がマインド足踏みという中で、企業の業況判断も、2か月連続で下方修正されているという状況ですが、個人、企業ともにマインドが非常に弱い状況が出ていると思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)まず、個人消費に関して言いますと、必ずしも強くはない。では、企業はどうかというと、企業を取り巻く環境、景況感の水準は高いところで推移しているのだと思います。企業収益は2015年をみても、2014年から引き続いて高水準です。今年の春闘の結果は、全て出てはおりませんが、3年連続の賃上げが実現し、2%のアップ。今年は中小企業にも広がり、業態別にみると、製造業や建設業などでもベースアップが行われた。
 しかし、企業の業況判断は、製造業では特にアジアの新興国の景気の減速や、円高への動きなどの影響を背景にして慎重さがみられます。非製造業でも、個人消費の動きを背景に力強さがあるとは言い切れません。
 全体で見ますと、雇用と所得環境は良い。有効求人倍率は1.28倍と24年ぶりの高水準、就業者も3年間で110万人、失業率も3.3%、ほぼ完全雇用に近い状態です。マインドとして一部暗いものはあるのですが、指標的にはいい水準を維持している。これからそれが右肩上がりになっていくような施策を打ち出していかなければならない。そんな中で地震が起こって、それがどの程度の影響があるかを測って、それに対する対応をしていかなければならないと考えています。

(以上)